ピックアップとは?等と思う今日この頃です。やはり課金するしかないですかね。
さて、この話はここまでにして、本編をどうぞ!
とある市街地で、装甲娘部隊ファーストケースがミゼレムと激戦を繰り広げている。
そのファーストケースの隊長、天野晴哉はアキレスこと、ミカヅキカリナを抱えて、眼前の敵を睨みつける。
その敵は人より遥かに大きいミゼレムであり、彼のよく知る存在にとてもよく似ていた。
「くっ!キラードロイドが元になってるミゼレムか…厄介な!」
キラードロイド、ダンボール戦機Wにおいて山野バン達の前に幾度となく立ち塞がったLBXキラー。その強さはLBXを遥かに凌駕しており、どれほど山野バン達が強くなっても油断できない相手であった。
「さぁて、どうしようかね…」
そう口にしながら、晴哉は苦し紛れの笑みを浮かべる。
自らを鼓舞し、この状況を切り抜ける為に。
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そもそも、どうしてこのような状況になったのか、それは少々時間を遡る。
俺達は対ミゼレムの初の実戦部隊として、ミゼレム討伐に励んでいた。
訓練の成果か、ミゼレム討伐にはほとんど苦労することがなく、順調としか言いようがなかった。
実際、アテナスの皆も和やかに世間話をする程度には余裕があった。
しかし、あのキラードロイド型のミゼレムの出現により、事態は悪化していった。
ここまでの戦いで苦戦せず勝利してきた故か、アキレスはエンペラーの静止も聞かずにキラードロイド型のミゼレムに1人で突っ込んでしまい、逆に窮地に立たされてしまう。
そんなアキレスを救うべく、俺は彼女を庇うように抱えて、近くの物陰へと身を隠した。
元よりこうなる可能性を危惧していて良かったと心から思う。
本当に俺に修行をつけてくれた神様には感謝だ…俺は常に苦戦ばっかりだったからな…おかげさまでこういう可能性を想定する癖がついた。
…さて、とりあえず、今はこの状況を何とかする方法を考えるとしよう。
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(とまぁ、こんな感じで今に至るわけなんだけど)
「本当に、どうしようか…」
考えろ…何とかこの状況を切り抜ける方法を!
ここで、思いつかなかったら皆が死ぬかもしれない…考えろ!考えろ!
アキレスは多分今の戦いで初めて感じた死の恐怖のせいで、軽くパニックに陥っている…今すぐ立ち直るのは難しいだろう。
そうなると、エンペラー、クノイチ、ハンター、ジョーカーの4人で戦うことになる…だが、相手はキラードロイドを元にしたミゼレムだ…簡単に勝てる相手じゃない。
あいつの恐ろしさは嫌というほど知ってるからな……うん?待てよ?キラードロイドを元にしてるってことは弱点も同じだったりするんじゃないか?
だとすれば、チャンスはまだある!
ただ、あのミゼレムはキラードロイドで言うワイバーンなんだよな…さすがにあの大きさで飛べるとは思えないけど、万が一にでも飛べるようなら詰みだ。
「あぁ!くそっ!マイナスに考えてもしょうがない!とりあえずやるしかないって!」
そう自分に言い聞かせるように声を上げ、エンペラー達に指示を飛ばす。
「聞こえるか?皆?」
『えぇ、聞こえていますよ!隊長!しかし、この状況は少々…厳しいですが』
『エンペラーの言う通りだぜ…こいつ、今までのミゼレムより強い!』
「わかってる。だから、今から言う指示を聞いてくれ…ジョーカーとハンターも聞こえているか?」
『こ、こちらジョーカー!聞こえているのら!ただ、やるんならできるだけ早くやってほしいのら!』
『こちらハンター!聞こえてます!どうすれば良いんですか?隊長さん』
「まず、エンペラー、クノイチ、ジョーカーの3人はあのミゼレムの注意を引きつけてくれ、そして、3人が注意を引きつけてくれている間にハンターにはあのミゼレムの足を狙撃してほしい」
『足ですか…?』
「あぁ、あの巨体だからな、足を攻撃すればバランスを崩せるはずだ…それで、上手くバランスを崩せたら全員で一斉に攻撃を仕掛けてくれ!」
『でも、あのミゼレム…今までのミゼレムよりも早くて、なかなか攻撃を当てられなくて…』
「安心しろ、ハンター。それも踏まえての作戦だ…確かにあのミゼレムの動きは早い…だけど、皆が引きつけてくれている間はミゼレムの向かう方向は皆の所だ。つまり、進行方向が限定されるってことだ」
『…なるほど!確かにそれなら何とかなるかも…わかりました。任せてください、隊長さん!必ず当ててみせます!』
「あぁ、その意気だ!それじゃあ皆、作戦開始だ!」
『『『『了解!!』』』』
指示を出し終え、軽く息を吐く。
果たして、この作戦は上手く行くだろうか…?アニメでキラードロイドは足の剥き出しのコードを攻撃されると怯んで動きが止まった。
あのミゼレムがキラードロイドを元にしているのであれば、弱点も同じである可能性が高い…ただ、その弱点をいつまでも晒したままとは思えない…だが、そうだとしても足を狙ってバランスを崩すというのは間違いではないはずだ。
あぁ…怖いな。俺の指揮のせいで誰かが死ぬかもしれない…そのプレッシャーに押し潰されそうだ。
…いや、今は泣き言を言ってる場合じゃないな…万が一に備えて他の作戦を考えよう…俺自身が戦うことも視野に入れて。
絶対、誰一人として死なせるもんか!
