早朝五時、四時半で起き銀堂コハクの住むマンションの一階の入り口付近で待つ。
少しすると、ほぼ時間通りに彼女は来た。
不機嫌そうにしながらも、彼女は挨拶はしっかりしてくれた
「おはようございます」
「おはようございます。早速行きましょう」
俺は、彼女が隣に来るとすぐに歩き出す。彼女は疑惑の目を向けっぱなし
「説明してくれますよね?」
「何がですか?」
「なぜ、こんな時間に登校するのか聞いてるんです!!!」
「不良に遭遇しないように、するためですよ」
スタスタ、歩きながら事情を説明する。しかし、まだ納得していないようで
「早すぎます!」
「そうですかね? これくらいが一番安全だと思いますが?」
「五時ですよ!! 馬鹿なんですか!! 見てくださいよ、人なんてほとんどいませんよ!!」
ぐるりと周りを見回す。確かに、いつもほどの人はいない。まぁ、気にすることではない。
「お気になさらず」
「気にしますよ!!」
彼女の会話をのらりくらりと、流しながら
俺達は、そのまま学校に着いた。彼女は不機嫌のままだったが・・・
「一番乗りですね」
「でしょうね!!」
学校は、開いていない。大体開くとしても、六時くらいだろう。
現在の時刻は、五時十五分。スマホで確認。
「開くまで、少し時間がありますね。しかし、いくら何でも、流石に、早すぎましたね」
「さっき私が言いましたよね!! いくら何でも早いって!!」
彼女を、なだめつつ取りあえず、近くのベンチに座る。爽やかな朝だ。早起きも悪くないかもしれない。
こんなことは、二度としないが・・・
「これから、毎日早起きしなくてはいけませんか?」
「どうですかね?」
「質問してるのはこちらなのですが・・・」
彼女は、呆れてもう質問する気はないようだ。特にお互いに話すことなく、時間が過ぎていく。少しくらいは、会話した、方がいいのかな? 女性と二人、というのは、ほんのわずかだが緊張する。 昨日も、二人だったが結構心臓が高鳴っていた
「早起きも悪くないですね」
「そうですけど、貴方に言われると腹立ちますね」
入学三日目、随分と嫌われたものだ。色々あったのは確かだが、一応彼女の為にやっているんだけどな。
お礼が、欲しいわけでないから別にいいんだけど・・・
会話なんて、無い。俺も目を閉じ、彼女も小説の読む。そして、時間が経過し六時になる
「では、行きましょうか」
「そうですね。ずっとここにいるのも嫌ですから」
校内は、生徒は誰も居ない。教師数人いるくらいだろう。
シンと、静まり返り、二人が廊下を歩く音が良く聞こえる
教室に入り、お互いに席に着く。俺たちの席は、結構離れている
彼女は、廊下側の一番前。俺は、校庭が見える窓側の一番後ろ。
どうでもいいことだが、俺の前が佐々本。
この席順は、クラス分けをして入試の成績順になっている。窓側の前から、良い順で並んでいる。クラスは、入試成績の結果をバランスよく分けている。
つまり、クラスで校庭側の後ろというのは、俺の成績はほぼ最下位という証だ。これには、訳がある。自身を鍛える為にひたすらに訓練をしてきたため、勉強が余りできなかったという点。
とは言え、前世の経験もあり、多少は出来るのだが入試の日は、体調が悪く、
まさかの解答欄が一か所ずれていたのだ。テスト終了一分前に気づいたが時遅し。全部間違ったわけではないが、そのせいで、佐々本の後ろという不名誉な席になったのだ
佐々本は、頭悪い。本来なら彼が校庭側の一番後ろだ。しかし、俺が後ろになっている。
バッドエンドを回避出来ればそれでいいので、特に気にしないし、これは裏設定で書いてあったので、教師くらいしか知らないから馬鹿にされることもない。まぁ、こんなこと今考えても仕方ないし、どうでもいいんだけどな。
バッドエンドを回避出来ればそれでいい。
さて、こんな事を考えてるうちに、大分時間がたったな。現在7時過ぎ。
彼女は、ずっと小説。
そろそろ、だな。
俺は、席をを立ち教室を出て行く。彼女は特に何も言わない。
トイレに行くとでも思っているのかもしれないが、そうじゃない
そのまま、学校からも出て行く。学校に登校してから、全く授業を受けずに出て行くなど普通じゃないが俺には、バッドエンドを回避をしなくちゃいけない
――とりあえず、不良だけでも完璧に対処しないとな・・・
そのまま、不良に初日合った場所に向かった。
時刻は、もう八時過ぎ。教室には、Aクラス生徒が既に大分そろっている。
私は、クラスメイト達と親しげに話す。
「見て、スマホカバー新しくしたんだ」
「まぁ、凄く可愛いですね!」
「私は、ネイルしてみたんだ」
「まぁ、とってもキュートですね!」
余り、楽しくはないですね。適当に、言葉を返しているが楽しくない。
少し言葉を言い換えて、話すだけだ。
本当につまらない。
こいつらも、何かあれば裏切るという考えが私から離れない。
そんな、負の心でクラスメイト達と接している私は校庭の一番後ろの席を見た。
そう言えば、彼はどうしたのだろう?
