「なんだ今の有様は…!!!やる気あんのか!?」
ダンッ! と壁に拳を激しく叩きつける音が響き渡る
ここはとあるスタジオの一室、ボーカルの青年がバンドメンバーに向かって怒鳴っている
「こっちもプロデビューがかかってんだよ!あるに決まってんだろうが!!」
すかさず隣でギターを弾いていたおそらく彼と同い年であろう青年が言い返すとボーカルの青年はもはや何を言いあっても無駄とでも言うように「チッ…」と舌打ちをし練習に戻ろうと後ろを振り返る
「はぁ…"那由多"、星々も言ってる。これ以上やっても効率悪いだけだ」
「同感、やる気はあれどそれだけじゃどうにもならないって」
見かねたようにベースを弾いていた青年はそんな彼を諌めるように声を掛けるとドラムを叩いていた長髪の青年もそれに続いて訴える
「お前ら……」
「那由多」
今にも飛びかかりそうなドスの効いた声でボーカルの青年が彼らに近づいていくとストップをかけるように眼鏡をかけたギターの青年、が那由多と呼ばれる青年の前に立つ
「連日の練習で皆もう限界だ、今日は解散しよう。次の練習はまたいつもの時間に始めればいい」
「あ?てめえ…」
「全員課題は充分に理解している。次の練習までに仕上げてきてくれるさ、そうだろ? "深幸"」
「………まだ見ぬかわいい俺のファンのため頑張るさ」
ゼェゼェと息を切らしながら切迫した顔で深幸と呼ばれたドラムの青年がそう答える
「里塚…何勝手に言ってやがる…!」
ついに沸点に到達した那由多が里塚と呼ばれる眼鏡のギターの青年の胸ぐらに掴みかかるが冷静に淡々と言葉を続ける
「那由多、お前の喉も限界だろ、これ以上酷使してライブ当日に潰しちゃ意味がない、これはあくまで提案だ。だが俺は【GYROAXIA】のリーダーとしてそれが最善だと思う」
「………いいだろう……今日は解散する…スタジオに残りたい奴ヤツは残ればいい」
さすがにそこまで言われると那由多は諦めたように一人スタジオを出て行く
彼らのバンド名はGYROAXIA、絶対王者の旭那由多をボーカルにし、札幌では知らない音楽ファンはいないと言われるほど有名なバンドであり
ギター担当にしてそのGYROAXIAのリーダー 里塚 賢汰
そして2人目のギター担当、旭那由多と同い年でよく彼と衝突する 美園 礼音
ベースを担当している不思議っ子 曙 涼
軽い発言が目立つが非常に練習にストイックな 界川 深幸
から成り立っているバンドだ
今回はそんなお話である
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