もし南雲ハジメが全集中の呼吸の使い手だったら   作:籠城型・最果丸

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どうも、最果丸です。

こんな突然の思いつきである小説が(私の書いたやつの中で)一番人気なのに驚いております。

さて、遂にオルクス大迷宮です!! ハジメ君は奈落には落ちません!!


第六話 迷宮を駆ける雷

翌日、俺達は【オルクス大迷宮】の正面入口がある広場に集合していた。

 

俺としてはもっと薄暗い、陰気なものを想像していたのだが、入口まるで博物館の入場ゲートのようにしっかりとしていて、受付窓口まであった。制服姿の女性が笑顔で迷宮への出入りをチェックしている。

 

ここでステータスプレートをチェックし、出入りを記録しておくことで死亡者数を正確に把握する為だ。戦争を控え、多大な死者を出さない為の措置なのだろう。

 

入口付近の広場には露店なども所狭しと並び建っており、それぞれの店の店主がしのぎを削っている。まるでお祭り騒ぎだ。

 

浅い階層の迷宮は良い稼ぎ場所として人気があるようで人も自然と集まる。馬鹿騒ぎした野郎共が勢いで迷宮に挑んで命を散らしたり、裏路地宜しく迷宮を犯罪の拠点とする輩も多くいたようで、戦争を控えながら国内に問題を抱えたくないと冒険者ギルドと協力して王国が設立したのだとか。入場ゲート脇の窓口でも素材の売買はしてくれるので、迷宮に潜る者は重宝しているらしい。

 

俺達は、お上りさん丸出しでキョロキョロしながらメルド団長の後をカルガモのヒナのように付いていった。

 

 

迷宮の中は、外の賑やかさとは無縁だった。

 

縦横五メートル以上ある通路は明かりもないのに薄ぼんやり発光しており、松明や明かりの魔法具がなくてもある程度視認が可能だった。緑光石という特殊な鉱物が多数埋まっているようで、【オルクス大迷宮】は、この巨大な緑光石の鉱脈を掘って出来ていた。

 

俺達は隊列を組みながら軍隊のように進んでいく。しばらく何事もなく進んでいると広間に出た。ドーム状の大きな場所で天井の高さは七、八メートル位といったところだろうか。

 

と、その時、物珍しげに辺りを見渡している俺達の前に、壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が湧き出てきた。もう少しマシな現れ方無かったのかよ……

 

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ!交代で前に出てもらうからな、準備しておけ!あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃない。冷静に行け!」

 

その言葉通り、ラットマンと呼ばれた魔物が結構な速度で飛びかかってきた。結構な速度とはいっても、俺からみれば止まって見える。

 

灰色の体毛に赤黒い目が不気味に光る。ラットマンという名称に相応しく外見はねずみっぽいが……二足歩行で上半身がムキムキだった。八つに割れた腹筋と膨れあがった胸筋の部分だけ毛がない。まるで見せびらかすように。気持ち悪い奴らだな……

 

正面に立つ光輝達――特に前衛である八重樫さんの頬が引き攣っている。ほら御覧、気持ち悪いじゃない?

 

間合いに入ったムキムキねずみをバカ之河、八重樫さん、脳筋野郎の三人で迎撃する。その間に、白崎さんと特に親しい女子二人、メガネっ娘の中村恵里とロリ元気っ子の谷口鈴が詠唱を開始。魔法を発動する準備に入る。訓練通りの堅実なフォーメーションだ。

 

バカ之河は純白に輝くバスタードソードを視認も難しい程の速度(俺以外全員そう見える)で振るって数体をまとめて葬っている。

 

そいつの持つその剣はハイリヒ王国が管理するアーティファクトの一つで、お約束に漏れず名称は〝聖剣〟である。光属性の性質が付与されており、光源に入る敵を弱体化させると同時に自身の身体能力を自動で強化してくれるという“聖なる”というには実に嫌らしい性能を誇っている。ほんと嫌らしい。

 

龍太郎は、空手部らしく天職が〝拳士〟であることから籠手と脛当てを付けている。これもアーティファクトで衝撃波を出すことができ、また決して壊れないのだという。龍太郎はどっしりと構え、見事な拳撃と脚撃で敵を後ろに通さない。無手でありながら、その姿は盾役の重戦士のようだ。なんかどっかで見た事あるなぁ。

