もし南雲ハジメが全集中の呼吸の使い手だったら 作:籠城型・最果丸
原作とは違う意味でチートなハジメになりましたので投稿させていただきます。
善逸と無一郎の面影が全くと言っていい程残ってません。ほぼ縁壱です。
オリキャラ解説
狂時
時を司る神。パスューチャとも名乗っているが狂時の方が本名。性格がコロコロと変わる。
名前の由来は、「時計が狂う」と「パスト(過去)+フューチャー(未来)」。
第八話 神も恐れた御業
俺が最初に聞いた音は、水の流れる音だった。
「ここは……俺は確か……」
ここへ来た理由を思い出そうとするが、朧げになってしまっている。他にも失った記憶があるかもしれないから、俺は自分の名前を思い浮かべてみた。
俺の名は…南雲ハジメ……よし、名前は憶えている。父親の名は愁、母親は菫……家族の方も問題はないな。後は、クラスメイトだが……何故だろうか。名前はおろか顔すらも思い出せない。いたこと自体は憶えているのだが、詳しいことはどう足掻いても思い出せない。記憶の中では俺はクラスメイトから嫌われていたようなので、無理に思い出す必要はないと判断し、それ以上の追憶は止めにした。
地球からこの世界に来たことは憶えている。訓練でも一部のクラスメイトから邪険に扱われていたこともだ。だが、どこかの橋の上で誰かを殺してからの記憶が途切れてしまっている。
俺は火を起こすことにした。暗くてよく見えないのだ。だが、ここで思い出した。俺には雷以外の属性には適正が無かったことを。ここでステータスプレートを見る。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:3
天職:鍛冶師
筋力:57600
体力:54200
耐性:48000
敏捷:49760
魔力:49880
魔耐:45780
技能:火属性適正・水属性適正・雷属性適正・風属性適正・地属性適正・剣術・全集中の呼吸[+日の呼吸][+炎の呼吸][+水の呼吸][+雷の呼吸][+風の呼吸][+岩の呼吸][+痣者][+透き通る世界]・錬成・刀鍛冶・気配感知・気配遮断・魔力感知・魔力操作・言語理解
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真っ暗でよく見えないが、何やら途轍もないことになっている気がする。だが、雷以外の属性にも適正があるのであれば心配は杞憂であった。
「顕現せよ、〝火種〟」
俺は十センチくらいの魔法陣を錬成で描き、起動し詠唱した。すると、拳ほどの大きさの炎が現れた。
辺りが少し明るくなり、俺は今の自分の様子を見ることができる。
最後の記憶の中では、俺は洋装をしていたのだが、今の俺は和装をしている。しかも草鞋まで履いている。しかし刀は無かった。
髪色も、この世界で雷に打たれて黒髪から金髪になった。今はよく見えないが、赤混じりの黒髪になっているようだ。
数分程ここに留まった後、出発することにした。ここは何処かは分からないが、何処に魔物が潜んでいるかも分からない。
俺は周囲に気を配りつつ、奥へと続く巨大な通路へと歩みを進めた。耳を澄ましてみたが、聴力が落ちているのか、自分の足音以外は全く何も聞こえない。
ここは正しく洞窟といったものだった。
低層の四角い通路ではなく岩や壁があちこちからせり出し通路自体も複雑にうねっている。二十階層の最後の部屋のようだ。
ただし、大きさは比較にならない。複雑で障害物だらけでも通路の幅は優に二十メートルはある。狭い所でも十メートルはあるのだから相当な大きさだ。歩き難くはあるが、隠れる場所も豊富にある。俺は物陰に隠れつつも着実と前に進み続けた。
結構な距離を歩いたが、疲労は全く生まれない。それどころか全力疾走でも呼吸が乱れなかった。そうして遂に初めての分かれ道に辿り着いた。巨大な四辻である。俺は岩の裏に隠れながら、どの道に進むかを逡巡した。
しばらく考え込んでいると、視界の端で何かが動いた気がしたので慌てて岩陰に身を潜める。
見つからないよう顔だけを出して様子を窺うと、俺のいる通路から真っ直ぐのところに白い兎が跳ね回っていた。
だが、その兎は柴犬くらいの大きさで、後ろ脚の筋肉が大きく発達していた。そして赤黒い線が血管のごとく体中を走り、心臓のように脈打っていた。
明らかに強力な魔物だったので、俺は右か左の道に進むことにした。右の方が兎に見つかりにくいと思った。
俺は息を潜めて隙を見計らう。そして、兎が後ろを向いて地面の匂いを嗅ぎ始めたところで俺は飛び出そうと足を踏み込んだ。
刹那、兎が何かに反応し、背筋を伸ばして立ち上がった。警戒するように耳があちこち傾いている。
(もしや見つかったか……?)
