あるてまれアスカちゃん劇場´ 作:立花アスカの偽猫
◆『突風丸出しおでこに注意、って思いました』◆
燦
「それじゃ行ってきます! ……んにゃっ!?」
アスカ
「きゃっ!? さ、燦ちゃん。外に出た瞬間、突風が吹いてましたが大丈夫ですか!」
燦
「お、終わった……。せっかくアスカちゃんに可愛くしてもらったのに、強風でオールバックになっちゃった……」
アスカ
「た、大変!? 燦ちゃん、泣かないで。ほら、すぐに直してあげるからこっちに来て」
燦
「うん。……ぐすっ」
アスカ
「大丈夫。ここをこうすれば……はい。おでこがチャームポイントのヘアスタイルに大変身。これなら風が強くても問題ないはずです。どうかな?」
燦
「あ、……可愛い。ありがとアスカちゃん!」
アスカ
「あは、どういたしまして。それじゃあ改めて、行ってらっしゃい。……ちゅっ」
燦
「にゃっ!? ……えへへっ、行ってきます! ……おでこにちゅーしてもらえるならたまには強風も悪くないかも」
◆『アップオンリー』◆
燦
「夏休み中に配信するゲームの許諾とか早めに取らないといけないんだけど、最近のゲーム限定で、配信で見たいおすすめのゲームある?」
『夜勤警備(ぼそっ』
『黒猫の苦手なホラゲーやんけ!』
『じゃあ、黒猫が大好きなエ○ゲの体験版とかどう?』
『配信できるの?』
『できるけどミスるとアーカイブ消えるぞ』
『私で隠さなきゃ!』
燦
「べっ、別に私は怖くないんだけど! ほっほら、ホラーはリスナーのみんなが怖くて見れないかもしれないからさ。あとは、えっんんっなゲームは、チャンネルがBANされたら大変だからこれもパスかな。他になにかない?」
『怖くないが???』
『普段から配信外でえっなゲームプレイしてそう』
『黒猫っていくつだっけ?』
『に、人間の年齢に換算すれば成人してるから……』
『他にって言われてもなぁ』
『アップオンリーは?』
燦
「あー、アップオンリーかぁ。あれだよね、壺じじいとか跳躍王とかみたいに頂上目指して登っていくやつ。VTuber界隈で最近なぜか流行ってるよねー。私はやらないけど」
『やらないんかーい!』
『耐久でやれ!』
『クリアできなさそう』
『スロー機能もあるしアプデで簡単になったから黒猫でもクリアできるぞ。たぶん』
『アスカちゃんと並走コラボしよう』
『やだやだ、やってやってやって!』
燦
「おもちゃを買ってもらえなかったときの子供か!? いくら駄々をこねられてもいやだよ。せっかくの夏休みなのに、なんでそんな苦行みたいなことしないといけないのさ」
『苦行は草』
『製作者泣いてるぞ』
『いくらスパチャすればやってくれる?』
『黒猫がカッコよくアップオンリーしてるとこ見てみたいなぁ……チラッ』
『逃げるのか?』
『1回だけ! いや、先っちょだけでいいから!』
燦
「……はぁ、しょうがないにゃ~。1回だけ、ホントに1回だけだからね。……はい、これでいい?」
『エッッッ!?』
『助かるラスカルマダガスカル!』
『べ、別に黒猫のガチ恋距離なんかで助かってないんだからねっ!』
『……ふぅ』
『でもなんでガチ恋距離?』
『アップオンリーの話はどうなったの?』
燦
「してるでしょ、ほら。私の顔のアップオンリー」
『は?』
『頭大丈夫?』
『これが本当のアップオンリーってか』
『上手い、座布団1枚!』
『いや、確かにゲームのアップオンリーをするとは言ってなかったけど!』
『じゃあ、もうそれでいいからアスカとアップオンリーコラボしようぜ』
燦
「は? え、どゆこと???」
『アスカちゃんとガチ恋距離コラボするってことじゃね?』
『え!? アス猫のガチ恋距離オフコラボだって!?』
『マ?』
『するんか? アスカとアップオンリー(意味深)するんか?』
『辛い登頂じゃなくて幸せの絶頂になって良かったじゃん』
『……しますか? アップオンリーコラボ?』立花アスカ✓
燦
「うっ……。は、配信外なら……うん」
『てぇてぇ』
『ちゃんと配信でしろ!』
『するのはアップだけで本当にいいの?』
『良い訳ねぇよなぁ!』
『先生、ちゅーはコラボに入りますか?』
『入りまーす!』
『アップオンリーだぞ。つまりお触りはないぞ』
『そんなぁ~』
◆『お願い』◆
七夕のお祝いを大好きな黒猫燦と2人ですることになり、立花アスカはご馳走を振舞うために夕食用の食材を持参し彼女の自宅を訪れていた。
「いらっしゃいアスカちゃん。外暑かったよね? 冷たい飲み物持ってくるから中でゆっくりしてて」
「はい、ありがとうございます。……ふぅ、少し風に当たろうかな」
