スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
灰の塔
エジプトに向け飛行機で飛び立つ。
どうせ目的地まで寝ていれば勝手に着くだろうが、俺のスタンドは暇すぎるらしく、キャビンアテンダントのおねぇさんの尻を追いかけまわしている。誰に似たのか知らないが、本当に恥ずかしいからやめて欲しい……。が、どうせこの機内にスタンド使いなんているはずがないんだ。まぁエジプトに着くまでは好きにさせて――。
――……ン、……ブン……、ブンブン……
「うん?」
隣で眠っていた花京院も違和感に気がついたのか目を開け、互いに目を合わし、異常があることを感じ取った。が、その音の正体は分からず、互いに探していると――。
「っ!? カ……、カブト……、いやクワガタムシだ!」
承太郎は真っ先に気がつき席を立ち上がり、臨戦態勢に挑む。ジョセフは新手のスタンド使いかどうかアヴドゥルに確認し、アヴドゥルもスタンドの可能性が高いことをジョセフに告げた。
「えぇい……。座席の影に隠れたぞ……。ど……、どこだ……」
……あ。やべぇ、俺のスタンド今どこだ? 多分そう遠くにいないはずだ――。
「ヘイヘイヘイヘイ! クワガタムシジャネェカ! 捕マエテヤルゼ! ヒャッハー!」
刹那、カブトムシに向かって鎖で作った虫網で捕獲しようとするが、あっさりと躱されてしまう。が、そのカブトムシはクレバースレイヤーを挑発するかのように、クレバースレイヤーの前でふわふわと飛び回っているではないか。舐めやがって……。
「クレバースレイヤー! 舐められてるぞ! めんどくせぇ! 蜂の巣にしてやれ!」
「アイアイサー♪ ヒャッハー! 虫網ジャナクテヨォ? バラバラニシテヤルゼェ!」
一瞬にして形状を変化させ、カブトムシに向かって剣山のような形状で突き刺そうとするが、それすらも躱されてしまう。な、なんていうスピードだ……。ちょっと自信を喪失してしまう……。
「気をつけろ、大輔! 奴は……、奴は今お前の背後じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「っ!?」
自信を喪失する前に、注意散漫になりすぎちまった、泣けるぜ……。背後を振り返ると、カブトムシから禍々しい螺旋状の舌が今まさに俺に向かって放たれようとしていた、が――。
「オラァ!」
間一髪で承太郎が俺を庇ってくれたことにより一命を取り留めた、マジで死ぬかと思った、マジで泣けるぜ……。
「大輔、てめぇは引っ込んでな」
「ま、任せた……。だが奴のスピードはマジでヤバイ……」
「やれやれだぜ……。スピード勝負ならば、俺の出番だな」
さ、流石は承太郎、実に渋いじゃないか。年上の俺が言うのもなんだが、こういう場合は若輩者に任せるべきだ。
「大輔の舌を食いちぎろうとしたコイツは……、や、やはり奴だ! タロットでの塔のカード! 破壊と災害、そして旅の中止を暗示するスタンド! タワーオブグレー!」
アヴドゥルが解説するに、コイツは事故を見せかけて大量殺戮をする凶悪なスタンドらしい。こんな奴がディオの仲間ってことは、やはりディオはクズ野郎なのに違いない。
「アヴドゥルさん、一つ確認したんだけど……」
「どうした、大輔?」
「スタンドを攻撃した場合、攻撃したダメージは本体にそのままダメージとなるんだよな?」
「その通りだが――」
「なら、スタンド使いを探せば勝てるってことだよなぁ? しかもこのスピードから察するに近くにいるってことだよな?」
「り、理屈ではそうだが……」
怪しいと思った奴をちょいとばかし、
「オラオラオラァ!」
承太郎のスタープラチナのラッシュは虚しく空を切る、承太郎でも駄目ならスピード勝負はまず無理だ。
「へっへ! たとえここから1センチメートルの距離より10丁の銃から弾丸――」
「ヒーハー!」
突如、タワーオブグレーの真下から無数の槍状の鎖が出現し、それは目の前でヴラド・ツェペッシュのような串刺しの刑が執行された。が、この馬鹿スタンドは機体上部すら貫き、機体は一気に急降下を始めてしまったようだ、泣けるねぇ……。俺の考えを完璧無視したお馬鹿なスタンドのせいで、現在絶賛墜落中だ。多分承太郎に後で怒られそうだな、うん。
「あ……、あの老人がスタンド使いみたいですね! わ、わーい……」
「OH NO! 大輔ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! お、お前という奴は……! えぇい! 至急コクピットに向かうんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺を置き去りにし、全員コクピットに向かうのがなんだか切なくなってしまった。が、スタンド使いの老人がまだ生きているようなので、俺はこの切ない怒りをぶつけなければどうにも気が収まらない。というよりも、むしゃくしゃするぜ! ド畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あぁん!? 俺のこの怒りをどこかにぶつけなければよぉ~? 気が済まないよなぁ~?
「クレバースレイヤー! 串刺しの系を徹底的にやってやれ!」
「ヒャッハー! 覚悟シロ、ジジイ! 今度ハ機体ヲ破壊シナイ程度デブッ刺シテ感ジサセテヤルゼェ~! クレバーニ排除ォォォォォォォォォォ! 排除排除排除排除排除排除ォォォォォォォォォォ!」
「ひ、ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
後で不時着した時に花京院から聞いたが、ジョセフはこの墜落で3回目の墜落だそうだ。つまるところ、俺のせいではなく、ジョセフが運が悪かっただけ。そういう結論に達しながら、俺は承太郎に拳骨を食らい猛省していた。