私は今、始めての状況に陥っている……それはノイズと戦う事や歌手として歌う状況とは違った状況で緊張している。何故なら……
「は〜い出来たわよ〜」
「お〜出来たか。鍋はいいのお……」
「お母様卵は何処に……」
「姉貴。卵」
「……」
私の……いや、並行世界の私の家族と共に食卓を囲んでいるのだ。今まで私はこうした家族での食卓を囲む事はほとんどなく、緊張していた。
「どうした翼…食べないのか?」
「……いえ、私はこうした家族での食卓をした事がありませんのでどうしたらいいか……」
「気にするでない。何処の世界の翼でも儂にとっては可愛い孫じゃ」
「そうだぞ翼。お前は私の娘には変わりないのだから気にするな」
「お祖父様……お父様……」
すると並行世界の私が私の隣に座って優しく笑顔で言った。
「えっと……ごめんね?違う世界の私」
「……いや私の方こそすまない。こんな急にやって来てしかも目の前に同じ人間がいるんだ……仕方ないさ」
「まぁ私達のその適応力も凄い気がするけどね〜」
確かに。あの時私はパニックになっている状況で急に違う世界の私が言った一言で落ち着くのだから凄い適応力なのだろう……
「改めて見るとやっぱり瓜二つね〜」
「あっ、お母様わかる?オレもそう思う!!」
「……椿。行儀が悪いぞ」
「え〜今日ぐらい見逃してよ〜」
私はこの光景を見て家族とはこうゆうものなのだなと思った。今までの食事はお父様と一緒の時が多かったから私はかなり嬉しかった。そして私はお母様を見た事が無かったし、こうした状況は私にとっては眩しいものに見えた。
「……翼。どうしたの?」
「ッ!?いっ、いえ……なんでもありません」
気がついたら私は何故か泣いていた。いや私はきっとこの光景が羨ましかったのだろう……
「ねぇ翼……そっちの世界の私は元気?」
「……私の世界のお父様とお母様は既にいません」
「……そう」
すると違う世界のお母様が私をギュッと抱きしめて優しく頭を撫でた。
「大丈夫……違う世界の私も貴方を愛してるから」
「お母…様……」
「ほら、こんなに悲しい顔になったら美味しいご飯も美味しくならないわよ?」
「……はい」
私にお母様がいたらきっと何かが変わっていたかもしれない……そう思いながらやがて私は涙を拭って一緒に鍋を食べ始めた。それは私にとって夢のような……幸せな時間だった。
「……所で翼。好きな人はいるのか?」
「「おっ、お父様!?」」
「なぬっ!?我が孫に想い人だと!?許せん!!儂がこの天叢雲剣で切ってくれるわ!!」
「ちょっとお爺ちゃん!!落ち着いて!!」
「あら?2人共もしかしているの?」
「「わっ、私は別に緒川さんの事は……あっ」」
するとお祖父様とお父様が急に立って何処かに向かおうとしていた。
「私の孫を誑かすとは……許せん!!」
「日和……少しお父様と出かける……」
「お義父さま!!あなた!!ちょっとやめない!!翼、椿全力で止めるわよ!!」
「姉貴!!早く!!」
「「わっ、分かった!!」」
私は並行世界のお祖父様とお父様を必死に止める為に動き始めた。しかし、これは並行世界……だとしても私はきっとこの日の事は忘れない……
《マッカーサ軍曹の一言》風鳴家での食卓って平和だったらこんな感じだろうなぁ……
次回初めてのシンフォギア