今の所、世界の命運は俺にかかっている   作:流石ユユシタ

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10話

 

「ついてこないでください」

冷たく彼女から発せられたその言葉からは本当に嫌がっていることが、ヒシヒシと伝わってきた。

 

「そんなこと言わないでください。ただ一緒に帰るだけじゃないですか」

 

 学校時間が終わり部活をしたりする者、友達と一緒に遊びに行く者たちがいる中、俺たちはただ下校する。

 

 かなり嫌がられているが、そんなことを気にしている余裕はない。まだ、ストーカーが来ないとはいえ念には念を入れておくことが重要。不良の時も多少なりともイレギュラーはあった。

 

どれも大したものではなかったがイレギュラーがあるという事実に変わりない。故にバッドエンドを完全回避までは付きまとわなければならない

 

「それすら嫌なんです。お願いですからついてこないでください」

 

彼女は俺とは目すら合わせずにスタスタ歩いて行く。

・・・・・・そんなに嫌なのか。少し傷つく・・・

 

少し後ろを歩くか。それしか方法がないな、隣は凄く嫌な顔をされるしな。

 

 

 

 一定の間隔を保ちながら彼女の後をつける。しばらく歩き人通りが少なったところで彼女の足が止まりこちらに顔を向けた。その表情は怒気を含んでいた

 

「だから! ついてこないでと言ってるではないですか!!」

「いや、ほら、帰り道がたまたま同じで・・・」

「そんなウソは通用しません!! はっきり言います。私はあなたの事が嫌いです!!!」

 

何となく察しはついていたけど面と向かって言われるのは、結構つらいな。彼女が美人なだけ余計につらい。可愛い子から嫌いって言われるとメンタルに凄いダメージ。

 

「ですので近寄らないでください」

 

彼女はハッキリと嫌い宣言をした後再び歩いて行った。ここまで言われたら帰るしかないな。・・・とはならないな

 

 

その後も気にせず一定の位置を開けながら歩き続けた。しばらくすると、彼女は再び振り返り

 

「だから!!! ついてこないでください!!!」

「気にしないでください」

「無理です!!」

「俺の事はジャガイモとでも思ってください」

「無理です!!」

 

 

 

 

 

 なんやかんやで彼女のマンションまでは着いて行った。彼女はさようならも言わず怒ってマンションに入って行った。これ以上嫌われたら警察にお世話になるかもな

 

そんなことを呑気に考えていると

 

 

――急に視線を感じた

 

 

 後ろを振り返ると物陰に誰かが居たように感じた。いや、居た。隠れてハッキリ見えなかっただけで。恐らく彼女にとって最悪であるストーカークソ野郎だな。女性の後をつける最低最悪な男だろう。

 

全く・・・・・・女性の後をつけるなんて男としてゴミだな。同じ男として恥ずかしい!。女性が一緒に居ていいと許可を出せば良いかもしれないが、無許可でストーカーするのは絶対やってはいけないだろう。

 

なぜ、そんな簡単な事も分からないんだ?? こんなの小学生でもやってはいけないことだと理解しているだろう。

 

しかし、既に目は着けていたのか。もう少し後だと思っていたが・・・

バッドエンドではいつから彼女を狙っているかまでは描写が無かった。被害の部分が大きく書かれ、ストーカーについては大きな情報がない。

 

分かっていることは男であり、ナイフを持っている頭おかしい男。確か果物ナイフだったような気がする。職業無職で二十代後半のはずだ。

 

純粋戦闘力なら俺が上だと思うが、刃物持たれると少し怖い。刺されたら絶対死ぬしな。出来れば早めに解決したいところだが簡単にはいかないだろう。

 

だが、ストーカーがすでにいるという事実が分かったのだからこれからは更に彼女を守らなければいけないだろう。

 

 

その日から、俺のストーカー対策が始まった。なるべく彼女から少し距離を置きつつ彼女をストーキング・・・ではなく護衛をした。

 

途中何度も彼女から、怒鳴られ、睨まれそれでも続けた。買い物では荷物持ちとして彼女のそばにいた。

 

 

「荷物持たせてください」

「いりません」

 

