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超引きこもり系です。
ナルルースは貴賓館の庭にある噴水を眺めている。
吹き上がる水は様々な魔物の姿に変わり、一部は凍り付き氷の粒になり降り注ぐ。
その水の動きは傍らにいる、犬ほどに大きい黒猫がじゃれるように手を動かす仕草と連動している。
「…すごい。そちらは精霊ですか?」
ハヴェルは黒猫の技を賞賛しながら歩み寄る。
黒猫は誇らしげに鳴く。
「そうだ。私の友人だ。もし、君が彼のことを魔獣と呼んでいたら面倒なことになっていたぞ。」
「でしょうね。精霊は誇りを重んじる。」
「よく知っているな。」
「研究していたホムンクルスは精霊の格を得て、俺の元から去りました。」
ナルルースは「すごいな。」と賞賛の声を上げる。
「それだけの成果があったのに閉鎖か?
錬金術師も実力だけでは評価されない嫉妬の世界なのか。」
「いや、彼女は去り際に色々やらかしたので。」
ハヴェルは苦笑いを浮かべる。
「あの事件はそこに繋がるのか。」
ナルルースにのどを掻くように撫でられると黒猫は嬉しそうな鳴き声をあげる。
「ところで、あの。この後どうなります?」
「転属後の解散だろうな。安心しろ。まとまった報酬は出るはずだ。」
「いや、ええと。ナルルースさんは?」
「ほう。面白いヤツだな。私は変わらないさ。
気に入ってた狩り場と別荘、忠実な部下をほんの少し失うだけだ。」
「この地には巨大な白い竜の魔獣伝説がありましたね。
…おっと、そろそろ時間ですね。」
ナルルースは、彼女の黒猫と似たのどを鳴らすような笑い方をする。
「本当に面白いヤツだ。もう少し話したかったが行こうか。」
二人は貴賓館に入る。
アロンは厩舎の裏で一人泣き崩れていた。
密かに天職と誇っていた仕事が失われる哀しみと、このあとに起こる事への不安を急に実感した。
涙を拭って気持を整えようとしていると、巨大な物体が風を切り進む音が聞こえ様子を見に向かう。
そこには、レコと血に汚れた雪豹の魔獣がいた。
汚れは返り血なのか、怪我を負っている様子はなくレコに拭き落としてもらうと、魔獣は機嫌良く目を細める。
レコがブラシを持ち替えた際に、こちらを見ているアロンと目があった。
アロンの様子に無表情に「大丈夫か?」と言う。
「はい。俺たちもこういったクエストに?」
魔獣の方を見遣りながら問う。
「ああ。」
短く応え魔獣のブラッシングを続ける。
「冒険者は子どもからの憧れでした。」
レコは特に返事をしないが無視をしているわけではなく聞いているぞという気配だけを向けて、魔獣の毛並みの確認をする。
何を言っても伝わらないだろうと、アロンは黙ってその場を去る。
レコはアロンの去り際の足音に少し様子を見るが、すぐに魔獣の毛繕いに戻る。
モーシャは獣頭の魔人に連れられ、貴賓館の一室に入る。
そこには失意の表情を浮かべるアグラミアが居た。
「やぁ。アグラミア。あんたも、こっち側だったか?」
「モーシャ、来ているとは思ってなかった。」
「連中に脅されてきただけさ。」
「そうか。」
アグラミアとモーシャはため息をつきながらソファに体を沈める。
「領主様には何処まで話すのだ?」
「私に選択権はないよ。これから決めるらしい。
…結局、何一つ自らの意志で選択出来なかった。」
「誰だってそうなのだろう。」
モーシャはアグラミアを気遣うが、思いついたように皮肉な笑みを浮かべる。
「それでも、私や君に与えられる報酬は悪くないだろう。」
「当然の評価だ。」
アグラミアは吐き捨てるように言う。
まだ契約の残る冒険者達は執務館の正面に集められ、仮面姿のナルルースによる説明を受けていた。
ナルルースは率直に呪いについての説明を行い、それを逆手にとったクエストとその割り振りについても全員に話す。
「このクエストによって、君たちの冒険は栄光ある勇者のものではなくなるだろう。
汚名を背負い、多くの敵を作り、顔なじみの人々を陥れることになるかも知れない。
貴族達の謀略も次々に巻き起こるだろう。」
レコはナルルースの様子を、彼女を取り囲む人垣からはなれた場所で見ていた。
彼の隣には、ローブ姿をした者が三名いる。その内の一体は豹の魔獣をローブで人の形に納めたもので、レコ自身も目立たないように武装を整えている。
結局ベルスはこの件で彼女の忠誠を得られておらず、話の流れによってレコはナルルースを止めなくてはならないし、冒険者達が暴動を起こした場合には鎮圧も必要だ。
「だが、君たちには是非やり遂げて貰いたい。
昨夜私は、この過酷な条件について話し合い、破格の報償の確約を得た。」
その後、ナルルースは条件について細かな説明を始めるが、非常識とも言えるその好条件に冒険者達から、ざわめきが起こる。
「最後に、君たちと冒険ができたことを私は誇りに思う。
さあ、みんなクエストに取りかかってくれ。」
ナルルースの言葉に、冒険者達はそれぞれが担当するクエストに向かうための準備を始める。
サブタイトルがどんどん雑なことになってます。(´・ω・`)