あるてまれアスカちゃん劇場´   作:立花アスカの偽猫

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あるてまれアスカちゃん劇場まとめ(106~110)

◆『こもりたい』◆

 

「にわ先輩から哺乳瓶を送られた私の気持ちを答えよ」

 

 

『ばぶぅー』

『ゆいままー、みるく~』

『あすかままー、みるく~』

『ママ戦争が起こるぞ』

『にわ先輩大好き! ちゅっちゅっ』

 

 

「最後のはない。てか、これどうしたらいいの?」

 

 

『哺乳瓶助かる』

『ちゅぱちゅぱ配信するって聞いて』

『猫に哺乳瓶って似合いすぎじゃね?』

『一生推します』

 

 

「はぁ。お前らに相談した私がバカだったよ」

 

 

『え、まだ自覚してなかったの?』

 

 

「は???」

 

 

『まぁまぁ。哺乳瓶でミルクでも飲んで落ち着けよ』

『ママに慰めてもろて』

『にわ先輩にお礼の哺乳瓶を送ろう』

 

 

「おっ、それいいかも。――あ、でも住所知らないや」

 

 

『あっ』

『住所不定みたいなもんだし』

『取り敢えず事務所に送ってみれば?』

『ブラックリストに載りそう』

『マネージャーさん経由ならワンチャン?』

『哺乳瓶をプレゼントし合う問題児が担当とかマネージャーさん可哀想』

 

 

「う~ん、ホントにどうしよう?」

 

 

『ゴミはゴミ箱へ』

『あすかままにプレゼントして』

『赤ちゃんプレイしないの?』

『甘やかされてこい』

 

 

「ふぁ~っ。……今日は眠たいから、明日改めて考えることにします」

 

 

『お疲れ様』

『ばいにゃー』

『あとで使った感想聞かせてね』

 

 

 

翌日

 

 

 

「遊びに来たよ~」

 

 

アスカ

「あ、燦ちゃん。今、ちょっと手が離せないので、あがって待っててください」

 

 

「うん、分かった。……ねぇ、アスカちゃん」

 

 

アスカ

「なぁに、燦ちゃん?」

 

 

「えっと。その手に持っているのは……」

 

 

アスカ

「これのこと? ただの哺乳瓶だよ?」

 

 

「……」

 

 

アスカ

「えっと、これはですね。そろそろお昼だし、お腹がすいているかなって思って用意してたの」

 

 

「いや、普通におかしいよね!?」

 

 

アスカ

「どこかおかしいですか? ちゃんと本を読んで勉強したのですが……」

 

 

「そうじゃなくて!?」

 

 

アスカ

「う~ん、そうだ! 子守りのことに詳しいみたいだし、よかったら燦ちゃんにも手伝ってもらおうかな?」

 

 

「……え、子守り?」

 

 

アスカ

「はい。どうしても外せない用事があるってことで、親戚の方から赤ちゃんを預かっているんです。それでミルクを用意していたのですが、……あれ、燦ちゃん? 顔が真っ赤だよ」

 

 

「あぅあぅ。……ごめん、なんでもないからこの件は触れないで」

 

 

アスカ

「えっと、よく分かりませんが。よしよし」

 

 

「うぅ~っ。……アスカちゃんの優しさが辛い」

 

 

 

 

 

◆『二人の隠しごと?』◆

 

アスカ

「赤ちゃんって、どうしてこんなに可愛いのかな?」

 

 

「なんでだろうね。わわっ、指握られたっ!?」

 

 

アスカ

「ふふっ、焦ってる燦ちゃんも可愛いなぁ」

 

 

「もぅ!? 嬉しいけど、褒めてないで助けてよ!?」

 

 

アスカ

「しーっ。燦ちゃん、赤ちゃんがびっくりしちゃうから、大きな声はだめだよ」

 

 

「あっ、ごめん。キミもごめんね」

 

 

アスカ

「……そうだ。燦ちゃん、こっち向いて」

 

 

「なぁに? あれ、カメラで撮ってるの?」

 

 

アスカ

「はい。何かの記念になればと思いまして。設定でシャッター音も消せるので、動画だけでなく写真も撮れますよ」

 

 

「へぇ。……せっかくだし、誰かに送ってみようかな?」

 

 

アスカ

「あ、それなら私も一緒に写ってもいいですか?」

 

 

「うん、いいけど。……変な誤解されそうだから、やっぱり送るのは止めとかない?」

 

 

アスカ

「??? はい。それは構いませんが、なんでですか?」

 

 

「だって、……二人の子供みたいじゃん」

 

 

アスカ

「………………はぅ」

 

 

「ち、違うけどさ!? 写真だけなら、ごっ誤解されるかもだし。ね?」

 