 

八重樫さんは、サムライガールらしく〝剣士〟の天職持ちで刀とシャムシールの中間のような剣を抜刀術の要領で抜き放ち、一瞬で敵を切り裂いていく。その動きは洗練されていて、騎士団員をして感嘆させるほどである。

 

俺がそいつ等の戦いぶりをぼんやりと見ていると、詠唱が響き渡った。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ――〝螺炎〟」」」

 

三人同時に発動した螺旋状に渦巻く炎がねずみ共を吸い上げるように巻き込み焼き尽くしていく。「キィイイッ」という断末魔の悲鳴を上げながらムキムキねずみ共はパラパラと降り注ぐ灰へと変わり果て絶命する。

 

気がつけば、広間のネズミ共は全滅していた。他の生徒の出番はなしである。どうやら、光輝達召喚組の戦力では一階層の敵は弱すぎるようだ。うん、余裕で倒せるね。俺でも余裕で倒せるね。

 

「ああ~、うん、よくやったぞ!次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めるなよ!」

 

俺達(俺自身はまだ何もやってない)の優秀さに苦笑いしながら気を抜かないよう注意するメルド団長。しかし、初めての迷宮の魔物討伐にテンションが上がるのは止められない。頬が緩む俺達(俺以外)に「しょうがねぇな」とメルド団長は肩を竦めた。

 

「それとな……今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ。明らかにオーバーキルだからな?」

 

メルド団長の言葉に白崎さん達魔法支援組は、少しやりすぎたと思わず顔を赤らめた。

 

それからは、特に問題なく交替しながら戦闘を繰り返し、順調に下の階層へ進んでいく。

 

そして、一流と二流以下の分け目である二十階層に到達した。

 

現在の迷宮最高到達階層は六十五階層らしいのだが、それは百年以上前の冒険者がなした偉業であり、今では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだという。おいおいたった二十階層だぞ?そんなんで大丈夫かよ。

 

俺達は学生だから、戦闘経験なんてあるわけがない。しかし、全員(俺も含む。但し天職は除く)とんでもねぇチート持ちなので割かしあっさりとここまで降りて来られた。

 

もっとも、迷宮で一番恐ろしいのはトラップだ。場合によっては致死性のトラップも数多く仕掛けられている。

 

この点、トラップ対策として〝フェアスコープ〟というものがある。これは魔力の流れを感知してトラップを発見することができるという優れものだ。迷宮のトラップはほとんどが魔法を用いたものであるから八割以上はフェアスコープで発見できる。ただし、索敵範囲がかなり狭いのでスムーズに進もうと思えば使用者の経験による索敵範囲の選別が必要だ。

 

遵って、俺達が素早く階層を下げられたのは、偏に騎士団達の誘導があったからだといえる。メルド団長からも、トラップの確認をしていない場所へは、絶対に勝手に行くんじゃねぇぞと、強めに言った。

 

「よし、お前達。ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ!今日はこの二十階層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」

 

メルド団長の掛け声が、二十階層に響く。

 

さて、ここまで俺がしてきたことを発表しよう。普通に取りこぼしを数体倒しました。それだけです。呼吸は使わず、刀と錬成魔法で倒しました。

 

周りの騎士団員達からは、感心の眼差しを頂きました。直接は見てないけど音でわかる。

 

実を言うと、最初騎士団員達は俺にはそれ程期待はしていなかったようだ。訓練をちょくちょくサボっては魔法の勉強をしてたからな。

 

ところが、俺が難なく刀で敵を斬り倒していき、尚且つ錬成で魔物を倒していくのを見て評価を改めたようだ。鍛冶師が実戦で錬成なんてもの使うの見た事ないのだろう。

 

人が眠っている夜中に練習したので、他人の前で見せたのはこれが初めてだ。

 

小休止に入り、ふと前方を見ると白崎さんと目が合った。だが俺が直ぐ視線を逸らしたので表情はわからなかった。それでも、嬉しそうにしていたのはわかった。

 

「香織、なに南雲君と見つめ合っているのよ?迷宮の中でラブコメなんて随分と余裕じゃない?」

(目が合った瞬間目を逸らしたから見つめ合ってはいないだろ)

 

八重樫さんが小声で話しかけた。

 

「もう、雫ちゃん!変なこと言わないで!私はただ、南雲くん大丈夫かなって、それだけだよ!」

(それがラブコメしてるって事でしょ?)