「家まで送らせてください」

「警察呼びますよ」

 

「偶々家の方向が一緒で・・・」

「では、私は遠回りして帰ります」

 

 

 

 

 

 

その日々が一週間くらい続いた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、十六夜」

「どうした?」

 

ある日、帰りの準備をしていると前の席の佐々本が話しかけてきた。

 

「最近お前、コハクちゃんにストーキングしてるって本当か?」

「誰が言ってたんだ? そんなこと?」

「いや、結構噂になってるぞ。最近お前が付きまとってるって」

 

流石に有名になっているようだ。少し複雑だが、もう少しの辛抱だから耐えるしかないな。

 

「・・・まぁ、否定はしないな」

「ええ? マジかよ。ストーカーは流石にひくぞ・・・」

「ストーカーじゃないんだが・・・」

「ストーカーは皆そう言うんだよ。気をつけろよ、後ろの席の奴が警察に捕まるニュースなんて見たくないからな」

 

その後、俺は銀堂コハクの後を追った。気持ちはかなり沈んでいた

 

 

「最近、貴方が私をストーカーしてると言う噂が立ってるそうですよ」

「らしいですね」

「・・・・・・そんなに落ち込むなら止めればいいじゃないですか・・・」

 

 

 俺が落ち込んでいるのが顔に大分出ていたようで、怪訝そうに彼女が告げた。噂は彼女本人にも届いているようだ。もしかして、学校全体に広まっているのか?

だとしたら、結構きつい。事態が解決した後大変かもな。俺はこれからを想像して頭が痛くなった。取りあえず、今は置いておこう

 

 

 

「このままだと、貴方の学校生活に支障が出ますよ。まだ入学して一か月も経っていないのに既に変人扱いされてるんですから」

「ああ、そうですね・・・」

「何がしたいんですか? 貴方は?」

 

落ち込みながらも彼女の近くで、歩く。足取りは重いが。そんな俺に彼女は呆れているようだ。

 

 

「!!」

 

俺は再び後ろを振り返った。最近かなり増えてきてる。この一週間で二十回近く誰かがつけている。銀堂コハクは全く気付いていないようだが、俺には全て分かっている

 

「いつもの奇行ですか」

 

俺がいきなり後ろ振り返ったので、変人の奇行と判断したようだ。彼女はため息をつき歩き続ける。

 

やっぱりバッドエンドは近づいている。だが、計画通りだ。彼女を送った後

この事件、バッドエンドに決着をつける。その為の準備はしてきた。

 

 

 

 彼女の住むマンション近くに到着した。ようやく到着したと彼女は疲れたような表情でこちらを見た。

 

「全然ありがたくないですけどご苦労様でした」

「はい・・・」

「? では、さようなら」

「はい」

 

俺は手短に返し、彼女がマンションに入って行くのを確認した。その後、後ろを意識して一度深呼吸をし再び歩き出す。

 

横断歩道で青になるのを待つ。ただ待って居るだけだが緊張と恐怖で汗が出てくる。

 

心臓が高鳴る。だが、ここでやらなければならない。

 

横断歩道の信号が青になる。覚悟を決め俺は歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 何か変だ。いつもと違う彼の雰囲気を私は見破った。いつも通り私がマンションに入って彼が帰るのだが、今日の私は自分の住む階には上がらずこっそりマンションの外に出て彼を見ていた。

 

・・・・・・気になるわけではない。ただ、これは、その、犯罪者予備軍の監視だ!! 彼は激辛水鉄砲を常に持ち歩き、私をストーカーする男。異常の塊のような男。何をするか分からない。監視しておいて損は無いだろう。

 

 

 最近の彼は、異常だ。元から変だが登下校だけでなく、お買い物の荷物持ちをしたいと言って無理やり付いてくる。四六時中、私に付きまとっている。普通におかしい。

 

 横断歩道でジッと待って居るが何処か落ち着き無いように見える。非常に不本意だが、彼の事は何となく分かった。

 

 奇人、変人、ストーカー。狂人と言えるだろう。しかし、毎日一緒に居ると流石に顔の違いが分かる。先ほどの顔は非常に不本意だが何か思いつめた顔だった。

 