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「では皆さん、隊長の指示通りに!」
「わかってるのら!」
「おう!やってやんぜ!」
エンペラー、ジョーカー、クノイチの3人は、先ほど隊長から受けた指示通りにミゼレムを引きつける。
なるべく敵が一定方向に動くように、時には攻撃を仕掛け、そしてそのまま後ろへ下がる。所謂、ヒットアンドアウェイの戦法で敵を引きつけていく。
そして、ついにハンターの射程範囲へミゼレムが姿を見せる。
(来た…!後は隊長さんの指示通り、足を狙ってバランスを崩す!)
ハンターはそう考えながら、一度大きく深呼吸する。
(大丈夫…進行方向が限定されているから、速度が早くても動きは予測できる)
「……あと少し…3、2、1!今です!」
そうして、ハンターが放った弾丸はそのままミゼレムの足へ直撃する。
そして、足に攻撃が直撃したことによりミゼレムは大きくバランスを崩し断末魔を上げながら地面へと倒れ伏す。
『今だ!皆、一斉に必殺ファンクションを叩き込んでやれ!』
「「「「了解!!」」」」
「喰らいなさい!インパクトカイザー!!」
「これで終わらせてやる!つむじ風!!」
「すっごいの行くらよ!デスサイズハリケーン!!」
「これで終わらせます!スティンガーミサイル!!」
4人同時に放たれた必殺ファンクションが混ざり合ってミゼレムへと直撃し、大きな爆発が巻き起こる。
そして、ミゼレムは完全に機能を停止した。
「ふぅ〜〜…上手く行って良かったぁ〜!」
余談だが、エンペラー達がミゼレムを倒した所を見届けたファーストケースの隊長は安心感のあまり思わず地面へとへたり込んだのだとか。
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「アキレスのやつ大丈夫かな?」
そう独り言を口にしながら俺はアキレスを探す為に歩を進める。
あの戦いの後、やはりアキレスはまだ立ち直れていなかったようで、基地に戻ってきた後も目に見えて元気がなかった。
まぁ初めて、死闘と呼ぶべき戦いを経験したんだから当然と言えば当然だが。
だって、いくらLBCSを纏って戦えるとは言え、まだ高校生の少女なんだから…もし、ミゼレムのことがなければ普通に友達と語り合ったり、この世界でなら多分皆でLBXバトルをしたり、そんなありきたりではあるが幸せな日々を過ごしていたはずなんだ。
…もちろん、今の世界の現状を受け入れなければならないことは理解している。だけど、どうにもやりきれない。
だから、せめて彼女達が辛い時は力になりたい。
そんなことを考えていると、河原を見つめる寂しそうな背中が目に入り、静かに声を掛ける。
「あ…隊長……」
「どうした?アキレ…カリナ。こんな夜中に1人で…風邪引くぞ?」
「あ、その呼び方…約束覚えててくれたんだ」
「まぁな…周りに誰も居ない時は、極力名前で呼ぶって約束したからな…それで、こんな夜中にどうしたんだ?」
「…何か怖い夢を見て目が覚めちゃって……あの…今日は本当にスイマセンでした」
「うん?何で謝るんだ?カリナも大活躍だったじゃないか。謝ることなんてひとつもないだろ」
「でも、最後の戦いで戦意喪失しちゃって…隊長に危ないところを助けてもらったのに…結局、何もできずに陰でずっと縮こまってました」
彼女のその言葉を黙って聞く…やっぱりそのことで悩んでいたのかと思いつつも、今は俺が何か言葉を発する時ではないと判断して、彼女の言葉の続きを待つ。
「実戦がこんなに怖いなんて…あたし、こんなんでこの先やっていけるのかな…」
「カリナ……」
実戦が怖い、か…その気持ちはとてもわかる。俺も似たようなものだったからな…だけど、そのおかげで学べたこともある。今は、カリナにそれを伝えた方が良いかもしれないな。
「カリナ、今日お前は初めて戦闘が怖いと心と身体で理解した。それは立派な成長なんだぞ?」
「え…怖がることが成長…なの…?」