 

八重樫さんのからかうような口調に思わず、白崎さんは怒ったように反論する。

 

そんな二人の会話に対して、早く終わってくれないかなと思っていると、突然視線を感じた。機械油みたいにギトギトした、負の感情たっぷりの視線だった。今までも教室などで感じていた類の視線だが、それとは比べ物にならないくらい深く重い。

 

その視線は今が初めてというわけではなかった。今日の朝から度々感じていたものだ。十中八九檜山の仕業だろう。

 

昨夜白崎さんが言ってた嫌な予感って、絶対アイツが絡むに決まってる。

 

小休止を終え、俺達は二十階層を探索する。

 

迷宮の各階層は数キロ四方に及び、未知の階層では全てを探索しマッピングするのに数十人規模で半月から一ヶ月はかかるというのが普通だ。

 

現在、四十七階層までは確実なマッピングがなされているので迷うことはない。トラップに引っかかる心配もないはずだった。

 

二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

 

そこまで行けば今日の実戦訓練は終わりだ。神代の転移魔法の様な便利なものは現代にはないので、また地道に帰らなければならない。きつい。俺達は、若干、弛緩した空気の中、せり出す壁のせいで横列を組めないので縦列で進む。

 

すると、俺の耳が魔物らしき音を捕らえた。先頭を行く光輝達やメルド団長も、続いて立ち止まった。訝しそうなクラスメイトを尻目に戦闘態勢に入る。

 

「擬態しているぞ!周りをよ~く注意しておけ!」

 

メルド団長の忠告が飛ぶが、俺は既に魔物の居場所を特定している。

 

忠告が飛んだ直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

メルド団長の声が響く。天之河達がロックマウントというカメレオンゴリラの相手をするようだ。飛び掛かって来たロックマウントの豪腕を坂上が拳で弾き返す。その隙に、天之河と八重樫さんが取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。

 

坂上の人壁を抜けられないと感じたのか、ロックマウントは後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸った。

 

全集中の呼吸を使ってくるのかと思ったら、全く違った。そりゃそうか。ただの魔物が呼吸なんて使えるわけがない。

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

 部屋全体を震動させるような強烈な咆哮が発せられた。

 

「ぐっ!?」

「うわっ!?」

「きゃあ!?」

「くっ…」

 

体をビリビリと衝撃が走り、ダメージ自体はないものの硬直してしまう。今コイツが放ったのは、固有魔法“威圧の咆哮”だ。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。

 

まともに喰らってしまった天之河達前衛組が一瞬硬直してしまう。少し離れたところにいる俺もその影響を少し受けていた。

 

ロックマウントはその隙に突撃するかと思えばサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ白崎さん達後衛組に向かって投げつけた。見事な砲丸投げのフォームで。咄嗟に動けない前衛組の頭上を越えて、岩が白崎さん達へと迫る。

 

白崎さん達が準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けた。避けるスペースが心もとないからだ。

 

しかし、発動しようとした瞬間、白崎さん達は衝撃的な光景に思わず硬直してしまう。

 

なんと、岩かと思ったらまさかの二体目だった。空中で見事な一回転をキメたのが妙に腹立つ。両腕を広げて後衛組へと迫る。なんか目が血走ってて鼻息も荒いし、正直言って気味が悪い。

 

俺は別の生き物を見る目でソイツを見ていた。だが、白崎さんと谷口さんと中村さんが「ヒィ!」と思わず悲鳴を上げ、魔法の発動を中断した瞬間、俺の体は動いていた。

 

俺は一瞬でロックマウントに近づき、その頸を刎ねた。切り口から噴き出る血飛沫が、俺を赤く染め上げる。

 

俺は白崎さん達の前に立ち、構えを取った。左足を後ろに引き、前かがみになる。

 

「シィィィィ」

 

独特の呼吸音を響かせる。周りは困惑している様子だった。

 

狙うは奥の魔物。

 

「…南雲くん……?」

 

俺は刀に手を掛け、鯉口を切った。

 

「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃!!」

 

途轍もない速度で奥のロックマウントを通り過ぎる。通り際に刃を振るい、頸を斬る。そして生首がごとりと落ちる音がした。

 

