あるてまれアスカちゃん劇場´ 作:立花アスカの偽猫
◆『現実は小説より奇(ス)なり』◆
GWということでお家デートをすることになった黒猫燦と立花アスカ。
燦
「映画たのしみだね」
アスカ
「はい! 事前に調べた感じだと、けっこう評判も良いみたいですし。どんな内容なのか楽しみです!」
燦
「じゃあ、映画の準備するからちょっと待ってて」
アスカ
「では、私はポップコーンとコーラの用意をしておきますね」
燦
「うん、ありがと!」
アスカ
「あは、どう致しまして」
視聴準備を終えた二人は、ポップコーンの容器を間に挟んでソファーに腰かける。
そうして映画を見始めてしばらく経ち、物語が終盤に差し掛かった頃。
燦
「……あっ」
アスカ
「キスシーン、だね」
燦
「うん……あっ」
気まずさからポップコーンへと伸ばした燦の手が、同じく誤魔化すようにポップコーンへと伸ばしたアスカの手へと触れる。
アスカ
「……せっかくのお家デートなんだもん。外じゃできないような特別なこと、してみたいな」
燦
「アスカちゃん。それって……」
ポップコーンを掴むのを忘れて行き場を無くしていた燦の手を、アスカの手がぎゅっと――いわゆる恋人繋ぎになるように――握る。
アスカ
「燦ちゃん」
燦
「アスカちゃん」
熱を帯びた声でお互いの名前を呼び合うと、そのまま二人の距離が近づいていき、そして……
アスカ
「燦ちゃん、ちょっといいですか?」
燦
「にゃっ!?」
アスカ
「あ、ごめんなさい。急にノックして、びっくりさせちゃったよね」
燦
「だ、大丈夫。ちょっと部屋でぼーっとしてただけだから!」
アスカ
「そうですか。でも、本当に大丈夫? なんだか顔が赤いけど……」
燦
「あ、いやそれは……(い、言えない。私とアスカちゃんがにゃんにゃんする小説(意味深)を読んでたなんて絶対に言えない!)」
アスカ
「あ、もしかして……」
燦
「っ~~~!?!?!?」
アスカ
「よかった。うん、熱はないみたいだね。けど、ちょっとだけおでこが火照ってるかな?」
燦
「ぁ、え?」
アスカ
「念のため風邪に効くお薬持ってくるから、お布団に入って、温かくして待っててくださいね」
燦
「あっうん。………………あうぅ~。心配してくれただけなのに、キスされるって勘違いするなんて……。しばらくアスカちゃんの顔、まともに見れないよ」
アスカ
「お待たせしました。どうですか? お薬飲めそう?」
燦
「うっ。今はちょっと……」
アスカ
「そっか。……じゃあ、その代わりに、元気の出るおまじないしてあげるね。燦ちゃん、こっち向いて?」
燦
「アスカちゃん? えと、今はちょっ、ぁ……」
アスカ
「お布団で隠してたから、おでこにしかできなかったけど……。どうですか? 元気、出た?」
燦
「……んっ。……すごく出た」
アスカ
「あは、それならよかったです!」
◆『ええんやで』◆
燦
「今日は急遽配信内容を変更して、母の日ということで、アスカちゃんにプレゼントする似顔絵を描きます」
『こんばんにゃー』
『そう言えば母の日だっけ』
『アスカちゃんはママだった???』
『似顔絵は止めた方が……』
『似顔絵のプレゼントって子供か! いや、子供だったな』
『いやがらせやめなー』
燦
「いやがらせじゃないんだが!? 母の日のプレゼントって言ってるよね!」
『だって、ねぇ?』
『画伯』
『大人しくカーネーションにしとけ』
『黒猫の絵は燃えるゴミだから』
『そもそもなんで絵なの?』
燦
「絵を選んだ理由? 形が残るものだし、手作りだから気持ちがこもってるし。あとなにより用意するのが簡単!」
『あ、そういう』
『最後のが本音だろw』
『母の日ってこと忘れてたな』
『気持ちどこいった』
『さいてー』
燦
「あぁーもう、うるさいうるさいうるさ~い! あっ、ほらさっそく線がズレたじゃん。あぁーあ。お前らのせいで下手くそな絵になっちゃった。アスカちゃん悲しむなー」
『え?』
『は?』
『※下手なのはもとからです』
『他人のせいにするのやめてもろて』
『でも、アスカちゃんなら、黒猫からのプレゼントならゴミでも喜びそう』
『文句言うならそもそも配信外でやれよ』
燦
「う~ん、こんな感じかな? ……よし」
『よし、じゃねーから』
『あごから腕が生えてて草』
『今日はホラー配信だった?』
『ママ―こわいよー』
『服着せてもろて』
『これはえちち……くない』
『なんで手にちくわ持ってるの?』
『小学生の版画でリコーダー吹いてるやつ』
燦
「カーネーションだよ!?」
『え?』
『うねってるけど』
『俺の知ってるカーネーションじゃない』
『これは画伯』
『カーネーション曲げないでもろて』
『や、躍動感?はあるから……』
『最終判決はアスカちゃんに任せよう』
『なんて言うのか、報告楽しみだな』
燦
「ぐぬぬ。お前ら、あとで絶対謝らせてやるからな」
……
…………
