サメさんと共に砂浜に弾着した俺は、すぐさま彼の背中から飛び降りて周囲を確認した。
そうして分かった事は──
俺が岩陰に避難する前はビーチで楽しそうに遊んでいた主人公たちやその仲間が、今はもれなく全員地に伏して意識を失っている。
活気のある南国の砂浜だというのに、大勢の人間が倒れたまま静寂に支配されているその異様な光景は、端的に言って不気味であった。
「こ、これは……」
「シャーク……?」
| ふむ、先ほどお前に何かを伝えに来た男──弥生、だったか。ここら一帯で倒れている人間たちは、あの男と同じ状況のようだな。誰もかれも不意に気絶したかのような倒れ方だ。 |
ドスン、と大きな吹き出しが目の前に落ちてきた。その内容を読んで俺も現状を理解する。
弥生くんも突然意識を手放して倒れてしまったし、これが何者かからによる主人公たちへの攻撃ということは明白だ。
むしろ都合よく主人公全員が一堂に会している状況で襲撃を受けたこの状況から察するに、彼らがこの南国島へ訪れるように仕組んだ黒幕のような人物が実は存在していて、きっとこれはそいつの仕業なのだろう。
──ハッ。
「それどころじゃない! トマルは!?」
「シャッ! シャーク!」
| 人間、あそこを見てみろ! |
サメさんに促されて少し離れた場所の海岸に目を向けると、そこでは七メートルほどの大きなロボットが、幼い少女──トマルを全力で追い回している光景が繰り広げられていた。
| 察するに奴が今回の事態を招いた張本人とみて間違いないな。……ん? おい、人間? |
手が震えている。
確かに焦燥感はある。恐怖もないワケじゃない。
今残っている戦力は俺とサメさんだけで、おまけに此処はサメさんが本気になれない地上。あんな武装たっぷりの機械の塊に勝てる保証はどこにもない。
それに加えてあのロボットはサメさん以外の主人公全員を眠らせて、実質的にこちらの陣営に圧勝した存在だ。
俺たちだってあっという間に眠らされてしまうかもしれないし、戦闘できる状況になったとしても、そもそもあのロボットの戦闘能力は未知数。あまりにもこちらが不利だ。
──だが、そんなことは関係ない。
| ……に、人間? カオが怖いぞ? |
愛するウチの子に乱暴する輩は、誰であろうともれなく全員ぶっ殺す。
「いくぞサメさん。あのロボットを叩き潰して粉微塵にする」
| う、うむ。どのみち戦闘は避けられないからな。あの幼い少女も救助しなければならないだろう。 |
| しかしだな、人間? やつに対して好戦的になるのは構わないが、もう少し冷静に──ぁっ、おい! 待つんだ人間ッ!? |
カンカンカンカンッ!!!!!(迫真)
キンキンキンキンキンキンッッ!!!(大迫真)
「はぁ、はぁ……! 激戦だったぜ……っ!」
| あぁ、強敵だった……! |
時間にして約三十分間。
俺たちは全力で七メートルの鋼鉄ロボと戦い続け、何とか辛勝することができたのだった。
サメさんの電撃攻撃や海水のエナジーボールは何故かロボットには全く通じず、物理攻撃に切り替えてタックルしたり、物は試しということで吹き出しを組み合わせて作ったサメさん専用
まさに劇場版クオリティの熱い大決戦だった。主人公がサメさんしかいない中、彼の絶対に折れない精神力と、俺の吹き出しによる創意工夫でもぎ取った二人の勝利だ。
トドメの一撃である超必殺技のサメアタック(吹き出しで武装したサメさんが回転して最強のドリルと化し、それを吹き出しが接着する能力の応用で自分の足に装着させた俺が、空から急降下して敵にドリルキックを浴びせるという、俺とサメさんの絆が生み出した究極の一撃)は、たとえ鋼鉄の身体を持つロボットであっても打ち砕くことはできなかったらしい。
自分一人ではまともに戦うこともできないが、二人の力を合わせればどんな敵にも打ち勝てる。
本来戦えるキャラではない俺があのロボットと拮抗できたのも、間違いなくサメさんの存在があったからだった。
俺たち二人は最高のバディだ──
「よい、しょっと……よし」
「シャッ」
現在は廃材と化したロボットから、パイロットと思わしき男を引きずり出して、ロープで拘束したところである。
戦闘の衝撃で今は気絶しているので、まだ今回の事情や秘密を語らせることは出来ない。
あとで弥生くんや寝子ちゃんが目を覚ましてから、彼らと一緒に改めてこの男を尋問することにしよう。
後ろを向く。そこには地上で活動しすぎた弊害なのか、体が乾いて弱っているサメさんがいた。
「ありがとう、サメさん。本当に助かったよ。あとの事は俺に任せて……いまは海の中で身体を癒してくれ」
「シャーク……シャッ、シャ」
| OK……すまないが、そうさせてもらおう。何かあった時はこのシャークブレスで我を呼ぶといい。 |
そう言うとサメさんは謎の光を発し、俺の右腕にサメの形をしたブレスレットを装着させた。
簡単にこんなことができるなんて、流石は海の守護神だ。
シー・ワズ。本当に頼れる相棒ができた。また夜にでもおいしい生肉をプレゼントしなきゃだな。
「シャーク!」
| ではな。我より彼女を心配してやるといい。 |
高らかに鳴き声をあげたサメさんはザッパーンと海の中に潜っていき、その姿を消した。戦士の休息だ。
そしてサメさんの言う通り、俺は岩陰に隠れている
「トマルっ!」
言いながら岩陰によると、俺が見つけるよりも先に、涙目のトマルが飛び出して俺に抱きついてきた。
「~~っ!!」
「うぉっと。……トマル。あぁ、よかった、怪我はないね……」
小さな体で震えるトマルを抱き留め、彼女を……なによりずっと心配で気が気でなかった自分を安心させる意味も含めて、背中に手を回して強く少女を抱きしめた。
「ごめんねトマル……。一人にしてホントにごめん……」
「……んっ」
トマルは首を横に振る。
YES or NOボタンを介さず、自分の意志を表しながら。
「たっ、……ぅ、たっ、たつっ……」
「トマル?」
何かを喋ろうとしている。しかしうまくいかず、あぅあぅと唸るばかりだ。表情からしてトマルはそれをもどかしく感じている。
彼女の言葉を表す手段として、俺はすぐさまスマホを取り出してトマルに渡した。
するとトマルは素早い速度で文字を打ち、画面を俺に見せてくれた。
【助けてくれた。気にしてない。かなめのこと、大好きだから、ゆるす】
許してくれるのか~~~!! トマルはやさしいなぁぁ~~~~!!!!
「いい子だねトマルは……ぎゅうーってしてヨシヨシするね……かわいい……トマル……ごめんね……すき……」
健気でとっても良い子なトマルによって限界保護者と化した俺は彼女をヨーシヨシしながら、静寂に包まれた常夏の楽園の砂浜で、二人立ち尽くすのだった。
おっすオラ悟空!ひゃ~!投稿期間がずいぶん空いちまってオラおでれぇたゾ!
お気に入り登録が9000名様を突破したことだし、また気合入れていくとすっか!感想返信が滞ってごめんなさい!
次回ドラゴンボール超ッ!『明かされる秘密と荒ぶる25センチ!』
ぜってぇ見てくれよな!