もし南雲ハジメが全集中の呼吸の使い手だったら   作:籠城型・最果丸

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やっぱり雷の呼吸だけじゃ七大迷宮攻略できそうにないなと思って名称変更しようかなと考えてる最果丸です。

この小説の今後の展開を決めるアンケートを出します。大変身勝手で申し訳ございません。


悲報(朗報)

勇者、鍛冶師に負ける。


第四話 狙われたハジメ

俺が隠していた本性の一部を露わにしてから二週間が経った。

 

現在、俺は訓練の休憩時間を使って図書館で調べ物をしている。その手には〝北大陸魔物大図鑑〟というなんの捻りもないタイトル通りの巨大な図鑑があった。北があるなら〝南大陸魔物大図鑑〟って無いの?

 

何故本を読んでいるかというと、訓練が物足りないからだ。図鑑を読んでいるのは完全に暇つぶし。多分現時点の俺なら天之河に勝てると思う。

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2

天職:鍛冶師

筋力:240

体力:270

耐性:220

敏捷:4700

魔力:230

魔耐:210

技能:全集中 雷の呼吸[+壱ノ型・霹靂一閃][+弐ノ型・稲魂][+参ノ型・聚蚊成雷][+肆ノ型・遠雷][+伍ノ型・熱界雷][+陸ノ型・電轟雷轟][+漆ノ型・火雷神]・抜刀術・縮地・雷属性適正・刀鍛冶・錬成・音響探知・魔力感知・魔力操作・常時覚醒・言語理解

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これが今の俺のステータス。全部200超えしてる。敏捷に至っては4000超えだ。ちなみに天之河はというと…

 

 

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天之河光輝 17歳 男 レベル:10

天職:勇者

筋力:200

体力:200

耐性:200

敏捷:200

魔力:200

魔耐:200

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読

高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

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おいおい…俺より八つもレベル高いくせにステータス(敏捷除く)に差があまりないとかおかしいだろ。

 

全属性適正とか巫山戯てんのか?俺なんか雷属性一択なんだぞ。

 

トータスにおける魔法は、体内の魔力を詠唱により魔法陣に注ぎ込み、魔法陣に組み込まれた式通りの魔法が発動するというプロセスを経る。魔力を直接操作することはできず、どのような効果の魔法を使うかによって正しく魔法陣を構築しなければならない。

 

そして、詠唱の長さに比例して流し込める魔力は多くなり、魔力量に比例して威力や効果も上がっていく。また、効果の複雑さや規模に比例して魔法陣に書き込む式も多くなる。それは必然的に魔法陣自体も大きくなるということに繋がる。

 

例えば、RPG等で定番の〝火球〟を直進で放つだけでも、一般に直径十センチほどの魔法陣が必要になる。基本は、属性・威力・射程・範囲・魔力吸収(体内から魔力を吸い取る)の式が必要で、後は誘導性や持続時間等付加要素が付く度に式を加えていき魔法陣が大きくなるということだ。面倒。

 

しかし、この原則にも例外がある。それが適性だ。

 

適性とは、言ってみれば体質によりどれくらい式を省略できるかという問題である。例えば、火属性の適性があれば、式に属性を書き込む必要はなく、その分式を小さくできると言った具合だ。

 

この省略はイメージによって補完される。式を書き込む必要がない代わりに、詠唱時に火をイメージすることで魔法に火属性が付加されるのである。

 

大抵の人間はなんらかの適性を持っているため、上記の直径十センチ以下が平均である。思ったけど、小さ過ぎない?

 

ところが、俺はどうやら魔力を直接操れるらしく、魔法を撃つのに魔法陣は要らないようだった。まあ雷の呼吸の強化に使うから別にいいけどさ。

 

(どっか旅に行きてぇ~。でもそろそろ訓練がまた始まる頃だ)

 

時間というものは、あっという間に過ぎてしまうそうで、次に俺を待っているのは、憂鬱と怒りが混ざった地獄だった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

訓練施設に到着すると既に何人もの生徒達がやって来て談笑したり自主練したりしていた。もうちょっとゆっくり来てもよかった。俺は支給された刀を鞘から抜いた。

 

この刀、実は俺が握るまで色が付いていなかったらしい。だが、俺が一回鞘から引き抜いた瞬間、刀身に黄色の稲妻模様が走った。雷の呼吸にぴったりだ。

 

素振りでもするかと刀を構えると、後ろから嫌な音がした。俺は咄嗟にその場から離れ、よろめきながらもなんとか立ち直した檜山を冷めた目で見た。

 

こいつらと来たらろくに訓練もしないくせに事あるごとに俺にちょっかいを掛けてくる。いい加減止めて欲しい。

 

「ちっ、避けんじゃねぇよ」

「お前が殴りかかってきたからそれを躱しただけだろ?」

「後ろを向いてなかったお前が何で分かんだよ!」

 

