スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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見知らぬ天井―③

 レレーナに言われた病室の前には、入り口の前に威圧感を放つ二人の男がまるで浅草の雷門を守護する風神雷神が如くじっと立ち続けている。少しヤバめな店のボディーガードにいそうというべきか、某芸能人の周辺警護には必ずいるような筋肉隆々のスーツ姿の黒人が、サングラスをかけ無言でこの病院にいるその光景に思わず萎縮してしまうほど。別に悪い子とはしていないはずなのだが、かなり遠慮した声で「あのぉ……」とその黒人達に声をかけてみた。

 

「……」

「いや……、アヴドゥルさんの見舞いに来たんですが……」

「……ミスター朝倉、おはようございますだ。私達はスピードワゴン財団の職員ですだ。レレーナ嬢の部下である私がチェイス・ハリアーそして――」

「リッキー・ハリアーでごわす。一卵性双生児、つまりオラ達は双子でごわす」

 

 互いにサングラスを外すと、顔は同じではあるが、瞳の色だけ異なる。チェイスの瞳は深緑ような感じの緑色に対し、リッキーの瞳の色はカリブ海のように淡い水色というべきか。再びサングラスをかけた二人であるが、チェイスは周囲を確認しリッキーに合図を送り、リッキーはゆっくりと病室の扉を開いていく。「中に入るでごわす」と言われ病室の中に入ると、頭部をグルグルと包帯で巻かれているアヴドゥルが静かにベッドの上で寝ていた。バイタルサインは素人の俺でも分かるが、問題はなさそうだ。ただ点滴を打たれながら死人のように眠るその様は、いかにアヴドゥルが危険な状態であったかを十二分に物語っていた。

 

「……クレバースレイヤー、姿を現せ」

 

 俺は先程からうんともすんとも言わないクレバースレイヤーに若干苛立ちながら、自分のスタンドを呼び出したが、何故か一切反応をしない。まさかとは思うが、レレーナのオッパイにセクハラするためにストーキングでもしてるんじゃないだろうか? いや、あの馬鹿スタンドなら十二分にもあり得る……。だが普段のクレバースレイヤーの性格ならば、真っ先にレレーナを襲うはずなのだが、正直若干不安感が拭えない。

 

「どうした! クレバースレイヤー! 姿をあらわ――」

「――五月蠅イ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()。何トモ賑ヤカデ活気ノアル場所カ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。フフフ……、コノワムウガココマデ感動シタノハ、波紋ノ戦士ノ成長ヲ感ジタ時ト同ジダ」

 

 声がした方向を振り向くと、クトゥルフ神話の神話生物のような姿はそこにはなく、夢の中で俺に神砂嵐を食らわせたアステカ時代の筋肉隆々な戦士がそこにいた。が、体は依然漆黒の無数の鎖で出来ており、以前のクレバースレイヤーよりも一回り小さくなったというべきか、あの戦士と同じサイズになったというべきか。つまるところ、俺の目の前には、ジョセフの敵であった男がそこにいたのだ。

 

「ワ、ワ、ワ、ワムウ! て、てめぇ……! 俺のクレバースレイヤーをどうした! どうしやがった! あぁん!?」

「……『成長』シタト言ッテ欲シイノダガ? 幼稚デアッタオ前ハ、タダ自分ノ力ニ酔イシレテイタ。不思議ナコトダガ、()()()()()()()()()()()。我ガ風ノ必殺流法(モード)ヲ継ギシ後継者、ソレガ貴様ダ、大輔。俺ノ角ガマダマダ子供サイズデハアルガ、人間ナラバスグ成長スルダロウ」

 

 あ、頭が痛い……。マジでイカれている事態に陥っている気がするのは俺だけか? こんなのを承太郎達に――特にジョセフなんかに見せたら腰を抜かすだろう。ジョセフの敵が俺のスタンドになってしまっているこの現状、ど、どうにかして脱却したいのだが多分無理、なんていうかもう確信してしまっている自分がいる。

 

「……ワムウ、一つ聞きたいのだが?」

「ナンダ?」

「『成長』したと言ったな? ワムウ、()()()()()()()()()()()()()()()?」

「フフフ……、何ダ? アノヤカマシイスタンドガ恋シイノカ?」

「あぁ、恋しいぜ。俺はさ、アイツがウザかったけど、たまらなく恋しいんだぜ? マジでイカれてるアイツは俺の……、俺にとってかけがえのない存在だった。それを……、それをお前は――」

「殺シタトイイタイノカ? ソノ表現ハ半分正解デモアリ、半分不正解ダ。サッキモ言ッタハズダ、『成長』シタトナ。コノワムウガ、貴様ヲ今後鍛エテヤル。マズハコノワムウヲ使イコナ――」

「……せよ」

「……ナンダト?」

 

 勝手に涙がボロボロと落ち、震えた声で俺はワムウに悲痛な訴えを続けようとしている。最早叶わぬであろう、最早敵わぬであろう存在に俺は訴え続けようとしているのだ。俺にとってかげかげのない友人を返せ、返してくれと言わんばかりに俺はワムウに対し自分の想いを爆発させた。

 

「返せよ! 『成長』なんかクソ食らえ! 俺は望んでない! ワムウ! 俺のクレバースレイヤーを今すぐ返せ! ざけんなよ! ホリィさんが倒れた時、一緒にDIOを倒す決意を固めたクレバースレイヤーを返せよ! 俺は完成された戦士なんかになりたいわけじゃない! お前のような純粋で黄金の意思を持った戦士なんかより、俺は――」

「フフフ……、漆黒ノ意思ヲ持ッタ戦士ニナリタイト?」

「そうだ! どんなに周りから疎まれようが、どんなに周りから(さげず)まれようが! 俺とクレバースレイヤーは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! 黄金の精神など承太郎達が秘めればいい、俺は汚れ役を率先してこなせる殺戮者であればいい! 狡猾に、外道に、冷酷に! 敵対するスタンド使い達を徹底的に排除できる殺戮者であればそれでいい! それが俺とクレバースレイヤーの役割だ! ワムウ、お前なんかに俺達の役割など――」

「フフフ……、貴様ハ面白イ人間ダ、大輔。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()宿()()()()()。イイダロウ、ナラバ奴ヲ解放シテヤロウ。但シコノワムウガ、元ノクレバースレイヤーノ手綱ヲ握ッテイルトイウコトヲユメユメ忘レルナ?」

 

 ワムウはそう言った次の瞬間、無数の鎖は一瞬にして元のクレバースレイヤーに戻っていた。「アレ? ココドコ?」と辺りをキョロキョロと見渡すクレバースレイヤーに対し、俺は自然とその場で膝から床に落ち号泣していた。クレバースレイヤーは何故俺が泣いてるのか聞いてきたが、黙っておこう。俺のクレバースレイヤーが戻ってくれただけで、俺は満足だ。本当に、本当に泣けるぜ、この馬鹿が……!




スタンド名:???
本体:朝倉 大輔

破壊力:?
スピード:?
射程距離:?
持続力:?
精密動作性:?
成長性:E

【概要】

見た目は『柱の男』であるワムウそのもの。
風の必殺流法を正当に継承したことが認められた代償として、クレバスレイヤーの意思を完全に掌握し、自我に目覚めたスタンド。
その能力は謎に包まれているが、自律型スタンドとしては完成されている。
現時点で分かっているのは、大輔のスタンドが『成長』したということのみ。
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