岩陰に張り付くように身を潜め、脈打つ心臓を抑える。あの耳に鼓動が伝わっていそうだった。
だが、兎が見つけたのは俺ではなかった。
獣の唸り声と共に白い毛並みで二本の尻尾を生やした狼が兎に襲い掛かった。地球の狼とほぼ同じ大きさで、兎と同じく赤黒い線が身体中を走っていた。
一体目が飛び掛かった瞬間、別の二体が姿を現した。
俺はそれを岩陰から見ていた。どう考えても兎に勝機はない、そう俺は思った。
しかし、この後兎が見せた行動で、俺の認識は間違っていたことを知った。
兎が空中で二尾狼に対し回し蹴りを炸裂させ、頸をへし折ったのだ。その直後、虚空を蹴って地上に落下し、別の一体に強烈な踵落としを喰らわせ、頭を砕いた。
二尾狼が更に二体、姿を現し、着地した直後の兎に飛び掛かる。
それでも兎は狼より強かった。なんと耳で逆立ちをし、独楽のように回転し二尾狼を弾き飛ばし、壁に激突させて絶命させた。
最後の一体が尻尾を逆立て、放電した。しかし、兎は難なく躱す。そして狼の顎を勢いよく蹴り上げた。狼の頸の骨は折れているのが見えた。
……ん? 頸の骨が見えた? 今まで気にしていなかったが、どうやら今の俺には生き物の体が透けて見えるらしい。ここに来る前はそんなことは無かった。
俺は兎の方もじっくりと見てみた。やはり体が透けて見える。脚の筋肉が発達していた。筋肉の密度も高いようだ。
ここに刀があれば多少抵抗はできるかもしれない。だが、今の俺は丸腰だ。故に、今見つかれば俺の命はない。そう俺は思い咄嗟に〝錬成〟で近くの壁に穴を掘る。無論音を立てずにだ。
一度で二メートルしか掘れないが、それでも進むには十分だ。出入口はあの兎が入ってこれないようかなり小さくしてある。塞いでしまっては窒息してしまうのでな。
ある程度掘り進んだところで、壁の隙間から液体が滴り始めた。その液体を口にすると魔力が回復するようだ。俺は液体が滴る方向へ〝錬成〟で掘り進む。進む時に頭をぶつけてしまったが、魔力回復のために飲んだところ痛みも消え失せた。どうやら怪我も治してくれるらしい。正に神の水である。
掘り進むうちに液体は量を増やし始め、更に進んだところで水源に辿り着いた。
水源は西瓜程の大きさをした、青い光を放つ鉱石だった。
「何とも美しい……」
俺は思わず呟いた。そして、鉱石から滴る液体を貯める用に石で小瓶をいくつか作った。蓋も付いている。
液体を貯めている間、他に役立つ鉱石は無いか外を探した。狼が数匹うろついていたが、〝錬成〟で倒した。ちなみに毛皮は剥いだ。
結果は、三種類だけ見つかった。緑光石、燃焼石、タウル鉱石という物だ。緑光石は割ると光るのだが、それ以外には約に立たなそうだ。
燃焼石を粉末にして火を付けると爆発するので取り扱いには気をつけることにして、残るはタウル鉱石。この鉱石は素晴らしいものだった。
冷えてしまえば脆くなるが、熱には強い。硬さも申し分ない。これなら刀を作ることはできそうだ。
燃焼石を燃やして明かりにして、俺は早速刀の製作に取り掛かった。材料の種類に恵まれていないので仕込み刀になってしまうが、これは材料が手に入り次第手を加えるとしよう。なに、既に完成した刀身に手を加えなければどうということは無い。
そして、体内時計で作製開始から四日が経過した頃、遂に刀が出来上がった。
刀身と柄は一体化し、鞘もタウル鉱石で作った。切れ味は石の柱を切断できる程。だが、これは試作品である。名前はまだない。
俺は出来上がった刀を腰に差し、外へと出る。今まで見つけて来た物も持って。
