HUGっと!プリキュア ROAD TO MAESTRO 作:シロX
ではスタート
「俺らを未来に飛ばしたんはアンタか?」
「テストは合格だ。戻って来られたなら話そうと思っていた。未来で起こった悲劇の全てを」
トラウムは懐から小さな機械を取り出した
「何それ可愛い!」
「もしかしてプロジェクターですか?」
「正解だよ拓人!流石マエストロ!」
「久し振りに聞いたよ…」
「では始めよう!3分で分かる未来劇場!」
掻い摘んで話の内容としては、未来にも4人のプリキュア が存在してクライアス社と対抗していた
同じプリキュア とはいえ、未来ではクライアス社が劣勢になる程強力な力で奮闘していた
そして、クライアス社の社長であるジョージ・クライはあるプリキュア に着目する
それは、未来を育むマザーの力を宿す少女「キュアトゥモロー」
キュアトゥモローを消し去る事が出来れば、時間を止める事は叶うこと
「しかしまた、番狂わせが起きる」
「こっからは俺が話す!あれは、ハリハリ地区が滅びてすぐの事やった」
話の続きとしてハリーが代わりに語る
ハリハリ地区が滅んだ後、ハリーは未来に絶望して暴走して暴れていた
その後クライアス社に拘束されたが、凶悪となってしまったハリーの前にキュアトゥモローが現れた
キュアトゥモローの力のお陰で、ハリーは元の姿に戻る事が出来た
けれども、全てが思い通りに行くとは限らない。
未来のプリキュア 達は敗北し、キュアトゥモローは籠の中のお姫様もなってしまう
そんなキュアトゥモローに手を差し伸べたのがハリーだった。
トゥモローの言葉を信じて一緒に脱走を図ったのだ
脱走の最中追い込まれる事となり、最後の力を振り絞ってトゥモローとハリーは過去の世界。つまりは、現代に生きるはぐくみ市へとタイムトラベルを果たした
その時代のプリキュア に役目を託す為に
しかしタイムトラベルには成功したものの、キュアトゥモローはその影響で赤ん坊へと幼児化してしまった
その赤ん坊というのが
「「「「「えぇ〜!?」」」」」
「という事は、はぐたんがキュアトゥモローなの!?」
それからの出来事は拓人、はな達が知っての通りだ
「すまんかった。マザーが力を取り戻すまで言わんように決めとったんや…」
「いいよ。ハリーは、はぐたんを守るって約束したんだもんね」
「これからの戦いは少々手厳しくなるかも知れない。この子にマザーの力があると分かった以上、クライアス社は容赦無く襲って来るだろうね」
「はぐたんは絶対守る。はぐたんはわたし達の未来だから!」
改めて一致団結してクライアス社に臨もうと決意する
これで話はひと段落ついたのだが、ルールーはまだ少し納得していなかった
「質問があります。何故、今になってその話をわたし達に伝えに来たのですか?」
「マザーの力を目覚めさせた君達なら、クライを止められると思ったんだ」
「分からない。貴方も時を止めたいと願っていたのでしょう?」
「あぁ…」
「なのに何故…何故です?」
「人間とは、そういう矛盾した生き物なんだよ」
「矛盾?わたしの父と名乗るのもその矛盾からですか?」
ルールーの気持ちはこの場に居る全員理解してる
だが逆もまた然り
トラウムの言う矛盾がルールーには分からず、只々モヤモヤする気持ちが溢れるばかり
「何故今更…貴方はわたしを不要物とみなし捨てたと判断します!理解不能…!」
「待ってルールーちゃん!」
ルールーは外へと逃げ出してしまった
拓人も急いで後を追って行く
////////
「ッ捕まえた!」
走るルールーをやっとの思いで拓人は捕まえた
「ハァ…ハァ…速いよルールーちゃん…ふぅ」
「拓人…ごめんなさい。ですが、あのままトラウムと向き合ってるとシステムエラーを起こしそうで…」
「前から言ってるでしょう?それはシステムじゃなくて心だって」
「わたしはずっと分からなかった。開発者が何故、わたしに高性能のAIを付けたのか?楽しい事があったら笑ったり、泣いたり、愛おしい気持ち。アンドロイドとして自分には不要なものだと。この痛みも心があるから」
「…アムールの意味、『愛』ってしってるでしょう?親が適当に子供の名前を決めない」
話の途中、大きな振動が起きる。
それは、遠くからメカに乗ってルールーの事を探してるトラウムからだった
「何やってるんですか…」
「そうだね。でもそれは……いやそれよりも、アムールの本当の意味聞いて来るといいよ」
「はい…」
大きな木の下。そこでルールーとトラウムが話す事になったのだが、そこにはもう一人の姿がある
「あの〜俺って何で此処に居るんでしょうか?」
何故か拓人まで同席していた。
それもトラウムが呼んだのだ
「…そう矛盾。君を造ったのもそういう矛盾した気持ちの中だった。君は中々やんちゃなアンドロイドでね──」
トラウムから昔のルールーの話を聞かされる
