~虚無の曜日~
学校外でとんでもないイベントが開催された…それはトライアングルメイジ二人が現闘技場最強の名を持つ『暴君』シリウスに挑むと言うものだった。
そのイベントに興じて色々な屋台、席などが設けられ運動会をやる感じになった。
「さあ…実況は私ロングビル、解説は水の魔法教師ミスタ・エンペル、風の魔法教師ミスタ・ギトーがお送りします。」
「はいよろしくお願いします。」
「うむ…よろしく頼む。」
「それでミスタ・エンペル…今回はどちらが勝ちますかね…」
「確かにあの二人は強い…だけどミスタ・ドイツは理不尽なまでの強さを持っているから暴君なんて呼ばれる…多分というか絶対にミスタ・ドイツが勝つでしょうね。ですがあの二人は苦戦させることは出来ますよ…」
「それはどんな作戦で…?」
「それは言えません。それを使った時に私が解説します。」
「なるほど…ありがとうございます。では次にミスタ・ギトー…どちらが勝つと思いますか?」
「もちろん風魔法をいかに上手く使う方に決まっている…」
「というと…ミス・タバサのいるチームでしょうか?」
「うむ。あの生徒は優秀だ。あの忌々しい土メイジとは違ってな!」
「はい、風魔法最強説ありがとうございました。正直言ってウザいと思います。私も土メイジですし。」
「なんと…!?」
ギトーは落ち込み、そのまま拗ねた。
「おっと…選手達の入場です。」
ロングビルは無視して実況に入った。
「最初に登場して来たのは…『微熱』のキュルケこと、ミス・ツェルプストーです。彼女の家はかのトリステイン公爵ヴァリエール家と何度も戦っている火メイジの家です。ちなみに彼女の二つ名は自らつけたものらしいみたいです。」
「彼女はゲルマニアの学校では強かったみたいですが…ミスタ・ドイツにはかないませんよ。ミスタ・ドイツは闘技場で火メイジ最強とも呼び声が高い『太陽』カルロスを破っていますから…対策はバッチリでしょう。」
「続いて入場するのは『雪風』のタバサ…彼女はミス・ツェルプストーとは対象的に恋愛に興味が無く、本を読んだり、食事も渋めのものをとります…闘技場で重賞を勝ったみたいですがどうなんでしょうか?ミスタ・エンペル…」
「彼女はメイジとしての素質で言うならかなりあるでしょう…ですが接近戦となるとシリウスには到底かないません。彼女にはスピードやタフさがあってもパワーがありませんからね…いかにシリウスを近づけないかで有利不利が決まります。」
「それに…『電撃』ルドルフにもミスタ・ドイツは勝っているからでしょうか?」
「ええ…それもありますが『電撃』ルドルフは風と言うよりは雷の魔法を得意としていたので対策はミス・ツェルプストーよりかはバッチリではありません。」
「そして…ミスタ・エンペルが勝つと断言しているミスタ・ドイツが出てきました。彼の状態はどうなんでしょうか?」
「ふ…あんなわ「体調の方はバッチリでしょう…」ミスタ・エンペル…私のかい「そうですか…なら同じ土メイジとして応援したいところですが私が実況ですので公平にしないと後で文句を言われるのでキチンと実況します。」ミス・ロングビル…貴方も私の解説を「しかし、今回は闘技場よりも余裕ぶっこいてます。勝ち目は向こうにもありますよ。」さっきから「さっきよりかは期待できないと言うところでしょうか?」…」
実況と解説をする二人にギトーは無視され、ギトーはいじけてしまい非常にウザい。ただでさえウザいのにこれ以上ウザくなったら蹴り飛ばしたくなる。
げしっ!