今日の気温はエアコンを付けるほどではないが、アスカはここまで外を歩いてきたため額には微かに汗がにじんでいた。
そのため火照った身体を風を浴びて冷まそうと窓際へと向かった。
「風、気持ちいいです」
開けっ放しになっている窓からそよ風が吹き、カーテンがふわりと膨らむと同時にアスカの亜麻色の長髪がさらりと揺れた。
「あれ? たしかここにティーバックがあったはずなんだけど……。あれ~???」
「くすっ」
八重歯を覗かせて小さな笑みを溢すアスカ。
不意に口から出てしまった独り言なのだろうが、黒猫の言い間違いが微笑ましくて思わず声が漏れ出てしまったのだ。
この場合、Tバックではなくティーバッグ(或いはティーパック)が正解だろう。まさか飲み物を持ってくると言っておいて下着を探すことはないだろうし恐らく間違いないはずだ。
……いや、あの黒猫燦ならもしかするともしかするかもしれない。飲み物を持ってくるのをすっかり忘れていて、本当にTバックを用意しようとしている可能性も無きにしも非ず。
ふと、屈託ない笑顔を浮かべながら自分好みのTバックを手渡そうとする姿が脳裏に浮かんだ。
(まさか……ね)
何はともあれ、黒猫が配信や日常のちょっとした会話で恥をかくことがないように、あとでさり気なく間違いを教えてあげようとアスカはいったん心に留めておくことにした。
「えっ? これって……クリスマスツリー。だよね?」
別のことに気を取られていたせいもあり気づくのが遅れたが、窓際に置かれているクリスマスツリーがふと目に入った。
場違いというか季節外れというか。クリスマスツリーが置かれた奇妙な光景に、アスカは驚きと疑問を隠せない。
「短冊、でしょうか?」
窓から吹き込む風がクリスマスツリーに飾られていた長方形の小さな紙を揺らす。
それに気がついたアスカは、そこに書かれていた文字の羅列を見て、漸くそれが七夕に願い事を書き込む短冊だと理解した。
とはいえ、なぜ笹飾りではなくクリスマスツリーに短冊を飾っているのか。
新たな謎が生まれてはいたが、燦ちゃんだもんねとアスカは謎の納得(諦念とも言えるが)を見せると、興味は既に短冊に書かれている文字へと向かっていた。
「みんなからちやほやされて人生イージーモードで生きたい! あは、燦ちゃんらしいです」
自分の気持ちに嘘をつかず、良くも悪くも欲望に忠実で型に嵌らない、燦ちゃんらしい願い事だと。アスカは思った。
それと同時に、そんな燦ちゃんだから好きなんだとも。
「あっ」
心地よい風が顔の火照りを冷ますようにアスカをそっと優しく撫でる。
そのとき風で翻った短冊の裏にも願い事と思われる文字が書かれていることに気がついた。
これ以上勝手に読むのは失礼かなと思いつつも、好きな人のことをもっと知りたいという感情が勝り、アスカはほんの出来心から短冊の文字に視線を這わした。
「アスカちゃんお待たせ! って、あれ? 顔が真っ赤だけど大丈夫?」
「だ、大丈夫です! すっ、すぐに元に戻りますから!」
耳まで赤く染めたアスカは、アツさを誤魔化すように手をぱたぱたとさせ顔を扇ぐ。
心配そうにしていた黒猫だったが、暑かっただけかと納得すると、少しでも涼しくなればと冷たい飲み物をアスカに渡すことにした。
「はい、アスカちゃん」
「あ、ありがとうございます。……燦ちゃん、あのね」
「ん、なぁにアスカちゃん?」
「……えへへっ。いえ、なんでもありません!」
八重歯を覗かせ満面の笑みを浮かべながら、アスカはソファーに座っていた黒猫の隣へと軽やかに移動すると腰を下ろした。
そして隣にいる彼女の小さな手をそっと握る。
「んんっ???」
不思議そうに首を傾げる黒猫に、アスカは言葉ではなく手をぎゅっと握ることで返事をした。
「ねぇ、アスカちゃん。そう言えば、七夕にお願い事ってした?」
「はい、しましたよ」
今日は七夕。短冊に願い事を書いて笹に飾ると願いや目標が叶うと言われている。
とはいえ、クリスマスツリーに飾った短冊の願いが叶うかどうかは甚だ疑問ではあったが。
だが、そんなことを心配する必要はもしかするとないのかもしれない。
大事なのは願いを叶えようとする本人の努力。願いは叶えて貰うものではなく叶えるものなのだから。
「そうなんだ。因みになんてお願いしたの?」
「んーそれは……。あは、ひみつですっ!」
「えぇーっ!? そう言われると気になっちゃうじゃん! ねっ、ねっ。お願い、教えて!」
不満を露わにする黒猫にアスカはいたずらな笑みを向ける。
その様子は織姫と彦星のように仲睦まじく、その手は2人が願った未来を暗示するかのように固く結ばれているのだった。
