水銀燈(アニメ1、2期)は水銀燈(アニメ3期)と水銀燈(オーベルテューレ)に可愛いもの好きであることを知られたくないようです。
朝食もおわり暇潰しに水銀燈とのスキンシップを開始することにしたものの・・・
「スキンシップぅ?いやよぉ!」
水銀燈には、けんもほろろに拒否されてしまった。しかし懲りずにもう一体の水銀燈に再チャレンジする。
「水銀燈、おいでおいで♪」
「?」
こちらに手招きをしてみると、以外とあっさり来てくれた。3体の水銀燈の中ではこの娘が一番人懐っこい性格なのかもしれない。会った当初はそれこそ「借りてきた猫のよう」にびくつき物陰に隠れていた彼女であるが、漸く馴れてきたのか今ではこの通りである。
「ますたー。何かご用でしょうか・・」
「いや、用って訳じゃないんだけど暇だからさ。一緒にテレビでもどうかなって」
了承してくれたのか、そっと自分のとなりに腰を下ろす。取り敢えずこの娘が興味を持ちそうな番組を探そうとチャンネルを順々に切り替えてみるも以外とこの時間帯は子供向けの番組がやっていない。あと1時間早ければ戦隊ものや、ナージャなどもやっていたのだろうがどこもかしこもニュースだらけである。
「んー全然面白そうな番組ないねー」
「ちょっとぉ!そんなに落ち着きなくチャンネル変えないでよぉ」
何時の間にか水銀燈もテレビ鑑賞に混じっていた。
さっきはあんなに拒否していたのに現金なものである
「そういっても、全然面白そうなのないんだよ。それより、いつの間にか混ざってたね?」
「しょうがないじゃない。やることがなくて暇なんだからぁ」
「そう、じゃあ3人でTVでもみようか」
「だからぁ!そんなにさわしなくチャンネル変えないでっていってるじゃなぁい」
「あ、ますたー・・・その番組・・・」
水銀燈がとあるチャンネル、いやCMで声をあげる。
どうやら、遊園地の宣伝番組である。
「へー。クンクンランドだって、今日オープンみたいだよ」
「クンクン・・」
水銀燈は興味津々のようで画面に釘付けのご様子だ。その様子を水銀燈が茶化している。
「ちょっとぉ、こんなのに興味あるなんて、お子様ねぇ」
「じゃあ、水銀燈はお留守番ね。折角だから行こうか水銀燈」
「待ちなさぁい!どうして置いていこうとするのよぉ、誰も行きたくないなんて言ってないでしょお」
そんなやり取りをしていると、外出していた水銀燈も帰ってきたようだ。
「お帰りー。丁度いいところに帰ってきたね」
「気安く話しかけないで」
「ええー」
「ちょっとぉ!その態度はなんのよぉ。これでも一応私達のミーディアムなのよぉ」
妙に「一応」を強調し、助け船を出してくれる水銀燈。なんやかんやこの娘は水銀燈の中で潤滑油の役割担ってくれるので大いに助かる場面が多々ある(あとはもっと素直に成ってくれれば言うことなしである)
何とか、彼女以外の水銀燈とは親しくなれたが、彼女だけは思うように距離が縮まらない。
いくら、打ち解けようとしても気が付くとすぐどこかへ飛んでいってしまう。
とりあえず、自分達はこれから出掛けるが一緒に行くかどうか聞いてみる。まあ、十中八九断られるであろう。
「ということで、これから外出するんだけど一緒に行く?」
「馬鹿じゃないの」
「ですよねー。じゃあ食事はそこにあるから留守番よろsk」
「行くわ」
「え・・・今なんて?」
聞き間違えだろうか?今彼女からとんでもない発言を聞いたような気がする。
「聞き間違えじゃなかったら今行くって・・・」
「そういったの。私も行くわ、2度も同じこと言わせないで!」
いがいな返答であった、まさか彼女も一緒についてきてくれるとは。
天変地異の前触れか?それともこれから大雨が降るのか?
