ある日の昼下がり。静かな川辺の野原で、薔薇水晶は姉(雪華綺晶)と一緒に大人の絵本(意味深)を読んでいました。
「こ、これは今後の展開的にホコ×タテ?それとも、まさかの逆転!薔薇水晶はどう思うかしら?」
「・・・どっちでもいいですお姉さま」
薔薇水晶はすっかり退屈しており、姉の目を盗んで飼い猫の雛苺と一緒に川のほとりでくつろいでいた。その時、薔薇水晶はチョッキを着ている白うさぎが大きな懐中時計を持って走り去るのを目撃しました。
「薔薇水晶、あれはきっとラプラスの魔なの。追いかけなくちゃなのー」
「雛苺は今猫役だから・・にゃー以外喋っちゃダメ」
「え~~なのーー」
「・・にゃー」
「にゃ、ニャーなの~」
満足した薔薇水晶は、白うさぎを追いかけた。彼女は白うさぎを追ううちに大きなトンネルまで入ったが、その先にあった大きな穴に落ちた。一番下まで落ちると、白うさぎが走っているのを見つけて、薔薇水晶は追いかけ、奇妙な空間の部屋にたどり着く。
「ここは、どこ?」
「雛苺どこにいったの?」
とりあえず、脱出を図る薔薇水晶。そこには小さいドアがあったので、開けようとしたが、取っ手が喋って「大きすぎて入れないから無理」と言われた。
「・・・私ドールだから多分入れると思う」
「あー、だめです。お客様いけません、いけません!!きっちりと物語の道筋に従ってください!」
「・・・嫌」
何ということでしょう!これから薬(意味深)で薔薇水晶が大きくなったり(意味深)小さくなったりする、不思議の国のアリス第1の見せ場。
しかし、薔薇水晶は制止する取ってさんを無視し強行突破してしまいました。
さすが薔薇水晶!そこに痺れる憧れる!
扉を開けた先では、ドードー鳥達がアリスゲームをしていた。
「・・・アリスになるのは私」
アリスはそれに加わりドードー鳥達を瞬殺ついでにローザミスティカを回収していた矢先、白うさぎを見つけまた追いかける。
その途中で、薔薇水晶は翠星石・ディーと蒼星石・ダムに出会う。
「蒼星石、大好きです~」
「翠星石、薔薇水晶が来たから遊びに誘わないと・・物語が進まないよ」
「嫌です~、そんなの勝手に薔薇水晶だけで進めやがれです~」
「ごめん、薔薇水晶先に進んでくれるかい?多分これ以上進展は期待できないや・・」
「わかった」
あー!物語が音を立てて崩れ落ていってる~。
第2の見せ場遊びに誘うしつこい姉妹を「セイウチと大工さんの話」で切り抜けるフラグも見事に叩き折る薔薇水晶、いや、翠星石・ディーと蒼星石・ダム。
薔薇水晶はその後、白うさぎの家にたどり着く。
「やっと捕まえた。ラプラスの魔」
「ラ、ラプラスの魔?僕はそんな名前じゃないよ!」
「・・・貴方は」
「僕の名前は桜田JUM学生さ!!」
「・・・疲れた。もう帰る」
「ちょっと待ってくださいよ!」
まだまだ、先の長い不思議の国の物語。しかし、薔薇水晶は飽きてしまい帰り支度を始める始末。それを何とか阻止するJUM君。
頑張れJUM。負けるなJUM。君の働きがこの物語の運命大きく左右させてしまうのだ!
「薔薇水晶もう少し頑張ろう。後少し、後少しで終わるから」
「・・・嫌」
「それじゃあ、あとクリケット回まで・・せめてドードー鳥達がこの家に襲撃に来るところまでは」
「・・・さよなら」
「ちょっと待った~!!」
「その声は、ドードー鳥さん!!」
間一髪、薔薇水晶が帰る寸前でドードー鳥達が襲撃にやって来た。
「やったーこれで物語が進む。薔薇水晶僕は逃げるから、後は頼んだよ」
「・・・面倒くさい」
待ちに待った援軍の到着。白ウサギ(JUM君)は次の話の準備を進めるため喜び勇んで退散していく。
「よくもさっきは、仲間を殺ってくれたな覚悟しやがれ!」
「・・・もう、飽きたからすぐ終わらせましょう」
「おおっと!早まるんじゃねえ。お前の相手は俺たちじゃねえ」
「?」
「先生、用心棒の蜥蜴の先生!!」
「お呼びかしらーー」
「・・・金糸雀、何してるの?」
やって来ました。蜥蜴のビルことローゼンメイデン第2ドール頭脳明晰・容姿端麗・完全無敵、向かうところ敵なし乙女番長金糸雀。今日も黄色の日傘がいい味出してます。
「今は金糸雀じゃないのよー。蜥蜴の・・えーとほにゃららかしら?」
「先生!ビルです。蜥蜴のビ!ル!です」
「それかしら!!」
お決まりの、口上も一段落し相対する金糸雀と薔薇水晶。
ドードー鳥達が固唾を飲んで見守るなか、金糸雀が先制を取る。
「いくかしら!第一楽章 攻撃のワルツ」
バイオリンから、放たれた衝撃波が前方の大木に衝突、薔薇水晶目掛けて一直線に襲ってくる。
「・・・」
「まだまだよー!第二楽章 追撃のカノン。続けてディスコード!」
余裕をもってかわす薔薇水晶に追撃の第2波、第3波の波状攻撃が襲いかかる。
「さすが、蜥蜴の先生!一気に決めちゃって下せえ先生!!」
ドードー鳥達の先生コールに気分が最高潮の金糸雀はとどめの大技を繰り出す。
「いくかしら!最終楽章、失われし時へのレクイエム」
金糸雀を中心に巻き起こる小さなつむじ風。それはやがて巨大なサイクロンへと変貌していく。
「おおー!これなら薔薇水晶も一殺ですぜ。先生!!」
さらに大きくなるドードー鳥達の先生コール。しかしそれも長くは続かなかった。
「あれ、先生一旦ストップ!自分達も巻き込まれてます。」
「先生?先生ーー!?」
とばっちりを食らう、哀れドードー鳥達彼らはサイクロンに弾き飛ばされ場外ホームラン。お星さまになりましたとさ。
「ま、またやっちゃったかしらー。ドードー鳥さん達、死んじゃダメかしらー」
「・・・疲れた」
全ての物語が全く進行できなかったが、強制的に終了する薔薇水晶。うなされている自分を呼ぶ姉の声で目が覚めたアリス。
「あら、やっと起きたのね薔薇水晶」
「・・・お姉さま」
「随分うなされていたけど、何か怖い夢でも見ていたの?」
「怖い夢ではありませんでした。ただ・・・」
「ただ?」
「とても面倒臭い夢でした」
それを聞き静かに微笑む雪華綺晶
「そう、それじゃあ口直しにお茶会でも開きましょう♪」
「はい、お姉さま」
「新しく購入した絵本(意味深)もあるの。一緒に読みましょうね」
「・・・嫌」
不思議の国の薔薇水晶はこれにてお開き。
ご存知の不思議の国ち違う?でもこれも本当の御話。
ハートの女王役で水銀燈、チシャ猫役で真紅を考えてましたが薔薇水晶が飽きちゃったから仕方ないね