ずっと、部屋で読書しかしない彼女を心配し釣りのお誘い。
いざ海釣りと意気込みヴェルニー公園へ赴くもそこは釣りが禁止されていた。
7月某日AM0430時、夏でもこの時間はまだ外はうす暗い。
必要な道具の詰め込みも大方終了し、車に乗り込む。助手席には既に先客が乗車を準備を終えしっかりとシートベルトを付け、本に視線を落としていた。
「出発するから、読書はその辺で終了。酔っちゃうよ?」
「気にしないでマスター。このくらい平気だから」
蒼星石と契約しミーディアムになってはみたものの、彼女は1日中読書をするだけの毎日でなかなか会話のきっかけが掴めなかった。それに話のネタもなかったと言うのもあるかもしれない。
産まれてこのかた、漫画以外の活字に触れることなど学生時代の教科書以外皆無である。
そんな自分にドエトスフキーやら夏目漱石やらの話題を振られても正直ついていけない。
ということで、共通の話題を作るために至った結論が「釣り」である。
なぜ、釣りにしたのかと問われれば、なんとなく蒼星石に似合いそうなイメージだったから。以外に出てこない。それに釣りなら読書の片手間にできるし、自分も初心者。
ああでもない、こうでもないと言いながら試行錯誤し楽しむには丁度いいだろう。それに釣れればお刺身のおまけ付きである(勿論3枚に下ろすのはスーパーにお任せ。)
「マスター!あの黒い建物はなんだろう?」
車を移動させること数十分。蒼星石は浅草のとあるビルを発見する。
漆黒のビルの屋上に金斗雲の雲のようなオブジェがのった建物、とあるビール会社のあの建物である。
「あれは聖火台と炎をイメージした建物らしいよ。あの黒い建物が聖火台、金色の雲みたいなのが炎をイメージしてるんだつて」
「へー面白い建物だね!ますたー」
「そういえば、あの建物の何処ががビアレストランになってたはずだから今度いこうか。」
「本当に?約束だよ。ますたー!」
まさか蒼星石のこんな無邪気な一面を観れるとは。本当に釣に誘ってみてよかった。その後も蒼星石の質問は続き、自分のテレビ受け売りの紹介がしばらく続いた。
「それじゃあ、あの建物は?」
「学習院大学たしか女子大の筈だから見学は無理かな?文化祭とかだったらはいれるのかも」
「あれは?あれは?」
「ウェアハウス。前はたしかゲームセンターが入ってた筈だけど撤退してからはわかないや。」
そんなこんなで、車を走らせること1時間ちょっと。横須賀ヴェルニー公園に到着。
この公園は自衛隊基地が近くにあり見はらしも抜群。運が良ければ潜水艦や護衛艦更に年に数度開かれる基地解放日は抽選に当選すれば基地内を見学できるおまけ付きと言う何ともお得感満載の公園である。
早速釣りの準備を始めようと思い看板を確認すると、なんと言うことでしょう。
その公園は釣りが禁止されていた(公園や海などで釣りをする場合よく看板等を確認しましょう。必ずその施設付近に禁止するもの、許可するものを表示する看板がたっています)
「まじかー」
「こんなときもあるよ。ますたー、折角だからこの辺の散策に切り替えようよ♪」
ということで、釣りから横須賀散策へと切り替える。この辺でテレビで紹介している有名どころだと「どぶ板通り」や「三笠公園」、あとは「横浜2軍球場」であろうか?
まだ、朝ご飯も食べていないので三崎港まで足を伸ばし海鮮丼というのもアリであろう。
時刻はまだ0600時。まだまだ、1日は始まったばかりである。
折角遠方まで足を伸ばしたのだから十分に満喫しなければ。
今回はここまで。
次回は蒼い娘と一緒に横須賀観光を楽しむ予定です。
タイトルの釣りは果たしていつになるのやら?