 物陰から確認していると彼が歩いて行く、すると少し後ろをフードをかぶった男が彼をつけているように感じた。偶然、単なる思い過ごしに考えることも出来たがそうではないと私の直感が言っていた。

 

 ・・・見に行くか・・・・・・

 

 

 

  彼をつけるフード男を尾行する私。かなりシュールではないだろうか。特に彼も振り返ることなく淡々と歩く。しかし、やっぱりどこか変なような気がする。あのフード男が彼をつけてるのは確定事項だろう。

 

それを彼が気付かないのはどうしてだ?毎日恥ずかしいからやめろと言っても、東西南北、前後左右、病気かよってくらい確認するのに。違和感しかない。

 

 しばらく歩くと彼は公園に入って行く。この公園は大分寂れている古い公園なので人は誰も居ない。彼は公園の真ん中で振り返った。フード男も公園に入って行く。草むらに隠れている私には両者気付かないようだ。

 

「最近ずっと銀堂さんをつけてたな」

 

 

彼がフード男に向かって言葉を発する。両者向かい合うと、フード男は懐から果物ナイフを出す。

 

え? 刃物? 何どういう事? 

 

ずっとつけてた? あのフード男が?

 

「どうした殺気が凄いぞ」

「お前が僕の女神に付きまとうからいつも殺してやろうと思っていたんだよ!!」

 

私は隠れて話を聞いていたが今全てがつながった。彼は気付いていたんだ。本物のストーカーが居たことに。だからこそずっと私の周りにずっといたんだ。

 

「お前を殺すために人気のない場所に来るのを待ってたんだ!!!」

 

ナイフを向けながら怒鳴りつける。あの男ヤバい人だ。比喩とか冗談ではなく本物の狂人。

 

普通なら恐怖で何もできなくなりそうだが彼は鼻でフッと笑った。

 

「俺をはめたような言い回しだが逆だ。わざと人気のない場所に来ることによって俺がお前をおびき寄せたんだ」

 

なんか、かっこいい・・・かも。足が凄い震えてるけど・・・。

怖いんだ本当は、でも私を巻き込まないために一人でここに来た。誰にも言わず、私を守るために。

 

校内で変な噂をされても、私に酷いことを言われても。それでも、私を守る為だけに、今戦ってる。

 

彼は懐から水鉄砲を出し、さらにもう一つ銃を出した。水鉄砲ではない、本格的な銃のように見えるがそうではないだろう。

 

「おもちゃで何ができる!!」

 

 ナイフを持ったまま突進。彼が二丁拳銃スタイルで応戦。水鉄砲とおもちゃの銃を発砲。相手の体にBB弾が当たるがほぼダメージなし。相手は長そでなのでほぼ効かない。しかし、水鉄砲の水が顔に当たると

 

「ぐあああああ!!目がああああ!!」

 

あの、水鉄砲・・・強すぎではないだろうか?

 

「こっちの銃はいらなかったな・・・」

 

本格的な銃を見ながらぽつりとつぶやいた。私も同感だ。激辛水鉄砲強すぎる。

彼は男を警戒しながら携帯で警察に連絡をしている。ストーカーにちょくちょく水鉄砲を発射しながら。

 

目を抑えながらストーカーはうずくまっている。草むらに隠れていた私も事が終わったと油断して足元にある枝を踏んでしまった

 

「誰かいるのか?」

 

彼は私が隠れている草むらを向いた。ばれても問題は無いので草むらから出る

 

「私です」

「何で居るんですか?」

 

「いや、偶々、こっちに用事があって・・・」

「ああ、そうですか」

 

草むらから出てきた後にこの言い訳は大分厳しいと思う。嘘をついていると一瞬でばれた。彼は呆れたような表情で私を見た。何だろう、彼にそんな風に見られるとムカつく。

 

「馬鹿が!! 油断しやがって!!」

 

ストーカー男が私と話して油断している十六夜君に向かって刃物を再び向ける。目が完全に回復したわけではないだろうが声のする方向で大体判断したのだろう。

 

「!!!」

「十六夜君!!」

 

私に気を取られていたので反応が遅れてナイフが腹部に刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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