あるてまれアスカちゃん劇場´ 作:立花アスカの偽猫
◆『キミは私の理想の女の子』◆
アスカ
「あの、どうですか?」
燦
「うんっうんっ! すごくいいよっ!!!」
アスカ
「燦ちゃんがどうしてもコスプレして欲しいって言うから、てっきりアニメキャラクターの衣装を着るのかと思ってましたが。本当にカツラだけでよかったのですか?」
燦
「分かってないなぁ、アスカちゃんは。水色の髪で片目が隠れていればそれだけで十分なんだよ」
アスカ
「私にはよく分かりませんが、燦ちゃんはこういう子が好きなの?」
燦
「えと、……まぁ、その、ね」
アスカ
「ふ~ん、そうなんだ」
燦
「あ、そのジト目もいいな……」
アスカ
「……決めました。燦ちゃんの理想の女の子になるためにも、私は今日から髪を水色に染めて片目を隠すことにします!」
燦
「えぇ!? ちょっと待って! これは私の好みであって、アスカちゃんはアスカちゃんのままでいいから!」
アスカ
「むぅ、……いやっ」
燦
「いやって、アスカちゃん。なんでそんなに私の好みにこだわるのさ?」
アスカ
「……だって、燦ちゃんが私以外の女の子を見るのがいやなんだもん。でも、私が燦ちゃんの理想の女の子になれば、他の女の子に目移りすることもなくなるよね?」
燦
「……はぁ。アスカちゃんは一つ勘違いしてるよ」
アスカ
「勘違い?」
燦
「うん。そのコスプレは確かに好みの女の子像だけど、私が唯一自分よりも美少女だって認めた理想の女の子は、今、目の前にいるアスカちゃん、たった一人だけだよ」
アスカ
「ぁ、だって、……嘘」
燦
「嘘なんかじゃないよ。それとも、証明してみせないと、納得できない?」
アスカ
「うぅん、そんなことない! あぁ、もう。……どうしよう、すごく嬉しい」
燦
「髪上げて、もっと顔をよく見せて。……うん、やっぱりそのままのアスカちゃんの方が、何千倍も可愛いし、えと、そのっ、私はちゅきだよ! あぅ、噛んじゃった」
アスカ
「えへへっ。私も、優しくてカッコよくて、でも最後は締まらない、そんな燦ちゃんが……」
燦
「んむっ!?」
アスカ
「……あは、大好きです!」
◆『一緒に温まりたい』◆
アスカ
「ふぅ、急に雨が降ってくるなんて災難だったね」
燦
「だよね。天気予報だと降水確率10%だったのにさ」
アスカ
「流石にゲリラ豪雨は予測が難しいのかもしれないね。……はい、タオルありがとうございました」
燦
「どういたしまして。あ、濡れた服は脱がなくて大丈夫?」
アスカ
「そのっ、脱いだ方がいいですか?」
燦
「私ので良ければ替えの服を用意するし、何なら乾燥機使ってもいいよ。だから、くちゅん! ……うぅ、すっかり身体冷えちゃったね」
アスカ
「大丈夫ですか? あ、そうだ! お風呂が沸くまで時間がありますし、そのっ、……身体を温めるいい方法があるのですが、えっと、試してみませんか?」
燦
「うん、風邪ひくと大変だし。いいと思うよ」
アスカ
「それでは、しっ、失礼しましゅ」
燦
「ふにゃぁっ!? え、ちょっと。なんで私を脱がそうとしてるのさ!?」
アスカ
「身体と身体をくっつけて暖を取る、よくあるアレなんです! これが一番温まるってテレビでやってたから! ですから、決してやましい気持ちがある訳では、あっ、ありませんからね!」
燦
「うぅ~、でも、……これはちょっと恥ずいかも」
アスカ
「そ、そうだよね。……けど、燦ちゃんの背中、あたたかくて、ずっとこうしていたいな」
燦
「……うん、私も。背中が気持ち良くて、ずっとこのままでいいかも」
アスカ
「……燦ちゃんのえっち」
燦
「えぇ~、アスカちゃんが先にやろうって言ったんじゃん。ぶぅーぶぅー」
アスカ
「あは、冗談ですよ。……お風呂、このまま沸かないといいな」
燦
「……うん。そだね」
『お風呂が沸きました』
燦
「……沸いちゃったね」
アスカ
「はい、……そうですね」
燦
「えとさ。ちょっと狭いかもだけど、そのっ、よ、よかったら一緒に……」
アスカ
「うん!」
◆『彼女がシャツに着替えたら』◆
アスカ
「お風呂ありがとうございました。すごく気持ち良かったですね」
燦
「うん、……すごかった」
アスカ
「ところで燦ちゃん。貸してくれた服だけど、丈が長いとはいえシャツ一枚だけというのは、その、ちょっと恥ずかしいのですが……」
燦
「大丈夫、似合ってるよアスカちゃん」
アスカ
「うぅ~、そうじゃなくて」
燦
「この間、私のシャツを着てみたいって言ってたから、この機会に着てもらおうと思ったんだけど。もしかして嫌だった?」
アスカ
「いや、ではないけど。その件はごにょごにょ(夏波さんに対抗したくて)、つい、口にしてしまっただけで……」
燦
「ん? よく分からないけど、嫌じゃないならいいよね」
アスカ
「はぁ。……そうですね、着替えありがとうございました」
燦
「……ねぇ、アスカちゃん」
アスカ
「なぁに、燦ちゃん?」
