HUGっと!プリキュア ROAD TO MAESTRO 作:シロX
「ここを止めてっと…!」
「ありがとうございます」
はな達は今、いつも身に付けているブレスレットの修理をしていた
「拓人さんもどうですか?一緒にお揃い!」
「遠慮しておくよ。それは君達5人の友情の証みたいな物だから」
拓人は窓の外を眺めて深呼吸する
「うん、今日も平和だ。今日は一体どんな輝く未来に出会うかな?」
そう口した時、ビューティーハリーの近くで大きな物音がした
皆んな慌てて外へ出ると、そこには巨大なパワードスーツを装着したトラウムが佇んでいた
「ドクター・トラウム」
「今日はこのパワードスーツを着て、私自身が相手をするよ〜!」
「姿が変わっても俺達は負けない!皆んな!」
「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」
「「「輝く未来を抱きしめて!」」」
「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」
「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」
「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」
「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」
「キュアマシェリ!」
「キュアアムール!」
「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」
「「「ハァァ!!」」」
エール、アンジュ、エトワールが同時に仕掛けたが、体制を崩した程度で大したダメージが入らなかった
「痛った〜い!」
「ふふん、結構頑丈に作ったからね。そう簡単に壊れはしないよ」
「デュアルクラリネット!ハァ!」
背後から近付き、デュアルクラリネットで突き刺すが簡単に槍先が折れてしまった
「硬い!」
「今度はこっちから行くよ!」
パワードスーツの銃口が向けられ乱射する
「ハート・フェザー!」
「プリズムシンバル!」
アンジュがエール、拓人はエトワールの盾になったが糸も容易く破られる
「キャア!」
「うぐっ!」
「がはははのは〜!」
「マシェリ!」
「はい!」
ビームの嵐の中を、マシェリとアムールが掻い潜りながら懐へ潜り込んだ
「「やあぁ!!」」
2人でスーツの銃口を跳ね上げて攻撃の嵐を止めた
「拓人さん!」
エールからミライクリスタル・ローズを受け取る
「同時に行くよ!」
エール達もメロディソードを構える
「チューバズーカ!──フェアリーズ・オラトリオ!」
「フラワーシュート!」
「フェザーブラスト!」
「スタースラッシュ!」
4人の同時攻撃が直撃し、流石のパワードスーツに亀裂が走る
「今だよ皆んな!」
「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」
「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」
「スーツが無ければ退職していた!!」
浄化までとはいかなかったが、パワードスーツは完全にボロボロと化した
「スーツの機動力−99%。戦闘不能。もうやめましょうドクタートラウム」
「とんだ計算ミスだなルールー」
トラウムは自ら銃口を向けて、スーツに放った
「リバース・ザ・タイム!」
特殊なビームを浴びたパワードスーツは、瞬く間に元の形へと戻っていく
「どんなに壊れようと完全回復。時を操るこの装置があれば無敵!!」
トラウムのパワードスーツを、少し前の時間まで戻して完全復活を遂げた
「時間を操るなんて…」
「このアイディアは拓人、君から頂いたものだよ。君が使う時を戻す、止める能力をこのスーツに搭載したんだよ」
「ですが、強力な力を使うにはそれ相応のエネルギーが必要とします。何度でも壊せば──」
「ルールー甘いな。このスーツの動力源はトゲパワワ。そしてそのトゲパワワは、周囲のアスパワワを変化させて補給してるんだよ」
つまり、トゲパワワを補充し続ければ理論上、トラウムのパワードスーツを壊せない
そしてそのトゲパワワは半永久機関としての役割りをしている
「よって、私を倒す事は不可能!」
スーツの足裏から火が噴く。ブーストでスピードに乗ったトラウムは、そのまま突撃して来る
「「キャア!!」」
「アンジュ!エトワール!」
攻撃を食らったアンジュとエトワールは、倒れ変身まで解けてしまった
「止めるのです…キャア!」
「マシェリ!」
トラウムは一直線に向かって拓人へと突き進む
