~トリステイン魔法学院~
かつて闘技場は優秀な人材を確保する為に作られた。だが今は違う…今はどんな人物でもある程度勝利すれば参加出来る無差別部門の重賞はシリウスの全て出来レースになってしまい、魔法を苦手とする者、あるいは魔法が使えない者は格闘部門に、それ以外はそれぞれの得意とする属性の魔法の部門に行ってしまった。
カール達がシリウスを遠ざけたのもよほど大きな試合で無い限りはシリウスが出ないように対策を打ったのだ。もし全ての試合に出さないようならシリウスが大暴れしてしまう危険性もあったので年に四回行われる超ビックな試合のみを出すことにしたのだ。
しかしそれでもノルマンディー王国から去る人々もおり人口増加数が減り続けている。
だがノルマンディー王国に住む人々が増加しているのには変わりはなくノルマンディー王国に住む者が大勢いる。 その理由は他の国にはないカールの弟妹たちが錬金で一から作り上げ日本以上の技術力で作った機械類、アニメや本などの娯楽、そして平民アンチのロマリア(平民主観)を潰した功績にある。
カールがロマリアを潰すきっかけを作ったのはブリミル教そのものにある。地球でもそうだったが異端扱いされる場合は後々それが真実だと発覚する場合があり、重大な事実であることもあった。その事実が隠されてしまったら技術は進歩せず何一つ成長の見込みはない。その上魔法で大半は解決出来てしまうのも原因だった。それ故に6000年以上も中世のヨーロッパの文化力のままだったのだ。
ひょっとしたら新しい技術を発見した者もいたのかもしれないがロマリアに異端認定されてしまったことで処刑されてしまった者もいたのかもしれない。カールはそう思い、ロマリアを潰さなければノルマンディーだけでなくハルケギニアは永遠に進歩することのない世界になってしまうのを恐れきっかけが出来たのだ。
話を戻すがハルケギニアには平民がほとんどである。しかし魔法を使えない平民が大半であるが100%純血の平民と言うのはほとんどいない。むしろ平民の先祖に辿り着くのは貴族の先祖と同じくブリミルである。
その根拠は貴族の長男以外の男の子供は何かしら功績を上げない限りは平民に没落することがあり、平民と結婚するパターンが数多くある。しかしその元貴族は子供に魔法を教えることはほとんどない。それ故に平民は魔法を使えないと思い込みその繰り返しが続き平民は魔法が使える素質はあるのに教育を受けていないから使えないという状況になっている。
カルロスが考えたのは魔法を使えない筈の平民を魔法を使えるようにして人材を確保しようと考えたのだ。その結果魔法を使える平民が大勢おり、平民達も『魔法が使えるようになりたければノルマンディー王国に行くべきだ』と思い始めノルマンディー王国に移住し始め…結果人口増加とカールとその弟妹達の影響で技術は爆発的に進歩し僅か建設10年弱でノルマンディー王国は世界でもダントツの科学力をもっている。
カールの闘技場建設の理由は実に簡単なことであり、その魔法が使えるようになった平民がどれだけ自分の力が強くなったか確かめるために力に溺れさせ…闘技場があり近くに寮やホテルもあるノルマンディー王国に滞在させるように誘導したのだ。
ちなみにカールの妹達はかつて世界でも羽ばたける筈の技術者、科学者などの者が転生した姿である。
彼女達は研究職に着くには欲が小さ過ぎた…せいぜいあっても人並みの欲しかなかった。研究職で生活するには他人の業績を奪ってまでしなくては生活が出来ないと言われるほど厳しい物である。
それ故に欲深い同僚あるいは上司に業績を取られてしまい世界に羽ばたくことなく惨めに死んだ。