 

アスカ

「は、はい。そうですね。しゃ、写真は二人だけの秘密にしておきましょう」

 

 

「秘密って、隠し子みたいでアレだけど。ま、いっか」

 

 

 

 

 

◆『黒猫伸ばし?』◆

 

「診〇メーカーに、猫〇ばしチャレンジっていうのがあるの知ってる?」

 

 

アスカ

「はい、知ってますよ」

 

 

「あれって記録がメートルで表記されることがあるけど、リアルで考えると怖くない?」

 

 

アスカ

「猫の胴体を伸ばしている訳ですし、確かによく考えてみると怖いかもしれませんね」

 

 

「だよね! 胴体だけがみょーんって伸びるんだよ。もはや猫じゃなくて妖怪か何かじゃん」

 

 

アスカ

「あはは……、でもこれはジョーク診断ですから」

 

 

「そうだけどさ。……あっ」

 

 

アスカ

「どうかしましたか? えっと、黒猫さん伸ばし?」

 

 

「ものすごく悪意を感じるんだけど……」

 

 

アスカ

「でも、面白そうだよ。ちょっと試してみませんか?」

 

 

「えぇ~、なんかやだなぁ。……でも、アスカちゃんが言うなら。一回だけだよ」

 

 

アスカ

「あは、ありがとうございます。早速、結果が出ましたよ」

 

 

「うわっ、3センチメートルだって。なんかこれはこれで悔しいんだけど」

 

 

アスカ

「ふふっ、この結果なら、リアルで記録更新できそうだね。試してみてもいいですか?」

 

 

「いや、できないから!? 私の胴体は伸びないからね!?」

 

 

アスカ

「そっか、残念。私もチャレンジしてみたかったなぁ」

 

 

「うぅ~っ、試しに一回だけだよ。……優しくしてね」

 

 

アスカ

「はいっ、もちろんです!」

 

 

 

 

 

◆『空想の燦物?』◆

 

 

                              

バターを塗ったトーストと黒猫燦を用意します

 次に黒猫燦の背中にトーストのバターを塗っていない面をくっつけます

 最後に高いところから黒猫燦を突き落とすと永久機関が完成します

 

ましゅまろ

❒″

 

 

 

 

「これはくそまろ。永久機関は完成しません」

 

 

アスカ

「あはは……。これは猫ひねり問題とマーフィーの法則を合わせた、バター猫のパラドックスと呼ばれている有名な話ですね」

 

 

「確か、猫が必ず足から着地するのと、バタートーストのバターの面が地面に落ちがちだから、それらを合わせたら永久機関が完成するっていう思考実験だよね」

 

 

アスカ

「はい、そんな感じのお話で合ってますよ」

 

 

「でもさ、その思考実験を参考にするのはいいとして。そもそも私は二足歩行だから、背中にバタートーストをつけても意味ないし。高いところから突き落とされたら普通に死ぬからね」

 

 

『猫失格』

『猫耳の生えたJKだもんね』

『猫人?』

『頭は猫、身体は人間。私は猫人だよ』

『アスカちゃ~ん! 化け物が来たよ!』

 

 

「化け物じゃないが!? せめて猫又くらいにしてくれないかな!?!?」

 

 

アスカ

「猫又って妖怪だけど、いいの?」

 

 

「だって、猫又なら猫だからまだ可愛いかなって。……てか、化け物は冗談でも流石に傷ついたんだけど」

 

 

『それはごめん』

『可愛いよ』

『黒猫すし』

『たとえ化け物だろうと一生推します』

『泣かないで。燦ちゃんのかわいい笑顔が見たいな』

 

 

「うぅ~、恥ずい。褒めたってうやむやにしないけど、……ありがと」

 

 

アスカ

「ふふっ、よかったね。私も悲しげな顔より、楽しげに笑っている燦ちゃんの方が好きだよ」

 

 

「アスカちゃん……、しゅき」

 

 

『てぇてぇなぁ』

『あれ、俺らのことは?』

『暇だから思考実験を真面目に考えようぜ』

『バタートーストを頭の上にしてみる?』

『四つん這いの状態で落とせばいいんじゃね?』

『物理的に高いところから突き落とすのは駄目だから、ホラーゲームで天国から地獄に落として永久機関の完成を目指そう』

『よし、決定。次の配信はバタートーストを頭に乗せてホラーゲームするってことで』

 

 

「いや、よくないが!? てか、頭にバタートーストを乗せて配信している時点でホラーじゃん!?」

 

 

アスカ

「あはは……。確かに、それはちょっと怖いかも」

 

 

『妖怪パン乗せ猫(ぼそっ』

 

 

「妖怪ならいいって言ったけど!? それはなんかいやなんだが!?」

 