その直後、後ろから物凄い音がしたので飛び退くと、先程まで俺がいた場所を、曲線を描く極太の輝く斬撃が抉り裂き、更に奥の壁を破壊し尽くした。

 

「へぶぅ!?」

「この馬鹿者が。坊主だけで十分だったのに、余計な一撃を入れるんじゃない。こんな狭いところで使う技じゃないだろうが!崩落でもしたらどうすんだ!」

 

メルド団長のお叱りに「うっ」と声を詰まらせ、バツが悪そうに謝罪する天之河。白崎さん達が寄ってきて苦笑いしながら慰める。おいおい、勇者がこんなんで大丈夫かよ。

 

その時、ふと白崎さんが崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「……あれ、何かな?キラキラしてる……」

 

その言葉に、全員が白崎さんの指差す方向を向いた。

 

そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。白崎さんを含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

グランツ鉱石とは、言わば宝石の原石みたいなものだ。特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。求婚の際に選ばれる宝石としてもトップ三に入るとか。まぁ俺は女に興味なんてないから関係のない話だけど。

 

「素敵……」

 

白崎さんが、メルド団長の簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。そして、誰にも気づかれない程度にチラリと俺に視線を向けた。何でこっち向くの!?止めて!今度こそ殺されるから!

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

そう言って唐突に動き出したのはあのバカだった。そう、昨夜俺の部屋の近くにいたあのクズである。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルド団長だ。

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

しかし、バカは聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。ああいう奴にはな、大抵トラップが仕掛けられてるんだよ。

 

メルド団長は、止めようとゴミを追いかける。同時に騎士団員の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認する。そして、一気に青褪めた。

 

「団長!トラップです!」

「ッ!?」

 

だが、運の悪いことに、メルド団長も、騎士団員の警告も一歩遅かった。

 

バカがグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられて不用意に触れた者へのトラップだ。美味しい話には裏がある。世の常である。ここ、テストに出るぞ。(出ねぇよ)

 

魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現だ。

 

「くっ、撤退だ!早くこの部屋から出ろ!」

 

メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……誰も間に合わなかった。

 

部屋の中を光が満たし、俺達の視界を白一色に染め上げる。と同時に、一瞬の浮遊感に包まれる。

 

俺達は空気が変わったのを感じた。次いで、ドスンという音と共に地面に叩きつけられた。

 

俺は足腰が丈夫なので尻餅をつくことはなかったが、クラスメイトのほとんどはハジメと違い尻餅をついていたが、メルド団長や騎士団員達、天之河達など一部の前衛職の生徒は既に立ち上がって周囲の警戒をしている。

 

どうやら、先の魔法陣は転移させるものだったらしい。現代の魔法使いには不可能な事を平然とやってのけるのだから神代の魔法は規格外だ。

 

俺達が転移した場所は、巨大な石造りの橋の上だった。ざっと百メートルはある。天井も二十メートルはありそうだ。橋の下に川は流れておらず、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっていた。まさに落ちれば奈落の底。

 

橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだ。俺達はその巨大な橋のど真ん中にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

雷の如く轟いた号令に、わたわたと動き出す生徒達。

 

しかし、迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現したからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が……

 

その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

 

――まさか……ベヒモス……なのか……

 

 

橋の両サイドに現れた赤黒い光を放つ魔法陣。通路側の魔法陣は十メートル近くあり、階段側の魔法陣は一メートル位の大きさだが、その数がおびただしい。

 

小さな無数の魔法陣からは、骨格だけの体に剣を携えた魔物〝トラウムソルジャー〟が溢れるように出現した。空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様にギョロギョロと辺りを見回している。その数は、既に百体近くに上っており、尚、増え続けているようだ。

 

しかし、数百体のガイコツ戦士より、反対の通路側の方が滅茶苦茶ヤバイ。

 

十メートル級の魔法陣からは体長十メートル級の四足で頭部に兜のような物を取り付けた魔物が出現した。見た目は完全に三本角の恐竜だ。瞳は赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らしながら、頭部の兜から生えた角から炎を放っている。

 

こいつがメルド団長が呟いた〝ベヒモス〟、という名の魔物だろう。ソイツは大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。

 

「グルァァァァァアアアアア!!」

「ッ!?」

 

その咆哮で正気に戻ったのか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

「アラン!生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベイル!全力で障壁を張れ!ヤツを食い止めるぞ!光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

「待って下さい、メルドさん!俺達もやります!あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう!俺達も……」

「馬鹿野郎!あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ!ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ!さっさと行け!私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

メルド団長の鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる天之河。いやそういうのいいから。いいからさっさと逃げるんだよ!あくしろよ!