しかし彼女達は転生してカールの妹として生きることになり出来る限りカールに協力をした。カールももちろん彼女達に名誉を与え自分に忠実にしている。そうでもしなければ逆に協力を断られるので実際の立場は女性の方が上であるのだが彼女達は元々欲が浅いのか余程の事が無い限りはワガママを言わないのでお互いに楽に協力しあっている。
何故、今こんな話をしているのかと言うと…
「そう言う訳でノルマンディー王国は栄華を極めたんだ。…と今日の歴史&地理の授業はここまでだ。もしもノルマンディー王国について質問があるなら俺に質問しろ。じゃあ解散!」
水の魔法教師エンペルが地理と歴史の授業をしており解説をしていたからだ。最もカール達が転生者と言うことや地球のことについては伏せてある。
「あの、先生。」
一人の生徒がエンペルに尋ねる。
「どうした?」
「ノルマンディー王国の国王…カール様は生きているんですか?」
「どうしてそんな質問を?」
「カール様に聞きたいことがあるからです…それにノルマンディー国内で噂になっています。ここ数年カール様はいつも不在だと…」
「なるほど…そう言う理由か。まあ…生きてはいるだろうな。」
「本当ですか?!」
「と言っても一教師の勘だ。あまり当てにするな。他にはないか?」
「はい。ありません…」
「そうか。それじゃ失礼するよ。」
~食堂~
エンペルが食堂に行くと悪夢が起きていた。
「おい、てめえらか?この野郎?あの車がいくらすると思ってやがるんだ?あ?」
シリウスが約十数名の生徒を正座させて説教をしていた。
「ず、ずみまぜん…!」
その悪夢とはシリウスがブチ切れ、一年生から三年生問わずシリウスが水の魔法で作った自白剤を食事に入れて吐かせたところ、十数名で車を燃やしたことが発覚し、関わった生徒はボコボコにされ、中には失禁した生徒もいれば血塗れになった生徒もいた。
ちなみにこの時点でシリウスの犯罪は器物損傷罪、暴力罪、脅迫罪…etc
*もちろんこんなことは絶対に真似しないようにしよう。
「おい…謝るんなら弁償しろや!」
ドガッ!
シリウスは生徒の一人をヤクザキックで蹴り飛ばした。
「げふっ!ゴホッゴホッ…」
その生徒は血を吐き、子供がみたら泣いてしまうほど酷い状態だ。
「いくら…になりますか?」
隣にいた女生徒が弁償することを決め、値段を聞いた。
「そうだな…確かお前らのところで1000万エキューだ。」
ここで1000万エキューがどれだけ高いか教えよう。1エキューが約1万円相当になるので1000万エキューは1000億円ということになる。
「1000万エキュー!?」
貴族の平均年収は500エキューである。その年収を2万年分を寄越せと言われたら流石に無理だろう。何しろブリミル教誕生ですら6000年しか経っていない。
「無理だ!そんな話」
ドンッ!
生徒の一人が『そんな話あるか!』と言おうとしたがシリウスが地面を殴り遮った。
「それが出来ねえなら…てめえらの肝臓なり、心臓なり身体で払って貰うしかねえな…」
思い切りやっていることと言っていることがヤクザかマフィアである。この教育はシリウスの育って来た環境がヤクザやマフィアみたいな人が多くそう育ってしまったのだ。そういった意味ではカール達の失敗とも言える…
「身体で払うって…?!」
生徒達がそれにビビり、身体を震える。
「一人あたりが66万エキューだとすると…1万エキュー足りねえがサービスしてやる。…死ね!」
シリウスが剣を取り出し首に向かって振り、殺そうとするが…
「やめろ。」
流石に人が殺されるのは見ていられずエンペルはシリウスの腕を掴み止めた。
「何をする…!」
「やめろと言っている。もしここで騒ぎを起こせば無益な血を流すことになる。」
エンペルが必死にシリウスを説得し、なだめる。
「…そうか。なら仕方ない。手を離してくれ。剣をしまう。」
シリウスは納得したのかわからないが剣をしまう意思を見せた。