朝一緒に来て、急に教室から出て行ったと思えば一向に戻ってこない。
お花摘みにしては、随分長い。一時間位たつかもしれない
もうすぐ、ホームルームが始まるのに何をしているんだろう?
行動が読めない。昨日も、散々私に色々やって、今日は朝五時に集合しろ等と言ってくる。正直、断ってやろうと思ったが、不良から絡まれたところを助けてくれた事の恩がある。
・・・・・・ムカつく。私は、彼が嫌いだ。入学三日目で嫌いになった
彼と一緒に居ると、イライラする。誰かの為に、自分を投げ捨てた姿勢。そんな人は、存在しない。私は、もうだまされない。彼にも何か下種な思惑があるはずだ。
だからこそ、彼の目的を知るために二人きりの空間を作った。私は、自分で言うのは何だが、かなりの美人だ。そして、スタイルもいい。もしかしたら、私に取り入ろうとしているかもじれない。それを、見極めたかった。
結果、分からなかった。一緒に時間を過ごしたが、分からなかった。
すぐに、襲ってくる下種か。
それとも、すぐに襲うのが不味いともっと親密になってと、頭が回る下種か。
そのどちらかと、思ったがどうにも違う気が気する。
前者はないなら、後者と考えたが、それにしても何か引っかかる。
私に好意を持たれたい、ようにはあまり見えない。
イライラする。それがどんどん膨らんでくる。
もう、思い出したくはない。あの時は、私が馬鹿で、失敗して、無駄になったいうことを学んで。
そこから、納得して、自分をだまして、今の自分を作った。
これからは、この打算の私で生きていこうと誓ったのに・・・
彼を見ると過去の自分を見ているような気がする。
何度も、何度もその姿を見る。
『こんなにきれいで、カッコいいのかと、理想を見る』
――それが、イライラする。どうしようもなく・・・
もう彼と関わるのは止めよう。これ以上と一緒に居ると、私の心が・・・
これ以上は、関わる必要はない。不良の件は今朝の登校で借りは返した。
友達と、話ながらそんな事を考えていたら、教師である六道先生が教室に入ってくる。
それを合図にしたように、皆が私から離れていく
「諸君、おはよう。今日も欠席は・・・黒田が来てないのか」
先生が、彼の席が空席であることに気づく。仕方ない、私が登校はしたという事いって連絡しておくかと思った時だった。
「六道先生、大変です!!」
他の女先生が、慌てながら教室に入ってきた
「何か、あったんですか!」
その慌てように、先生は動揺した表情をした。生徒達も何かあったのかと、少し騒がしい
「黒田十六夜君が、あの素行が悪い生徒が多いことで有名な、天之川高校の生徒達に暴行されて、病院に搬送されました!!! 意識はあるようなのですが・・・」
「っ!!!分かりました。すぐに向かいます!!!」
慌てて、六道先生は出て行った。生徒達にも動揺が広がる
それは、私にも。
何が、起こっているのか理解できなかった
「いってぇー~~~。全身が痛い」
「不良に、友達にもう関わるなと言ったらボコボコにされたなんて、今時あるんだね」
病室のベッドの上で、顔の顔面以外に包帯がまかれている。一応点滴もしている。
俺と話しているのは、医者の四宮来島先生。
かなりの、ベテランで名医っぽい感じがする。しかし、まだまだ若そうだ。
そして、優しそうでイケメン
「体の至る所が、打撲。骨折はないけど、まぁ、まぁ、重症だよ」
「あの不良ども、少しは手加減しろよ!!」