 

どうにか撤退させようと、再度メルド団長が天之河に話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは、撤退中の俺達を全員轢殺してしまう。

 

そうはさせるかと、ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る。

 

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!!」」」

 

二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣と四節からなる詠唱、さらに三人同時発動。一回こっきり一分だけの防御であるが、何物にも破らせない絶対の守りが顕現する。純白に輝く半球状の障壁がベヒモスの突進を防ぐ。

 

衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕される。橋全体が石造りにもかかわらず大きく揺れた。撤退中のクラスメイト共から悲鳴が上がり、転倒する者が相次ぐ。

 

トラウムソルジャーは三十八階層に現れる魔物だ。今までの魔物とは一線を画す戦闘能力を持っている。前方に立ちはだかる不気味な骸骨の魔物と、後ろから迫る恐ろしい気配にクラスメイト共は半ばパニック状態だ。

 

隊列など無視して我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいく。騎士団員の一人、アランが必死にパニックを抑えようとするが、目前に迫る恐怖により耳を傾ける者はいない。

 

その内、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされ転倒してしまった。「うっ」と呻きながら顔を上げると、眼前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた。

 

「あ」

 

そんな一言と同時に彼女の頭部目掛けて剣が振り下ろされた。

 

「弐ノ型 稲魂!!」

 

トラウムソルジャーの体を五つの斬撃が切り裂いた。斬ったのは勿論俺だ。

 

呆然としながら為されるがままの彼女に、俺は声をかける。

 

「早く前へ。大丈夫、冷静になればあんな骨どうってことないよ。うちのクラスは全員チートなんだからさ」

 

俺をマジマジと見る女子生徒は、次の瞬間には「うん!ありがとう!」と元気に返事をして駆け出した。

 

俺はまだぞろぞろといる骸骨共を倒しまくる。

 

「肆ノ型 遠雷!!」

 

遠い間合いを一気に詰め、骸骨の大群を真っ二つに裂く。

 

誰も彼もがパニックになりながら滅茶苦茶に武器や魔法を振り回している。このままでは、いずれ死者が出る可能性が高い。騎士アランが必死に纏めようとしているが上手くいっていない。そうしている間にも魔法陣から続々と増援が送られてくる。

 

「……必要なのは……強力なリーダー……道を切り開く火力……チッ、アイツじゃねーか!!何やってんだよあのバカ勇者が」

 

俺は走り出した。あのバカがいるベヒモスの方へ向かって。

 

 

(もう直ぐ……()()()()()()()()()()()。ふふふ、全ては定めだよ。クラスメイト達は()()()()()()皆助かる……南雲ハジメ、君のお陰でねぇ………)

 

 

 

 

天之河達の前に、俺は立ちはだかる。

 

「なっ、南雲!?」

「南雲くん!?」

「何やってんだお前ら!早く撤退しろよ!天之河じゃなきゃあいつらは動かせない!!」

「いきなりなんだ?それより、なんでこんな所にいるんだ!ここは君がいていい場所じゃない!ここは俺達に任せて南雲は……」

「んな事言ってる場合かよ!!」

 

何言ってんだコイツ。ここにいていい場所じゃないのはお前も同じだろうが。

 

「あれが見えないのかよ!?皆パニックになってやがる!お前がいないからだぞ!!」

 

バカ勇者の胸倉を掴みながらクラスメイト共の方を指差す。前からコイツの胸倉掴みたいと思っていたが、まさかこんな形で実現することになるとは思ってもみなかった。

 

その方向にはトラウムソルジャーに囲まれ右往左往しているクラスメイト共がいた。

 

訓練のことなど頭から抜け落ちたように誰も彼もが好き勝手に戦っている。効率的に倒せていないから敵の増援により未だ突破できないでいた。スペックの高さが命を守っているが、それも時間の問題だろう。

 

「一撃で切り抜ける力が必要なんだよ!皆の恐怖を吹き飛ばすような、そんな力が!それができるのはリーダーのお前だけなんだよ!!前ばっか見てないで後ろも見ろよ!!」

 