迷宮を彷徨っていると、あの時の兎がいた。兎は俺を見つけると迷わず飛び掛かった。敵を恐れず真っ直ぐ進む勇気は称賛に価する。だが、俺には兎が何をするのか手に取るようにわかる。
「日の呼吸 円舞」
俺は刀を抜き、兎に向かって弧を描くように振り下ろした。兎は体を縦に真っ二つに割かれて死んだ。
またしばらく歩いていると、狼が数匹襲って来た。
「日の呼吸 日暈の龍・頭舞い」
龍が舞うように斬撃を繋げ、数匹の狼を一掃した。
俺は刀を仕舞い、先に進もうとした。直後、後ろから獣の唸り声が聞こえた。振り返って見てみると、二メートル程の巨躯に白い毛皮の熊がいた。やはり赤黒い線が体を走っている。爪の長さは三十センチ程。切れ味も鋭そうだ。
爪熊が俺に向かって爪を振るった。爪が直接届かない距離であるにもかかわらずにだ。嫌な予感がした俺は咄嗟に、その場から飛び退いた。すると、先程まで俺がいた場所が引っ掻かれたように抉れていた。
(成程……これがこの魔物の固有魔法。遠距離の相手に斬撃を飛ばして切り裂く)
だが、当たらなければどうということはない。
「日の呼吸」
俺は一瞬で間合いを詰め、刀でその頸を貫いた。
「陽華突」
陽炎に包まれた刀身が、爪熊の喉笛を穿つ。
(どうやら此奴がここら一帯で最強の魔物だったようだ)
この階層の魔物の頂点を倒した俺は、刀を仕舞い再び歩き出す。
あれから三日彷徨い続けたが、上の階へと続く道は見つからなかった。錬成で作ろうかと考えたが途中で壁が反応しなくなった。よって、今は下の階へと降りている。
下の階は真っ暗だった。緑光石が無ければ進むことができなかっただろう。捨てないでよかった。
暗闇をしばらく進んでいると、通路の奥で何かが光った。物陰に隠れながら進んでいると、不意に左側に嫌な気配を感じた。咄嗟に飛び退きながら緑光石を向けると、そこには体長二メートル程の灰色の蜥蜴が壁に張り付いており、金色の瞳で俺を睨んでいた。
俺がその場を去ろうとしたその時、その眼が一瞬光沢を放った。
(日の呼吸 幻日虹)
咄嗟に体を捩じり、蜥蜴の視線から姿を消した。すると、先程まで俺がいた場所の色が変わり、崩れた。どうやら石化の邪眼を持っているようだ。それもかなり強力なものだ。
(日の呼吸 炎舞)
一瞬の間に繰り出される二連撃で、蜥蜴を四つ切りにした。
蜥蜴を始末すると、俺は再びこの階層の探索に乗り出す。他には何も見つからなかったので、また一つ下の層へと降りていく。蜥蜴からは皮膚を剥ぎ取った。
その階層は地面が粘着いた。お陰で進み辛い。ならば吹き飛ばしてしまえば良いのでは? 俺はそう思い、刀を振るってタールを吹き飛ばす。
「日の呼吸 灼骨炎陽」
しかし、いくら吹き飛ばしてもすぐにタールまみれになってしまう。諦めた俺はせり出た岩を足場にして進んでいった。〝鉱物系鑑定〟で調べたところ、この半液体は火気厳禁だった。火花を散らせば一瞬で灼熱地獄に早変わりだ。
まぁ火属性魔法を使わずともこの階は突破できるだろう。攻撃手段は他にあるのだから。
しばらく進み続けると三叉路に出た。近くの壁に印をつけ、左から探索しようと足を踏み出したその時。
鋭い歯が無数に並んだ巨大な顎門を開いて、鮫がタールの中から飛び出してきた。俺の頭部を狙った顎門は歯と歯を打ち鳴らしながら閉じられる。咄嗟に身を屈めてかわしたものの俺は戦慄した。
(気配を全く感じなかった。もしや此奴……至高の領域に入っているのか……!?)
