あるてまれアスカちゃん劇場´ 作:立花アスカの偽猫
◆『愛言葉は愛してる』◆
燦
「オレオレ詐欺とか、振り込め詐欺って怖いよね」
アスカ
「そうですね。でも、急にどうしたんですか?」
燦
「テレビでよく特集してるし、自分は大丈夫って思っている人ほど危ないって聞いたから。なんか怖くなっちゃって。だから、なにか簡単にできる対策ってないかな?」
アスカ
「う~ん、それなら合言葉なんてどうかな?」
燦
「あ、なるほど。怪しいって思ったら、合言葉で本人かどうか確認するのはいいかも」
アスカ
「決まりですね。それじゃあ、どんな合言葉にしよっか?」
燦
「山って言ったら、もう一人が川とか?」
アスカ
「分かり易いけど、それだとちょっと簡単過ぎませんか? もっと私たちらしい合言葉にした方が、お互いに忘れませんし、詐欺師の方も返答し辛いんじゃないかな」
燦
「う~ん、私たちらしいかぁ。……じゃあ、私のこと好きって聞いて、愛してるよって答えるのはどう?」
アスカ
「えっ!? た、たしかに悪くないと思うけど。電話越しとはいえ、見知らぬ人にその合言葉を言えるかどうかってなると……。私は、恥ずかしくて、ちょっとできそうにないかも」
燦
「……うん。自分で言っておいてなんだけど、私も聞けないかも」
アスカ
「あはは……、そうだよね。いい合言葉だとは思うけど、別のを考えよっか?」
燦
「残念だけど、そうしよっか」
アスカ
「……あ、でも。せっかくなので、私が電話したときに、そのっ、念のためですけどっ、燦ちゃん本人かどうかを確認するのに、いっ今の合言葉を使ってもいいですか!」
燦
「うっ、うん。念のためだし、本人確認は必要だもんね!」
アスカ
「はいっ、必要なんです!」
燦
「じっ、じゃあ私も。念のための本人確認として、そのっ、アスカちゃんに電話したときは、合言葉を使うからね」
アスカ
「は、はひ。すごく恥ずかしいけど、……頑張りますっ!」
◆『特別なココアよりも、手袋よりも、あったかいんだから』◆
アスカ
「燦ちゃん、遅いなぁ」
燦
「あ、アスカちゃん! ご、ごめん。待った?」
アスカ
「いえ、今来たところだよ」
燦
「本当にごめんね。ボイス収録が長引いちゃって、時間ギリギリになっちゃった」
アスカ
「ううん、遅れるかもって連絡貰ってたし、ちゃんと暖かい格好で待ってたから大丈夫だよ」
燦
「あ、ほら! やっぱり嘘だった。もー、ちょっと待ってて。お詫びに温かい飲み物買ってくるから!」
アスカ
「あ、燦ちゃん。……行っちゃった。そんなに気にしなくてもいいのに」
燦
「お待たせ! はい、ココアだけど大丈夫だったよね?」
アスカ
「うん、大丈夫だよ。ありがとうございます。……ふふっ、甘くておいしい。それにあったかいです」
燦
「よかった」
アスカ
「あれ、燦ちゃん。手袋してないけど、今朝はしてたよね?」
燦
「あっ。そう言えば、……あれ? 収録に行くときはあったんだけど、……どこかで落としちゃったのかな?」
アスカ
「もぅ、風邪引いちゃうよ。私は大丈夫だから、手袋を貸してあげる」
燦
「だめだよ。それだとアスカちゃんが風邪引いちゃうもん。私は大丈夫だって」
アスカ
「むぅ。じゃあ、片方ずつで分けっこしましょう」
燦
「でも、それだと片手しか温まらないよ?」
アスカ
「大丈夫、手袋をしてない手と手を、こうしてぎゅって繋げば。……ほら、温かいでしょ?」
燦
「うんっ! ……えへへ、ぽかぽかだね」
アスカ
「はい、ぽかぽかです」
燦
「あ、そうだ。ショッピングに行くんだし、せっかくだから新しい手袋を買おうかな」
アスカ
「いいですね。前は猫ちゃん手袋だったけど、次はどんな手袋にしますか?」
燦
「う~ん、じゃあ。恋人手袋、なんてどうかな? それなら、またこうして手を繋げるし、きっと普通に手袋するよりあったかいよね」
アスカ
「あ、……うん! すごくいいと思います!」
燦
「えへへ、決まりだね。じゃあ、行こう」
アスカ
「はいっ!」
◆『接触充電』◆
燦
「あ、そろそろスマホの充電しないと。アスカちゃん、充電器貸して?」
アスカ
「いいですよ。はい、どうぞ」
燦
「ありがとう。……う~ん、どうしよう。スマホは充電中だし、やることなくて暇になっちゃった」
アスカ
「ふふっ、たまには何もせずに、のんびりしてもいいんじゃないかな」
燦
「んー、そうだね。……ふぁ~っ、なんか気が抜けちゃったかも」
アスカ
「少し横になりますか?」
燦
「うん、そうしようかな。アスカちゃん、いつものやついい?」
アスカ
「膝まくらですね。はい、どうぞ」
燦
「ありがとう。……はぁ~、癒される~。やっぱりアスカちゃんの膝まくらは最高だよ」
アスカ
「あは、ありがとうございます」
燦
「……はふぅ。ちょっと目、瞑ってるけど、足が疲れたら起こしてもいいからね」
アスカ
「はい、了解です。燦ちゃんも、眠っちゃってもいいので、ゆっくり休んでくださいね」
燦
「ふぁ~い。じゃあ、よく眠れるように、いつものして欲しいな。……だめ?」
アスカ
「ふふっ、だめじゃないよ。よしよし。いい子いい子。……んっ、お休みなさい」
燦
「えへへ。おやすみ、アスカちゃん」
◆『お悩み相談2』◆
燦
「アス猫お悩み相談所!」
アスカ
「前回の配信が好評だったので、二回目の配信をすることになりました。今回も、みなさんから届いたお悩みに、ちょっとしたアドバイスを送っていきたいと思います」
燦
「それじゃあ早速、最初のお悩みはこちらです」
お悩み |
推しの配信が仕事の時間と被ってて辛い あとでアーカイブで見れるけど、 よく炎上して非公開になったり、アーカイブに残らない配信をしたりする猫なのでマジで辛い どうしたらいいと思いますか?
