「ほら、ブライアンさん、しっかり力を抜いてください。変な力を加えるから沈むんです。」
「おぼぼぼ…!」
浅瀬で私はブライアンの泳ぎの練習に付き合っていた。私でも充分足が着く位の場所で先ずは浮く練習をしているわけだけど…
「ごほっ!ごほっ!」
目の前では思いっきり海水を飲んでむせ込むブライアンさん。
さっきから何回か浮こうと試みて、ものの見事に全て海底に沈んでいた。
「も、申し訳ございません。リリィ様にご教授頂いているのにこの体たらく…何と情けない…。」
「気にしないで下さい。ゆっくり行きましょう?」
何でもそつなくこなして、
強くて、
ストーカーの彼にこんな弱点があったなんて、何だかちょっと安心してしまった。
「やっぱり溺れるのが怖いのか、身体が曲がってますね。ちょっとお手伝いするので、もう一回やってみましょう。」
「は、はい…。」
もう一度浮いて貰おうとすれば、やはり溺れることを恐れて足が沈みかけている。だから身体が浮かばずに沈んでしまうという悪循環に陥っている。
だから…
「私が浮けるようにお腹の下から持ち上げますから、意識して身体を伸ばしてみて下さい。」
そっと、彼の身体を下から持ち上げる。浮力が働いているので、ブライアンさんの体重でも私の筋力で充分持ち上げられる。
水の中で彼の腹筋に触れた。
ガッチリしたその筋肉は、逞しさと共に頼もしさが感じられるもので、思わずドキドキしてしまう。
さっき(前話)で胸筋に触れたときもそうだけど、普段の彼は厚いローブか、騎士鎧を身に纏っているため、その身体付きが窺い知れなかった。
でもこうして改めて彼の身体を見て、触れることで、胸の奥がドキドキしてきてしまうようになった。
私は…おかしくなってるのかな…。
「リリィ様?」
「……ぇ?あ、何でしょう?」
「いえ、何処か上の空の様に見えましたので…。体調が優れないのでしょうか?」
「そ、そう言うわけじゃないです。私はいつも通り、元気ですよ?」
ちょっと砂浜に座って2人で休憩しているとボーッとしてたみたいで、ブライアンさんに心配かけてしまった。
私が支えることで、ブライアンさんの浮き方はだいぶ自然体になってきていて、この分だと今日中に泳げるくらいになりそうなくらいになってきていた。
やっぱり運動神経が良いのだろう。
私なんか中々泳げるようにならなかったのになぁ…。
「そういえばリリィ様。」
「なんですか?」
「今日は日差しが強うございます。まだリリィ様は日焼け止めを塗っておられない御様子。このままではリリィ様の美しい環のお肌が黒く焼けてしまいます。」
「まぁ…確かに…焼けちゃいますね。」
「ですので、泳ぎの稽古を付けて頂いたお返しに、日焼け止めを私が塗らせて頂きます。」
「えっ?でも…それは…。」
つ、つまり、それって、ブライアンさんが私の背中とか足とかを触るってこと…だよね?
「リリィ様のお肌の健康を思うが故でございます。」
私の返事を聞く前に彼はテキパキとレジャーシートとパラソルを設置して、日焼け止めを塗る準備をしている。…何処から持ってきたんだろう?
「ではリリィ様…俯せになって下さい。」
そういう彼の顔は、まるで今の太陽よりも眩しいくらいの笑顔で満ち溢れていた。
「そ、その…やっぱり自分で…」
「塗らせて…頂けないのでしょうか?」
断ろうとすれば、まるで捨てられた犬のようにシュンとなっていく。
いや、普段から自分を狗と言ってるから、あながち間違ってはいないかな。
でも流石にこんな表情をされては私もキュンと…いや、罪悪感に駆られてしまう。
「じ、じゃあ…お願い、します…。」
こんなにすんなりと意見を変えてお願いする私は、世間から見ればチョロいのかな…。
俯せになった私は、ドキドキが激しくなる。
そして視線から彼が消えたことで、それはより顕著なものへと変わっていく。
「では、失礼しますね?」
頭の後ろの方で粘液がねちゃねちゃと、何やらいやらしい音を立てており、私は思わずツバを飲み込む。
いつ来るのか解らないその感触に身構え、ややあって…
ヌルリ…
腰に、何とも表現しがたいその感触が訪れた。
「ひゃあん!?」
身構えていたとは言え、普段味わうことのない、そして慣れないその感触は、私の身体を跳ね上げさせるには充分だった。
「失礼しましたリリィ様。しかし今しばらくの辛抱でございます。」
彼はそのまま粘液状のそれによるぬめりを、皮膚に馴染ませるように塗り込み、そして滑らせていく。
そして、ぬちゃ…ねちゃ…という音が、波の音が静かにさざめく砂浜にいやらしく響き渡る。
「ん…ぁ……は……ぅ…っ…。」
それに伴い、私も声が…しかも自分で言うのもアレだけど、何かやたら艶めかし気な声が漏れてしまう。ブライアンさんに聞かれないように堪えているのに、私にとっては刺激が強すぎた。
さらには、ブライアンさんの指や掌…それもマメが潰れて新しくできた硬い皮膚が、絶妙な刺激のアクセントと化しているので、背筋に触れる度に少し身体が跳ねてしまう。
正直…予想してたよりも…うぅん、遥か上の刺激力だった。
「ふむ、背中や腰はこんな感じで良いでしょう。」
…へ?背中と腰だけでこんなに?じ、じゃあ…お尻とかに塗られたら…どうなっちゃうんだろう?
そんな好奇心から来る期待と、未知の感覚に対する不安が私の中で葛藤する。
「ちょ……ちょっと…ブライアンさん……やす、ませて……」
何とか捻り出した言葉。息も絶え絶え、流石に連続してされたら、身体が持たない。私の言葉が通じたのか、彼は手を止めてくれた。
「も、申し訳ございません。リリィ様。少々悦に入っておりました。」
「…悦?」
「リリィ様の環のお肌に直に触れられる、それが溜まらなく私にエクスタシーを与えていたのです。やはりリリィ様は、私にとって魅力的過ぎる女性であるという証左でございましょう。」
これは…照れるところなのか怒るところなのか…。その…魅力的って言ってくれるのは…嬉しいんだけど。
「では、そろそろ続きをさせて頂きます。」
そう言うや否や、私の返事を聞く前に彼は、脹ら脛や太股を揉みながら塗っていく。
こちらは先程とは違い、まるで揉みほぐすかのような塗り方になっており、所謂マッサージのようだった。
天かける道を下って宿屋に入り、そのままの足で海に来たのだから、知らず知らずの内に凝っていたようで、心地よい彼のマッサージに身を委ねていた。
「寝てしまわれましたか。」
余程疲れておられたのか、リリィ様は日焼け止めを塗っている途中で寝てしまわれた。
流石にこれ以上刺激して起こしてしまうのも憚られるので、そっとその場で中断しておく。
さざめく波と、さんさんと降り注ぐ太陽。
パラソルの影で、健やかな寝息を立てるリリィ様は、やはり私にとっては天使だった。
「良い夢を、リリィ様。」
普段のように奉仕をさせて頂くのも愉悦だが、こうしてリリィ様と穏やかな時を過ごせるのもまた至福。
緩やかな時の中で、リリィ様が目覚める夕方まで私は唯々彼女の寝顔に魅入っていた。
あんまり書きすぎると、Rー18になりかねない…