超格好良く、超色っぽい、脳内補正お願いします。
彼らは部屋の近くにある、待合所まで移動する。
「あれは何者なんですか?」
アロンはアグラミアやナルルースと対等以上の態度で話すレコに興味を持ったようだ。
「色んな肩書きを持っているが、要は荒事の専門家だ。
お前には盗賊ギルドのグランドマスターって肩書きが分かりやすいか?」
「なんでそんな大物が?」
アロンの顔からは血の気が引いていた。
冒険者にとって馴染みのある盗賊ギルドとは、せいぜいトレジャーハンターの私掠免許を扱うくらいだが、グランドマスターと呼ばれる地位の者達は貴族間の陰謀などに深く関わるという。
「遺跡にそれだけの期待があったのか、それを狙って動く貴族が狙いなのか。」
「中ではどんな話が?」
ハヴェルが割り込むと、いつもと反対にアロンがそれをたしなめようとする。
「連中は遺跡の探索権を、誰かに売り払うだろうよ。この町も呪いのお宝も冒険者も一式でな。」
「冒険者は、その、どうなるんですか?」
震えるアロンの肩をヴァレールが励ますようにたたく。
「安心しろ。呪いだってその筋では活躍するものさ。
辺境の亜人集落攻略やら、まあやっかいな領地の弱体化やらな。
レコが上手く戦略を練るだろうさ。」
「…辺境ですか。」
「知ってるか、国土の八割は辺境だ。可愛いもふもふもだっているさ。」
アロン達はそのまま押し黙ってしまう。
ナルルース達の議論は、この時点での自分達の判断を越える領域に進んでいた。
「今、これ以上話し合ってもらちが明かない。」
ナルルースの言葉を受けてレコも小さくうなずく。
「そうだな。少し間を開ける。次の鐘の時刻にまた集まろう。
アグラミアとエードルフはもう一度文献を調べ直してくれ。
俺は事態に備えて部下を走らせておく。」
アグラミアとエードルフが立ち上がるのを横目にナルルースはレコに小声で話す。
「彼も呼んだ方がいい。」
「もう呼んでる。」
レコは珍しく薄い笑みを浮かべて部屋を去った。
部屋から出たナルルースはヴァレール達に屋上で出迎えを手伝うようにと告げると、自身は着替えてくると館を出た。
貴賓館の屋上は執務館と比べると低かったが、大理石で作られ細かな彫刻が施され美しく広々としていた。
屋上の涼やかな風を受けてアロンは多少気を取り直している様子だった。
「ヴァレールさんは報酬に城を貰うって本当ですか?」
黙らせようするハヴェルを制しながらヴァレールは「そうだよ。」と笑う。
「貴族は魔法で城や町だってあっという間に作れる。
この町はもともと森に沈んだ廃墟を利用しているから一夜にして作られた。」
「貴族ってのは凄いんですね。」
「所有する土地と、触媒となる稀少な素材があればだがな。
ダンジョンから出た財宝にはその稀少な素材も多く含まれている。…それもあって遺跡の所有権を貴族達は躍起になって奪い合うのさ。」
「今回は呪いつきですけどね。その素材で作られた建物への影響が気がかりです。」
ハヴェルの言葉にヴァレールは「止してくれ。考えたくもない。」と耳を塞ぐ仕草をまじえる。
「何か来ます。」
盗賊としての鋭い感覚を持つアロンが空から何かが飛来する音を気づく。
空を見上げると予想よりも近くに馬車のような車が浮いており、さらにこちらへと向かってくる。
宙に舞う車を引くのは馬ではなく、翼を持った巨大な悪魔の姿をした魔獣だった。
「なんだあれ?」
「天の助けだよ。」
「どう見ても悪魔でしょう。」
それはレコの連絡で駆けつけた上位貴族が利用する飛行車輌だった。
レコが指定した時刻に、貴賓館の最奥にある部屋の前に全員が慌ただしく集まる。
入り口には首から上がジャッカルで体は人間の姿をした獣頭の魔人が執事姿で出迎えをしており、隣には甲冑を模した礼装着を羽織り帯刀したナルルースが立つ。
部屋の中には、額に角をはやした以外は美しい女性の姿をした魔人が、礼服姿で部屋の準備と安全の確認を行っている。秘書として使われているようだ。
部屋に入ろうとするハヴェルの元にレコがやってくる。彼もナルルース同様に礼装姿で帯刀している。
「先ほど同様の説明を頼む。下手なことは考えるなよ。
思考はすべて読み取られているつもりでいろ。」
ハヴェルは神妙な顔でうなずく。
「中でお待ちです。」
美しい声で女性の魔人に急かされてハヴェル達は巨大な四角いテーブルが置かれた部屋に入る。
全員が席についたタイミングを見計らったように、奥にある扉が開き執事姿をした獣頭の魔人が現れ奥にある席に座る。
さらに少しの間を置き、同じ扉から引き締まった長身の肉体を将軍に許される戦衣に包んだ初老の男ベルスが現れ、全員が立ち上がって向かえる。
ベルスは「座ってくれ。こんな時間に申し訳ない。」と皆に声をかけながら自席に向い、「まず状況を説明してくれ。」と時間を惜しむように会を進めながら自席に着く。
ベルスは「では俺が…」と言うレコの方を一瞥して薄い笑みを浮かべると軽く肩をすくめる。
「いや、最初にこの事態を見抜いた…ハヴェルに話をしてもらおう。」
レコが無表情でうなずくの見て、ハヴェルは今日三度目の説明を行った。