スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
「ウヒョ~、角生エテヤガル! ギャハハハハハ! マルデワムウミタイダナ、ウケケケ!」
人の苦労を知らずに笑いこける馬鹿スタンドが、俺の角をツンツンと突っつくとやはり神経があるのか触られたという感覚があった。にしても、俺の馬鹿スタンドは相変わらず元気というか、「チョットセクハラシテクル」と言うと勝手にどこかに消え、廊下から女性の悲鳴が上がったが、これはいつものことなので気にしないでおこう。
「……はぁ、人の気持ちを知らないで勝手に動く馬鹿スタンドめ……。ククク……」
自然と笑みが零れながら、アヴドゥルの近くに置かれた丸椅子に座りアヴドゥルをじっと見つめる。若しかしたらすぐに目が覚めるかもしれないし、若しかしたらずっと目を覚まさないかもしれない。アヴドゥルの手を力強く握り、何か反応があればと期待したが、アヴドゥルの手はあまりにも弱弱しかった。
「……死ぬんじゃねぇぞ、このタコ。ジョセフさん達が悲しむだろうが」
そう声かけると、弱弱しくでもあるが俺の手を握り返してくれるアヴドゥル。「年上相手にタコとか言うんじゃない」と言いながら、アヴドゥルはゆっくりと体を起こし、俺に慈愛に満ちた笑みを振り向けてくれた。
「ア、アヴドゥルさん! お加減は大丈夫ですか?」
「……まだ眉間が痛むがな。逆にお前はどうなんだ、大輔?」
「レレーナから事情は聞きましたが……。そう言えばレレーナのことは知ってますか?」
「多少は、な。スピードワゴン財団に所属するエージェントの一人であり、まぁ007のジェームズ・ボンドのような存在と言えば分かりやすいか? 彼女のスタンド能力は『
「ん? ちょっと待ってください、アヴドゥルさん。俺は彼女から『
「……まぁニュアンスの違いなんだろうが、彼女の前では決して嘘はつけないとジョセフさんから聞いているな」
ニュアンスの違い、か。確かに言葉のチョイスは違えど、ほぼ意味は同じだしそこは別に重要ではな――。
「ギャァァァァァァァァァァ! 大輔ェェェェェェェェェェ! テメェ、イツノ間ニ女作ッタンダ、コノドチンポ野郎ガァァァァァァァァァァ!」
突如、クレバスレイヤーが悔し涙を見せながら、病室の扉をすり抜け俺の目の前で地団太を踏み始めた。「ふぅ……。騒がしいスタンドね……」と言いながら病室に入ってきたレレーナの手には、兎柄のバンダナがそこにあった。ま、まさか、こ、この馬鹿女……。そ、そんな可愛いバンダナをチョイスしてきたのって……。
「ふぅ……。私って兎さんが大好きなの」
「……なぁ、レレーナちゃん? もっとさ、俺に相応しいバンダナとかあるだろ!? 例えば海賊っぽいよぉ~? 髑髏のバンダナとかさぁ~?」
「可愛くないじゃない、馬鹿なの? それにお金を出したのは私なんだし、私が好きなバンダナを買うのは勝手でしょ? ふぅ……」
「っぐ……。あ、アヴドゥルさん、彼女がさっき言ってたレレーナです。ちょっと気難しい性格ですが――」
「オイ、大輔ェェェェェェェェェェ! テメェサモ当タリ前ノヨウニ、コノ美女ニ接スンジャネェゾ! コノタコ!
……何言ってんだ、コイツ。自分のスタンドを彼女にするわけもないし、ましてやクトゥルフ神話の神話生物のようなコイツを彼女にしようとも思わないんだが? しかも性別はどう考えても男だろ、コイツ……。あかん、レレーナの前でコイツは絶対何かを破壊するに決まっている。コイツはストレスが溜まると何かをぶち壊すまで暴れ続けるイカれたスタンドだし……。
「ふぅ……。ワムウを呼べばいいんじゃない? ワムウ、
レレーナがさも当たり前のようにワムウの名を口にすると、クレーバースレイヤーの外見は一瞬にしてワムウに変化した。「女……、貴様何者ダ?」とワムウにしては珍しく警戒してるのか、レレーナに問いただすとレレーナはまたさも当たり前のように病室で煙草を吸い始め、その煙をワムウに吹きかけた。
「クレバースレイヤーは『成長』したの。アヴドゥル、アンタも鈍いわね? 大輔の外見的変化をまだ気がついてないの?」
「外見的変化……、あ! 大輔の額に角が生えている!? な、な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
今頃か! ま、まぁいいんだが、アヴドゥルは何故か頭を抱えながら俺の方を見ながら考えているようであった。が、すぐにアブドゥルはレレーナの方を向くと、どういった経緯なのか説明して欲しいとレレーナに説明を要求した。
「ふぅ……。大輔、バンダナしてあげるから大人しくしていてね」
「ん、あ、あぁ……。ありがとう」
「うふふ……。今正直、私に対してドキっとしてるでしょ? 何でも分かるんだから、ね?」
なんとレレーナはアヴドゥルを完全にシカトするかのように、俺の背中にご自慢の胸をくっつけながら、目の前でイチャつくカップルを装うかのよう。「こんな美女滅多にいないわいわよ?」と言いながら、俺の左耳を甘嚙みするこの女は間違いなくビッチであり、実に最高だ! 入院に感謝せねばならんな、わははははは!
「き、貴様……! 私の質問を無視し――」
「『成長』とは『進化』なのよ、アヴドゥル。大輔のクレーバースレイヤーは能力はそのままだけど、確実に進化した。前者のクレーバースレイヤーは、大輔が完全に制御できているわ。だけど今のワムウは、完全に自律型のスタンドとして完成されているの。つまり何が言いたいのかと言うと、
「……女、貴様、
「ふぅ……。大輔にも言ったけれど、私の前では嘘は決してつけない。私の前ではワムウでいなさい、あの下品なスタンド嫌いだから」
「フフフ……、承知シタ。デハ俺ハ暫シ外ノ世界ヲ堪能シテクル。大輔、何カ危険ガ迫ッタナラコノワムウノ名ヲ呼ブガイイ」
そう言うとワムウは心地よい風を放ちながら何処かへと消えて行った。俺の制御を一切受け付けないって……。もうマジで意味が分からないが、そんなことよりレレーナが俺の首に甘嚙みするのは最高にハイって奴だ! アヴドゥルよ、悪いがそこで俺を羨ましく思いながら悶々としてくれ、わははははは!