◆『あついなか』◆
アスカ
「さ、燦ちゃん。ほんとうに、こっ、こんな格好で料理しないとだめ?」
燦
「もちろんっ! 今日は真夏日だって言ってたし、これは熱中症対策。これは熱中症対策だから!」
アスカ
「た、たしかに熱中症対策は大事だけど……。だっ、だからって水着にエプロンだなんて……恥ずかしいよぉ」
燦
「大丈夫! すごくえっt、じゃなくて似合ってるよ!」
アスカ
「はぁう。も、もぉ燦ちゃんったら……。あの、あんまり見ないでくださいね」
燦
「うんうん、分かってる分かってる」
アスカ
「ほ、ほんとうかなぁ。……はぁ、仕方ありません。それでは料理が終わるまでいい子で待っててくださいね」
燦
「はーい!」
アスカ
「ふんふふ~ん♪」
燦
「じぃーっ」
アスカ
「あ、あの。燦ちゃん?」
燦
「あっ、見てない! 鼻歌に合わせて揺れる綺麗なお尻なんて全然見てないから!?」
アスカ
「あぅ……。そ、そんなに見詰められると、涼しくなるどころか、その……。恥ずかしくて逆に身体が熱くなっちゃいますから……」
燦
「えへへ、ごめんなさい。次からはバレないようにチラ見するから」
アスカ
「も、もぅ。……ばかっ」
◆『アスカに○○とか、しながら』◆
『ピ○ミンの新作やらないか?』
燦
「んー、面白そうだけどピク○ンはミリしらなんだよね。初めてでも大丈夫? 新作からでも楽しめそう?」
『大丈夫だと思うよ』
『試しに体験版やってみれば?』
『ミリしらの方が楽しめるかもね』
燦
「そうなんだ。じゃあ、今度配信できそうなら遊んでみようかな」
『やったー』
『楽しみ』
『因みにどれくらいミリしらなの?』
『CMの歌って今の子は知ってるのかな』
『歌は愛と種のは有名だから流石に知ってそう』
『懐かしいな。赤ピ○ミンはほにゃららってやつだよね』
燦
「あ、あーあれ。うんうん、あれだよね。赤ピ○ミンは、えーっとリンゴ味、だっけ?」
『ミリも知らんやんけ!?』
『なんで知ったかぶりしたの?』
『リンゴ味おいしそう』
『青森で生まれたピ○ミンなのかな?』
『てか、お前が食べてどうする』
燦
「え? だって、ピ○ミンって労働力兼非常食じゃないの? たしか、知らない惑星に遭難した主人公が、ピク○ンをこき使ったり食べたりするゲームだよね? 見た目も植物っぽいし」
『主人公がサイテーのやつで草』
『歌にも食べられるってあるし非常食っていうのはあながち間違いじゃないけど』
『食べられる→食べることもできるって意味じゃないからな』
『ミリしらだなぁ』
『因みに他のピ○ミンは何味なの?』
燦
「ピ○ミンって他に何色がいるの? ふんふん、じゃあ紫ピクミンはぶどう味、白ピクミンはえーっと牛乳? で、青ピ○ミンは水、黄色ピ○ミンはカレーかな」
『ほぼ飲み物じゃん!?』
『食べ物なのに水ってなんだよw』
『水道水と天然水の2種類いそう』
『いや、軟水と硬水で色の濃さが微妙に違うんだぞ』
『てか、果物・飲み物ってきてなんで最後がカレーなんだよ』
『か、カレーは飲み物だから……』
燦
「コメント見てたけど他にはいないの? 青汁味の緑とか、コーヒー味の黒とか」
『青汁味は食べたくないなぁ』
『黒と白を一緒に食べればカフェオレになるじゃん!』
『黒ピ○ミンはいないけど黒猫ピ○ミンならいるぞ』
燦
「は? いやいや、ミリしらだけど黒猫ピ○ミンはいないでしょ。これまで色だったのに急に猫って、どう考えてもおかしいじゃん」
『え、いるよ?』
『黒猫ピ○ミンは胸が無い』
『勉強ができない』
『女の子が好き』
『コミュ症』
『すぐ炎上する』
燦
「誰が貧乳でおバカで女好きでコミュ症な炎上系TS配信者だ!? てか、ピ○ミンの情報じゃなくて私に対するただの悪口なんだが!?」
『草』
『TSは言ってない……』
『黒猫の胸が無いのはTSしてるからだった???』
『事実を述べてるだけなんだよなぁ』
『黒猫ピ○ミンは食べたら腹下しそうだから止めとこう』
『食べるなら黒猫じゃなくてアスカピ○ミンがいいな』
『アスカピ○ミンwww 何味なんだよ』
『黒猫は知ってる?』
燦
「アスカちゃんがもしもピ○ミンだったら? えっと、アスカピ○ミンは……んーっと、レモン味?」
『レモン味? あっ』
『てぇてぇ』
『いつ味わったんだろうなぁ』
『そりゃ……アスカに鱚とか、しながら?』
『さ、燦ちゃんっ!?』立花アスカ✓
『アスカピ○ミンもよう見とる』
『ブラックコーヒーが欲しくなってきた』
『黒ピ○ミン食べてもろて』
『もうやめて。アスカちゃんが(恥ずかしさで顔真っ)赤ピ○ミンになっちゃうから!』
『草』