HUGっと!プリキュア ROAD TO MAESTRO 作:シロX
ではスタート
「HUGMANで卵が安くなってる!拓人!!」
「何母さん?またストレスでニキビが出来たの?」
「違うわよ!…それもあるけど。それよりこれを見なさい!」
拓人の目の前に1枚のチラシを突き付ける
「1パック20円の卵、先着20名限定……うん頑張って、これから部屋の掃除をするから」
拓人は勝手に理由を付けて、部屋に篭ろうとするが素直に返してはくれなかった
「行きなさい。どうせ、部屋に篭って勉強なんでしょ?偶には出歩いてみたら?」
「はぁ…分かったよ」
音宮家では、一番の権力者は母親。少し騒がしいく、キャピキャピした普通の主婦なのだが、ああ見えて力は強い。片手でクルミを砕く程の握力を持っているのだから
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開店する前に何とか店の前に着いて待機してると、騒がしい2人組がのしのしと近付いて来るのが見えた
その2人組は、拓人も良く知る人物達だった
「ルールーちゃん、おはよう」
「貴方は確か…」
「見た事はあるけど自己紹介がまだだったね。俺は3年の音宮拓人。宜しくね」
「宜しくお願いします」
1人はルールー。そして、そのルールーの腰にしがみ付いてるもう1人が
「何してるのえみるちゃん?新しい遊びか何かかな?」
「拓人お兄さん!?違うのです!今のわたしは、『キュアえみ〜る』なのです!」
「そ、そうなんだ…」
わざとボケてみたものの、違う返しが来てしまったので困惑してしまう
「俺は卵を買いに来たけど2人は?…ってえみるちゃんは違うよね」
「わたしも任務で卵を買いに来ました」
「一緒だね。あっとそろそろ時間だ。えみるちゃん、ルールーちゃんの邪魔をしたら駄目だよ」
そして開店の時間。扉が開くと同時に大量の人が走り出す
「これだから行きたくなかったんだよね…ってルールーちゃん速!?」
拓人が人混みに揉まれながら苦労してる間、ルールーは涼しい顔をして既に卵をゲットしていた
「任務完了」
「凄いよルールーちゃん、はなちゃん達から聞いてた通りの人」
拓人も早い者勝ちの死闘を潜り抜けて、ようやく卵をゲットした
その頃えみるは
「このキュアえみ〜るがお手伝いします!」
「ありがとね〜」
「…ちょれい!あっ…」
缶詰めの下敷きになっていた
他にも
「あっ、大根忘れてた」
「キュアえみ〜るにお任せ!」
「これはレンコンだね」
「間違えました!」
だったり
「キュアえみ〜るがお持ちします!」
「お気持ちだけで十分よ」
荷物が持てなかったりと、色々と情け無い姿を晒していた
「キュアえみ〜るは、皆さんのお役に立てませんでした…」
「まぁまぁ」
そのせいで完全に凹んでしまった
「そうでしょうか?貴女が声を掛けた人は皆、笑顔になっていました。それが何故なのかは理解出来ませんが…」
「ルールーはこのまま帰るんだよね?」
「はい」
「あの!」
えみるはルールーの前に立ち、もじもじしながら何か言う
「あ、貴女ともっとお話してみたいのです。なので、もし宜しければ…わたしの家に遊びに来ませんか?」
「いいですよ」
「えぇ!?」
意外にもその誘いをルールーは断らなかった。そしてえみるは、自分が誘ったのに何故か驚いている
「拓人お兄さんもどうぞ〜」
「いいの…かな?」
(不可解な点は多い。しかし、あの時のアスパワワ…プリキュアの可能性はゼロでは無い)
ルールーは密かに監視の意も込めて付いて行くのだった
着いた場所は何故か公園
「これが貴女の家ですか?」
「違います!」
「もしかして……何も思いつかなかったよ」
「時々、拓人お兄さんが良く分からないのです」
そしてえみるは、ドーム型の滑り台の方へ足を運んび中で何やらガサゴソしていた
中で着替えをしている様だ
「わたしの秘密をお教えします。キュアえみ〜るは世を忍ぶ仮の姿…実はわたしはプリキュアではないのです!」
「いや『衝撃の事実!』みたいな事を言われても…」
「そうですね…」
「わたしは愛崎えみるといいます」
「わたしはルールー・アムールです。敬称はありません」
「あれ?2人共、まだお互いの名前把握してなかったんだ…」
名前すら把握してなかったのに、あれだけの絡みよう見て最近の子はコミュニケーション能力が凄いなと関心していた
「お願いがあります。わたしの家族には、秘密にしてくれませんか?」
「何故ですか?」