掃除と言って部屋の中を破壊したり、怒ってるトラウムを宥めようとして投げ飛ばしたりと
覚えてないとはいえ、ルールーは恥ずかしさのあまり赤面する
「身体は今のままだが、中身はまるで子供だった。何も知らない──」
聞かされる内容にもまだ続きがある
トラウムはそれでも人と話すのに、最低限のコミニケーション能力を付けて貰おうと努力はした
したのだが、思う様にルールーが育ってはくれなかった
故に失敗と言う程
「そして、君のデータを全て消去し君の元から離れた」
「わたしが失敗作だからですね…」
「違う、君が失敗作なのではない。真っ直ぐ君と向き合えなかった私の失敗。これでは君に心を芽生えさせれないと悟ったからなんだ」
「心を…」
「プリキュア に最初は嫉妬したよ。何故、天才の私には出来なくて彼女達に出来たのか…が、今なら分かる」
自分とプリキュア との違い。それは至極当たり前の事だった
「彼女達とって君は、ただ一人の"ルールー・アムール"だったんだね」
トラウムは天を見上げて更に付け加える
「そして彼も……未来の音宮拓人もその一人だった」
「未来の俺?」
「そう。データを消去する前、実は未来の拓人とルールーは出会っていたんだよ」
「そうなのですか!?」
その事に食い付いたのは拓人ではなくルールーだった
「彼の評判は知っていてね。試しに音楽を聴かせるだけでもとお願いしたんだよ」
トラウムは何かきっかけがあれば変われる。それだけは分かっていた
「最初こそは全く持って興味など微塵も持たなかった」
「そうなんですね…」
「だけどね、その度に彼は足を運んでは曲を弾いてくれるんだよ。毎日毎日ハーモニカで欠かさず」
「…もしかして、あの日の会話の内容って!」
トラウムと初めて出会した日、トラウムは言っていた。「毎日聴いていた」と
それは今の拓人ではなく、未来の拓人に向けた言葉だったのだ
「少しずつだがルールーも変わっていた。わざわざ音楽に関する知識を検索したりね」
「では何故なのですか?」
「何かね?」
「未来の拓人は自殺したと聞きました。そこまでして、何故未来の拓人はその様な行動をしたのか疑問です」
「確かに。そこは俺も同じです」
トラウムは少々言いにくそうな表情をしたが、すぐに話してくれた
「彼もまた私と同じく、ルールーと最後まで向き合えなかったんだ」
「「え?」」
「興味は持ってくれた。しかしそこから先へは進まなかったんだ。彼は言っていたよ『彼女の笑顔が見たい』と。必死になって工夫をこなしたが結局…」
「だけどそれで未来の俺が自殺だなんて…」
「彼には幼い頃から『落ちたマエストロ』なんて言われてたからね。その汚名を背負いながら生きていたんだ。恐らくそれを気にして、自分自身を追い詰めて、こんな自分ではルールーを笑顔に出来ないと判断しての事だろう」
ルールーは徐に腰に下げていた、古びたハーモニカを見つめる
「そのハーモニカはね、未来の拓人の物だったんだよ」
「これがですが!?」
「だから同じだったのか!」
「自殺の理由の手紙と共にハーモニカが添えられてたらしい」
「らしいって?」
「いくら待っても来ない君をルールーが迎えに行ったのだよ。そして部屋を開けると。ルールーが手紙とハーモニカを見つけ、そしてその直後に奏音と鉢合わせしたみたい」
「それ、奏音には説明してないんですか?」
「ああ。それに言っても信じてくれないだろう」
トラウムは優しく2人を包み込む
「本当は2人共幸せになって欲しかった。ルールー、手紙にはハーモニカをルールーに譲る事について記されていた。そしてその内容には君に対する愛が込められていた」
「それは一体?」
「彼は君の事を愛していた。愛する君にへと、彼が贈った最初にして最後の贈り物」
謂わばルールーの持つハーモニカは、未来の拓人の形見であり、ルールーに対する愛の形
『──トラウムさん俺、ルールーちゃんの事好きみたいなんです』
『──ほほう!』
『──変ですかね?恋した相手がアンドロイドだなんて』
『──いやいや、充分素晴らしいと思うよ』
「〜〜ッ///」
それを聞いたルールーは益々顔を赤くして、横目で拓人を見つめる
「こうやって巡り会えたのも運命なのかな。だとしたら私は嬉しいよ」
丁度話の区切りがついたところで、えみるが走って来るのが見えた
「ルールー!わたしが来たからにはもう安心なのです!言葉で分かり合えなくてもギターがあれば──」
「それならもう済んだところだけど」
「30秒程来るのが遅かったです」
「い、一生の不覚なのです…」
「フフ、フフフッ!」
「え、えへへ!」
ルールーが笑うと、釣られてえみるにも笑いが伝染した
そう和やかになっていたのも束の間
「「「ッ!?」」」
大きな振動を感じたのだ。振り返れば猛オシマイダーが暴れていた
「えみる!ルールー!拓人さん!」