呆然と、混乱に陥り怒号と悲鳴を上げるクラスメイトを見る天之河は、ぶんぶんと頭を振ると俺に頷いた。

 

「ああ、わかった。直ぐに行く! メルド団長! すいませ――」

「下がれぇーー!」

 

〝すいません、先に撤退します〟――そう言おうとしてメルド団長を振り返った瞬間、その団長の悲鳴と同時に、遂に障壁が砕け散った。

 

暴風のように荒れ狂う衝撃波が俺達を襲う。咄嗟に俺は前に出て、すかさず錬成で石壁を作ったが、あっさりと吹き飛ばされてしまった。それでも多少は威力を殺せたかな……

 

舞い上がる埃がベヒモスの咆哮で吹き払われた。

 

そこには、倒れ伏し呻き声を上げる団長と騎士が三人。衝撃波の影響で身動きが取れないようだ。天之河達も倒れていたがすぐに起き上がる。メルド団長達の背後にいたことと、俺の石壁が功を奏したようだ。

 

「ぐっ……龍太郎、雫、時間を稼げるか?」

 

天之河が問う。それに苦しそうではあるが確かな足取りで前へ出る二人。団長たちが倒れている以上自分達がなんとかする他ない。

 

「やるしかねぇだろ!」

「……なんとかしてみるわ!」

 

二人がベヒモスに突貫する。

 

「香織はメルドさん達の治癒を!」

「うん!」

 

天之河の指示で香織が走り出す。俺は既に団長達のもとだ。戦いの余波が届かないよう石壁を作り出している。気休めだが無いよりマシだろう。

 

天之河は、今の自分が出せる最大の技を放つための詠唱を開始した。

 

「神意よ! 全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ! 神の息吹よ! 全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ! 神の慈悲よ! この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」

 

詠唱と共にまっすぐ突き出した聖剣から極光が迸る。

 

先の天翔閃と同系統だが威力が段違いだ。橋を震動させ石畳を抉り飛ばしながらベヒモスへと直進する。

 

坂上と八重樫さんは、詠唱の終わりと同時に既に離脱している。ギリギリだったようで二人共ボロボロだ。この短い時間だけで相当ダメージを受けたようだ。

 

放たれた光属性の砲撃は、轟音と共にベヒモスに直撃した。光が辺りを満たし白く塗りつぶす。激震する橋に大きく亀裂が入っていく。

 

「これなら……はぁはぁ」

「はぁはぁ、流石にやったよな?」

「だといいけど……」

(おいおい、それはフラグだぞ)

 

坂上と八重樫さんが天之河の傍に戻ってくる。天之河は莫大な魔力を使用したようで肩で息をしている。

 

先ほどの攻撃は文字通り、天之河の切り札だ。残存魔力のほとんどが持っていかれた。背後では、治療が終わったのか、メルド団長が起き上がろうとしている。

 

そんな中、徐々に光が収まり、舞う埃が吹き払われる。

 

その先には……

 

無傷のベヒモスがいた。

 

低い唸り声を上げ、天之河を射殺さんばかりに睨んでいる。と、思ったら、直後、スッと頭を掲げた。頭の角がキィーーーという甲高い音を立てながら赤熱化していく。そして、遂に頭部の兜全体がマグマのように燃えたぎった。

 

「ボケッとするな! 逃げろ!」

 

メルド団長の叫びに、ようやく無傷というショックから正気に戻った天之河達が身構えた瞬間、ベヒモスが突進を始める。そして、天之河達のかなり手前で跳躍し、赤熱化した頭部を下に向けて隕石のように落下した。

 

天之河達は、咄嗟に横っ飛びで回避するも、着弾時の衝撃波をモロに浴びて吹き飛ぶ。ゴロゴロと地面を転がりようやく止まった頃には、満身創痍の状態だった。

 

どうにか動けるようになったメルド団長が駆け寄ってくる。他の騎士団員は、まだ白崎さんによる治療の最中だ。ベヒモスはめり込んだ頭を抜き出そうと踏ん張っている。

 

「お前等、動けるか!」

 

メルド団長が叫ぶように尋ねるも返事は呻き声だ。先ほどの団長達と同じく衝撃波で体が麻痺しているのだろう。内臓へのダメージも相当のようだ。

 

