スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
な、何が起こったのか分からない。俺は確かに全力で神砂嵐を放ったはずなのだ、それは間違いない。この円形闘技場を全て粉砕するほどの威力だと自負してもいい神砂嵐を放ったはずだというのに、まるでスローモーションかのように
「……
最早俺に興味などないかという風に俺に背を向けるワムウ。この高さから落下したら、確実に俺は死ぬだろうな……。高層ビルから落下すればどうなるかくらい誰だって想像できるだろ、不思議とだが俺もその覚悟は出来ている。最早意識がいつ途切れるか分からないが、せ、せめて、どうにかして生き残らなければ……。
「クレ……バー……ス……レイ……ヤー……」
地面に向かって杭を突き刺すようなイメージで、俺は自身のスタンドを動かそうとするが、悲しいかな……。残念ながら地面までは射程距離外のようだ、いやスタンドをそこまで動かす力がないというべきか……。意識はもう失いかけているが、まだ俺は生きている。ならば、最後まで足掻く――こんな所で死ぬわけにはいかない、死ぬわけには……。
「ク……レーバー……スレイ……ヤー……、鎖で……パラシュート……それしか……ない……」
「……ヒー……ハー……」
不器用な鎖で出来たパラシュートを作り出すが、それが上手く機能するはずもなく、ところどころに穴があいた不完全なパラシュート。風がシューシューと突き抜けながら、落下速度は依然変わらず、地上へ向けてフリーフォールの如く落下していく。が、少しだけ落下速度が軽減できた――この距離ならば何とかなるやもしれん……。
「……パラ……シュート……を……、変化させ……」
「モウ……ヤッテ……ルンダゼ……? 泣キタク……ナルゼ……」
もしクレバースレイヤーが自律型のスタンドでなければ、既に死んでいただろう。地上から電柱の足場ボルトの最初の高さくらいの位置で、クレバースレイヤーは俺の脚元に鎖の杭を打ち込んでいたのだ。ゆっくりとエレベーターが下りるように、杭はどんどん地面に食い込み、やがて地上に無事降り立つことができた。
「……ほぉ? このワムウの神砂嵐を直撃し、まだ意識を失っていないとは……。あのシャボンの戦士よりは遥かに劣るが、それでも大したものだ。褒めてやろう」
だ、駄目だ……。今立てているのは、俺の全身をクレバースレイヤーが支えてくれているからだ。まるで俺はクレバースレイヤーの操り人形のよう、クレバースレイヤー次第で事切れるのは必定。クソが……、耳だけはまだ無事だが、もう目の前は何も見えない。痛覚すらなくなっている、がワムウが近づいてくる音だけは何とか聞こえる、か。
「……シャボン……、戦士……」
「そうだ。あの気高い戦士はジョジョの友人だった。その友人を俺はカーズ様のために殺した」
「こ……の……ビチ……グソ……が……」
「やれやれ……。品がないぞ、
そ、そういえば何故俺の名前を知っているんだ? 先程はちと頭に血が昇ってしまったが、ワムウは俺の目がどうとか言ってたよな? 『俺の目』……、『俺の名前』……。これが意味すること……、それは――。
「ワ……ムウ……」
俺はワムウに向かって指を差す。ワムウの近づく音は止まっているが、
「……ワムウ、ゴハッ……。ハァ……ハァ……、ど……どうし……た……? しょ……うぶ……は、ま……まだ……、終わって……ないぜ?」
「言ったはずだ、このワムウを満足させられるならば、貴様に俺の
「し……るか……、か、かかって……こい……よ……! ハァ……、ハァ……。勝負は……始まった……ばかりなんだぜ? ……泣きたくなる状況だがよぉ、ジョセフさんの友人を殺したテメェを許してなんていねぇんだぜ? クレバースレイヤー!
「排除排除排除排除排除ォォォォォォォォォォ!」
――グサグサグサグサグサ……
ハァ……、ハァ……。て、手応えはある、あるというのに……。
「……ほぉ? 仮に波紋を習得していたならば、ちと厄介だったやもしれんな」
「に……、人間じゃねぇ……。ば、馬鹿な……」
「この不思議な力……、なるほど。徐々にではあるが、このワムウの目にも見えるようになってきたぞ。
「っ!? スタンド能力に開花した、だと……!?」
あ、あり得るのか!? こ、この短時間の戦いでワムウはスタンドを身につけたというのか!?
「……大輔、貴様とはまたゆっくりと話そうではないか。
「に、逃げるんじゃねぇぞ! ジョセフさんの敵ならば! 俺は! 俺は貴様を倒す!」
「フフフ……、言ったはずだ。俺は既に死んでいるとな」
次の瞬間、忽然とワムウの気配が消え失せていた。それはまさに風のようというべきか。