答えは簡単。俺は聴覚が人より鋭いからだ。まあ殺気だけでも避けられたからいいけど。

 

「どうせプレート弄ったんだろ?南雲のことだし一般人以下に決まってる。学校じゃ如何にも無能って顔してたし」

「じゃあさ、俺らで稽古つけてやんね?」

 

は?何なのお前ら。無能って顔ってどんな顔なんだよ。っていうか不真面目なお前らに稽古つけてもらうくらいならフグの肝喰って死ぬ方が大分マシなんだけど。あとどうやってプレート弄るってんだよ。

 

「あぁ? おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね? まぁ、俺も優しいし? 稽古つけてやってもいいけどさぁ~」

「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ~。南雲~感謝しろよ?」

 

巫山戯んな。何で感謝しなきゃいけないんだよ。

 

そんなことを言いながら馴れ馴れしく肩を組み人目につかない方へ連行していく檜山達。正直気持ち悪い。それにクラスメイト達は気がついたようだが見て見ぬふりをする。おいお前ら見てないで助けろよ!あくしろよ!

 

「いや、一人でするから大丈夫だって。俺のことは放っておいてくれていいからさ」

 

一応やんわりと断ってみた。これで済んでくれたら楽なのだが、そうはいかないらしい。

 

「はぁ?俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの?マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」

 

そう言って、檜山は俺の脇腹に一発入れようとした。だが、檜山の拳が俺の脇腹に直撃するよりも速く俺の拳が檜山の顔面を殴り飛ばした。思わぬ反撃を喰らった檜山は大乱闘する格ゲーみたいに吹っ飛んだ。鍛えてもらうべきなのはお前らじゃねぇの?

 

「大介!」

 

近藤が何か喚いてるが気にしない。耳障りだから今度は近藤をどっかの姫様が兵士を思いっ切り蹴っ飛ばすスマホゲーみたく蹴り飛ばす。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。神の使徒に恵まれなかったあのクソジジイが流石に気の毒でならなぇよ」

 

更にそう吐き捨ててやった。

 

「てめぇ、よくもやりやがったな!」

 

まだ生きてたの?怖っ。

 

怒りの沸点が低い檜山は剣を取り出した。殺す気らしい。百パー無理だろ俺を殺すとか。

 

「おい大介!それは流石に不味いんじゃねぇの?」

「うるせぇんだよ。バレなきゃいいだろうが!」

 

 

はぁ……どこまでもクズな野郎共だ。そっちがその気なら俺も全力でやるけどいいの?

 

俺は左膝を地面に付け、跪く体勢を取った。

 

「シィィィィィ」

 

辺りに雷の呼吸独特の呼吸音が響く。

 

「ヤバくないか俺ら?今すぐ逃げたほうがいいって気配してんだけど」

「ああ、あそこでぶちぎれてる大介連れて戻るしかないだろ」

「おい南雲!何変な音出してんだよ調子乗ってんの?」

 

俺は刀の柄に右手を掛け、左手でしっかり鞘を持ちながら刀を鞘から少し抜く。

 

「【雷の呼吸 参ノ……】」

「何やってるの!?」

 

突然、怒りに満ちた女の子の声が響いた。その声に「やべっ」という顔をする檜山達。その声の主は、俺を十回に九回苛立たせる白崎さんだった。彼女だけでなく、八重樫さんや天之河、坂上もいた。

 

「いや、誤解しないで欲しいんだけど、俺達、()()()()の南雲が特訓してたからちょっと付き合ってただけで……」

「南雲くん!」

 

誰が聞くかゴミめ。とでも言わんばかりに檜山の言い訳を華麗に無視する白崎さん。

 

「特訓ね。どうやらその必要は無かったみたいだけど?」

 

そもそもこいつらの特訓自体要らないんだけど。っていうか見てたなら止めてくれよ!

 

「いや、それは……」

「言い訳はいい。いくら南雲が戦闘に向かない天職だからって、同じクラスの仲間だ。二度とこういうことはするべきじゃない」

 

そうだそうだ!さっきみたいのは二度とごめんだからな。ってかコイツ舐めてんの?俺お前より強いよ?ステータスオール200でレベル10の勇者がたかがレベル2の鍛冶師に負けてんじゃねぇよ。

 

「くっだらねぇことする暇があるなら、自分を鍛えろっての」

 

坂上の言う事は完全に正論だ。ろくに訓練してない連中が俺を鍛えるだと?笑止千万だわ。俺じゃなくても同じ。

 

三者三様に言い募られ、檜山達は誤魔化し笑いをしながらそそくさと立ち去った。元からゼロだった好感度がとうとうマイナスに突入した。とっととくたばれ糞野郎。

 

白崎さんが俺を治療しようとするが、掠り傷一つ付いてないから俺はそれを断った。寧ろ檜山と近藤を治療した方がいいと思う。思いっ切り殴ったり蹴ったりしたから。……は?そんなこと微塵も思う訳ねーだろ馬鹿野郎。