メルド団長が白崎さんを呼ぼうと振り返る。その視界に、駆け込んでくる俺の姿を捉えた。

 

「坊主!香織を連れて、光輝を担いで下がれ!」

 

俺にそう指示する団長。

 

天之河を、アイツだけを担いで下がれ。その指示は、すなわち、もう一人くらいしか逃げることも敵わないということなのだろう。

 

メルド団長は唇を噛み切るほど食いしばり盾を構えた。ここを死地と定め、命を賭けて食い止めるつもりだ。

 

そんな団長に、俺は必死の形相で、とある提案をする。それは、この場の全員が助かるかもしれない唯一の方法。ただし、あまりに馬鹿げている上に成功の可能性も少なく、俺が一番危険を請け負う方法だ。

 

メルドは逡巡するが、ベヒモスが既に戦闘態勢を整えている。再び頭部の兜が赤熱化を開始する。時間がない。

 

「……やれるんだな?」

「やります」

 

決然とした眼差しを真っ直ぐ向けてくる俺に、メルド団長は「くっ」と笑みを浮かべる。

 

「まさか、お前さんに命を預けることになるとはな。……必ず助けてやる。だから……頼んだぞ!」

「はい」

 

メルド団長はそう言うと、天之河達を引き連れて下がった。今最前線にいるのは俺だけだ。

 

「やっと心置きなく戦えるな…夢であの野郎が言ってたこと、本当に起きやがった……」

 

 

 

 

それは昨夜、白崎さんが俺の部屋を去った直後にまで遡る。ここ二週間、眠気は一切感じなかったのに、その日は何故か地球にいた頃のように強烈な眠気が襲って来た。

 

次に目を開けた時は、異様な光景が飛び込んできた。まるで滅茶苦茶に設計したような屋敷のような空間だった。

 

「ここは……何処だ?」

『我が夢幻領域へようこそ』

 

俺の後ろには、いつの間にか空中を浮いている人間のような何かがいた。

 

「……い、いきなり人が現れたんだけど?俺夢でも見てるのかな……」

『ここはね、眠っている人間しか入れない空間なんだ』

 

どうやら本当に夢らしい。

 

「お前、何者なんだ?」

『ん?……名乗るような名前はないねぇ。それはそうと君、呼吸使えるよね?』

 

名無しかよ、まあ仮に夢魔って呼んどこうかな。

 

「な、何でそれを……」

『君が地球にいた頃から見てたんだ。ここに召喚されて直ぐ、雷が直撃したみたいだけど』

「ああ、あのクソッタレエヒトとかいう奴が落としたんだろ?」

『そうだねぇ。確かにエヒトが君に雷落としたんだけど、雷を君に落とすようにアイツに指示したのは、俺なんだぁ』

 

お前の仕業だったのかよ。しかもクソッタレエヒトとグルじゃねーか。

 

「で、お前は俺をここに呼び寄せて、何がしたいんだよ」

『君をここに呼び寄せたのはね、読み聞かせをするつもりだからだよ』

 

は?読み聞かせ?この世界のおとぎ話でも聞かせるのかよ。どうせエヒトエヒト五月蝿いんだろ?勘弁してくれよ……

 

『今から君に聞かせるのはね、ノンフィクション(君達の未来)なんだよぉ』

 

ノンフィクション?俺達の未来?どういうことだ?そして心を勝手に読むんじゃねぇ。

 

『信じたくなくても、これは必ず起こるんだよぉ』

 

俺は夢魔が話す未来を聞いた。その話からは、迷宮の二十階層まで行くこと、仲間のうちの一人が罠に掛かり、更に下の階層まで転送されること、そして俺が強大な魔物を足止めしている間に裏切りに遭うことを知らされた。

 

『…そして、仲間に裏切られた鍛冶師の少年は、■■■■■■■■■■■■■■しまうのでした。おしまい』

 

まんま読み聞かせだったわ。カンペないけど。

 

『誰もこの運命からは逃れられない。全ては俺が見る未来の思うがままさ……』

 

そう言って、夢魔は朧のごとく消えた。

 

目を覚ますと、そこは宿屋の一室だった。

 

 

 

 

昨日の夢を回想していた俺は現実に戻り、再びベヒモスを睨む。

 

「シィィィィ」

 