燦
「少しだけ、ほんのちょっとでいいからさ、……捲っていい?」
アスカ
「それは、えと、……うぅー」
燦
「一瞬だけっ! ぺろん、ちらっで満足するから!」
アスカ
「……着替えの際もずっと見ていたのに、まだ見足りないの?」
燦
「見足りない! あと、自分の手で捲って見ることに意味があるんだよ!」
アスカ
「燦ちゃん、やっぱりこういうことはよくないと思うな」
燦
「うっ、……そう、だよね」
アスカ
「でも、……今日だけは、特別だよ」
燦
「……いいの?」
アスカ
「燦ちゃんに、見て欲しいな。……あぅ、恥ずかしい」
燦
「ごくり。じゃ、じゃあ捲るよ」
アスカ
「はい、どうぞ。アスカのこと、……見てください」
燦
「う、うん。3、2、1、ぜ『ゴロゴロ!』ぴぃ!?」
アスカ
「きゃ!? ……雷で停電になったみたいだね。そっちは大丈夫ですか? ……燦ちゃん?」
燦
「あああああ、アスカちゃん! そこにいるよね、ね!」
アスカ
「はい、ちゃんとここにいますよ。……そうだ。私、実は雷が苦手でして、手、繋いでもらってもいいですか?」
燦
「うん、すごくいいと思う! アスカちゃんが怖くないようにするためだもんね」
アスカ
「あは、そんなに強く腕に抱き着かなくても大丈夫だよ。もー、燦ちゃん可愛いなぁ」
燦
「うぅー、まだゴロゴロ鳴ってるし。ア”ス”カ”ち”ゃ”ん”」
アスカ
「よしよし、もう大丈夫ですよ。ほら、こうして私の胸の鼓動を聴いていれば、少しは怖くなくなるでしょ?」
燦
「……うん」
アスカ
「それはよかった。雷が鳴り止むまで、暫くこうしていよっか?」
燦
「……ありがと」
アスカ
「はい、どう致しまして。……んっ、もぅー、燦ちゃん。この停電が終わったら、燦ちゃんが元気になれるように、魔法かけてあげるから。だから、んっ、あとちょっとだけ、辛抱してね」
燦
「えへへ、……善処します」
◆『黒猫さんなんかにたぶん負けないよわよわ現役コミュ障JK』◆
アスカ
「燦ちゃん遅いなぁ」
黒猫
「みゃーん」
アスカ
「もしかして、あなたも燦ちゃんですか? ふふっ、そうですか。時間ギリギリですけど、今日は遅刻しなくてえらいね」
黒猫
「にゃおーん?」
アスカ
「あは、くすぐったいよ。もー、甘えん坊さんですね。よしよし」
黒猫
「みぃーみぃー」
アスカ
「はいはい、ここがいいんですか? ごろごろ~」
燦
「お、遅れてごめん。はぁはぁ、待ったよね」
アスカ
「え、燦ちゃんが二人?」
燦
「いやいや、そっちはただの黒猫だから! 本物はこっち! 遅刻したのは謝るけど、この扱いは酷いよ」
アスカ
「あは、ごめんなさい。冗談です。それではショッピングに行きましょうか」
燦
「うん」
黒猫
「みゃーお」
アスカ
「あ、こぉ~ら。そんなにすり寄ったら歩けないでしょ?」
黒猫
「にゃふ」
燦
「その黒猫、可愛いね。ほら、おいで」
黒猫
「ふしゃーっ!」
燦
「ぴぃ!? なんでさ!」
アスカ
「あはは……。黒猫さん、燦ちゃんとも仲良くしないとだめですよ。きゃっ!? もー、どこに入って、あは、くすぐったいってば」
燦
「……むぅ。羨ましい、じゃなくて怪しからん猫だなもう。ほら、私のアスカちゃんから離れた、離れた!」
黒猫
「にゃーん……」
アスカ
「あ、ありがとうございます。……あの、燦ちゃん。先ほどの言葉のことですけど」
燦
「あっ、モウコンナジカンダー。ささっ、早く行こうアスカちゃん!」
アスカ
「……もぅ。そうですね、行きましょうか」
◆『推しを押してみた』◆
燦
「アスカちゃん、手押し相撲しよう」
アスカ
「いいですよ」
燦
「今の立ち位置から動いたら負けだからね」
アスカ
「私、結構強いんですよ。望むところです」
燦
「それじゃあいくよ。よーい、スタート!」
アスカ
「はいっ、あっ、もう少し」
燦
「ほいっ、このっ、わわっ!?」
アスカ
「今です!」
燦
「あっ、ちょっ、待っ、……うわっと!?」
アスカ
「きゃっ」
燦
「いた、くない? あれ、この手の平に伝わる柔らかさは……」
アスカ
「もー、燦ちゃん。相手の身体に触れるのはルール違反だよ」
燦
「ご、ごめん」
アスカ
「……あの、そろそろ手を離して欲しいのですが」
燦
「あのさ、特別ルールで胸を押してもいいことにしない?」
アスカ
「だめです」
燦
「じゃあ、先っちょ、指先ならいいよね! 指一本でつんつんするのはありってことで!」
アスカ
「……つんつんするだけなんだよね?」
燦
「うん、もちろんだよ!」
アスカ
「分かりました。それでは、よーいスタート!」
燦
「おりゃ! って、ひゃん、ちょっと待って! そこはっ、ひゃっ、だめだって!?」
アスカ
「えっちな燦ちゃんにお仕置きです。ほらほら、ここがくすぐったいんですか?」
燦
「ひぃ、横腹らめなの。待って、謝るからっ。ほら、動いてる、終わり、終わってるから、あっあっ!?」