ローゼンメイデンアラカルト   作:ぴちかー党

47 / 68
気が付いたら金糸雀のマスターになっていた第2段

今回は金糸雀と共にひたすら卵焼きを作り続けます
それ以外なにもなしです


金糸雀と卵焼き

「いっただきますかしらー♪」

「はい、召し上がれ」

 

 卵焼きの調達も終わり、少し遅めの朝食である。今日の献立はワカメの味噌汁に、キュウリの浅漬、昨日の残り物の大根の煮付け、そして主役の卵焼きに炊きたて白いご飯。

 全て出来合いの物という点を除けば、ごく一般的な日本の食卓といったところであろう。

 

「マスターマスター!卵焼き行っちゃっていいかしら♪」

「勿論♪パクリと一気にいっちゃうかしら」

 

 満面の笑顔で卵焼きをつつく金糸雀を見ていると自然に此方も笑顔になり、あの独特の口調「かしら」を聞いてしまうと、どんな心のもやもやも吹き飛んでしまう。やはり金糸雀は最高かしら。

 そんなことを考えながら、卵焼きをつつく姿を眺めていると急に表情が曇りだした。

 

「どうかしたの?金糸雀」

「マスター、この卵焼き・・・しょっぱいかしらー!」

「どれどれ」

 

 一口確認してみると確かに砂糖のような甘味はなくどちらかというと醤油と昆布だしのきいたこれぞご飯のお供のお手本のような卵焼きであった。うっかりコンビニで購入した際味付けまでは気にしていなかった。

 金糸雀のミーディアムとしてやってはいけない大失態である。

 

「よし、ちょっと待っててね」

「卵焼きに何をかけているのかしら?」

「これ?砂糖だよ」

 

 取り敢えず、苦肉の作戦として食べかけの卵焼きに砂糖をダイレクトで追加投入してみることにした。黄色い卵焼きに雪のようにこんもり積もった砂糖、いささかかけすぎた様な気もするが、気にしないでおこう。

 

「いっただきますかしらー♪」

「今度はどう?おいしい?」

 

 無言で首を横に降る金糸雀。その表情は心なしか少し涙に濡れているような気がする。やはり少し強引な味変だったようだ。

 試しに一口いただいてみたが、なるほど不味い。しょっぱさと甘さお互いが自分の味を主張しあい一切の協調性がみられない、この味を例えるなら甘いとしょっぱいが混在したカオス地帯(決してあまじょっぱいにはなりえない)であろう。

 

「うー。カナの卵焼き・・・」

「ごめーん、金糸雀。今から作ってみるからちょっとまってて」

「カナもお手伝いするかしらー」

 

 こうして、理想の卵焼きを作るためキッチンに向かう料理経験皆無の二組。

ひとまずは、インターネットで片っ端から卵焼きをレシピを調べてみる。

 

「こんなにあるんだ・・・」

「どれも全部おいしそうかしらー♪」

 

 完全にたかが卵焼きと嘗めていた。調べてみるとでるわでるわ様々な卵焼きレシピの数々。味付け一つとっても、砂糖に醤油にメンツユ中には甘酒を使用した卵焼きという変わりダネも。

 さらには、卵焼きに高菜や明太子、なかには長芋を入れた一手間加えた物まで。

 

「・・・取り敢えず、砂糖と卵しかないからオーソドックスなやつ作ろうか」

「かしらー」

 

携帯を片手に調理開始。早速第一の難関、卵割りである。

 手先が不器用な人なら経験が有るであろう、あの力の加減が解らず思いっきり殻を打ち付け中身がボウルではなく机にぶちまけられる大惨事。さらに、上手く割れたと思っても何故か殻のカスがいくらか入ってしまい、完成後に見事その殻を噛み締めてしまうアンラッキーを。

 

「金糸雀、悪いんだけど卵割ってくれないかな?」

「おまかせかしらー」

 

 卵割りは金糸雀に任せ、後方支援(ボウルに移した中身のかき混ぜ)に徹しよう。ついでにフライパンも油を引いて弱火で加熱完了。

 金糸雀から、ボウルを引き継ぎレッツ菜箸。混ぜるときのコツは泡立たないようにするらしいが知ったことではない。ザ・不器用な自分には到底無理難題である。

 

「それじゃ、投入するよ」

「マスター、最後の難関かしらー」

 

 フライパンに中身を投入し1分弱の加熱いよいよ運命の一瞬、巻き巻きタイムである。

ここを失敗したら今までの苦労が全て水の泡。早速金糸雀に菜箸を引き継ぎバトンタッチ。卵焼きとのラストバトルがスタートされた。

 

 「マスターそのまましっかりフライパンを押さえているかしらー」

 

 菜箸を器用に使い、くるくると卵の層を作っていく金糸雀。やはりバイオリンを演奏しているだけあって器用である。あっという間に、見覚えのあるあの形が形成されていた。

 

「できたかしらー」

「お疲れ様」

 

 早速、フライパンからお皿に移し食卓へ。

 

「いっただきますかしらー」

「いただきます」

 

 出来立てほやほやを、まずは一口。少し焦げたところもあるが砂糖がきいた甘い卵焼き。これである、欲をいえば牛乳を購入しておくべきであった。

 

「卵焼きー♪」

「うん、おいしい」

 

「マスターマスター、今度また一緒に卵焼き作るかしら」

「そうだね、また時間があったらつくろうか」

 

 ゆっくりと流れていく休日の朝のひととき、この幸せな時間が永遠に続きますように。

 

 

 

 




 前回に同様、起承転結が全くない落書きです。

たまにこういう思い付いたことを書き流しにしていくというのもいいものですね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。