あるてまれアスカちゃん劇場´ 作:立花アスカの偽猫
◆『こんこん、こんこんこん?』◆
燦
「面接とかで部屋に入る前にノックするよね。あれって結局、何回すれば正解なんだっけ?」
アスカ
「面接を受けるんですか?」
燦
「今すぐって訳じゃないけど。大学に進学するとしても、就職するにしても面接って必要でしょ。だから、その辺のマナーとかも覚えないとなぁって思ってさ」
アスカ
「確かに、マナーが身についているかで第一印象も変わりますし、最低限のマナーは覚えておいて損はありませんね」
『面接かぁ』
『え、Vtuberだから必要ないんじゃ』
『両親は反対しそうではある』
『確かに大学くらい出てないと将来が不安になる職業だしな』
『企業所属ならともかく、個人Vが本業にするのは本当に大変だろうな』
燦
「そうそう、現状だと個人Vは副業にするのも難しいんだよね。あ、それで入室するときのノックって、三回であってるよね?」
アスカ
「プロトコールマナー、国際標準公式マナーに準じるとトイレ用が二回、家族や友人など親しい相手なら三回、礼儀が必要な相手や場所なら四回って決まっていますね」
燦
「へぇー、そうなんだ」
アスカ
「そうなんですよ。ただ、日本だとトイレのノックが二回、それ以外は三回で済ませる場合が多いみたいですね」
『解説助かる』
『でも、黒猫はノックする機会がなさそう』
『そもそも野球のノックと勘違いしてる説』
『ユニフォーム着た黒猫がバットで扉をノックしているところ想像して噴いたじゃんwww』
『その絵面はシュールだな』
『不良かな?』
『クソコラはよう』
燦
「作るなよ!? 絶対に作るなよ!?」
『よし、分かった!←分かってない』
『てか、トイレ行くの?』
『清楚なら行かないけど、黒猫は清楚じゃないから行きます』
『お花を摘みに行くようなキャラではないよね』
燦
「は? 私は清楚だからトイレなんて行かないし!」
『昔のアイドルかよ』
『我慢しなくていいよ』
『じゃあ耐久配信する?』
燦
「うっ、耐久配信はその、……ほら、JKだから時間がないし!」
『四連休』
『長期休暇中ならいいだろ』
燦
「えっと、お花畑を破壊しに行っていいなら」
『破壊にゃ!』
『破壊しないでもろて』
『お花畑さん逃げて!?』
アスカ
「えっと、こんこんこん。私もお話に入ってよろしいでしょうか?」
燦
「あ、ごめんね!? はい、どうぞ」
『こんこんこんかわいい』
『おい、この話題にアスカちゃんを混ぜたらダメだろ』
『アスカちゃんの清楚力で中和しよう』
『混ぜるな危険』
『いや、お前が面接官みたいになってどうするん』
『花の方から来てしまった』
『アスカちゃん逃げて!?』
『花と雑草(ぼそっ』
燦
「は? よし、お前ら表出ろ。アスカちゃん、ノックの練習してくるね!」
アスカ
「あはは……。お花摘みじゃなくて、ノックの練習してくるは斬新過ぎるよ」
◆『ドリルせんのかい!?』◆
アスカ
「燦ちゃん、この動画を見てください!」
燦
「え? 別にいいけど、何の動画なの?」
アスカ
「柴犬の動画なんだけど、すっごく可愛くて、とにかく見て欲しいな!」
燦
「へぇー。どれどれ、……あ、可愛い」
アスカ
「そうだよね! ぶるぶるって震えたときに顔がドリルみたいだから、柴ドリルって名前で呼ばれているんですけど。これがすごく可愛くて、犬もいいなぁって思いませんか?」
燦
「むぅ、……確かに可愛いけど。ちょっと複雑かも」
アスカ
「ふふっ、それなら燦ちゃんもドリルしてみますか?」
燦
「え、それはちょっと。なんか違くない?」
アスカ
「そうですか? 燦ちゃんドリル、絶対に可愛いと思うんだけどなぁ。……あ、そうだ! えいっ」
燦