「不良の方は、警察で取り調べを受けてるみたいだけど、懲りないだろうね。素行が悪くて有名なんだ。天之川はね」
「そこは、考えてますから」
「??良く分からないけど、安静にね」
俺の現在の、事情を説明するとそのまま、先生は、病室を出て行った。四人一組の部屋だが、俺はカーテンで区切っているので、実質一人のようなもの。
それにしても、痛い。そして、怖かった。
教室を出た後、教室を出た俺は不良がいる場所、人が少ない場所。に自ら乗り込んだ
その後、いったん逃げた。
その後、人通りの多いところでわざと捕まり、ボコボコにされた
うずくまって、じっと耐えたが涙が出てしまうほどに痛かった。
人通りが多いことで、すぐに誰かが警察や病院に通報してくれたのが幸いだがこれも、計画の内。
人通りの多いところで、通報されれば、いくら不良でも逃げる。
警察が怖くない、と言っても少しは何かを感じるだろう。それは計算していた
一応、誰も通報しない場合も考え、俺も、念のため逃げながら警察に不良に追われていると連絡を入れた。
そして、先ず人通りの多いところに逃げた理由は、人がいない所は、まじで死ぬからだ。バッドエンドでは、三日目。銀堂は無理やり屈辱を受けるがそれは、人がいない場所。
二日目で、運悪く捕まり行為をされ、三日目では不良仲間が総出になって朝から銀堂をつけ狙う。通学途中の道のりの少し、人通りがないところで無理やり捕まえるという筋書きだ
だからこそ、彼女をまず学校に行かせた。流石に早すぎたかもしれないが、鉢合わせするよりましだ。
そして、俺は何の抵抗もせずボコボコにされたがそれにも、理由はある。
・・・そろそろじゃないか?
学校にも、連絡は言っている。そして、俺のクラスの担任と言えば?
六道哲郎。彼の兄弟は、『血列団』というマジでヤバイ、ヤクザグループの頭領。
自分の生徒が、ボコボコにされたとなれば兄弟の力を借りて、無理やり不良を統制するだろう。
『血列団』は、まじでヤバイ。その辺の不良が構成員に合えば、無言で頭を下げるくらいだ。
これについては、六道哲郎は生徒達に隠している。だからこそ、表立って力を貸してとは言えない。
「『血列団』の力を使って不良をどうにかしてください。」等と
もし、言えば俺が怪しまれてしまう
六道哲郎に直接言わず、彼の兄弟に『血列団』の力を使ってもらうには俺がボコボコにされたという、筋書きが必要だった・・・と思う
もしかしたら、直接言っても大丈夫の可能性もあったが、そうでない可能性もあった。そうなったら、残りの二人が救えない。
普通に、一般生徒として相談する手もあったが、今この現状の方が親身になってくれる。少し、嫌な考えだが、同情も誘える。
まだ、入学三日目。彼はいい教師というのは知っているが、すぐに兄弟パワーを使うとは限らない。彼も人間、誰かれ構わず兄弟パワーを使うとは限らない。
六道哲郎という人物に、確実に彼から兄弟パワーを使ってもらうには、この手が一番であり、そして、全てのリスクを考え行動した結果、打撲という結末になったのだ。
これくらいで済んでよかった、亀のようにうずくまり必死に攻撃を耐えながら、どうか骨は折れませんように、涙ながらに
そう祈った甲斐があった。祈りは届いたようだ。
何やら、ドンドンと誰かが、走ってくる音が聞こえる
「大丈夫か!! 黒田!!」
どうやら、六道哲郎、が来てくれたようだ。さて、凄く痛い振りでも、しようかな?
ここまで、やったんだ。彼には、存分に兄弟パワーを使ってもらわないとな・・・