黒猫すきすき大好きクラブの会員より |
燦
「えっと、なんかごめん」
『分かる』
『俺も推しの配信をリアタイで見たくて転職したいって思ったことあるし』
『俺は無職だから関係ないな』
『自慢するようなことではないが、正直羨ましい』
『誰も黒猫すきすき大好きにツッコまない件について』
アスカ
「う~ん、なかなか難しいお悩みですね。アーカイブに残らないってことは、それ相応の理由がある訳ですし。燦ちゃんは、なにかアドバイスありますか?」
燦
「う~ん、仕事中に見るのは……、だめだよね」
『だめだろ』
『ワイ、接客業なんやけど』
『上司の目を盗んで見てます』
燦
「自分で提案しておきながらアレだけど。流石に、それで仕事がクビになったら申し訳ないし……」
アスカ
「そうですね。配信のせいで誰かが不幸になるのはいやですし。推してくれるのは嬉しいけど、もっとリアルを大切にしてくださいね」
『はーい』
『結局お悩みが解決してない件』
『お悩み相談所(解決するとは言ってない)』
燦
「解決しろって言われても……。炎上したらアーカイブ残せないんだから仕方ないじゃん」
『炎上しない努力してもろて』
『開き直るな』
『じゃあ、切り抜きで見ます』
燦
「それは見なくていいから!?」
アスカ
「あはは……。解決、したのかな?」
『解決してよかったね』
『自己解決しただけなんだよなぁ』
『このゆるい感じが好き』
『次があったら俺も相談してみようかな』
『相談料、着手金は無料! ※ただし解決は致しません』
『草』
◆『視聴者プレゼント』◆
燦
「今度、あるてまのみんなが持ち寄った物を、福袋にしてリスナーにプレゼントする企画をするんだけど。みんなはなにか欲しいものってある?」
『休日』
『てぇてぇ』
『友達』
『かわいくて優しい妹』
『美少女な彼女』
燦
「私が用意できるもので! なにか欲しいものありませんか!」
『(大人の)おもちゃ』
『あえぎボイス』
『えちちな下着』
燦
「いや、たしかに用意できるけど!? それは流石にだめでしょ。怒られるし」
『だめな理由が怒られるからって子供か』
『マネさん説得してもろて』
『諦めるなよ!』
燦
「そろそろ真面目に考えてよ。じゃないと、無料で配ってたポケットティッシュとかになるけど、それでもいいの?」
『使用済みですか?』
『ガタッ』
『なん、だと』
『使用済みティッシュくれ』\10,000
『あ、ずるい!』
燦
「うわぁ……。え、本気? まぁ、欲しいならあげてもいいけど」
『家宝にします』
『草』
『黒猫がドン引きしてる』
『大丈夫だ。俺もドン引きしてるから』
『アスカちゃんの使用済みなら欲しいだろ。それと同じだぞ』
燦
「流石に私でも、使用済みティッシュは欲しがらないからね!?」
『え?』
『嘘だ!』
『黒猫のニセモノ?』
『俺らの知ってる黒猫はそんなこと言わないぞ』
『黒猫燦を返せ!』
燦
「私が本物の黒猫燦なんだが!? お前ら、私のこと普段からどんな風に思ってるのさ!」
『言って欲しい?』
『少女の皮を被ったおっさん』
『盛った猫』
『女好き』
『へんた……』
燦
「ひ、否定できない」
『草』
『認めちゃった』
『否定してもろて』
『自覚あったのか。あってこれなのか』
『いや、変態は否定しろよ』
燦
「そ、そんなことより欲しいものの話だよ。なにかないの?」
『サインとか?』
『お金ください』\10,000
『だれか冗談でもいいから、お前が欲しいって言ってやれよ』
『燦ちゃん』立花アスカ✓
『え』
『ん?』
『アスカちゃん!?』
燦
「た、たしかに者だけど!? その、今は視聴者プレゼントの話だから、そういうのはあとで、ね?」
『あとで?』
『てぇてぇ』
『燦ちゃん、こんばんにゃー。すみません、間違って途中でコメントしてしまいました』立花アスカ✓
『あ、やっぱり』
『そんなことだろうと思った』
『これは恥ずかしいやつ』
燦
「あぅあぅ。わ、分かってたし! さっき、てぇてぇが欲しいって言ってたから、プレゼントしてあげただけだし」
『てぇてぇ助かる』
『ありがとう』
『いや、物じゃないし』
『えっと、タイミングが悪かったみたいで、すみません』立花アスカ✓
『勘違いした黒猫が悪い』
燦
「もー、この話題は終わり! みんな真面目に答えてくれないし、プレゼントが変なものになっても文句言わないでよ」
『はーい』
『楽しみにしてる』
『ぶっちゃけ、推しからのプレゼントならなんでも嬉しいんだけどね』
『黒猫が選んだものが欲しいんだよなぁ』
『年末の宝くじよりも当てたいからパワースポット巡りしてくる』
『プレゼント当たるといいなぁ』