あるてまれアスカちゃん劇場´ 作:立花アスカの偽猫
◆『縦でやろう!』◆
燦
「最近、縦型配信が人気で流行ってるみたいだね」
アスカ
「そうみたいですね。縦画面配信は雑談や歌配信が多くなりがちで気軽に視聴できること、他の動画から視聴者さんが流れてくるので新規のリスナーさんを獲得できること、スマホで気軽に視聴できること、フルスクリーンで動画を見れるので没入感が得られることなどが人気の秘訣らしいですよ」
燦
「へぇー。じゃあせっかくだし、今度のアス猫コラボは最近のトレンドを取り入れて縦画面でやってみようよ」
アスカ
「んー、たしかに面白い試みだと思いますが、ただそれをするにはちょっとした問題がありまして……」
燦
「ちょっとした問題?」
アスカ
「はい。問題というほどのことではないかもしれませんが、縦画面だと2人は収まらないんじゃないかなって。無理に画面に収めようとすると立ち絵が小さくなって、縦画面にした意味がなくなってしまいますし」
燦
「あ、そっか。普段のコラボみたいに横に並んで配信って訳にはいかないもんね。うーん、じゃあいっそ私たちも縦に並んでみるとか?」
アスカ
「え、たっ縦ですか?」
燦
「そう縦! えっと、こんな感じで、私が前で後ろにアスカちゃんで上下に並ぶならどう?」
アスカ
「は、はい。そうですね。えっと、これなら大丈夫だと思います。ただ……」
燦
「ただ?」
アスカ
「えっと、配信中ずっと私の膝の上に乗って甘えているように見えることになりますが……その、燦ちゃんは大丈夫ですか?」
燦
「……は、恥ずかしいから縦になるのは止めておこうかな。うん」
アスカ
「そう、だよね。……ちょっと残念です」
燦
「アスカちゃん? ……んー。でも、配信外なら……縦コラボもありなんじゃないかなって思うんだよね。アスカちゃんはどう?」
アスカ
「燦ちゃん……あはっ。はい、私もそう思います! えへへ。では、今日は縦型オフコラボですね! いっぱい甘えてくださいね」
燦
「あ、あはは。うん、お手柔らかにね」
◆『ずっと一緒に』◆
燦
「はぁ……」
アスカ
「燦ちゃん? せっかくのお誕生日なのにため息なんか吐いてどうしたの?」
燦
「あ、いや。なんでもないんだけどちょっとね」
アスカ
「そう、ですか……。あ、そうだ! お誕生日プレゼントを用意してきたのでぜひ受け取ってください! お誕生日おめでとうございます」
燦
「え? あ、うん。ありがとアスカちゃん。中身はなんだろ? さっそく開けてもいい?」
アスカ
「もちろんです!」
燦
「んしょっと。えっと、これは……アルバム? あっでも、中に写真は入ってないみたいだけど?」
アスカ
「はい。ですから今から一緒に写真を撮りましょう! そして撮った写真をアルバムに収めていくんです。それを毎年この日に、このアルバムがいっぱいになるまで、ううんアルバムがいっぱいになったら新しいアルバムに変えて、とにかくずっと続けていけたらお誕生日が少しは楽しみになるかなって」
燦
「一緒に写真を? 毎年?」
アスカ
「はい! 来年も、再来年も、その次の年もその次の年もずっと、ずーっとです」
燦
「毎年、ずっとずーっと……一緒に。……っ。……うん。すっ、ごく、……ぐすっ。すごく、いいと思う」
アスカ
「燦ちゃん……泣いてるの?」
燦
「これは、その……う、嬉し泣き。うれし……なき、だから……」
アスカ
「よしよし。……大丈夫だよ。大丈夫だから」
燦
「……ぅん」
アスカ
「……少しは不安、なくなりましたか?」
燦
「……んっ」
アスカ
「あは。それならよかった。……改めまして、お誕生日おめでとうございます。燦ちゃん」
燦
「……うんっ! ありがとアスカちゃん! って、今の顔撮るのはなし!? さっきまで泣いてたし、ぜったい可愛くないから!」
アスカ
「そうかな? すごくいい笑顔だったと思いますよ」
燦
「ででででもっ。は、恥ずかしいし、だっだめったらだめなの! てか、撮るのは私の写真じゃなくて、アスカちゃんも一緒になんでしょ! ほら、さっきのデータは消して、今度は一緒に撮ろう。ね!」
アスカ
「くすっ、そうでしたね。では、インカメラモードに変更して……撮りますよ。3,2、1」
燦
「誕生日いぇーい。……あっ、ほら。アスカちゃんも一緒に!」
アスカ
「えっ私もですか!? えと、その……」
燦
「いいからいいから。はい、撮るよ。3,2,1」
アスカ
「いっ、いぇーい」
燦
「んっ」
アスカ
「っ!? ……も、もぉ。燦ちゃん? 話が違いますし、きゅ、急にほっぺに……するのは……」
燦
「さ、さっきのお返しだよ。そ、それに。これで私の恥ずかしいって気持ち、少しは分かったでしょ?」
アスカ
「そ、そうですね。たしかに今のが写真として残るのは……はぁぅ。……で、ではこの写真は消すということで……」