「ひゃっ!? あ、アスカちゃん。急に抱き着いてどうしたのさ!?」
アスカ
「う~ん。テレビで見た柴犬だと、抱き着かれたストレスでドリルしてたのに……」
燦
「えと、アスカちゃん。私、柴犬じゃないし。それに……」
アスカ
「それに?」
燦
「アスカちゃんに抱き着かれるの。……いやじゃないから」ギュッ
アスカ
「はぁう!? もぅ、燦ちゃん可愛すぎるよ!」
燦
「あ、アスカちゃん!? 抱き着いたまま、うっ、回られると。目が、目が回って……」
アスカ
「あれ、燦ちゃん?」
燦
「きゅ~っ」
アスカ
「し、しっかりしてください!? 燦ちゃん!」
◆『この動画は現在ご視聴できません』◆
アスカ
「あぅ」
燦
「どうしたの、アスカちゃん?」
アスカ
「あはは……。そのっ、ありがたいことに切り抜き動画を頂いたのですが、改めて自分の動画を見ていたら恥ずかしくなっちゃって」
燦
「あ、その切り抜き動画なら私も見たよ! アスカちゃんの見どころが詰まってて、何回も見返したくなるくらいすごく可愛かった!」
アスカ
「あ、ありがとうございます。……えへへ、燦ちゃんに褒められちゃった。切り抜き師の方に感謝しないとですね」
燦
「私も、あとでお礼をつぶやいたーで伝えておくね」
アスカ
「ふふっ、そうして頂けると助かります。……そう言えば、燦ちゃんは切り抜き動画とか多そうだけど、つぶやいたーとかであんまり見かけないよね?」
燦
「えっと、……あるんだよ。一応だけど」
アスカ
「一応?」
燦
「うん。でも、すぐに灰になっちゃうんだよね……。なんでだろ」
アスカ
「あ、あはは……。その、燃えやすい素材なのかな?」
燦
「はは……、はぁ」
◆『朝のルーティーン』◆
朝のルーティーンは何ですか?
ましゅまろ ❒″ |
燦
「朝のルーティーンかぁ。アスカちゃんは何かある?」
アスカ
「私は、ん~、コーヒーを飲むことかな?」
燦
「朝にコーヒーはよく聞くよね」
アスカ
「そうですね。けっこう定番かも。燦ちゃんは、朝のルーティーンってありますか?」
燦
「私は、う~んなんだろ?」
アスカ
「思いつかないなら、次のましゅまろを読みましょうか?」
燦
「ちょっと待って、今、考えるから。……あ、二度寝」
アスカ
「あはは……、それはルーティーンにしちゃだめだよ」
燦
「だって、朝起きれないんだもん。だから、朝のルーティーンって聞かれても、二度寝くらいしか思いつかないし」
アスカ
「もー、仕方ないなぁ。明日からモーニングコールしてあげるから、早起きをルーティーンにできるように頑張ろう?」
燦
「うっ。ぜ、善処します」
◆『推しの強い押し?』◆
燦
「ふんふふ~ん」
アスカ
「ふふっ、今日はいつも以上にご機嫌ですね」
燦
「アスカちゃん。あのね、ずっと活動してなかった個人Vtuberが活動を再開したんだよ! 前から好きだったからすごく嬉しくて、今夜の配信がすごく楽しみなんだ!」
アスカ
「なるほど、それはおめでたいですね!」
燦
「うん! ずっと音沙汰がなくて心配だったけど本当に良かったよ。もっと推してあげればよかったって後悔してたからさ。今度はちゃんと推せるときに推してあげたいんだ!」
アスカ
「それはいい心がけですね。それじゃあ私も、……えいっ」
燦
「わわっ!? あ、アスカちゃん。もー、急に押されるとびっくりするんだけど……」
アスカ
「あはっ、推せるときに押してみました」
燦
「えぇー」
アスカ
「燦ちゃんは、私を推してくれないの?」
燦
「……えいっ!」
アスカ
「きゃっ。もー、推してくれるのは嬉しいけど、押し倒すのは、……ずるいよ」
燦
「押しが強いの、いや?」
アスカ
「もぅ、……分かってるくせに」
燦
「えへへっ」