スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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ディオの呪縛―③

「ホリィさ~ん! どこですか~?」

 

 おかしい……。

 承太郎の靴もまだ玄関にあるし、俺の声が聞こえた瞬間飛び出てくるのは間違いなく承太郎のはずだが、何故か出てこない。にしても、何故こんなに静寂なんだろうか? ジョセフの馬鹿笑いも聞こえないし、アヴドゥルの姿も見えないし、花京院はまぁ落ち込んでいるか……。が、何か嫌な予感がするのは何故だ? 空条邸に戻ってから、何故こんなに嫌な気分になってくるんだ? この気分は、自分の祖母が亡くなる前に感じたあの気分に近い感じ――深い絶望感が何故空条邸を包み込んでいるんだ?

 

「コッチダ! ウスノロ! 早クシロ!」

 

 クレバースレイヤーがどうやらホリィさんを見つけたようだ。が、普段のイカれた俺のスタンドが何故真剣そうな声で俺に語ってきた? 意味が分からないが、向かわなければ――。

 

「ホリィ……、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 ジョセフの悲痛な叫び声が聞こえてきた。恐らくホリィさんに良くないことが……、しかもその叫びの悲痛さは心を張り裂けるには十二分すぎるほどのものだ。やめてくれ……、その叫びを聞きたくない! 聞きたくない!

 

「クレバースレイヤーァァァァァァァァァァ! ホリィさんを助けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「ソレガ出来ルナラトックニシテル……」

 

 クレバースレイヤーが力無く膝をつき、その場で延々と泣き出していた。俺はクレバースレイヤーの元に近寄ると、ジョセフが承太郎の襟首を掴み、自分の悲痛な想いを告げているのをただ黙って聞くしかなかった。

 

「つ……ついに娘にスタンドが……。抵抗力がないんじゃあないかと思っておった……。ディオの魂からの呪縛に逆らえる力がないんじゃあないかと思っておったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 ディオ……? 魂の呪縛……? な、何を言ってるんだ……?

 

「うぐっ……、うぅぅ……っ!?」

「言え! 対策を!」

「あぁ……」

 

 承太郎は力強くジョセフに今後の対策を聞き出そうとするが、そんなことはどうでもいい。俺はホリィさんのもとにゆっくり近づき、涙を堪えながら台所から連れて出て行く。こんな所じゃあ風邪を引くぜ、ホリィさんよ。

 

「ジョセフさん、承太郎。ホリィさんを寝かせるぜ。アンタらは対策を考えな! 病人の看病は俺がやるぜ」

「……やれやれだぜ。好きにしろ」

「すまんのぉ……。アヴドゥル、お前も大輔の手伝いをしてやってくれ」

「……分かりました」

 

 

 

 

 しかし酷い熱だ……、38.9℃もあるぜ……。

 冷やしたタオルが既に茹蛸状態だ、泣けるぜ……。

 が、体を冷やせば多少は楽になるはずだ、そうだろ、なぁ?

 

「うっ……。ホリィさん……」

「大輔……」

「ホリィさんは何で倒れたんですか! 教えてください! 何故ホリィさんが――」

「スタンドだ、スタンドが悪影響を及ぼしているのだ?」

 

 言ってる意味が分からない。

 スタンドが悪影響になるとは一体――。

 

「ジョースター家の血を継ぎしホリィさんにもスタンドは発現していたのだ」

「ば、馬鹿な! そんなわけあるわけ――」

 

 いや、クレバースレイヤーは語ってくれた――ホリィさんはスタンドが見えていると。だが、スタンドが発現しているのに何故悪影響を及ぼしているのだ!?

 

「……スタンドとはその本人の精神力の強さで操るもの、戦いの本能で行動させるもの! おっとりとした平和な性格のホリィさんには、ディオに対しての呪縛に対しての抵抗力がないのだ!」

 

 またディオという名前が……。ディオとは一体何者なんだ? 意味が分からないが、噛み砕いて理解するしかない。

 

「すみません、ディオとは一体――」

「ジョースター家にとって宿敵のような存在だ。奴がスタンドを身につけた結果、承太郎やジョセフさん、それにホリィさんもスタンドを宿した。が、先程も述べた通りディオに対しての呪縛に抵抗力がホリィさんにないのだ! スタンドを行動させる力がないのだ! だからスタンドがマイナスに働いて害になってしまっている……。非常に不味い、このままでは……」

「このままでは……、ま、まさか! し、死ぬとかじゃないだろうな! アヴドゥルさん! ふ、ふざけんなよ! お、俺のクレバースレイヤーはよぉ? ホリィさんのことが大好きだったんだぜ? 彼女の前だけは大人しくしてたんだ! そ、そんな彼女が……、死……、や、やめてくれ! 聞きたくない!」

 

 俺は両耳を塞ごうとするが、アヴドゥルはそれを許さない。非情な宣告をするかのように、俺にある現実を突きつけてきた。

 

「……昏睡(コーマ)状態に入って二度と目覚めることなく、死ぬ」

「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 どこかで破壊音が聞こえてきたが、知ったことじゃない! それだけ俺は動揺してるし、今の俺ではクレバースレイヤーを制御しようなんて思わない! 俺の心を読みとったかの如く、クレバースレイヤーは当たり散らしながらホリィさんの名を叫び続ける!

 

「……だがまだ希望がある」

「っ!? ほ、本当ですか……?」

「その症状になるまで、50日はかかるのだ。その前にディオを探し出して倒す! ディオの体から発するスタンドの繋がりを消せば、助かるのだ!」

 

 ディオ……、ディオ……、ディオォォォォォォォォォォ!

 どこぞの誰かは知らんが、ホリィさんのために……ホリィさんを救うために倒せば……!

 

「な、なら早く行きましょう! 俺も手伝いますか――」

「……()()()()()()()()、な」

 

 そのアヴドゥルの答えに、俺は絶望の淵に陥ってしまった。

 つまりディオの居場所が分からない現状、何も手出しできないじゃないか……、泣けるぜ……。

 

「……少し頭を冷やしてきます」

 

 俺はそう言うと、その場から去り、クレバースレイヤーを呼び戻した。

 流石にもうこの場所で当たり散らすものがない――少し冷静になるために、どこかの壁でもぶち壊してこよう。

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