某月某日桜田家
真紅:私にも作れる手間のかからない料理を教えてちょうだい
のり:いいわよ、でも珍しいわね
真紅:あんなことを言われたら、黙っておけないなのだわ
遡ること1日前。それは、じゅんのとある一言から始まった。
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翠星石:やっぱり、翠星石の作るスコーンは世界一ですぅ
のり:本当おいしわね~、いつもありがとう翠星石ちゃん
翠星石:もっと誉めてもかまわないですぅ
じゅん:うん、おいしい。真紅もこれぐらい料理が出来てくれたら助かるんだけどな
真紅:っつ!これぐらい簡単に作れるのだわ
翠星石:無理です!この前だってクッキー作りで、大惨事になったですぅ
真紅:うっ、まあそういうこともあった気がするのだわ。でもあれは、お菓子だったから失敗したの
じゅん:そうか?多分何を作っても大惨事になると思うけどな
真紅:言ったわね・・・みてなさい。明日の晩御飯は取って置きのおかずをこしらえるのだわ
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真紅:ということで、簡単に作れるレシピを考えて頂戴
のり:ちなみに、真紅ちゃんのいう簡単ってどの程度かしら
真紅:そうね、出るだけ包丁を使わず、かつ調理の手間のない・・・カップラーメンくらい簡単に作れるものがいいのだわ
のり:うーん、中々難しい注文ね~。
真紅:何かあるはずよ
のり:うーん・・・あっ!湯豆腐なんてどうかしら?
真紅:湯豆腐?
のり:そう、お鍋にお豆腐とお湯を入れてあとは煮立てれば完成するの。(本当は昆布で出汁をとった方がいいけれど、そこは食べる時にポン酢や薬味を浸けてもらいましょう)
真紅:ふ~ん、それなら簡単そうね。早速作りましょう
のり:丁度、期限が今日までのお豆腐がこんなにあるの
真紅:これをふたを開けて、鍋にぶちこめばいいのよね
のり:あっ。流石に、にがりは捨てなきゃだめよ
真紅:にがり?
のり:お豆腐を満たしてるお水のことよ。こうやって、包丁で蓋に少し切れ込みを入れて
真紅:面倒ね。そのまま入れて、水を足せばいいじゃない。
のり:うーん・・・にがりを捨てないで作ったことがないから解らないけど、多分美味しく仕上がらないとおもうわ
真紅:分かったのだわ・・・じゃあ今度こそ鍋に豆腐を投入するのだわ
のり:あっ!まって、そのままだと大きすぎるから、一口大に切っていきましょう
真紅:そんなもの、食べる時にじゅん達が自分で調整して掬えばいいのだわ
のり:あ~そのままいれちゃった。うーん、ちょっと雑な気もするけど・・・
真紅:これで調理は終わりでしょう?早速じゅん達を呼んでくるのだわ
のり:あ、真紅ちゃん!流石に湯豆腐だけじゃ足りないからもう1品おかずを・・・いっちゃった
雛苺:ごはんなの~
真紅:さあ、じゅん。見なさい、渾身の力作なのだわ
じゅん:湯豆腐・・うん。まぁ失敗せずに作れてよかったな
真紅:ちょっと!それだけなの
じゅん:流石にこれだけじゃないだろ?判断は別のおかずを食べてみてだな
真紅:何を言ってるの?今日はこれだけよ
じゅん:えっ・・・
真紅:今日のおかずは湯豆腐だけなのだわ
じゅん:うそだろ
雛苺:花丸ハンバーグが食べたいなのー。花丸ハンバーグ!!
真紅:文句を言わずに黙って食べるのだわ!
子供の頃に出されると有りがたくない料理ワースト3に入るお料理。
しかし、不思議と大人になるとそれが有りがたくなってくる。
ただただ、お豆腐を煮て薬味とポン酢で頂く簡単でおいしい不思議な料理