「あぁ、怖いからこそどうすればリスクを回避できるのか考えるようになるし、どう準備すればその恐怖に打ち勝てるようになるか考えるようになるんだ…訓練一つにしてもその意識があるかないかでは、得るものもまったく違うんだ…ほら、立派な成長と言えるだろ?」
「訓練は準備…恐怖を克服するための準備……隊長もそうやって恐怖を克服したの?」
「…まぁ、そうだな…俺の場合はカリナとはちょっと違った恐怖だけど」
「あたしとは違った恐怖…?」
「うん…俺はアテナスの隊長だからさ、みんなの命を背負う立場にあるわけだ…だから、俺の指揮のせいで誰かが死ぬかもしれない…そういう恐怖があったんだ」
「そっか…隊長も怖いって思ってて、それを乗り越える為に…あたし達を誰一人として死なせないために、色々と作戦を考えたり、いざという時に助けることができるように一緒に戦場に立ってくれてるんだ…」
「まぁ、そういうことだ…ただ、どれほど準備をしても不足の事態は起こりうる…そんな時に頼りになるのが仲間だ。互いに助け合い、背中を預けることができる仲間…カリナ、お前は1人で戦っているわけじゃない、頼りになる仲間が居るんだ…それを忘れちゃいけない」
「うん…そうだね。確かに、あたしには心強い仲間が居る…」
「あぁ…どんな困難な状況も仲間が居ればなんとかなるもんだ…世界を救う正義のヒーローだって、たった1人で戦ってるわけじゃないしな」
「確かにそうだね……あたし、バカだ…ちょっとできるからっていい気になってた…周りのことあんまり見えてなかった。今日だって、あたしが無理に突っ込まなかったら、あんな目には…」
「そうだな…だけど、あんな目にあったのにお前は無傷でここに居る」
「LBCS……」
続けて何故無傷でいられたと思う?と聞こうとする前にカリナがそう口を開く。
大体、俺が何を言おうとしているのかわかってきてるのかもな…よし、この調子で話を続けよう。
「その通りだ…技術の粋を集めて作られたLBCS、それは戦うための剣であると同時に、お前の命を守る鎧でもある。その性能は知っての通りだ」
「訓練、装備、仲間を信じる…エンペラーさんの言ってたことってそういうことなんだね」
「ようやく実感できたか?戦場ではそういう後ろ盾を信じて戦っていくんだ。怖さを知れたお前はこれからさらに強くなっていくだろう…憧れている世界を救う正義のヒーローにだってなれるぞ」
「あはは…あたし、一応女の子なんだから、そこはヒロインって言って欲しかったかなー」
「おっと、それは悪かった…」
そうだよな…女の子だもんな。ヒーローじゃなくてヒロインと呼ぶべきだった。
俺がそんな風に心の中で反省していると、カリナがこちらを真っ直ぐ見て、言葉を紡いだ。
「うん…何か勇気出てきた!あたし、また戦えるかもしれない!」
「そうか、それは良かった…あ、そうだ!最後に一つ言わせてくれ」
俺はそう言って、少し間を空けてからカリナの目を真っ直ぐ見て言葉を続けた。
「俺を信じてほしい。俺は絶対にお前を死なせるような指揮は取らない!だから、俺に命を預けてくれ!もちろん、俺は本気だ…もし、誰か1人でも死なせてしまったら俺は自決するつもりだ」
「そ、そんな!自決なんて…でも、そっか…それが隊長の覚悟…」
「あぁ、俺はそういう覚悟で戦っている…だから、どうか俺の指揮を信じてくれ」
「うん…信じる。隊長に、命を預ける…わたしも覚悟を決めるよ」
「ありがとう…カリナ」
「こっちこそありがとうだよ…隊長。これで安心して眠れそうだよ」
「そっか、それじゃあ後はゆっくり休んでくれ…明日も早いからな」
「うん。隊長もあんまり無理しないで、ゆっくり休んでね…お休み」
「あぁ、お休み…」
そう言って、手を振りながらカリナの背中を見送る。
その背中はさっき河原を見つめていた時とは違い、とても嬉しそうな背中だった。
…何はともあれ元気になって良かった。
少しでも、ヒロイン復活の助けになれたなら嬉しい限りだ。
俺はそんなことを思いながら、雲が晴れ、いつもよりも輝きを増した三日月を眺めるのだった。