書いている内容、滅茶苦茶だと思う。
「しばらく此処に居るか」
陽壱は川の土手に来ている。川の土手に来るのは障害物がなく太陽の光を浴び、風が吹き抜けてくるので気持ちよく寝れるのでたまにこの場所に来ている。
今日はいつもとは違う…たまたまいつも来ている土手の近くにある茶屋で人と待ち合わせをしている。
待ち合わせの時間より早く来てしまったのでいつもの土手に来て、草が生えている坂に寝っ転がりながら珠世と出会ってから昨日まで事について考えてることにした。
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陽壱は珠世と出会うことが出来た。出会ったこともそうだが、戦国時代からこの時代まで無事で生きててくれた方がより嬉しかった。
珠世と初めて出会ったのは自分が縁壱だった頃、無惨が連れていた鬼の女が珠世だった。
縁壱が無惨を追い詰めた末に逃げ出すというあまりに生き汚い姿を晒した無惨に激昂した珠世は、まだ無惨の支配下にあったにもかかわらず無惨の名前を口に出し罵った。しかし無惨は縁壱に絶命寸前まで追い詰められたせいで弱体化していたため、珠世は一時的に呪いから解放され死なずに済んだ。
無惨を倒すため手助けを頼んで、女の鬼は始めは戸惑っていたが承知してくれた。その時、名前を教え合った。
そしてこの時代で珠世と出会った陽壱は話をして、自分は縁壱の生まれ変わりだと告げた時はあの時のように目を輝かせていた。
戦国時代はしくじったが、この時代で今度こそ無惨を消滅させる為、珠世に協力して欲しいと陽壱は頼んだ。
テンションが高いまま珠世は喜んで陽壱に協力しますと答えた。珠世からも陽壱に依頼したい事があったので陽壱は協力すると答えた。
珠世はある薬を作ろうとしていた…鬼を人に戻す薬、老化を促す薬と分裂阻害の薬だ。その薬を作ろうにも調べなきゃならない物があると珠世から言われて、陽壱にはそれの回収を頼んだ。
調べる物…それは沢山の鬼の血。
それも無惨に近い鬼の血…十二鬼月の血が必要だと言われたときは、流石の陽壱も鬼殺隊に入ってすぐに珠世に会っておくべきだと若干後悔した。それは数日前に十二鬼月、下弦ノ参を斬ったばっかりだったからだ。無いのは仕方が無いので別の十二鬼月の血を回収する事でその事は忘れることにした。
とりあえず、陽壱は珠世と協力関係になった事に安堵した。
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それから数日が経った頃。
陽壱が鬼殺隊に入って半年が経って、色々な課題が出てきたので考えようとしていたら、とある所に呼び出された。
「――やぁ、初めまして九条陽壱。私は産屋敷耀哉、今日はよく来てくれたね」
にこやかに微笑みながら待っていた男性が正座して上座に座っていて、陽壱はその人の正面に正座した。その相手は、陽壱が所属している鬼殺隊のトップ、お館様だ。詰まるところ、お館様が住まわれる屋敷、鬼殺隊本拠地に来ていた。
今日まで、突然お館様に呼び出される事は今までなかった。
自分が呼ばれる理由が見つか…いや……あ、あった。
記憶を辿ると「俺、アイツを見かけた事を報告してないな…」と陽壱は思った
それは珠世と会った日、東京、浅草の夜に無惨を見かけてその地に奴が潜んでいる事を確認した。その事を報告していない。
そんな事をしていたら呼び出されてもおかしくはないか、色々と覚悟を決めた。
「それで、自分にどのようなご用でしょうか?」
「今日、呼んだのは他でもない。陽壱には柱の一人として名を連ねて欲しいと思ってね」
「…俺を柱にですか…」
お館様から柱になって欲しいと告げられたが、正直柱になる理由が今の所…というよりもこの先もなるつもりもないのが本音だ。
柱になるつもりもないから、陽壱は階級にまったく興味も無い。最終選別終了後に右手の甲に施されて以来、階級の示し方は説明されて知っているが半年間、一度も示したことがない。なので現在の階級を知らないし、鬼の討伐数がどの位なのか全く気にしてなかった。
「申し訳ございません、お館様の提案に頷く事はできません」
「それは何故だい?」
「俺は、柱になるべき人間ではないのですよ。この時代まで鬼を残してしまった罪深き人間なんですよ」
「それは……どういう事だい?」
「お館様にはお話すつもりだったので答えます。現世の名前は九条陽壱。前世の名前は……継国縁壱。俺は縁壱の生まれ変わりで、為すべき事を為せずそして守るべき者を守れなかった虚しい男」
陽壱が継国縁壱の生まれ変わりだとお館様に告げた後が大変だった。それはそうだろう、無惨を唯一追い詰めた男、その生まれ変わりが自分の目の前にいて、直接話が聞けるのだから。
無惨のこと、痣のこと、赫刀のこと、そして、当時のこと……… 話し合いというより質問が夕方まで続いた。
「すまなかったね陽壱。お陰で相当進展できた、ありがとう」
「それはかまいませんが…今日話した事については言わないください。今はその時ではないのですから」
「そのつもりだから安心してくれ」
それを聞いた陽壱は立ち上がり、産屋敷家を後にした。
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珠世と出会ってから昨日までの事を振り返った。