………………
燦
「アスカちゃん、いつもありがとう! これ母の日のプレゼント!」
アスカ
「え、母の日? そんな、まだ早いよ燦ちゃん……」
燦
「まだ早い??? よく分からないけど、これ受け取って!」
アスカ
「はい。ふふっなんだろう。えっと、これは絵ですか? わぁ、ありがとうございます!」
燦
「そうだよ。アスカちゃんに喜んで欲しくて描いたんだよ。ねぇねぇ、これ何の絵だと思う?」
アスカ
「え!? えっと、これはですね。んーっと、私の似顔絵かな?」
燦
「正解! さっすがアスカちゃん!!! じゃあ、この手に持ってるのが何か分かる?」
アスカ
「そうですね。う~ん、ちくわ」
燦
「え?」
アスカ
「と見せかけて、これはカーネーションだよね。素敵な絵をありがとう燦ちゃん。大切にするね」
燦
「うんっ! アスカちゃん大好き!」
アスカ
「わっ!? もー、急に抱き着いてきたら危ないよ。あはっ、よしよし」
燦
「えへへっ!」
アスカ
「(ふぅ、よかった。燦ちゃんを悲しませずに済んで。でも、燦ちゃんのリスナーさんには悪いことをしちゃったかな? けど、ネタバレ禁止って書いてなかったし……いいよね?)」
◆『寝耳に水、寝口に……』◆
燦
「うぅ~、酷い目に遭った」
アスカ
「大丈夫ですか?」
燦
「大丈夫じゃないよ、もう。罰ゲームがあるなんて聞いてなかったし、罰ゲームに激辛カップラーメン選んだやつ絶対に許さないからな!」
アスカ
「まぁまぁ。リスナーのみなさんも、悪気は……少ししかなかったと思いますし」
燦
「いや、あるんかい! ……はぁ。まだ舌は痛いし、唇の感覚はほとんどないしほんと最悪。なんか話すのもしんどいから今日は休むね」
アスカ
「はい、お大事に。お休みなさい燦ちゃん」
燦
「おやすみアスカちゃん」
……
…………
………………
アスカ
「……燦ちゃん?」
燦
「すぅ、すぅ」
アスカ
「よかった。ちゃんと眠れてるみたいで」
燦
「むにゅんにゅ……。アスカちゃん、甘いもの……」
アスカ
「くすっ。よっぽど辛かったんだね。だから、夢でまで甘いものが欲しいのかな? んー、そうだ。……寝てる、よね?」
燦
「んっ……?」
アスカ
「あは、流石に辛くないか。……おやすみ、燦ちゃん」
燦
「えへへ、あまあま……」
◆『バBANバBANBANBAN』◆
アスカ
『もしもし、燦ちゃん?』
燦
「もしもしアスカちゃん。どうしたの?」
アスカ
『良かったら次の日曜日にコラボしませんか?』
燦
「コラボ? いいよ。なにする?」
アスカ
『そうですね。じゃあ、――ボなんて――か?』
燦
「え、なんて? よく聞こえなかったからもう一回お願い」
アスカ
『あれ、電波が悪いのかな? では、もう一回言いますね。おふ――ラボでゆっくりお話しませんか?』
燦
「(オフコラボでお話?)うん、いいよ」
アスカ
『えへへ、やった! じゃあ、日曜日はお風呂セットを持って燦ちゃんのお家にいきますね!』
燦
「(お風呂セット? 配信後にそのままお泊りするのかな?)あっうん、分かった。コラボ楽しみだね」
アスカ
『はい!(あは、お風呂コラボたのしみです!)』
◆『そこに私はいません。百合の間に挟まってなんかいません』◆
燦
「こんアス猫。今日はアスカちゃんとオフコラボをします」
アスカ
「よろしくお願いします」
『こんアス猫~』
『こんアス猫ってなに?』
『急に新しい挨拶しないでもろて』
『オフコラボだー!!!』
『ねぇ、お風呂は?』
燦
「お風呂はありませーん。残念でした」
『は?』
『低評価押しました』
『見損なったぞ』
『さてはお前偽物だな』
『やだやだやだ』
燦
「お前ら子供か! いや、いくら駄々をこねても、お風呂配信はミャーチューブにBANされるから無理なの」
アスカ
「そうですよね。水音とかに厳しいみたいですし。お風呂配信はつぶやいたーのスペースでやろっか」
燦
「うんうん。アスカちゃんもこう言ってることだし、このあとスペースでお風呂配信を……って、いやいやいや。しないから!?」
『ちっ』
『もう少しで言質とれたのに』
『おしい』
『アスカちゃんかわいそうだろ』
『淫猫じゃない黒猫は黒猫に非ず』
『なんでだめなの?』
燦
「なんでって……。それは……」
アスカ
「燦ちゃん?」
燦
「……好きなんだもん。……独り占めしたいじゃん」
アスカ
「っ~~~!? えへっ、えへへ。うん、じゃあしょうがないよね。お風呂は二人っきりで、ね?」
燦
「うん!」
『なんて?』
『ミュートすな!』
『アスカにっこにこやん』
『距離近くない?』
『キスしてたりして』
『えちちちちっ(お風呂が沸きました』
『で、お風呂は!』
『百合の邪魔をしたらだめだぞ。俺らは黙っててぇてぇの供給を待つしかないんや』
『せやな。じゃあ、お風呂の壁になって待つわ』
『いや、さり気なく覗こうとすなw』