「クロノス──」
「拓人!」
「アムール!?」
拓人が迎え撃とうとする時、アムールが拓人の前に出る
だがそれが隙を作る原因となり、突撃するパワードスーツの餌食となってしまった
地面を抉りながら引き倒した2人は、気絶してお互いに抱きしめる様に倒れていた
「さてと、今回用事があるのは拓人だけなの」
トラウムは、器用にアムールを引き剥がして拓人を捕らえた
「んじゃね〜!」
「待って!」
連れ去って行くトラウムをエールが、ジャンプして掴もうとするも手が届かず逃してしまった
「拓人さん…あ、そうだ皆んな!」
////////
「さ〜て」
拓人を掴んだ手は固定しままで、トラウムは一時的にスーツから外へ出た
「くぅ…ぅ…」
「おや、もう気付いたのかね?流石若者だね〜羨ましいよ」
「俺を連れ去って何が目的何ですか…?」
トラウムは軽い足取りで拓人へと近付き、シルクハットを深く被り直す
「むかしむかしある所に、女の子のアンドロイドと一人の青年が居ました」
突然の昔話を聞かされる羽目に拓人は唖然としてしまう
「そのアンドロイドはどうしようもなく手に負えない子だったが、その青年がアンドロイドの女の子と近付きたくて音楽を聴かせることにしたのです。音楽を聴いたアンドロイドは、なんとその青年に心を許して始めるのです」
「そのアンドロイドと青年ってもしかして…」
「しかし、その青年は以前から音楽に悩まされて、内に秘めていたものが抑え切れず自ら命を絶ったのです。取り残されたアンドロイドは、只々その様子を見る事しか叶わなかったのでした。お終い」
「意外と短いお話でしたね…」
「細かく話してると時間掛かっちゃうからね〜。そこは割愛させて貰ったよ。そのお陰ほら、話の途中で邪魔者が乱入する事態は無くなった」
トラウムは横目で見ると、追い付いて来たエール達の姿があった
「皆んな…」
「ドクタートラウム!拓人を離して下さい!!」
「それを素直に聞く悪党が何処にいるのかな?」
「でしたら!」
アムール一人が飛び出して、拓人を拘束する腕を蹴り飛ばして解放させた
「拓人!」
アムールは拓人を抱っこして着地した
「あ、ありがとう」
トラウムは急いでパワードスーツを装着して戦闘体勢へと変える
「随分としつこいね!」
時間を戻す光線を今度はエール達へと向けて発射するが、拓人が庇う様にしてクロノスタクトで受け止めた
「くぅ…時間を戻せたらどんなにいいことかよく分かるよ。失敗しても、後悔してもやり直せるから。でも!それから逃げたら意味が無い!それを受け止めて、より良い明日を作る!輝く未来を!!」
クロノスタクトから溢れ出るアスパワワで、トラウムの光線を打ち消した
そして拓人はエール達へと振り返る
「俺は想いを言う事しか出来ない。だから、俺の分まで皆んなに託す!」
クロノスタクトを掲げると、アスパワワは皆んなに降り注ぐ
そして、エール達皆んなの右手首にあるブレスレットが変化をもたらした
それはミライクリスタルと同形状のブレスレット「プリキュア ミライブレス」へとなった
「押し付ける様になったけど任せても良いかな?」
「はい、任せて下さい!皆んな!」
「「「「「ハァッ!」」」」」
エール達ミライブレスを前へ突き出すと、アスパワワが放出され銃口を破壊した
これでもう時間を巻き戻す事は出来なくなった
「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」
「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」
「「「「「プリキュア !チアフルスタイル!」」」」」
「「「「「メモリアルパワー!フルチャージ!」」」」」
「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」
今度こそパワードスーツは完全に破壊に成功した
そして
「此処は…?」
プリキュア の浄化技を受けたトラウムは、ある記憶の映像が目の前に映し出される
「これは過ぎ去った時間」
映像に映るのはトラウム自身、そして今とは少し違うルールー、そしてルールーの隣で手を繋ぐ青年の姿が
「戻りたいものだ…」
「時は戻りません」
トラウムの後ろにルールーが立っていた
「ですが、明日は来ます」
「そうだな。すまなかった…」
「いつかまた、お会いしましょう」
////////
「大変だったね」
「全くです。拓人が連れ去られた時はどうなるかと思いました」
「あはは、ごめんなさい…」
「ですが、無事で良かったです」
拓人に向けるルールーの笑顔は、一際輝いて見えた
ここまでの拝読ありがとうございました