…反省です。しょんぼりです。
館の正面から入ったロビーに礼服姿の女性が立っていた。
女性はエルフの特徴ある耳をしており、息を呑むほどの美貌だった。
「モーシャは見つからずか。まあ良い。着いてこい。」
誰だろうかと戸惑っていたハヴェルやアロンだったが、彼女の口調は馴染みのあるものだった。
まさかと顔を見合わせる二人にヴァレールが顔に仮面をかぶせる仕草をすることで、彼女がナルルースであることを教える。
「若い人だったんだな。エルフだからか。」
「黙ってろ。」
アロンとハヴェルの変わらないやりとりにヴァレールは肩をすくめる。
しかし「ヴァレールさんさっきホールでエルフ…」という言葉には「黙ってろ!」と低い声をかぶせた。
先頭を歩くナルルースは背を向けたままハヴェル達に話かける。
「呪いの件についてはヴァレールから聞いている。上の連中に報告と相談をする。
ハヴェルには詳細な解説を頼む。」
ナルルース達は不自然に広く美しい館の奥にある、会合用の部屋に入る。
部屋は館同様美しい調度品で整えられており、中央の円卓とそこに並べられた椅子は貴族が使うための品だ。
円卓の奥の席には夜中にもかかわらず執務用の高い位を示す礼服をまとった三名が着席して待っていた。
「やあ。ナルルースどうしたんだ。」
最初に声をかけてきたのは、モーシャと共に遺跡の研究から全体の方針を取り仕切っていた参謀であるエルフの青年アグラミアだ。ハヴェル達もモーシャを通じて何度か顔をあわせたことがあった。
「厄介ごとよ。それよりも…」
アグラミアに向けた苦笑から一転、ナルルースが呪い殺そうとするような視線を向けた先には、小柄な男性レコが思考が読み取れない表情で座っている。
「あんたがこの場に居ることに恐ろしく嫌な予感がする。」
レコはナルルースの態度にも動じず淡々と話す。
「正確には明日からの赴任だ。まずは紹介を済まさないか?
俺は戦略担当のレコだ。アグラミアは馴染みだな?こちらはエードルフ。財務を担当している。」
「あんたが仕切るのかよ」と悪態をつくナルルースにかわって、ヴァレールが引き継ぎ、ハヴェルとアロンを紹介する。
「では、何が起こっているのか説明をお願いしよう。」
レコの言葉を受けて始まったハヴェルによる説明が一通り終わると部屋は重い空気に包まれた。
「遺跡の写しやモーシャの資料以外の、文献や記録も多く使われているがこれは信用出来るものか?」
レコの問はハヴェルよりもアグラミアとエードルフに向けられていた。
「他の文献や記録との突き合わせが必要だし、学府の賢者の確認も必要だ。だが、恐らく間違いないと思う。」
アグラミアはレコに応えるが、先ほどから驚きの視線をハヴェルに向けている。
「ハヴェル、君はここに来る前はいったい何をしていたんだ?」
アグラミアからの問にハヴェルは気まずそうな表情を見せる。
「錬金術をやってました。ホムンクルスを生み出し、ヒト以上の存在への進化を研究していました。
…途中で研究室は解散になってしまいましたが。」
「なるほど、あそこの出身か。なるほど。」
レコがハヴェルの説明に納得したようにうなずく。
「ナルルース、この町とダンジョンの権利の全てを売り払って、全員が引き上げるのにどれくらいの時間がかかる?」
レコの言葉にアグラミアとエードルフは反論しようとするがレコが片手をあげて制する。
思惑を察したナルルースはうんざりした表情を見せる。
「全て?全員?一週間くらいかな。でも、誰に?何処に?
私たちの撤退はすぐに噂になるし、呪いもいずればれる、他領に拡大すれば領地の責任にもなる。」
「分かっているさ」
ナルルースの叱責にもレコは表情を変えることなくうなずき席を立つ。
「少し待ってくれ。」
レコがそのまま部屋から出ると、ナルルースは怒りの視線をアグラミアに向ける。
「なんであいつらを呼んでるの。なんでも戦がらみのもめ事にするヤツらよ。」
「近隣貴族がけしかける盗賊達のとりまとめに必要だったんだ。」
小声で議論する二人だったが、再びレコが部屋に戻る音にあわせて居住まいをただす。
そしてナルルースは先ほどとは異なる穏やかに語りかける口調に改める。
「レコ、あんたの考えていることは危険だ。
結論が出るまでダンジョンを一時閉鎖して、攻略拠点にしている仮設の町をそのまま隔離施設として利用すれば良い。情報を公開して対策が出来た時点で改めてダンジョン攻略を目指すべきだ。」
ナルルースの意見の反論をしようとしたレコはヴァレール達の方を見る。
ここから先はごく一部の者しか知ることが許されない内容になる。
「君らは席を外した方が良い。」
「そのようで。」
レコの言葉に従いヴァレールはハヴェルとアロンを連れて部屋から出る。
ということでナルルースの名前はこちらから。
http://adlahir.seesaa.net/article/128538036.html
怒りの火!
レコはこちらから。
http://www.worldsys.org/europe/finnish-male-names-0003/
…作品は書き上がってるのですが、アップにくたびれたので今日はここまでにいたします。