私はハイビスカス。ロドスの医療術師見習いです。
皆からはハイビスって呼ばれてます。
そして私の前で顔を顰めながら私の自慢の栄養食を食べている彼は、ついこの間ロドスに就職した新人オペレーターさんです。
彼は非常に辛そうな顔をして栄養食を食べていますが、別に新人いびりをしているわけではありません。
むしろ彼の健康を気遣って、スペシャルでビッグな栄養食をプレゼントしたんですから、その真逆と言えるでしょう。
それに、嫌そうながらも、彼はしっかりと栄養食を食べてくれます。たまに残される方もいますけど、彼は毎回残さず食べてくれるのです。
きっと健康に対するしっかりとした意識をお持ちなんですね…感激です。
そういえば、彼と出会ってからもう数か月が経とうとしています。
ロドスで彼と一番最初に出会ったのは私でした。
彼に出会ったのは、激しく雨の降る夜。
彼は誰にも気づかれることなくロドスの甲板の上にいて、ロドス内に通じる扉の一つをノックしていました。
ロドスは天災被害者や感染者をよく受け入れます。
難民となっている人が先約なしで訪ねてくることもよくあることで、見知らぬ人が玄関先に立っていてもそれほど驚きはしません。それまでに外部カメラやセンサーが検知して、館内放送で誰かが来ることが伝えられますし、出会っても扉を挟んで少し待ってもらって担当のオペレーターの方を連れて来るだけですから。
ですが、豪雨の中、本当に何の前触れもなくやってきたのは彼だけでした。
まるでその場にいきなり現れたかのように、彼はそこにいたんです。
雨音に混じる明らかに雨音ではないコンコンという音を聞き、様子を見に行った私がどれほど驚いたか。
扉の窓から映る、ぐっしょりと濡れた男性のシルエット…
思わず腰を抜かして悲鳴を上げてしまいました。
その悲鳴を聞きつけたオペレーターの皆さんが集まってきて、一時騒然となったのは今では笑い話として時折持ち出されますけど、あの時は本当に恐ろしかったんです。
きっと他の皆さんも緊張状態だったと思います。武器に手をかけている人もいましたから。
剣呑な空気の皆さんに、彼は慌てて弁明しました。
自分は鉱石病の治療のためにロドスを訪れた。危害を加えるつもりは少しもない、と。
その後彼はその場にいたフロストリーフさんやシージさん達に半ば連行されるような形で医務室に行き、検査を受けてそのまま緊急手術が行われました。
後で聞いた話では、彼は体内ので生成された源石結晶が臓器を傷つけていて、早急に取り除かなければ命の危機があるほど悪化した状態だったようです。
その後、彼は治療費が無いので働かせてくれと言い、そのままあっさりオペレーターとなってしまいました。現在は特殊オペレーターの職に就き、ロドスで術師を目指す子どもや、まだ成長途中の術師オペレーター達の指導に当たっています。
神出鬼没で、捕まえようとするとまるで捕まらないことが玉に傷ですけど、彼は頼れる同僚として、ロドスに受け入れられています。
「あのさ、ハイビスちゃん。ほんとにこれ全部食べなきゃダメかな…?」
「ダメですよ!この間手術したばっかりなんですから、ちゃんと栄養を取らないとダメです!」
「…うぅ、ラヴァちゃん、助けて…」
彼はオペレーターブックマーク。
新しいロドスの仲間です。
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