ローゼンメイデンアラカルト   作:ぴちかー党

43 / 68
グリム童話アリとキリギリス。

アリさん役 水銀燈
キリギリス役 金糸雀 でおおくりします。


水銀燈と金糸雀 原作アリとキリギリス

 第1期アニメローゼンメイデン某日

 真紅達との最終決戦を模索する水銀燈であったが、季節は木枯らし吹きすさぶ10月。ひとまずは、決戦をあきらめ越冬準備に取りかかる。ミーディアムが見つかる前の彼女にとって準備なき越冬は死に直結する。

 

 食料の調達、居住空間の保温性の増強、冬物衣類の調達やることは山ほど残されており、決戦ごとき些細なことにかまっていられる状況ではなかった。

 

「やることが多すぎるわぁ。どうして1期ではメグがいないの、不公平よぉ・・」

 

 そう不満げに呟きながら、町に繰り出す水銀燈。どうやら食料の確保に向かうようである。勿論、移動には最大限の警戒をしなければいけない。

 

 こんな姿を他のドール達、特に真紅、翠星石に目撃されれば一貫の終わりである。きっと翌日にはあらぬ噂をドール達に流されるであろう。

 

「このぐらいあれば十分かしらぁ。思いの他早く終わって良かったわぁ」

「あー水銀燈かしらー♪」

 

やってしまった。

絶対に見つかってはいけないドールに、姿をみられてしまった。すぐにでも逃げ出したい彼女であったが、今さら逃げても仕方がない。

 

意を決して声がした方を振り向く水銀燈。

 

「お久しぶりかしら♪」

「あなただったの。よかったわぁ」

 

「かしら?」

「何でもないわぁ。それより、越冬準備は終わったの?」

「金糸雀もミーディアムが見つかってないんだから、そろそろ始めたほうがいいんじゃなぁい?」

 

 この時期2人はまだミーディアムがいない。彼女たちがメグとミッチャン其々の最高のパートナーに出会うのは、まだまだ先のお話。

 

「えぇ、そんなことしなくちゃいけないのかしら・・・」

「当たり前じゃなぁい!何の準備もなく冬が来たらジャンクになっちゃうわよ」

 

「水銀燈・・・」

「な、なによぉ」

 

 涙目で水銀燈を見つめる金糸雀。

 次に彼女から発せられるであろう台詞は大体予想がついている水銀燈はため息混じりに伝えた。

 

「どうせ、何も準備してないんでしょ?」

「今から準備しても間に合わないから、私の家にきなさぁい」

 

「水銀燈、ありがとうかしら!大好きかしら♪」

「抱きつかないで!暑苦しいからはなれなさぁい!」

 

 こうして、無事水銀燈と共に行動することになった金糸雀。越冬期間中水銀燈の家では毎日楽しそうなバイオリンの演奏会が開かれ。2人は冬の間それはそれは仲良く暮らしましたとさ。

 

めでたしめでたし

 

=====================

おまけ

 

現在日本で流通しているアリとキリギリスには以下の3つの結末があるそうです。

 

 

結末その1

おなかの空いたセミが来て、食べ物をもらいたいと言いました。

 

『あなたは、なぜ夏の間食べ物を集めておかなかったんです?』

『暇がなかったんです。歌ばかり歌っていましたから』

 

と、セミは言いました。すると、アリは笑って言いました。

 

『夏の間歌ったなら、冬の間踊りなさい』

 

 要約すると、夏の間遊んでばかりいて冬になったら食料を貰おうなんておこがましい。そのまま○になさいというこれぞグリム童話な展開が一つ。

 

 

結末2(今回のローゼンの参考展開)

 

さあ、遠慮なく食べてください。元気になって、ことしの夏も楽しい歌を聞かせてもらいたいね・・・・

 

キリギリスは、うれし涙をポロポロこぼしました。

 

 これは、日本でよくみる「THE・めでたしめでたし」の典型型。大体このセリフと共に、アリとキリギリスがニコニコ顔で食事しているシーンの挿し絵がかかれハッピーエンドという、現実では一番あり得ない展開。

 

 いや、生活○護がこれにあてはまるんですかね?

 

 

結末3

アリは笑って言いました。

 

『夏の間歌ったなら、冬の間踊りなさい』

 

すると、セミはこう答えました。

 

『歌うべき歌は、歌いつくした。私の亡骸を食べて、生きのびればいい。』

 

 要約すると

 

自分(セミ)はやりたいことをやりつくし悔いなく死んでいく。

君(アリ)はただ生きるために働きつづけてくれ。

といった負け惜しみとも、男気があるともとれるセミさんの最後の台詞です。

 

 私的にはこの最後の3番目が一番現代を描写しているかんじがしますね。

 

 一つだけ違うとすれば、アリは生きるため、家族を守るため必死に働き続ける一方、遊び呆けたセミは童話の結末とはならずぬくぬくと生きていける事ができるという違いはありますが。

 

 

 最後に、現代版アリとキリギリスが作成されたら結末はこんな感じになりそうですね。

 

 必死にアリが働き続けるなかキリギリスはそのおこぼれを我が物顔でもらい、働くアリサンに向かいバカにした口調でいいました。

 

「どうしてそんなに必死に働いてるの?働かなくても生きていけるのに」

「・・・」

 

 その言葉にアリさんは今にもセミに殴りかかりたい衝動に刈られますが我慢します。どんな言葉を浴びせられても殴ったらまけ。

 

 その瞬間裁判にかけられ今の地位を失ってしまうからです。

 

 地位、名誉、恥、そして護りたい大切なものもないセミさん。現代にとってセミさんはある意味無敵の生物なのかもしれません。




グリム童話の結末は何故日本に来るとオブラートになってしまうのか?
これがわからない

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。