「きゃあぁぁぁっ!!!」
城内に響き渡る大声。
この可憐で麗しくて耳に甘く劈く声は…!
「リリィ様!ご無事ですか!?」
「あ…ブライアンさん。」
そこには既に、姉上であるリース様と侍女が既に駆け付けていた。くっ…私が一番ではなかったか…!
「先程のリリィ様の悲鳴は一体…!?」
「その…ね、泥棒が現れたみたいなのよ。」
リリィ様はショックを受けているらしく、代わりにリース様が答える。
「泥棒…!?リリィ様の部屋に…!?」
「えぇ…その…それが仕舞ってある所を見たら…ごっそり減っていたって。」
「ごっそり…!?一体何を…!?」
何を…なにを盗んだというのだ盗っ人め…!
「そ、それが…。」
「それが?」
随分じれったい。
ただでさえリリィ様の私物が盗まれたというのに…!この焦れったさが私のイライラに拍車をかけてくる。
それを察したリース様は、少し戸惑いながら口を開く。
「パ……ィ…です…。」
「…パ…なんですか?」
「だ、だから!パンティーです。」
「パンティー?パンティーとは…女性が下半身に纏う、所謂下着のアレでしょうか?」
「そ、そうです!」
つまりアレだ。リリィ様のパンティーが盗まれた…所謂下着泥棒に遭ったと、そういうことか。
「堪忍袋の緒が切れた。許さんぞ。」
「…ブライアンさんは…盗ってませんよね?」
ボソリと、消え入りそうな声でリリィ様が尋ねる。
「私は盗む等という下劣な行為は致しません。」
「で、ですよね。」
「はい。私はリリィ様のパンティーを愛でることはあっても、持ち出す等という行為は決して…」
次の瞬間、私は窓から投げ飛ばされていた。
翌日から私はリリィ様の部屋が見える離れの塔から見張っていた。
恐らく犯人は、また盗みを働くために夜な夜なやってくるに違いない。
そしてそれは、1週間後に起きた。
「ヌッ!」
闇夜に紛れて人影がリリィ様のお部屋のベランダによじ登っている。
どうやら現れたようだ。
私は塔から飛び降り、城壁を駆けて可及的速やかに駆け付ける。
このままでは、リリィ様のパンティーが盗っ人の毒牙に晒されてしまう。それだけはならない。
しかし、奴は手慣れていたのか、私が駆け付けたときには既に下着を回収して袋に詰めて持ち出そうとしていた。
何という下劣な…!あんな雑に詰めていては、折角のパンティーの形が崩れてしまう…!
「待てィ!」
「ヌッ!?」
私が呼び止めることで、奴は驚いて足を止める。よもや見張りに見つかるとは思わなかったようだ。
「リリィ様の神聖なパンティーを盗もうなどと…言語道断!リリィ様の騎士である私が、貴様を断罪する!」
「何が騎士だ!相手にしてられっか!」
一瞥すると奴は場外を目指して駆け出す。
ここで逃がすわけにはいかん。
私も身体能力を駆使して追い掛ける。
流石にただの盗っ人ではなく、鍛練を積んでいる私が追い掛けても、差が縮まることなく、拮抗していた。
「ブライアンさん!」
私の声がリリィ様の安眠を妨げてしまったらしい。
私の背に愛おしい声が響く。
「御安心くださいリリィ様!私ブライアンが必ずや、奴の首級を差し出します!」
リリィ様の声が追い風となり、私は加速する。
少しずつ、少しずつ距離が縮まっていく。
「だぁぁっ!しつこい!」
追い付かれると察したのか、奴は盗んだ袋から何か取り出し、私の顔目掛けて投げ付けてきた。
「うぶっ!?」
追い付くことに専念していた私は、避けきれずにそれをまともに受けてしまう。
「へへっ!あばよ!」
怯んだ隙に、奴は私との差を広げていく。
何と情けない…!
奴の投げ付けてきたものを握り締め、一体何が私を妨げたのかを見遣る。
それはシルクの肌触り。
それは愛らしいフリルがあしらわれたもの。
それは持ち主を体現するかのような、純白の逆三角。
「こ・れ・は!?」
リリィ様のパンティーだ。
よもや盗んだものを投げ付けて来るとは思わず、驚きと共に、何故か私は好奇心に満たされた。
先程投げ付けられて顔に命中したとき、何故か私は一瞬昂ぶりを感じた。それは血が全身を駆け巡り、何かが解放されると言う感覚。
恐らく私が、リリィ様のパンティーを愛でる根源そのもの。
私を誘って止まない、パンティーのクロッチ部に鼻を押し当てる。
匂いを嗅ぐ。
ぞくぞくと、全身が…細胞一つ一つが震えた。
私はこれを求めていた…!
そのまま私は、
パンティーを、
被る…!