「ヒーローとは正体を隠すものなのです。特に拓人お兄さん!」
ビシッと拓人の方へ指を向けられる
「拓人お兄さんが一番心配なのです!お願いしますよ?」
「は、はいぃ……」
「それに…家族に心配を掛けたく無いので…」
////////
「此処がわたしのお家なのです」
えみるの家は、少し山の中にあり城の様に立派な家なのだ
「お城の様だとよく驚かれますが…」
「行きましょう」
「え?」
ルールーはそそくさ愛崎家にお邪魔する
「お客様をお招きしました!」
大きいのは外観だけでは無く、中も同じくらい広かった。えみるが声を上げると
「ラララ〜!ようこそ〜!」
「わが家へ〜!」
「「どうぞごゆっくり〜!」」
と、えみるのご両親が独特の挨拶でおもてなしをする
「相変わらずえみるのご両親は面白いね」
「変わった両親だとお思いでしょうがあまり…」
「お邪魔致します」
「えっ!ノーリアクション?」
更に奥からもう1人
「お友達かい?兄の『正人』です。宜しく」
兄の正人だった。正人とは拓人と同じクラスメイト
「学校以外で会うのは久し振りかな?拓人」
「そうだね」
「ところでえみる、さっき街でお前を見掛けたのだが…」
「ルールーを案内しますのでこれにてなのです!」
えみるは2人の手を引いて自室へと駆け込んだ
「此処がわたしの部屋なのです」
周りを見渡すと、えみるらしいものが沢山置いてある
「あれは何ですか?」
その中でもルールーが気になったのは
「ピアノとヴァイオリンですけど?」
「何をする物なのですか?」
「えっ?そりゃ楽器なので音楽を奏でるものですが」
「音楽…とは何ですか?」
「「音楽を知らない!?」」
拓人とえみるは2人でヒソヒソと話す
「ルールーちゃんは外国人だけど、音楽を知らないって…」
「でしたら、ここはわたしに任せて下さいなのです。拓人お兄さんに教えてもらった音楽の極意を、ルールーに教えてあげるのです!」
2人はルールーへ向き直る
「ではお教えしましょう。わたしの最大の秘密と共に!」
えみるが指を鳴らすと、一部の家具が床下へと移動して、新たな床が這い出た
「これは?」
「わたしが最も愛する楽器……ギターなのです!!」
えみるはギターを使ってルールーに音楽の極意というものを教える…らしい
「ギターは自由なのです!乗れるのです!カッコイイのです!ギュイーンとソウルがシャウトするのです!!」
荒々しくルールーに説明して、えみるは疲れ果てて肩で息をしていた
「よく分かりません」
しかし、全くルールーは理解していなかった。実際、拓人もよく意味を理解しておらず困惑していた
「えみるちゃん、実際に弾いてみたらどうかな?」
「そうですね、なら」
えみるはまだ未完成な曲だが、それをルールーに聴かせる
それでも、その音は心地良く温かいものを感じた
「何ですか…その、不思議な音と声の組み合わせは?」
「これが音楽…歌なのです!どうですか?」
「苦しいです…」
「「えっ?」」
ルールーは胸を押さえて悶える
「その歌というものが、わたしの中で響き続けていて…もっと聴きたい」
ルールーの顔は紅潮していた。初めて聴く音楽に触れて「もっと聴きたい」と思う程に胸を撃ち抜いたのだ
「しょ、しょうがないですね!特別ですよ!」
ルールーのアンコールに応えて、えみるはもう一度音楽を奏でる
しかしその途中で
「えみる」
「お兄様!?ま、待って下さい!」
えみるは大慌ててギターをとある所に隠した。これで良しと思い正人を部屋の中に入れる
「ギターの音が聴こえなかったかい?」
「き、気のせいなのです!」
だが、お慌ててで隠したせいか、クローゼットに隠していたギターがズリ落ちて見つかってしまう
「「あ゛!」」
「やっぱり…辞めたまえ。女の子がギターなんて。女の子は女の子らしく、ピアノやヴァイオリンの方が似合っていると思う」
「何故ですか?何故ギターは駄目なのですか?」
その言葉に怒ったルールーが文句を言う
「可愛いえみるには似合わないからさ」
「基準が不明瞭です」
「由緒ある愛崎家の令嬢にらギターは不釣り合いだと言っています」
「正人君それは違うよ」
堪らず拓人も前に出る
「はぁ…そもそもギターを勧めたのは拓人と耳にしてる。えみるが懐いてるとはいえ、少し勝手が過ぎるよ」
「俺は只、えみるちゃんに音楽の楽しさを知ってもらいたいだけだよ」
「君はもう音楽を捨てた身。いい加減えみるを弄ばないでくれるかな?落ちたマエストロ…音宮拓人」
(落ちたマエストロ…?)