燦
「ま、待って! えっと、せっかく撮ったのに消すのはもったいないし。アルバムの写真、来年まで1枚だけなのは寂しいかなって。ほっほら、誰にも見せなきゃいいんだし!」
アスカ
「う、うーん。燦ちゃんがそこまで言うなら、恥ずかしいけど……誰にも見せないし……。で、では、これも記念としてアルバムに入れるということで。……ついでにさきほどの燦ちゃんの写真も記念に……」
燦
「いや、それとこれとは話が別だから!? てか、まだ消してなかったの!?」
アスカ
「くすっ、冗談です。……アルバム、いっぱいにしていこうね?」
燦
「……うん」
◆『お湯を入れて○○ぷん』◆
燦
「今年もそろそろ終わりだね」
アスカ
「そうですね。燦ちゃんはやり残したことはありませんか?」
燦
「やり残したことかぁ。うーん……あ、そう言えば大晦日なのに年越しそば食べてない!」
アスカ
「くすっ、そうでしたね。今年の年末は忙しくてすっかり忘れていました。材料も揃ってないですしどうしましょうか?」
燦
「それならカップ麺でいいんじゃない? たしかあったよね?」
アスカ
「んー、そうしましょうか。では、ヤカンでお湯を沸かしますね」
燦
「うん、お願い。私はカップ麺の準備するね」
アスカ
「ありがとうございます」
燦
「……」
アスカ
「……」
燦
「……お湯、沸かないね」
アスカ
「そうですね。カップ麺とはいえ2人分ですし、沸くまでもう少し時間がかかるんじゃないかな」
燦
「あ、そう言えばアスカちゃんはやり残したことない? やりたかったけどまだできてないことでもいいよ」
アスカ
「私ですか? そうですね。んー、やり残したこと、やりたかったけどできてないこと……」
燦
「アスカちゃん? 私の顔がどうかした?」
アスカ
「……キス」
燦
「え?」
アスカ
「えっと、だからその……してないこと。キス納め、燦ちゃんとまだしてなかったなぁって。思ったから……だから、えっと……」
燦
「あー。そう言えば……うん。そうだったかも? ……えっと、その……する? キス納め?」
アスカ
「……したい、です」
燦
「じゃあ……うん。……しようか」
アスカ
「は、はいっ……」
燦
「えっと、それじゃあ……するよ?」
アスカ
「んっ……」
『ピィィィーッ』
アスカ&燦
「「っ!?」」
燦
「あ、あはは。……お湯も湧いたし、そばの準備に戻ろうか」
アスカ
「そう、ですね。……はぁ」
燦
「……あーでも、お湯を入れたら出来上がるまで少しだけ時間があるし……。だからその、続きはそこで……ね?」
アスカ
「っ、はいっ!」
◆『明けまして』◆
燦
「明けましておめでとー。いやー、今年はお正月からいろいろあったよね」
アスカ
「明けましておめでとうございます。そうですね。暗いニュースが続いてますし、今後は明るいニュースが続くといいのですが」
『おめでとー』
『そうだね』
『暗いニュースばっかだけど今年始まってから明るいニュースってなにかあったかな?』
『推しが今日もかわいい』
『草』
『もしかして今日の重大告知も暗いニュースなんじゃ……』
燦
「いやいやそれは大丈夫だから。今日の重大告知はリスナーのみんなにとっても嬉しいお知らせになってるから。ね、アスカちゃん?」
アスカ
「はい! 私のリスナーのみなさんだけではなく、燦ちゃんのリスナーのみなさんにも満足して頂けるような報告となってますので、最後まで配信を見逃さないでくださいね」
『はーい』
『正月、お知らせ……結婚報告だな』
『えっ!?』
『正月、結婚報告……うっ頭が』
『一部のファンにとっては悲しいニュースなんだよなぁ』
『ごめん、ちょっと横になるわ……』
『でもアス猫の結婚なら?』
『推しが幸せなら……わりぃやっぱ俺つれぇわ』
『ほな結婚報告とちゃうかぁ』
『じゃあ……おめでた?』
『おめでた!?』
『(明けまして)おめでたいよな!』
『いや、明けましておめでとうの報告ってただの新年の挨拶じゃね?』
『たしかに新年の挨拶は重要だけど既に報告終わってて草』
◆『もう一口』◆
アスカ
「燦ちゃん。食後のデザートにみかんはいかがですか?」
燦
「うん、食べる! ありがとアスカちゃん」
アスカ
「あは、どう致しまして」
燦
「ん~っ、すっぱっ!?」
アスカ
「大丈夫ですか!? 運悪く甘くないみかんが当たっちゃったみたいですね。良ければ取り換えっこしましょうか?」
燦
「だ、大丈夫。もぐもぐ……うん。ちょっとすっぱいけど、これはこれでおいしいから」
アスカ
「そうですか。……あ、それなら、あの、口直しを……」
燦
「ん?」
アスカ
「んっ……」
燦
「んん?」
アスカ
「……お口の中、少しは甘くなった?」
燦
「う、うん。……甘いみかんの味がした」
アスカ
「あは、それならよかった。……もう一口、どうですか?」
燦
「……んっ」