あまりに気配を探り辛いので一瞬そう思ってしまった。勿論そんなことはないのだが。
俺を殺し損ねた鮫は再びタールの中へと姿を消してしまった。
(やはり気配は感じないか)
止まっていてはいずれ殺されるので即座に移動を開始する。その瞬間を見計らったかのように、鮫が飛び出す。
「日の呼吸 斜陽転身」
空中で宙返りをし、鮫の背中を斬りつける。まるでゴムみたいだった。が、鮫は背中を斬られてもなお動く。鮫が驚異的な身のこなしで体を反転させ、着地した直後の俺を狙う。だが、それが自分の頸を締めることとなる。
「日の呼吸 碧羅の天」
体を後ろに反らした後に腰を捩じり、天に円を描くように刀を振るう。鮫の頭と胴は泣き別れとなった。
「さて…行くとしようか」
鮫から皮を剥がした後、俺は階下への階段を降りて行った。
鮫の階層から更に五十階層進み、もはやどれ程時間が経ったのかは分からなくなった。それでもかなり進むペースは速いと思う。
その間にも魔物と戦いを繰り広げ、そして打ち倒していった。
迷宮全体が薄い毒霧で包まれた階層では、毒を吹き出す二メートルの虹色蛙、神経を麻痺させる鱗粉を撒き散らす蛾に襲われた。
『(日の呼吸 烈日紅鏡)』
俺は息を止め、八の字を描くように刀を振るって蛾と蛙を倒した。蓬莱の薬水(今度からあの液体をそう呼ぶことにした)が無ければ死んでいただろう。
また、地下迷宮なのに密林のような階層に出たこともあった。ジャングルよろしく蒸し暑かった。密林を歩いていると、突然、巨大な百足が木の上から降ってきた。しかも体の節ごとに分裂して俺に襲い掛かった。
「日の呼吸 輝輝恩光」
体ごと渦巻くように回転しながら百足に突っ込んだ。百足を一匹たりとも逃さず斬り伏せた。
そして次は樹の魔物だ。根で地中から突き上げてきたり、蔓を鞭のようにしならせて打ってきたりした。
「日の呼吸 飛輪陽炎」
刃渡りを誤認させ、回避率を下げた一振りで根や蔓を斬った。
「日の呼吸 火車」
体を縦に回転させ、樹を斬りつけた。すると、赤い果実を大量に投げつけて来た。試しに食べてみたところ、西瓜の味がして美味だった。食料を口にしたのは数十日ぶりだ。それまではずっと蓬莱の薬水で凌いできた。
あまりに美味しかったので俺は樹の魔物をほとんど狩り尽くして手に入れた果実を持って行くことにした。
気付けば五十階層まで降りていた。終わりは未だ見えない。
俺は荘厳な両開きの門の前に立ち、門扉へ向かって一歩を踏み出した……
狂時「(いやー大変だった大変だった。俺は全能の神じゃないから他の神の力を借りるはめになってしまった)」
是空「奈落の底に転送したのは俺ちゃん」
融裂「肉体の再構築は私がしておいた」
霊流「魂の定着は私がやったわ」
狂時「ここで、トータスこそこそ噂話をしよう。俺の仲間は俺も含めて全部で十二柱存在する」
是空「次回 第九話 百花繚乱の吸血姫」
狂時「お前らも続きを待たないか?」
融裂「素直に続きをお楽しみにと言えば良いものを……」
つづく
誰を鬼にしてほしいですか?(事前に決まってるけどアンケート次第でもしかしたら変わるかも)
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勇者(笑)
-
死山(檜山)
-
雫
-
恵里
-
幸利
-
香織