どんなミラクルも起き放題。何の脈絡も説明もなく世界を渡った常磐ソウゴとその仲間達、明光院ゲイツ、ツクヨミ、ウォズ。
たぶんディケイドのせい。おのれディケイドとどこかの誰かが叫んだ。
ここは始まりの街、アクセル。
この世界は魔王による侵略を受け、危機に陥っていた。
「と、いうわけで俺達でパーティーを組もうと思う!」
ドンッとテーブルを叩いて青年、常磐ソウゴが同じテーブルを囲む仲間達に言う。
「突然、というわけでと言われても分からん。最初から説明しろ」
ソウゴの目の前に座っていた目付きの鋭い青年、明光院ゲイツが聞けばソウゴは目を輝かせて手に持った紙を見せつける。
「パーティーを組むんだよ、パーティーを! ゲームみたいで面白いでしょ!?」
「はぁ、ウォズ」
興奮した様子で要領を得ない説明をするソウゴにため息をついて、白い衣装に長い黒髪が特徴的な少女、ツクヨミがストールを巻いた青年、ウォズに代わりの説明を求める。
ウォズはポリポリと食べていたソウゴがテーブルを叩いたことで固まった野菜スティックを飲み込み、語りだす。
「んんっ、私達は突然この世界に飛ばされた来た。我が魔王のお力があれば元の世界に戻るなど造作も無いことだが、この世界に飛ばされたのには何か理由がある。その理由を見つけるため、この世界で冒険者として活動しようと言うわけだ」
「……何だ、帰れるのか?」
「世界を渡るディケイドの力を使えば簡単だよ?」
あっけらかんと言い捨てるソウゴに眉間を押さえながらため息を吐くゲイツ。どうやら、どうやって元の世界に帰ろうかを真剣に考えていたのが馬鹿らしくなったらしい。
そんなこんなでパーティーを結成したソウゴ達。
次々とクエストをこなし、物凄いスピードで駆け出し冒険者から中堅冒険者へとなった頃。
「緊急! 緊急! 魔王軍襲来! 冒険者の皆さんは、ただちに武装して街の正面ゲートに集まってください!」
突如、警報がアクセルの街中に鳴り響いた。
「起きろジオウ!」
バンッ! とゲイツが宿の扉を勢いよく蹴開け、惰眠を貪っていたソウゴがベッドから転げ落ちる。
「うおっ、何! 何ぃ!?」
「とっとと着替えろ。出るぞ」
「う、うん……!」
ジオウとゲイツが正面ゲートに駆け付けた時には、既に冒険者達による人だかりが出来ていた。
その中にはツクヨミとウォズの姿も
「二人とも遅い!」
「ごめん、ツクヨミ」
「すまん、状況はどうなっている?」
「魔王軍幹部のベルディアってやつが来て、城に毎日爆裂魔法を撃ってくるのは誰だーって怒ってるとこ。
めぐみん? って娘が今アイツと話してる」
「めぐみん? 何だそのふざけた名前は」
「この世界では紅魔族っていう種族は皆変わった名前をしているらしいね。強大な魔力を備え、爆裂魔法というのはこの世界最強の魔法だ」
「へぇ……詳しいね、ウォズ」
「私には見ている人達への解説をする役目もあるからね」
「見ている人? え、誰?」
「そんな事より我が魔王、どうやら事態が動くようだよ?」
ウォズが指差した先では、デュラハンのベルディアと黒髪の少女が対峙していた。
「とにかく、毎日爆裂魔法を撃たなければ見逃してやる……!」
「無理です! 紅魔族は一日一回爆裂魔法を撃たないと死んでしまうんです!」
「そんな馬鹿な話があるかああああああ!!」
「おっとそう言えば今日はまだ爆裂魔法を撃っていませんでしたね。せっかくですので、今ここで撃ちましょうか!」
何を馬鹿なことを、ベルディアがそう思った瞬間。めぐみんの杖に魔力が集まり始めたのを感じた。
「チッ! 本気かこの頭のおかしい小娘は……!」
左腕に抱えられた頭が舌打ちする。
いくら不死身のアンデッドと言えど、魂すら消滅させ、神にすら傷を負わせる爆裂魔法を受ければひとたまりも無い。
街に近い所で放てばその余波で街がぶっ飛ぶ可能性すらあるのに目の前の少女は一欠片も気にしていない。少女の後ろで彼女の仲間らしい少年が「おい馬鹿やめろ」だのなんだの言っているが気にも止めていない。頭おかしい。
「仕方がない。貴様は……」
ベルディアはめぐみんへと右の指先を向ける。
「今すぐ死ぬ……ッ!」
ベルディアがそう発した瞬間、めぐみんの詠唱が止まり、その場に倒れる。
「おい! おいめぐみんしっかりしろ!」
少年が駆け寄ってめぐみんの身体を抱き上げる。しかし……。
「おい、何で息してないんだよ!」
「くっ、指差しの呪いか! おのれ魔王軍!」
金髪の、鎧を着た女性がめぐみんと少年を庇うように立ち、恨みと後悔の混じった視線と剣をベルディアに向ける。
指差しの呪い。魔王軍幹部ベルディアが持つスキルである。
指差して余命を宣告すれば指差された者はその通りに死ぬ。