拓人と正人の睨み合いが続く
「只の助言だ。邪魔したね」
一触即発になる前に、正人の方から部屋を退出してくれた。そして、その場の緊張の空気が無くなり深い溜息をする
「何なのですか?あの人は!」
「正人君とこんな風に衝突するなんて初めてだったよ」
しかし、ルールーの気は収まらなかった
「ギターは自由だと、カッコいいのだと、最も愛するものだと。それをあのように否定するなんて!」
「ありがとうルールー。怒ってくれて」
「怒った?わたしが?」
自分で言えない事を代わりとはいえ、ハッキリと言って怒ってくれたのだ。それが嬉しくてしょうがなかった
「…あれ?ルールーちゃんその腰に付けてるのって」
拓人はルールーが腰にぶら下げてある物に目がいった
「ルールーも楽器を持ってるじゃないですか!ハーモニカを!」
「ハーモニカ…これも楽器なのですか?」
拓人とえみるは肩からこけてしまう
「知らずに持っているのね。ついでだからハーモニカも教えてあげるよ」
拓人は自分の腰に下げてるハーモニカを取り、それを口にする
「こうやって、息を吹き掛けると──」
「──ッ!」
静かな音。でもギターとは違った音を奏で、心を落ち着かせ、癒す音色が溢れ出る
「こんな感じで、吹き掛ける強弱によって音も変わる。面白いでしょ?」
「…」
ルールーも試しに自分ので吹いてみるが
「上手く鳴りません」
「簡単そうに見えて、意外と難しいからね。…それにしても、ルールーちゃんの持ってるハーモニカ俺と同じに見えるけど」
よく見ると、拓人とルールーが持つハーモニカは殆ど同じ造形をしていた。
ルールーのはかなり使い込んだ跡があり古びてはいたが、それでもメンテナンスはしっかりされていた
「ルールーちゃん、そのハーモニカって誰に貰ったの?」
「何故貰ったと?」
「失礼な事言うけど、今日まで楽器が何なのか知らないまま持っていたから、誰かに貰ったと勝手に予想したんだ。差し支えなければ」
「それは──」
何か言い掛けた時物凄い振動がした
外を覗くと街の方でオシマイダーが暴れていた
「あれは…!」
えみるは別の部屋に駆け込み
「えみ〜る!」
その言葉と同時にキュアえみ〜るの格好をしたえみるが外へ出て行った
駆け付けると、エール達がオシマイダーに苦戦を強いられていた
えみるも行こうと決心する時
「危険です」
ルールーに呼び止められた
「何故来たのですか?」
「キュアえみ〜るは人々の平和を…」
「貴女は本物のプリキュアでは無いでしょう?」
どんなに見た目をそれらしくしても、今のえみるは只の一般人。そんな厳しい現実を突き付けられるが、えみる自身はそう思ってはいなかった
「確かにわたしは偽物なのです。でも…でも!偽物でも、街の危機を放っては置けないのです!」
「何故そこまで…」
「あれが愛崎えみるって子なの」
拓人はルールーにそう伝える。彼女がどんな子なのかを
「あっ!」
拓人はオシマイダーの近くに泣く小さな男の子を発見した
それはえみるも気付いていた
「オシマイ…」
えみるは逃げるどころか、その男の子を助けるべく走った
「「えみる!」」
「ダーー!」
巻き起こす音波がえみると男の子を吹き飛ばした
「フラワー・シュート!」
しかし、エールが横槍で技を放ちオシマイダーを倒す
吹き飛んだえみるは、エトワールのハート・スターがクッションになり傷も無く無事だった
「見てたよ」
「ありがとう」
「貴女もヒーローだね!」
「えみるちゃん大丈夫!?」
「後は任せて!」
エール達の後ろ姿を見てえみるは感極まっていた
「えみるちゃん?」
「わたしも…ヒーロー!」
「「「ミライクリスタル!」」」
「エールタクト!」
「アンジュハープ!」
「エトワールフルート!」
「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」
「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」
「ヤメサセテモライマ〜ス」
「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」
////////
「わたし…なんて危険な事を…」
えみるは咄嗟といえど、改めて自分が如何に危険な事をしたのか身の程を知った
「わたしも同じ事をしました。わたしは何故、あんな事を…」
そう呟くルールーにえみるは、幸せそうな笑顔を向けて手を握る
「やはり、わたしと貴女は通じ合っているのです!運命なのです!ルールー、わたしと一緒にプリキュアになりましょう!」
えみるは、ルールーと何かシンパシーを感じてプリキュアになろうと言い出す
「わたしがプリキュア…プリ…」
「ルールーちゃんがプリキュア…」
拓人とルールーは想像してみる。2人がプリキュアになる姿を
「プ…ッ」
「お断りします」
2人が想像して、拓人は何か面白そうに笑い、ルールーは機嫌が悪そうに断る
「貴女は今日から、キュアらりるれルールーなのです!」
「お断りします」
話を聞かないえみるに、少々苛ついたのか目元が一瞬ヒクついた
「お〜い!えみる〜!」
そこへはな達が拓人達を見つけて合流した
「ルールーお使いは?」
「問題ありません」
「卵は家で預かっているのです」
「えみるの家に?2人はどういう関係なの?」
いつの間にか仲良くなっている2人を見て気になっていた
「え?そ、それは!お、お、お友達なのです!」
「他人です」
「えっ!?」
「もう友達ですよね?」
「他人です」
「友──」
「他人です」
そんなやり取りが暫く続いたのであった
今回は真面目に書きましたよ!色々と伏線も貼りましたし!
感の良い人は気付いてしまうけど!
ここまでの拝読ありがとうございました