構えを取る。そして鯉口を切る。

 

「雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷!!」

 

ベヒモスの周りを回りながら、斬りつけていく。体がデカい分、機動力も悪いようだ。

 

「伍ノ型 熱界雷!!」

 

今度はベヒモスの顎の真下で上へ飛ばす斬撃を入れた。ただ、あまりに大きすぎたので少し上がる程度だった。

 

「陸ノ型 電轟雷轟!!」

 

無数の斬撃が、ベヒモスの周りを埋め尽くす。流石のベヒモスも、雷の呼吸の前には無傷では耐えられなかったようだ。だが、それでも決定打には至らなかった。

 

倒せないのなら、戦闘力を大きく削るまでだ。

 

俺はトラウムソルジャー共のいる方へ大きく跳躍し、壁に足を着ける。

 

「雷の呼吸 漆ノ型」

 

鯉口を切ると同時に、足で壁を蹴る。

 

壱ノ型よりも速い、雷の呼吸最速の技。本来六つである雷の呼吸の七つ目の型。

 

その一撃が、ベヒモスの角を一本、打ち砕いた。

 

「火雷神!!」

 

それだけに留まらず、ベヒモスの巨体を大きく横に切り傷を付けた。

 

「よくやった坊主!こっちに戻って来い!!」

 

俺はメルド団長の方へ走った。次の瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法が殺到した。

 

夜空を流れる流星の如く、色とりどりの魔法がベヒモスを打ち据える。ダメージはやはり無いようだが、しっかりと足止めになっている。

 

いける!と確信し、転ばないよう注意しながら頭を下げて全力で走る俺。すぐ頭上を致死性の魔法が次々と通っていく感覚は正直生きた心地がしないが、チート集団がそんなミスをするはずないと取り敢えず信じて駆ける。ベヒモスとの距離は既に三十メートルは広がった。

 

俺は思わず、頬を緩めた。

 

しかしその直後、俺の表情は凍りついた。

 

無数に飛び交う魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。

 

……俺の方に向かって。

 

明らかに俺を狙い誘導されたものだ。

 

(あの塵山めぇ、やっぱり裏切りやがった)

 

だが、避けられないなんてことは無く、火球が着弾するよりも先に、壱ノ型でクラスメイト共との距離を詰める。

 

その直後、背後で咆哮が鳴り響く。振り返ると二度目の赤熱化をしたベヒモスの眼光がしっかり俺を捉えていた。

 

怒りの全てを集束したような激烈な衝撃が橋全体を襲った。ベヒモスの攻撃で橋全体が震動する。着弾点を中心に物凄い勢いで亀裂が走る。メキメキと橋が悲鳴を上げる。

 

そして遂に……橋が崩壊を始めた。

 

度重なる強大な攻撃にさらされ続けた石造りの橋は、遂に耐久限度を超えたのだ。

 

「グウァアアア!?」

 

悲鳴を上げながら崩壊し傾く石畳を爪で必死に引っ掻くベヒモス。しかし、引っ掛けた場所すら崩壊し、抵抗も虚しく奈落へと消えていった。ベヒモスの断末魔が木霊する。

 

もしあの時火球を喰らっていれば、俺も落ちていただろう。

 

白崎さんの安堵した声が聞こえてきた。

 

それを聞いたところで、俺は無言で火球を放った奴…檜山の方へ歩みを進める。

 

「な、南雲?どうしたんだよそんなおっかねぇ顔してよ……!?」

 

コイツには罪悪感というものが無いのか。虫唾が走る。

 

俺は檜山に近づき、そして刀で頸を刎ねた。

 

「「「「キャァァァァァァ!!!!」」」」

「な、南雲!何をしているんだ!!」

 

周りの女子共が叫び、天之河が怒鳴るが今の俺には関係ない。

 

俺は目を閉じ、その場に座り込む。そして刀を手に持って…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…自分の頸を斬った。夢の中であの夢魔が言っていたように。




???「今回のトータスこそこそ噂話はお休みだよ~。ごめんねぇ~」
   「次回 第七話 新たなる始まり」
   「次回も見てねぇ~」

誰を鬼にしてほしいですか?(事前に決まってるけどアンケート次第でもしかしたら変わるかも)

  • 勇者(笑)
  • 死山(檜山)
  • 恵里
  • 幸利
  • 香織
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