そして今日、陽壱が土手に来たのはお館様と昨日話し合っている中で頼まれ事をされたからである。
それは鬼殺隊の診療所、治療所を開設したいので、その治療所の代表予定者と共に薬や医療器具の買い揃えて、治療所予定地周りの鬼の排除を任される事になった。
「というか、まだ治療所なかったのかよ…」
こんなに怪我と密接な関係を築いている仕事はないというのに。陽壱は医療の関係は全くの素人なので結局鬼殺メインと考えている。
「治療所の代表に選ばれるとかどんな人なんだろうな」
「それは私よ、陽壱くん」
女性の声が聞こえたので目を開けて、顔を12時方向に向けると、目の前にーーーー息がかかりそうなほど近くに顔があった。よく見ると髪は黒く蝶の髪飾りをして顔は日が高いので陰となっていたが陽壱に笑顔を浮かべていた。
陽壱はこの声に聞きお覚えがある。半年前、最終選別の7日間ずっと一緒に過ごしてそれ以来、会っていない少女。
「カナエ、か?」
「せいかーい。陽壱くん、今回はよろしくね?」
「カナエが治療所の代表なのか?」
「うん。傷ついた人を助けたいなってお館様に言ったら、屋敷を用意してくれてね」
陽壱はカナエに感心していた。医療の知識を覚え、腕を磨くのは自分が思っている以上に大変だと分かる。さらに治療しながら鬼殺の仕事をこなすということは想像以上に過酷。目の前にいる少女はやろうとしている。
「俺、医療関係の知識がないから何をしたらいいのかわからないんだけど」
「医療器具の方は問題ないんだけど、薬の方が大量には仕入れられなくてね。色んな所から掻き集めたいの」
「まぁ、役に立たないと思うが好きに使ってくれ」
知識なんてさっぱりないのでカナエの言うこと聞いて、言う通りに動けば良いのだろう。あと、鬼が出たら斬るのが仕事。
「うん!よろしくね」
「任された。それと顔、危ないから一旦離れてくれる」
陽壱がそう言うとカナエは離れてくれたので、陽壱は上半身を起こしてその場で立ち上がる。いつも草の上に寝っ転がると何本かが体に付くのでそれを払いのける行動を取る。
両腕の肘や二の腕、肩、足の裏側と取っていく。最後にいつものように白い外套に付いてる思われるので外そうとしていた。
「あ、じっとしてて。私が取ってあげる」
陽壱が外套を外そうとしていたのでカナエは自分が取るといってくれた。反射的に身を強張らせた陽壱に、カナエの優しい声がかけられる。衝撃でむしろ動けなくなってしまった陽壱は、意図せずその言いつけを守った形になった。
「はい、とれた」
「ありがとう」
カナエの問いに生返事を返し、その手に摘まれたものを見る。何本かの草があった。カナエはそれを発見し、取り去ったのだった
陽壱は一つ疑問があった。
「そういえば、カナエ…何で此処に俺がいるのが分かったの?待ち合わせ場所は街の茶屋だろう?」
「うーん、教えてあげない。そんな事よりも早く行こう」
陽壱の質問をごまかしたカナエ。これ以上、追及しても答えは返ってこないだろうと思った陽壱はこれ以上、追及しなかった。
カナエは陽壱の手を掴み街に向けて一緒に歩き出した。
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そして、陽壱が産屋敷家を後にした夜。
部屋の襖障子を開けて月の光で部屋の中へ照らして、一人男が正座して座っている。産屋敷家の主、産屋敷輝哉。
「陽壱…何で君が鎹鴉が視認出来ない速さで鬼の首を斬る事が出来るのかがやっと分かったよ。彼の生まれ変わりだったとはね」
輝哉の妻あまねから最終選別を始める前の出来事を後から報告を聞いた輝哉は烏で半年間、ずっと陽壱を監視していた。
この半年間、“鎹鴉が視認出来ない速さで鬼の首を斬り、陽壱が鬼の近くを通っただけで勝手に首が落ちている”何でそんな事が出来るのか疑問だったので1度、陽壱と直接話をしようと決めていた。その機会がやってきた。
陽壱の鎹烏が“下弦ノ参を討伐”という知らせてきた。しかも、単独で。
これなら陽壱と直接話が出来ると思い、彼を呼び出した。
陽壱は鎹烏が視認出来ない速さで鬼の頸を斬る事が出来るほど剣士だ。そんな剣士なら柱になって貰おうと輝哉は思い、呼び出して直接聞いたら断られてしまった。
断った理由が「俺は、柱になるべき人間ではないのですよ。この時代まで鬼を残してしまった罪深き人間なんですよ」と言われて、輝哉は何を言っているのか分からなかったがこの後に告げられたことで疑問が晴れた。
“継国縁壱の生まれ変わり”
それを聞いたら輝哉は陽壱が出来るのに納得していた。
納得した後、輝哉は陽壱に質問攻めをした。その時は何も考えずに当時の鬼殺隊の始まりの呼吸剣士…日の呼吸の使い手、本人。継国縁壱の貴重な話が聞けるのだから、聞けるだけ聞いてしまった。
聞けるだけ聞いた輝哉は夜になって若干後悔した。昔の話を聞くという事は…彼の心を抉るような行為なのだから。それを陽壱は嫌な顔をしないで答えてくれた。
「陽壱…私は先祖の代わりに君は何が有っても守ってもいかなければならない。たとえ、私がどんなに傷ついたとしても」
輝哉は陽壱が知らない所で密かに決めていたであった。
陽壱の鎹烏はちょっと特殊です、と答えておきます。