 

「いつもあんなことされてたの?それなら、私が……」

「いいよ。あんな奴ら、白崎さんの手を借りるまでもないし」

「でも……」

「いいって言ってんだろ」

 

白崎さんは俺の気迫に肩を竦め、引き下がった。

 

「南雲君、何かあれば遠慮なく言ってちょうだい。香織もその方が納得するわ」

 

渋い表情をしている白崎さんを横目に、苦笑いしながら八重樫さんが言う。俺を苛立たせる相手に言うか?普通。

 

「だが、南雲自身ももっと努力すべきだ。訓練がつまらないからって何もしなかったら強くなれないだろう?聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っていたりその辺をぶらぶら歩いているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてるよ。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?」

 

コイツ……白崎さんと同じ位、いやそれ以上に腹立つ野郎だな。言葉に悪意は無いのは知っている。俺は耳が良いから天之河からは善意しか聞こえない。真剣に俺を思って忠告してくれている。だけど、何故か腹が立つ。コイツは性善説で人の行動を解釈する奴だ。

 

天之河の思考パターンは、基本的に人間はそう悪いことはしない。そう見える何かをしたのなら相応の理由があるはず。もしかしたら相手の方に原因があるのかもしれない!という過程を経る。で、何なの?そうとは限らないだろそれ時と場合によるってこと知らないの?まさかお前馬鹿なの?翼が六つの氷の結晶になってる⑨の妖精でもわかるだろうが。俺もお前みたいに自主練しろって言うの?滅茶苦茶してんだぞ。

 

「俺だってずっと鍛錬してんだよ。こっちはな、二週間ずっと寝ずに鍛錬してんだよ。地球ではあれだけ寝てたのにこっち来て雷に打たれてから一睡もできなくなったんだよ。お陰で今にも倒れそうなんだよ。お前は二週間徹夜で鍛錬できるのか?そう言うならできるってことだよな?それと檜山達が俺の不真面目さを直そうとした?お前の目は節穴かっての。あいつら明らかに俺を痛めつける気だったんだけど?あとステータスなら俺の方がお前らより上なんだけど。そんな俺があんな雑魚共に痛めつけられるかってんだよ。寧ろあいつらの不真面目さをどうにかした方がいいんじゃないの?」

 

俺はありったけの気力を絞って光輝に反論する。できれば反論したくなかった。単純に疲れるからだ。

 

天之河は黙って聞くことしかできなかった。よっしゃ初めてご都合解釈を封じ込めたぞ。

 

八重樫さんが手で顔を覆いながら溜息を吐き、俺に小さく謝った。

 

「ごめんなさいね?光輝も悪気があるわけじゃないのよ」

「そんなこと最初から判ってる。俺なんかよりお前ら自分のことを心配したらどうなの?」

 

俺は素っ気なく言葉を返し、訓練施設に戻った。白崎さんは俺のことをずっと心配していたがこっちからすればありがた迷惑だ。

 

(前途多難だなんてレベルじゃないんだけど……)

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

訓練が終了した後、いつもなら夕食の時間まで自由時間となるのだが、今回はメルドさんから伝えることがあると引き止められた。何事かと注目する生徒達に、メルドさんは野太い声で告げる。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ!まぁ、要するに気合入れろってことだ!今日はゆっくり休めよ!では、解散!」

 

そう言って伝えることだけ伝えるとさっさと行ってしまった。ざわざわと喧騒に包まれる生徒達の最後尾で俺は天を仰いだのだった……

 

(……これからの日々全部苦行だろ。遠征のどさくさに紛れて失踪してぇ)




「「いよっと」」

天之河「おい何だ南雲!人の顔を見るなり嫌そうな顔をして!」
ハジメ「今回はお前とかよ……まあどうでもいいけど」
天之河「君はもう少し人への配慮をするべきだと思……」
ハジメ「ここをお説教コーナーにする気かよ。ちょっと黙ってて」
天之河「……」

ハジメ「ここで、トータスこそこそ噂話」

ハジメ「俺に雷を落としてくれたあのクソッタレエヒト。実は鬼滅の刃の読者であり(本人曰く、ゲームを続けるための参考として配下に勧められたので、試しに読んでみたらハマった)、特にお気に入りのキャラは鬼の始祖鬼舞辻無惨らしいですよ(この小説内だけの設定)」


ハジメ「ほんと何でお前が勇者に選ばれちゃったんだろうな……」
天之河「何だ?俺への焼餅か?」
ハジメ「ちげぇよ。何かお前が勇者になっちゃった所為で不吉な予感がしそうだからだよ」
天之河「また人を見下して……」
ハジメ「次回 第五話 月の下の約束 というわけであばよ!」
天之河「あっ、こら!南雲!止まるんだ!待て!!」


つづく

名称変更しようかなと思っておりますが、変えてもいいと思いますか?

  • 変えてよし
  • そのままでなんとか頑張れ
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