スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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漆黒の意思―②

 ワムウはカルカッタの市場を()()()()()()()()()()()()()()()。既に大輔がいる病院から徒歩で10分くらいの距離まで歩き、時には建物の上に飛び回り、実に数十年ぶりの外の世界を満喫していた。例えそれがスタンドと呼ばれる存在になったとしても、ワムウは太陽という存在を確かに感じながら、その熱の心地よさを確かに感じているのだ。

 

(このワムウ、まさかこのような不思議な存在と化したが、されど太陽を克服した。フフフ……、たかが人間風情に仕える身に堕ちたが、このワムウの好敵手であるジョジョを助けることが出来ることは何とも誉れ高いことだ。ジョジョ、待っておれ。このワムウ、このような身になれど、貴様の娘を必ず救ってやろう)

 

 ジョセフ・ジョースター、トリッキーな戦い方で戦いの天才であるワムウを翻弄し、ワムウを倒した波紋戦士。ワムウは今でもジョジョを認めており、その孫である承太郎のことも大輔の目を見て崇高な精神力を確かに感じていた。が、本体である大輔にはジョセフや承太郎のような黄金の精神など微塵もなく、ただ目的意識のためだけならばどんな手段も取るカーズと同じ精神を感じていた。

 

「大輔、貴様を純粋な戦士にすることなど不可能であろう。それはカーズ様の目の前で波紋戦士を差し出し、赦しを乞うほど無意味に等しい行為だ。故に大輔、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だが、その不屈な闘志はジョジョと同等以上の輝きをこのワムウは確かに感じた。もし、もしあの時このワムウに再度挑まなければ、大輔、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう言いながらワムウは、大輔がいる病院の方に振り向くと、大輔がいるであろう病室に目をやる。窓は不用心にも開けっ放し状態でありながら、大輔とレレーナが何やらカードゲームに興じてる様子を見るワムウ。本体である大輔の身の安全に関しては細心の注意を払っているつもりではあるが、今のところ大輔を狙うようなスタンド使いとは遭遇してはいない。

 

「……あの女、このワムウの全てを知っているようなあの目つきと仕草。スタンド能力は『相手の考えを読みとること』らしいが、()()()()()()()()()()()()()()()。だがあの女がジョジョの旅に同行してくれれば、これ以上なく心強い存在はいないだ――」

 

 

 ――バギャン!

 

 

 突如、大輔がいるであろう方角から爆発音が聞こえてきた。「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」と叫びながらワムウは振り返ると、不幸中の幸いか大輔がいる病院ではなく、その近くの建物が爆破されたようだ。急ぎワムウは突風の如く市場を疾走し、ワムウが疾走した時に発生した突風が市場の商品を宙へと上がる。スタンドが見えない人々からしたら、ポルターガイストが目の前で起き、結果市場は大混乱に陥った。

 

「のあ!? 林檎の山が崩れちまった!?」

「お前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! うちの宝石を勝手に盗むんじゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」

「モー……? モーォォォォォォォォォォ!(え……? なんで浮いてるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)」

 

 そんなことワムウは露知らず、ただの風と化し、その速度は音速を超える程。それだけの突風を巻き起こし、大輔がいる病院へと戻った。

 

 

 

 

 ――バギャン!

 

 

 突如の爆発音と共に、爆発で生じた風がこの部屋を一気に駆け抜けえ行く! レレーナと共に扉近くまで吹き飛ばされようとするが、不思議とレレーナの体を庇うように俺はレレーナを抱き締めながら、扉に衝突していた。

 

「……ふぅ。角がちょっと当たるんだけど」

 

 レレーナはそう言うと、窓の近くに向かい冷静に今の状況判断するかのよう。が、アヴドゥルが転がっているというのにこの女、完全にアヴドゥルをシカトしてやがる。普通ならば倒れている病人に手を貸すのが一般人としてのモラルと思うのだが……。

 

「ア、アヴドゥルさん!? だ、大丈夫ですか!?」

「わ、私のことはどうでもいい! 問題はこの爆発が――」

「ふぅ……。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()D()I()O()()()()()()()()()

「……は?」

 

 そ、その言い方は、ま、まさか――。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? 大輔」

「でなければ今の発言はなんだ! どう説明できる!?」

「えぇ、そうよ。言ったでしょ? 私は大輔とアヴドゥルの護衛を任されているの。それにこの惨事を引き起こした要因は、大輔。アンタが病院に運ばれたからじゃない? その情報をDIO側ならとっくに知ってるはずよ。ならば偽装工作はしないとね、ふぅ……」

「な!? レ、レレーナ! お、お前は――」

「……残酷なことを言うけど、このカルカッタに数人の敵スタンド使いが入り込んだ情報があったの。無論、敵スタンド使い達はどの病院に大輔が入院されているか把握済み。実際、あの爆発で一人は始末したわね、確実に。ふぅ……。言ったじゃない、()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 俺はその言葉を聞いた瞬間無言でレレーナに近づき、レレーナの頬に平手で思いっきり叩いていた。レレーナは避ける素振りすら見せず、ただ俺の平手打ちを食らい、平然と煙草を吸い始めるが――。

 

「……ふぅ。幻滅したでしょ? でも大輔を守るためならどんな手段でも――」

()()()()()()()()()()、レレーナ。お前がやったことは許されないが、そんな真似もう二度とするんじゃねぇぞ、このアバズレ! それに手が震えてるじゃねぇか! ……レレーナ、今の俺はお前を優しく抱き締めることなんざしたくねぇ。失せな」

「っ!? ……泣けるわね」

 

 レレーナはそそくさと出て行くが、今の俺には優しい言葉を投げかけることなど出来るはずがない。何せ窓の外のこの惨事を作り出した張本人に、何故優しい言葉を投げかけねばならないのだ? ……手段を問わない点は俺と同じだというのに、ったく。まさかスピードワゴン財団がこんなに過激的なことをするとは思わなかった。

 

「……大輔、今のお前の対応は間違ってないぞ」

「……」

「無関係な人々を巻き込むやり方は私も間違っていると思っている。ただ、あの女なりに苦肉の策だったのだろう。正体不明の敵スタンド使いの目を誤魔化すやり方としては最上のやり方やもしれんが、最低の外道の手法よ。大輔、この犠牲を無駄にせず、私達は早くジョースターさんに合流せねばならん。分かったな?」

「……はい。俺のせいでこんな……」

「お前のせいではない、決してな。お前も少し休むがいい、今の我々には休養が必要だ」

 

 俺はそれ以上何も語らず部屋を後にした。「お前のせいではない」と言われても、結局はレレーナの言った通りじゃねぇか、クソったれ。俺が列車内で倒れなければ、こんな事態になど陥ってなどいなかったはずだというのに、俺は……!

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