「フォォォォォッ!気分はエクスタシー!!」
思わず雄叫びをあげた。
私という存在が、
まるで違う何かに生まれ変わるようだった。
身体が熱を帯びる。
鼻から肺に入り込む素晴らしき
もはや…この身1つが1つの兵器!
「
邪魔な拘束具となる服を脱ぎ捨て、私は裸体(ブーメランパンツ残し)をさらけ出す。
なんと清々しい…!
この世の真理が見えるようだ…!
今の私ならば…!
「今、成敗する!」
普段の私より遥かに向上した身体能力を駆使して跳躍。遥か上空へと跳ぶ。
「逃がさん!」
私は上体を反らし、足首を掴む。
遙か下方には、私を振り切ったと確信している下着泥棒。私の身体は吸い込まれるように奴へと落ちていく。
「ゴールドパワーボム!!!」
「ぎゃああああっ!!」
股間を奴の後頭部に打ち付けるように体当たり。奴は前のめりに倒れ込み、石畳に顔面をこすりつけながら滑る。私は絶妙にバランスをとりながら、止まるまで股間を押し当てていく。
「成敗っ!」
「するかぁぁっ!!」
まだお仕置きが足りなかったようだ。
顔をボコボコにしながらも元気に起き上がる奴は未だ抵抗の意志があるのか、手投げナイフを構えて立ち上がる。
「畜生……!なんだよさっきの…!頭に生暖かくて柔らかいものが当たってたし…!」
「それは私のおいなりさんだ!」
「なん…だお前!?」
「貴様に名乗る者ではない!犯罪者め!」
「お前の方が見た目犯罪者じゃねーか!」
失礼な…!私はただリリィ様の神聖なパンティーを頭にかぶり、下はブーメランパンツ。それだけなのに、何が犯罪者なのか。盗っ人猛々しいとはこの事だ。
「私は貴様を捕縛する…それだけだ下着泥棒!」
「くそっ!こんな変態に捕まったとあっちゃ、末代までの恥だ!」
奴は決死の抵抗で両手に持ったナイフを投げ付けてくる。
普段の私ならば、避けるだろう。
しかし今の私は全てにおいて普段の私を凌駕している!
「あたっ!」
私のパンツの両脇を伸ばすと、股間が締められて実にエクスタシー!それにより私は更なるパワーアップを果たす。
そしてそれを超高速で振り回し、鋭利なナイフの全てを打ち落とす。
「なん…だと……」
「さぁ!降参して大人しくお縄につけ!下着泥棒の変態め!」
「お前の方が明らかに変態だろーが!」
「あくまでも抵抗するか…!ならば!」
私はパンツの両脇を交差して肩に掛ける。
君達に最新情報を公開しよう。
私は肩にパンツの両脇を掛けることで股間が常時締められて、常に最高のパフォーマンスを発揮することが出来るのである!
そして、股間に隠したロープを取り出し、奴に投げ付ける。
だが、ただ投げ付けるのではない。
「フッ!ハッ!」
流れるように身体が理解している動きで縄の軌道を操る。
「な、なんじゃこりゃぁぁ!」
さすれば瞬く間に亀の甲を模した縛り上げ…所謂亀甲縛りの完成だ。
だがこれではまだお仕置きにならない。
「とう!」
私は飛び上がり、せり出した金具に縄を引っかけて飛び降りる。そうすれば物の見事に下着泥棒は手足を釣り上げるように宙吊りになり、正にシャチホコ状態だ。
そして、私は余った縄を持って、奴の真下に仰向けでスタンバイ。
「必殺…地獄のバンジージャンプ」
私は縄を持つ手を緩める。
そうすると下着泥棒は真下に下降…私の…それもおいなりさん目掛けてやって来る。
「ぎゃああああっ!」
奴は悲鳴をあげる。
だがこれはバンジージャンプ。
私のおいなりさんにダイブする数センチ前の所で縄を引いて止める。
そして再び縄を引っ張り上げて奴をつるし上げ…
「ひぃぃぃぃ!!」
再びバンジー!
そして触れる寸前で止める。
このお仕置きの恐ろしいところ、それは触れるか否かの所を繰り返すことで、恐怖心を煽るのだ。
そして、私の匙加減…もとい、縄加減でいつでもダイブさせられるという、殺生与奪を委ねられた状態だ。
「もう止めてぇぇぇ!!」
私のお仕置きは、夜明けまで続いた。
中々帰ってこないブライアンさん。
お姉様は休んで待っているよう言われて待って、翌朝…。
犯人は縄で捕縛されていた。何だか卑猥な縛り方で宙吊りにされて。
そして、盗まれたものは返ってきたけど、私のお気に入りのパンティーが1枚行方不明になっていた。
ブライアンさんはというと、まさかの不覚をとって気絶していたとか。
一体私のパンティーは何処へ行ったのか…謎のままである。
パンティーパンティー喧しくてすいません…(土下座)
許してください、何でもしますから(何でもするとは言ってない)