「ぎゃあっ!」
ギトーが前に倒れ、転ぶ。
「貴方は何をいじけているんですか?貴方は風の魔法を解説していれば良いんです。」
ロングビルが本当に蹴り飛ばし、口元は笑っていたが目が笑っていなかった。
「はい…すみません。」
ギトーは謝り、解説席に戻る。
「主審にオールド・オスマンこと学院長、副審に火の魔法教師ジャン・コルベールことミスタ・コルベール…これだけ豪華な面子でやるからには両者ともにプレッシャーがあるので…しょう…か?いや、ミスタ・ドイツは鼻くそ穿ってますね。プレッシャーの欠片もありません!」
「もうやる気がないんでしょう。ミスタ・ドイツは挫折を知らない…一度天狗の鼻を金槌で折らないと気づきませんでしょう。」
「なるほど…舐めているんですね。そう言えばミスタ・ドイツの自動車を炎上させた生徒はどうなったんですか?」
「ああ…私が聞く話だと…」
~数日前某所~
詳しい場所は言えないがここはシリウスの自動車を炎上させた貴族の親達の屋敷だと思ってくれればいい。
そんな領地でとある二人がはなしていた。一人は痩せており顔は真っ青の貴族の男、もう一人は借金の取り立て屋で黒のスーツを着た男だ。
「いやしかしですね、ドイツ公爵も非があると思われますが…」
貴族の男が取り立て屋を宥め、必死に弁解しようとするが…
「ワレ舐めてんのか!?」
ドカッ!
取り立て屋は貴族の屋敷の机を殴り、恐喝する。
「ひいぃぃ!!どうか、命だけは!!」
それに完全に怯えた貴族は命乞いをした。
「若の自動車壊して何言う取るんじゃ!あ!?」
取り立て屋がまた貴族を恐喝し、更にビビらせる。
「…ま、若はおんしらの命は取ってこい言うてないし、金さえ払えればええんだす。」
「その金額が少々高過ぎ…」
パンッ!
貴族が高過ぎると妥協しようとしたが問答無用で鉄砲を撃った。
「ぎゃぁぁぁあ!?」
貴族は左肩を抑え、痛みに苦しむ。
「何か言うたか?」
取り立て屋は銃を構え、貴族の頭に狙いをつける。
「何でもありません…」
取り立て屋のいうことに貴族は逆らう気力が完全になくなり、脱力をした。
「さよか。ワシの気のせいだったちゅう訳やな。次聞こえ間違いしたら死ぬかもしれんから気ぃつけてな。」
取り立て屋は目を笑わせず、口だけを笑わせて、貴族にその笑みを見させる。つまり、取り立て屋の真意は『次、妥協したら殺すからよろしく。』と言っている。
「はい!きをつけます!」
その真意が伝わったのか貴族は頷き、手続きをした。
~回想終了~
「その後、彼らは実家に勘当されてしまってドイツ公爵領で、重ねても透けるまで薄く切ったサンドイッチを一日一食、休暇は半月に一回…睡眠時間は一日あたり30分と借金を返すために働いているらしいですよ。」
「そ、それは大変ですね…栄養失調で倒れますよ?」
「まあ一人当たり66万エキューもミスタ・ドイツに借金していますから、当然と言えば当然なんですか…家を潰さないあたりミスタ・ドイツの優しさがあると思われます。」
「解説ありがとうございます。そろそろ時間のようです。」
「ではこれより、キュルケ&タバサチームvsシリウスの決闘を始める。ルールはわかっていると思うが一応説明する。この決闘では杖を落とすか降参した方が負けじゃ。特別にミスタ・ドイツの敗北条件は10分以内に二人のどちらかを、20分以内に二人倒せなければ負けとみなす。以上じゃ。質問はあるか?」
「ちょっと!シリウスに制限時間があるってどういうこと!?」
当然キュルケはそんなルールに不満がある。キュルケからしてみれば、こんな条件で勝ったとしても全く意味がないからだ。
「これは俺が言ったことだ。」
「「シリウス!」」
「お前達を相手にそこまで時間はかからん…闘技場にしてもだ。タバサ、お前ならわかるだろう?」
「…っ!」
「ま、そう言うことだ。逆に言えばお前達は俺に唯一土付けるチャンスなんだぞ?」
「そう…なら私は5分以内で終わらせてあげるわ!」
キュルケが意気込み、ファイヤーボールを唱えようとするが…
「待たんか、ミス・ツェルプストー。ワシの合図で決闘開始じゃ。」
オールド・オスマンに止められ、キュルケは入れ込んでしまった。
「では…始め!」
そして『微熱』と『雪風』が『暴君』に立ち向かった。