ダンジョン攻略より会議の方がやばかった   作:Intail

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ブラスターとか使う名前を言ってはいけない魔獣が登場です。


次は早朝出張です!

 ナルルースとベルスは貴賓館のテラスから、庭を見下ろしながら立っていた。

「ダンジョン探索も快適になったな。良い庭だ。」

「怪物の巣に潜り混んで、お宝を掘り起こし背嚢一杯に詰め込んで町へ帰る。

私はそういう冒険の方が楽しかったよ。」

「私も若い頃、魔物のクソの山から見つけた発掘品に思わずキスをしたことがある。

駆け出しなりに充実した日々だった。

…なあ、ナルルース。手を貸してくれないか?」

「レコとあんたがこれだけ関わって来る以上、大規模な陰謀になるのだろう?

見えないところで、勝手にやって欲しい。」

「やむを得ずさ。お宝は、一人で背負える背嚢には収まらず、町では買い取れないほど巨額になった。

思惑を持った大物達が冒険に首をつっこむようにもなった。」

「部下の名誉を傷つける命令はしたくない。」

ナルルースの言葉にベルスはなるほどと、うなずく。

「君の個人的な領域を荒らしている事は申し訳なく思うがね。」

「仕事には忠誠を尽くすさ。それがどういう領域でも。

だがここは正直であるべきだろう?」

ベルスの視線に恐ろしいものが含まれる。

「正直だと?昔から冒険者の多くは投資を募るための詐欺師だ。

貴族や民は皆、それを弁えてゲームとして楽しんでいる。」

「ならば私もギルドの意向も関係ないだろう。勝手にやってくれ。」

ナルルースは肩をすくめると館の中へと戻る。

 

 ナルルースが戻るとヴァレール達は疲れ果てた表情で待合所のソファに座っていた。

ヴァレールは彼女に「どうでした?」と聞く。

「転用だ。それよりも。」

とヴァレールの耳元に口を寄せて、「あの犬より先にモーシャを見つけろ。」とささやく。

ヴァレールは小さくうなずくと、アロンには一緒に手伝うように、ハヴェルにはこの場に残って備えるよう指示を出し、貴賓館から厩舎へと向かう。

 

 アグラミアは自室で途方に暮れていた。

「アグラミア、少し良いか?」

部屋の入り口には、ベルスが立っていた。

「どうぞ。私もお伺いしたいことがありました。」

「では、先に聞こう。」

ベルスは優しく慇懃な仕草で促す。

「今後の領地の扱いについてです。」

その問にベルスは、言葉を選ぶそぶりを強調しながら応える。

「そうだな。今回の件では貴族にも迷惑をかぶってもらう必要が出るだろう。」

アグラミアは暗い表情で、彼が仕える領地と、隣にある敵対した領地の名前をあげる。

「どちらでしょうか?」

 ベルスはおもんばかった表情で、アグラミアが仕える領地名をあげる。

「悪いようにはしない。」

アグラミアはうなだれると「あなたたちが王都でやっていることの責任はどうなります」とつぶやく。

「その話は持ち出さない方が良い。皆が過ちをおかしたのだ。

…だが、君の忠義は覚えておこう。」

震えるアグラミアの肩を優しくたたき、ベルスはもう一度「悪いようにはしない。」と彼に言い聞かせる。

 

 ヴァレールは、自分とアロンのために厩舎に預けている魔獣を受け取っていた。

彼らが利用する魔獣は、町でも目立たないことから多用される大きな馬という姿だが、あらゆる土地や気候に耐えどんな魔物にも怯えないという優秀さを誇る。

受け取った魔獣の調子を確かめ問題が無いことを確認しながらヴァレールはモーシャが行きそうな所を考える。

そういえばと、一度だけ彼が付き合ってくれた店を思い出し、そちらに向かうべく魔獣の手綱を握る。

アロンに付いてくるように伝え、魔獣で駆け出そうとする彼らの行く手を阻むように、巨大な影が降ってきた。

 馬車よりも巨大な雪豹のような姿をした魔獣がいた。

口元からは、太く自らの全長より長い触手を、立派な口ひげのように生やしている。

本来であれば町に入ることなど許されない、極めて凶暴で強力な魔獣だった。

 魔獣にまたがっていたレコは身軽な動きで飛び降り、その場で魔獣を待たせ、ヴァレール達の方に向かって歩いてくる。

 

 魔獣とレコを交互に見ながら「どうしました?」とヴァレールは問う。

「もしもナルルースがベルスに従わなかった場合の相談をしたい。」

レコはやはり率直に要件を告げる。

アロンは自身の魔獣を一歩下がらせ、レコと彼の魔獣と目を合わさないよう背を向け俯く。

「彼らがメモるのはいつも事でしょう?」

ヴァレールはうんざりした表情で茶化す。

その態度に不満を覚えたように雪豹の魔獣は触手をふわりと持ち上げる。

あの魔獣がヴァレールの知る者ならば、触手には麻痺か死の呪いが仕込まれている。

「この地は彼女にとって個人的な思い入れがある。

感傷に流され、間違いを犯すかもしれない。

その際には、直接私に従ってもらいたい。」

「それは無い。彼女は間違いません。

俺は彼女に従うだけです。」

 ヴァレールはレコと魔獣を交互に見つめながら言い切ると、怯えるアロンを連れて雪豹の魔獣の脇をすり抜ける。

魔獣は小さく唸ると触手を下げて彼らを通す。

無表情にヴァレール達を見送ったクコは、彼の魔獣に何かを言付け、ヴァレール達が向かったのとは反対へと使いに出す。




「まじない」と「のろい」は漢字にすると見分けが付かないですね。
面白いかなと放置したのですが、普通に紛らわしかったかも。
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