第十話 ライセン大峡谷と残念ウサギ
オスカーの隠れ家から、転移したハジメ達は直通じゃないことにガッカリしながらも、無事に地上に戻った。
ハジメ「久しぶりの外の空気だな。」
香織「だね。これからどうする?」
ハジメ「とりあえず、ハルツィナ樹海を目指す。」
ユエ「ライセン大迷宮はいいの?」
ハジメ「オスカーの手記でさえ、ちゃんとした場所が書いてなかったんだ。しょうがない。」
すると、二つ首の魔物が襲いかかってきた。
ハジメ「魔法が使えないな。なら、香織。ソードスキルの練習だ。」
香織「うん。」
香織は金木犀の剣を宝物庫から取り出して、片手剣二連撃ソードスキル《ホリゾンタル・アーク》を放ち、二つの頭を綺麗に縦に切り裂いた。
ユエ「さすがハジメが選んだ女。…私も負けない。」
ハジメ「いやここじゃあ、魔法が使えないからいいよ。」
ユエ「強引なら行ける。」
ハジメ「強引とは?」
ユエ「通常の10倍の魔力を使えば行ける。」
香織「それ単なる無駄遣いね。」
すると、遠くの方からさっき倒した魔物と同じやつがうさみみのついた女を追いかけていた。
香織「あれ、助ける?」
ハジメ「嫌な予感しかしないから却下だ。」
ユエ「あれは兎人族。でも、兎人族ははハルツィナ樹海にいるはず。」
ハジメ「そうなのか。何でこんなところにいるんだ?」
香織「追放されたから?」
ユエ「つまり、残念ウサギ。」
ハジメ「ああ~。」
ハジメは魔力稼働二輪を取りだし、ユエを前に、香織を後ろに乗せて、走り出した。
「まって、くださーい。私を助けてーくださーい」
兎人族の女はハジメのバイクにしがみつこうとしたのでハジメは魔力稼働二輪を後ろに後退させて、かわす。
ユエ「おもしろい。」
香織「何?このギャグ感満載のウサギは。」
「助けてくださーい。」
ハジメ「無理。」
「即答!?」
ハジメ「だいたい、お前を助けることで俺たちに何の利益がある?」
「それはもう。こんなかわいい美少女を好きに出来るんですよ。」
ハジメ「悪いな、例えお前が誰もが認める美少女だとしても、俺には香織がいればそれでいい。」
「普通、そこは「こんなかわいい美少女が辛い思いをしてるな、じゃあ俺が助けてやる。」とか、言うんじゃないんですか?そんなこと言われたら私はイチコロで――へぶっ、」
ハジメはうさみみのついた女を殴った。
ハジメ「黙れ、ギャグウサギ。自分で美少女言うな!!」
「頭を殴りましたね。まだ、お父さんにも殴られてないのに…。」
ハジメ「そのネタどこから…。…行くぞ。とりあえず、ライセン大峡谷を縦断だ。」
香織「了解。」
ユエ「わかった。」
「あ、無視しないでくださいよ。」
ハジメ「(香織、纏雷を放つ。こいつ鬱陶しい。)」
香織「(りょ、了解。)」
ハジメと香織は纏雷をしがみついてくるウサギに放った。
「ギャアァァァァァァ」
ハジメ「よし、先を急ぐぞ。」
「ま、っ、て、くだ、さい、」
ユエ「あざとい。」
「私は兎人族、ハウリア族の長の娘のシア・ハウリアです。私の一族を助けてください。」
ユエ「だが断る。」
ハジメ「だから、どこでそのネタを…。」
シア「貴女達がこの男の人が言う大切な人ですか?……私のほうが胸があるのに。私よりも胸ないじゃないですかぁ!!」
香織「ねぇ、ハジメくん。今日のご飯はウサギ肉よ。というわけで、ユエ。手伝って。」
ユエ「んー。ウサギ肉食べたい。それに、このウサギうざい。」
シア「……謝ったら許してくれたり…します?」
2人とも目が笑っていない。
ハジメ(うわ、怖!!)
香織「……纏雷。」
ユエ「……
シア「え、ちょっ、まっ、イヤァァァァァァァ」
雷が追加された嵐が兎人族の少女を吹き飛ばして頭から地面に突っ込んだ。
ハジメ「なんだこの、ギャグクオリティーは。えげつないな。」
香織「今のうちに行こう?」
ハジメ「ああ。」
ハジメが二輪を走らせようとすると、ウサギがハジメの体にしがみついてきた。
ハジメ「鬱陶しい。離れろ!!」
シア「嫌です。離れたら見捨てるのでしょう?」
ハジメ「当たり前だ。お前を助けて何になる?堂々と香織とユエを侮辱しやがって。そんなやつ助けるわけないだろう。」
シア「ううー、こんな未来見えてなかったのに…。」
ハジメ「ん?未来?どう言うことだ。」
シア「私は亜人族にはない、魔力を持っていたのです。そのときに手にした固有魔法は未来視。」
そして、シアは一族が追放された理由を明かした。
ハジメ「なんで未来が見えるのにバレることを予想できなかったんだ?」
シア「ええっと、実は、親友の恋路が気になりまして…。」
ハジメ「この残念ウサギが!!やっぱ助けるのやめた。」
ユエ「いや、連れていこう。案内にぴったり」
香織「ユエがそういうならしょうがないわね。」
シア「ありがとうございます。さっきは胸小さいとか言っちゃいましたが、やっぱり話をわかってく――へぶしっ」
ハジメがシアの頭に踵落としを食らわせた。
もちろん、纏雷を纏ってある
シア「頭が…頭が…。」
ハジメ「黙れ、残念ウサギ。調子に乗るな。」
ハジメはシアの足を縄で縛って二輪の後ろにくくりつけた。
シア「えっ?私は乗せてくれないんですか?」
ハジメ「人数オーバーだ。」
ハジメは二輪を走らせた。
後ろから聞こえた悲鳴はシャットアウトしている。
ハジメ(あいつ耐久力、ゾンビ並みだな。あんな性格じゃなかったら仲間に加えてもよかったんだがな…。)
そのあと、あまりにも声がうるさかったので、サイドカー(生成魔法で一瞬で作った。)を設置してそこに放り込んだ。
次回は、ハウリア族登場です。