めぐみんは「今すぐ死ぬ」と宣告され、その呪いで死んだのだ。
「でも、それは俺が見た未来だ」
「貴様は、今すぐ死ぬ……ッ!」
ベルディアが言い放ち、指差しの呪いが発動する……筈だった。
「な、何っ!?」
ベルディアの右手首から先、それが地面に落ちる。
指を差せなければ呪いは発動しない。
《リバイブ疾風!》
そして、それを成したのはソウゴの
どさっ、と尻餅をつくめぐみん。
「へ……? 今……私……」
訳が分からない、と辺りを見回し、自身の身体を触る。
少女の身体は、指差しの呪いがかけられたことも、死んだことも無い、そういう事になっていた。
「俺さ、バッドエンドって、あんまり好きじゃないんだよね。
だから、お前の未来──変えさせてもらった」
人だかりの中から悠然と歩み出たその青年を、ベルディアは異質だと感じた。
誰もが武装している中で、革の鎧すら着ず、手には杖も剣も無い。あるのは腰に巻かれた
だがそれよりも、その青年が纏う雰囲気が、明らかに違う。例えるなら、ベルディアが尊敬し仕える、
「貴様は、何者だ!」
ベルディアが問う。その爪先の先には僅かに地面が抉れた跡があった。
それは魔王軍幹部である筈のベルディアが、武装すらしていないただの人間を相手に無意識で恐れ、後ずさった事の証であった。
ソウゴはポケットからジオウⅡライドウォッチを取り出し、答える。
「俺? 俺は、最高最善の──」
《ジオウⅡ!》
「
二つに分かれたジオウⅡライドウォッチをドライバーにセット、回転させる。
「変身」
《仮面ライダー! ライダー! ジオウ! ジオウ! ジオウⅡ!》
ソウゴは仮面ライダージオウⅡへと変身する。
変身直後、ジオウを中心に風が吹き、その場にいた全員が否応にもその姿に目を向けさせた。
「魔王……人間が、魔王を名乗るだとォ!? そのようなこと、許されるものか! 出でよ我が騎士団よ!」
ベルディアの呼び掛けに空に雲がかかり、陰から鎧を着、古びた剣を持ったアンデッド。アンデッドナイトがわらわらと湧いて出る。
「ゲイツ」
「まったく、人使いの荒い魔王だ」
《フィニッシュターイム! リバイブ!》
瞬間、ゲイツの姿が消える。
《百烈・タイムバースト!》
そして、ゲイツが姿を見せたと思った瞬間。無数のアンデッドナイトが爆散した。
「馬鹿な、我が精鋭達は魔王様のお力によって浄化されない筈……ッ! どうやって倒したと言うのだ!?」
「仮面ライダーにはさ、アンデッドを殺す力を持ったライダーがいるんだよね」
ジオウが答え、ゲイツがその力が宿ったライドウォッチをベルディアに見せる。
《ブレイド!》
「事前にジオウから受け取っていた俺は、これを使って貴様の手下共を倒したと言うわけだ」
「何、だと……?」
唖然とするベルディア。
その前にジカンギレードとサイキョーギレードという銘を持つ二振りの剣を両手に持ったジオウが歩み寄る。
「さあ、残るはお前だけだ。魔王軍幹部ベルディア!」
「おのれ……魔王様の名を騙る、偽は魔王めがぁ!」
ベルディアが頭を高く放り上げ、鞘から剣を引き抜く。
頭を放り上げたことにより、真上から戦場を見れるベルディアには視角は存在しなくなる。
そして、右手首が失われても左手一つあれば目にも止まらぬ斬撃で何の問題なく戦える戦闘力の高さもまた、ベルディアの持つ強さ。魔王軍幹部の力だ。
「それはもう未来で見た」
《覇王斬り!》
放り上げられた頭部、それを時計の形に似た軌跡を描く斬撃により真っ二つに斬り裂かれ、爆発する。
《ジオウサイキョウ!》
動揺するベルディアの身体。
それを気にも止めず、二つの剣を合体させ、天高く掲げると、強大な光の刃が伸び、そこに「ジオウサイキョウ」の文字が浮かぶ。
《キング! ギリギリスラッシュ!》
嘘でも、冗談でもない。間違うこと無き事実を羅列した刃はベルディアの身体を真っ二つに両断。
そして、断末魔の叫びを上げさせることなく、爆散させた。
「祝えッ!」
いつの間にか外壁の上に立ったウォズが手を掲げ、その場にいた者達すべてに聞こえるほどの声を上げる。
「時空を、そして世界を越え! 過去と未来をしろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ!
この世界の歴史に、新たなる一頁が書き加えられた瞬間である!」
この日を境に、この世界に最高最善の魔王を名乗る青年の名が知れ渡ることとなる。
これはあくまでも始まりの話。故にここでおしまいなのですが……せっかくですので、もう少しだけ、お付き合いいただきましょう。
我が魔王の異世界での王道のお話を」
とりあえずダイジェストでアニメに出てきた強敵の皆さんとの戦いはやります。