「それでいい。」
エンペルはシリウスの手を離して安心した。
「…おい、てめえら。きちんと車台は弁償して貰うからな。弁償出来ない時は…わかっているな?」
シリウスはそう言って立ち去って行った。
「「ははーっ!!」」
十数名の生徒達はシリウスに平伏した。
「ありがとうございます!エンペル先生!」
「あの暴君を抑えるなんて…尊敬します!」
エンペルは生徒達にかなり感謝されていた。というのもシリウスがあまりにも怖過ぎてどうしようもない時に救った英雄に見えたからだ。
「ミスタ・ドイツにも非があるとはいえお前達にも原因がある。今度からは下手に感情で動くんじゃない。もし動いたら私は助けることは出来ん。」
「わかりました…」
「それに新しく出来た王国とはいえミスタ・ドイツは公爵だ。お前達は他国の公爵に逆らったのと同じだ。わかっているな?」
「以後気をつけます。」
「では失礼するよ。」
そう言ってエンペルは食事をとり次の授業の準備をした。
「(…あのエンペルと言う教師…何者?)」
タバサは一部始終見ていたがシリウスを止めなかった。正確に言うと止められなかったのだ。
「(シリウスの腕力は竜を素手で解体する程度はある。なのにあの教師はシリウスの腕を掴んで止めた。メイジ殺しの戦士ならともかく、普通のメイジならあり得ない。むしろ掴んだ手がポッキリ言ってもしょうがない。)」
タバサはシリウスの実力を知っており、腕力も見てきた。その腕力が恐らく人間はおろかオークすら凌ぐほどに強いと認識していた。
「…なんにしても食べなきゃダメ…」
タバサは一旦考えをやめてハジバミ草を食べ始めた。
「(シリウスを止めるなんて何者だい?あの教師は…?)」
一方、ロングビルも驚いていた。ロングビルはシリウスのことを一方的に性格を知っている。シリウスは一度怒るとカールやカルロスなどの兄達しか止められない。特に今回はめちゃくちゃ激怒し、冷静なロングビルがその姿を見た時は思わず恐怖を感じたほどだ。
「(…もしかしたら私にも出来そうだね。今度教えて貰うか。)」
ロングビルはエンペルにシリウスの扱い方師事することに決めて内心笑った。
~数日後~
それから色々とあった。例えばギトーが凝りもせず風魔法最強説を唱えていること。フライの授業でタバサがヴィリエよりも速くそして上手く飛んだのでギドーの無責任な発言により決闘を申し込まれたが圧勝したこと。そしてギトーは余りの風魔法最強説の煩さに少し切れたシリウスにボコボコにされ、最強説をしばらく唱えなくなったこと。などなど…
そんなある日…
「本当にやる気か?」
タバサに決闘に負け恥をかいたヴィリエは火のメイジである女上級生と手を組まないかと誘われた。
「ええ…あの女狐には復讐しないといけないわ。」
彼女達はキュルケと言う一年生に彼氏を寝取られてしまい、彼氏と別れさせられたのだ。
「貴方もタバサに恥をかかされたのでしょ?」
「それとも何?風の名門ロレーヌが怖気ついたの?」
上級生三人がヴィリエを逃がさないように目をギラつかせる。
「馬鹿を言うな…確認したかっただけだ。」
ヴィリエは上級生達を制し、目つきが鋭くなる。
「そう…なら最終確認するわよ。」
上級生の一人が全員に確認をして、作戦を実行した。
ヴィリエ達の作戦はこうだ。
まずヴィリエが風の魔法でキュルケを丸裸にさせ恥をかかせる。
次にヴィリエがさりげなく戻りキュルケを連れ込みタバサがやったと吹き込む
その間に上級生三人がタバサの部屋に侵入し、タバサの本を燃やす。
そして彼女達もタバサにキュルケがやったと吹き込む。
最後には二人が決闘して勝手に自滅するというシナリオだ。
「あのチビめ…」
「「「待っていなさい…女狐…!」」」
四人の顔は酷く歪んでいた…