「よかったじゃなあぁい♪彼女の気が変わる前にかけましょうマスター。ほら、あなたも急いで準備なさぁい」
そう急かされ、準備を進める一人と3体。急遽予定を変更し目的地はクンクンランドに向け車を走らせること数十分漸く目的地に到着した。
「ちょっとチケット買ってくるから、他の2人お願いするね。水銀燈」
「わかったわぁ。ちょっと水銀燈!いってるそばから勝手に単独行動しようとしないでよぉ」
勝手に行動しようとする水銀燈、そしてそれ制止する水銀燈。その2人の間でどうしていいかわからず助けを求めるようにこちらを見ている水銀燈。長時間この娘達を放置するのは危険なためさっさと購入を終わらせなければ。
幸運なことに、オープン初日にも関わらず行列はできていなかった。
特に並ぶこともなく窓口まで案内される
「チケットお願いします。大人1枚と・・・小学生3枚で」
正直彼女達の年齢がわからないので、取り敢えず小学生で購入することにする。まあ身長的にはそれくらいであろう。
「お待たせーじゃあ行こうか。」
4人分のチケットを渡し入園しようとするも係員に止められる。
どうやら、3人は園児にみられたようだった。こちらとしては、代金が安くつくのならば好都合素直に指示にしたがう。
「ちょっとぉ!あの係員なんなのよぉ、数百年生きてる私達を園児扱いするなんてぇ」
「本当に失礼だわ。ジャンクにしてあげる!」
何やらきな臭い雰囲気を察知しさっさと2人をつれていきいざ入園。
ひとまずは、目につく乗り物を片っ端からローラー作戦で攻めていくが・・・
「ちょっとぉ、身長制限ってなんなのよぉ!」
「しょうがないよ。もう少し成長したらまたチャレンジしたら?」
「人形が成長するわけないじゃなぁい!」
また、あるところでは
「あれ、水銀燈は?」
「あの、勝手に飛んでいってあっちのほうに・・」
「迷子センターで呼び掛けた方がいいかな?」
「絶対ジャンクにされるからやめた方がいいわよぉ」
そんなこんなで、あっという間に日も暮れ夕方になっていた。
名残惜しいが、閉園時間も間近となり遊園地といえば、恒例のお土産選びで締めくくる。
「あの・・マスターこれを選んでも大丈夫でしょうか?」
申し訳なさそうに水銀燈が指差す先にはかなり大きめのクンクン人形である。
「いいじゃなぁい!私もあれにするわぁ」
「どうせなら別の物にしたら?」
「やあよぉ。もう決めたの」
「はいはい。水銀燈は何にするの?」
二人の水銀燈のおみやが決まったところで、最後の水銀燈にお土産を聞いてみる
「何もいらないわよ」
予想通りの返答が帰ってきたので、取り敢えずこちらで勝手にクンクンペンダント選ぶことにした。
「はい、水銀燈」
「いらないって言ったでしょ」
「そう言わないで、気に入らなかったら捨ててもいいから」
「解ったわよ。しょうがないからもらってあげる」
3人のお土産も購入し家路へ向かう一行。
水銀燈達は遊び疲れてしまったのか1人を除いて眠ってしまったようだ。
しばらく運転を続ける中ふとバックミラーに目を向けると、水銀燈が水銀燈に購入したクンクンぬいぐるみを愛でている姿を目撃してしまった。
「クンクン♪」
「え、水銀燈!」
思わず声に出してしまった。3人の水銀燈の中で一番素っ気ない彼女がみせた思わぬ一面に声を押さえることができなかった。
「あなた、もしかして今の見ていたの!」
「ウウン、ナニモミテナイヨ」
明らかに動揺してしまい、いかにもあからさまな否定になってしまった。
「嘘言わないで!絶対いわないで」
「え、何を・・・」
「他の娘達には絶対言わないで」
「んーどうしよっかなー♪」
水銀燈の焦りぶりに少しいたずら心が出てしまい、構ってみたくなってしまった。
しかしその考えは、呆気なくぶち壊される
「もし話したら・・ジャンクにしてあげるから!!」
「ひぇっ」
その表情は冗談ではないことをありありと物語っていた。
この秘密は墓場まで持っていこう。そう心に刻み楽しい休日は終わりを迎えた。
アニメだとクンクン探偵好きが全く出てこない水銀燈。
是非ともキャラCDのクンクンゲームを映像化してほしいと切に願います