 

 

 

 

◆『失敗は成功のもと』◆

 

「女子力がないって言われて悔しいから、今日は料理配信をしようと思います」

 

 

『消防車呼ぼうか?』

『炭は料理じゃないぞ』

『それは家事じゃなくて火事や!』

 

 

「は? お前らが普段から私のことをどう思っているか。よ~く分かったよ」

 

 

『だって、ねぇ?』

『カップ焼きそばの湯切りでさえ失敗してそうなイメージ』

『それ以前にカップ麺の蓋を開けられないんじゃね?』

 

 

「湯切りはたまにしか失敗しないし!? 蓋だってたまに中身を溢しちゃうけど、開けられるんだが!?」

 

 

アスカ

「あはは……」

 

 

『お、アスカちゃんいるじゃん! これで勝てる!』

『アスカちゃんがいても不安だなぁ』

『アスカちゃんが困惑してるぞ』

『猫に料理を教えるようなものだし仕方ない』

『ファイトー』

 

 

「ふふん、今のうちに好きに言っておけばいいよ。某料理シミュレーターゲームで鍛えた料理の腕を、今日こそ見せてあげるからさ」

 

 

アスカ

「ふふっ、それは期待できそうですね。そう言えば、今日はどんな料理を作るんですか?」

 

 

「えっとね、今日はなんと!?」

 

 

アスカ

「なんと?」

 

 

「ゆでたまごを作ります!」

 

 

『ゆでたまご?』

『茹でた孫じゃね?』

『魔界料理!?』

 

 

アスカ

「えっと、ゆでたまごだって、上手に作るのは難しいですから。が、頑張ってくださいね」

 

 

「そうだよね。頑張るよ!」

 

 

『流石にゆでたまごなら失敗しないよね』

『失敗しても半熟とか固ゆでくらいだし』

『おい、それはフラグだぞ!』

 

 

「失敗しないが!? たまごを茹でるだけなのに、失敗する訳ないじゃん」

 

 

『だよね』

『フラグを重ねていく』

『アスカちゃんも見てるし』

 

 

アスカ

「燦ちゃん。半熟にするなら、そろそろ時間だよ」

 

 

「う~ん、初めてだし普通の固さにしようかなって。……もういいかな?」

 

 

アスカ

「はい、大丈夫ですよ。あとは冷水で冷やして殻を剥けば完成だよ」

 

 

「ふぅ~。ほら、やればできるんだって。これを切っ掛けに料理の才能が開花しちゃったかも」

 

 

『すごい! 天才! 料理のプロ!』

『嫁にしたい』

『ドヤ顔かわいい』

 

 

「冷えたかな? あとは殻を剥けば、……剥けば、――あっ」

 

 

アスカ

「あっ」

 

 

『あっ?』

『どした!?』

『もう失敗する要素はないぞ!?』

『白身が一緒に取れたとか?』

『ありそう』

 

 

 

「……殻ついたまま半分になった。なんで?」

 

 

『え、なんで?』

『こっちが知りたい』

『えぇー』

 

 

 

「あ、アスカちゃん。どうしよう!?」

 

 

アスカ

「ま、まだ大丈夫です! 黄身を先によけて、慎重に殻を剥いていけば大丈夫だから」

 

 

「わ、分かった。慎重に、慎重にだね。……あっ」

 

 

アスカ

「あっ」

 

 

『今度はなに!?』

『コントか!?』

『草生える』

 

 

 

「……白身、ないなった」

 

 

アスカ

「……次、頑張ろっか」

 

 

「……うん」

 

 

『草』

『チャンスはあと二回』

『……うん、これはちょっと』

『一・二回目をなかったことにしないでもらて』

『あれは悲しい事件だったね』

『まさか剥き終わったあとにはしゃいで床に落とすとは……』

『思わないよね』

 

 

 

「そ、そんなことより! でこぼこだけどちゃんとできたじゃん! ほらっ、画像ちゃんと見て! できてるよね!?」

 

 

アスカ

「はい、初めてにしては上出来だと思いますよ。燦ちゃん、よくできました」

 

 

「えへへ」

 

 

『……上出来?』

『しーっ』

『炭にならなかったんだから上出来だろ』

『落として割れた方を選ぶアスカちゃんマジ天使』

『次回があれば目玉焼きかな?』

『いや、それは難易度が高いからたまごサラダにしよう』

『それいいね。またゆでたまごで失敗しても大丈夫だし』

 

 

 

「……ぐぬぬ、否定できなくて悔しい」

 

 

アスカ

「あはは……、一緒に少しずつ頑張っていこう?」

 

 

「うん、ありがとうアスカちゃん!」

 

 

 


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