はな達も聞きつけて合流し変身する
「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」
「「「輝く未来を抱きしめて!」」」
「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」
「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」
「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」
「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」
「キュアマシェリ!」
「キュアアムール!」
「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」
バルブアトマイザーの猛オシマイダーは、街へと侵攻していた
「やめなさい!!」
「来たわねプリキュア 。あと…」
ジェロスも何やら姿を変えて、はぐたんを狙おうとしていた
「はぐたんの事はわたし達が守る!」
エール達の腕にミライブレスを装着し、アスパワワを纏った攻撃で仕掛ける
「ハァッ!」
「「やぁッ!!」」
エールが下から打ち上げ、アンジュとエトワールで両足をスライディングで転倒させる
「俺達も行くよ!」
「「はい!」」
拓人もクロノスタクトを構えて、3人で連携を駆使して猛オシマイダーとの距離を縮めようとする
「あと少し…!」
「ッ!避けて!」
猛オシマイダーが香水を噴射するのを見て、拓人は避ける様に指示を出した
指示を出した拓人は勿論マシェリは避けたが、無理に前へ出ようとしてたアムールだけが避け遅れてしまい、まともに香水を吸い込んでしまう
「身体が痺れる…!」
猛オシマイダーは大量のバルブと増やしては、アムールを取り囲んだ
「「アムール!」」
「猛オシマイダー!!」
しかしその間に、メカに乗ったトラウムが割って入りアムールを庇う
「うぐぐぅ…!」
「トラウム!!」
「ドクタートラウム!なんてクレイジーな事をしてるの!?」
「娘を守って何が悪い!?」
しかし、いくらトラウム特製のメカであっても猛オシマイダー相手では力負けする
「拓人!」
トラウムの危機を感じて、アムールは拓人にミライクリスタル・バイオレットを投げ渡す
「ミライクリスタルセット!──これならどう?」
クロノスタクトで猛オシマイダーを少し前まで時間を戻した
「オシ??」
これでトラウムは猛オシマイダーの攻撃から解放され、アムールが前に出る
「アムールロックンロール!」
至近距離からの技を貰い、猛オシマイダーは大きく吹っ飛んだ
「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」
「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」
「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」
「ワン・フォー・オール!」
「オール・フォー・ワン!」
「ウィーアー!」
「プリーキュアー!」
「明日にエールを!」
「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」
「モウヤメサセテモライマ〜ス」
////////
「それでは私はこれで…」
「ええんか?」
「伝えたい事は伝えたからね」
「…待って!」
少し寂しい背中で帰るトラウムをルールーが引き止めた
「貴方の全てを受け入れた訳じゃない。だけど──今度、一緒にご飯を食べましょう!きっとそうすれば、またいつか」
その言葉を聞いてトラウムは和かになる
「ルールーちゃんありがとう!やっぱり"お父さん"って呼んでも──」
「お断りします」
「お父さんと──」
「お断りします」
そんなやり取りをするのを、拓人達は微笑みながら見ていた
「なんとか一件落着だね。それに、クライアス社をなんとかする以外にも目的が出来たね」
「そうですね。はぐたんを未来に帰してあげなきゃ」
「未来、そうか。はぐたん、未来に帰っちゃうのか…」
はぐたんを未来に帰すと言う事はハリーも帰ることになる。
それをほまれは少し心配する
しかし、他にもはぐたんとハリー以外にも帰らなきゃ行けない人をえみるは気付いた
「あ゛ーッ!!」
「どうしたのえみるちゃん?」
「はぐたんが未来に帰っちゃうって事はルールーも!?」
ルールーも元を辿れば未来から来た一人の内
「ルールーが…ルールーが未来へ────にょえぇぇェェェ!!!」
最高の親友との別れを知ってしまったえみるは────
次回はえみる回。どんな風に書こうか…
ここまでの拝読ありがとうございました