水銀燈:(やっぱり佐世保に来たら佐世保バーガーは外せないわよね。でも人気店は混雑してるから、空いているところに行きたいわねぇ・・・)
ひょんなことから佐世保に出向いた彼女。
早速名物佐世保バーガーを食べられるお店を巡るも時刻は丁度お昼時。どこのお店も人・人・人の大盛況ぶりであった。
水銀燈:(まったく!どこのお店も人だらけじゃなぁい!!どこか落ち着いてゆっくり食べられそうないい感じのお店はないのかしら)あらぁ?
そんなとき、ふと佐世保バーガーの登りを発見した彼女。そこはどこからどうみてもちょっと古めの(良い言い方をすれば歴史を感じさせる。悪くいえばぼろい)喫茶店であった。
水銀燈:(見た感じ、お客さんもそんなに居なさそうだし、ここにしましょう。)
マスター:いらっしゃい。空いてる席にどうぞ
水銀燈:(カウンターもあるし、2人席もある。全くお客さんもいないし、いい感じね。)そこの奥の席お借りするわね。
お昼時と言うのにお客さんは、カウンターに座っている年配のご婦人が数人だけ。お世辞にも繁盛しているとは言えない雰囲気だが、人混みが大嫌いな彼女にとっては、まさに大あたりの場所であった。
マスター:はい。お水とメニューおいとくよ。
水銀燈:あら、ありがとう
カウンターのご婦人A:あたしら以外のお客さんなんて3日ぶりじゃない!
カウンターのご婦人B:ゆっくりしていきなよ。どうせ客なんて殆どこないんだから閉店までいても怒こられないよ
カウンターのご婦人C:それをあたしたちがいっちゃダメじゃない。ねぇ?マスター
ガハハ!と愉快そうに笑うマスターとカウンターのご婦人方。恐らくここは、顔馴染みのご近所さん達がリピーターで通うことで成り立っている喫茶店なのだろう。 しかし、そういう店によくある「なんだ?この余所者は?」という排他的な雰囲気は微塵も感じられなかった。
水銀燈:(なかなかいい雰囲気じゃなぁい。暇潰しの本を持ってき忘れたのが悔やまれるわねぇ。まぁそれはそれとして、何を頼もうかしら?)
水銀燈:(佐世保バーガーと珈琲は外せないとして、やっぱりデザートも頼みたいわぁ。となると、このチーズケーキかしら?こっちのモンブランも気になるわねぇ)ねぇ?デザートって何がオススメかしら?
ご婦人A:それなら断然アップルパイがオススメだよ
ご婦人B:そうそう!ここのアップルパイなんだったかしら?リンゴの種類が他のところ違うらしくて全然バカ甘くないのよ
水銀燈:へぇ・・じゃあ佐世保バーガーと珈琲のセットにアップルパイをいただくわぁ。
ご婦人C:アップルパイなら珈琲よりアップルティがオススメだよ!
ご婦人B:佐世保バーガーにアップルティーは合わないでねーの?
ご婦人C:たしかにな!
ご婦人方:がはは!!
水銀燈:(本当に賑やかね)
その後、料理が来るまでの間「最近腰の調子がどうの」、「家の嫁さんがどうの」、「昨日番組がどうの」などという会話を特にやることもなくボンヤリと聞きいている彼女
マスター:おまちどおさま。アップルパイにコーヒー、それに佐世保バーガーね!
水銀燈:(やっぱり大きいわねぇ・・・◯ーガー◯ングのワッパー3倍分位の大きさはあるんじゃないかしらぁ?)
マスター:ナイフとフォークはつけるかい?
水銀燈:遠慮しとくはどうせなら素手で食べたいの。アップルパイ用の小さいフォークだけお願いするわね。
ご婦人A:素手で行くのかい豪快だねぇ
ご婦人B:若いんだから、あれくらいがいいだよぉ
水銀燈:(一応私の方が年上なんだけれどね)
ご婦人C:マスターコーヒーお代わり
水銀燈:あら、お代わりなんてできるの?私も頂こうかしら
マスター:お代わりはやってないけど、どうせ誰も来ないからね好きなだけ飲んでいってよ
水銀燈:いい加減ね・・・それでよくやっていけてるわねぇ
マスター:はっは。毎月利益なんかないよ。でも家賃も人件費もかからないからねー。かかるとしたら、光熱費ぐらいなもんだよ。それに利益目的というより老後の道楽みたいなもんだからねぇ。
ご婦人B:そうそう、老後何もやらずボーッとしてたらすぐボケちゃうからねぇ
ご婦人A:私達みたいなもんにとってもここは、集会場みたいなものだしねぇ
ご婦人C:これからも続けてほしいもんだねぇ
マスター:とりあえず、自分が生きているうちは続けるつもりだよ。まぁいつくたばるか、わからんけどね
ご婦人B:じゃあ、あと30年は安泰だ
マスター:90まで生きろってか!!
ご婦人C:その頃にはあたしたちの方が先にくたばってるかもしれないね!
ご婦人方・マスター:ガハハ!!
水銀灯:(本当に賑やかでいい雰囲気ねぇ・・・また機会があったら小説でも持ち込んで長居させてもらおうかしら?)
またひとつ彼女のお気に入りブックにひとつお店が追加された
実際に佐世保で見つけた穴場なお店。
あれから5年ほどたちましたがまだ、営業しているだろうか?