スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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サムライ・エッジ―②

 現場を後にし、病院へと戻ろうとした時。先程までと違い、何かとてつもない緊張感を感じさせる雰囲気が、後方からゆっくりとやって来るのを感じ取った。そこから俺は一歩も動けず――いや、動くわけにはいかなかった。仮にこの緊張感を感じさせる何者かをここで放置するのは愚策中の愚策。故に俺は西部劇のガンマンのように待ち構える――普段の俺ならばこんなことはしないはずだというのに。

 

 暫くすると、リーゼントが似合う関西人のような風貌の中年のサラリーマンがゆっくりとこちらに近づいて来た。既に相手はスタンドを出し俺とヤり合う気だということをほのめかすかのよう、俺もまたスタンドを繰り出しその挑発に乗る。が、アドバンテージがあるのは明らかに向こうに違いない。このまま距離を詰めさせるべきか、否――。

 

「クレバースレイヤー! 何かヤバい! 野郎には確かな凄みがあるぜ! ここはよぉ……」

 

 俺の作戦はこうだ。俺の足元から下に無数の漆黒の鎖を這わせ忍ばせ、真正面でヤりあうと見せかけ、奇襲で完全決着をつけるというもの。奴が俺の領域に踏み込んだ瞬間、ヴラド・ツェペシュですら真っ青になるほどの串刺しの刑を実行する、ただそれだけだ。ちと残酷で下劣なやり方ではあるが、この奇襲に全てを懸けるしかない。

 

「んぅ~♪ あっしの自己紹介をしないとな~♪ あっしは武田富雄(たけだとみお)、しがないサラリーマンだぜぇ~♪」

「……朝倉大輔、同じくしがない社畜だ、この野郎。武田ぁ、てめぇはディオの手下か?」

「いんや? ただの武芸者だぜぇ~♪ あんさんを殺せば、2000万ドルって――」

 

 距離にしてあと10m、いや9mくらいか? この位置がベストだ、これ以上忍ばせるのは不味い。慎重にいかねばな、獲物はじっくりと近寄ってくるのだ、無理は禁物だ。

 

「金で雇われたってことか、なるほど。一つ聞いてもいいか?」

「なんやろか? 日本人のよしみで答えたるで」

「俺を狙うディオの手下は、合計何人だ?」

 

 もっと近づいてこい。まだだ、まだ踏み込みが浅い。俺は早漏なんかじゃねぇ、まだ漏らすわけにはいかない。

 

「あっしで最後や。あの少女達を倒すとは、余程やるようやのぉ~?」

「……調子に乗り過ぎた、それだけさ」

「せやろな。ディオ様も言うてたで? 慢心したってのぉ~?」

 

 まだだ、もう少し、もう少しだけ踏み込んでこい。そうだ、その位置がベスト、ならば仕掛けるのは今ぞ。

 

「慢心ってのはよぉ~、てめぇも同じだろうが! クレバースレイヤー、()()()()()()()()!」

「排除排除排除排除ォォォォォォォォォォ!」

「……おいで、坊や。お兄さんが相手したるわ」

 

 ブラフを吐いた刹那、俺は富雄に向け地中から串刺しの刑にするために無数の鎖の長槍が富雄に狙いを定め突き出そうとした。「……読んでたぜ?」と言いながら、地中から生えた鎖の長槍群を全て見事に一瞬にして斬り裂き、そのまま突進してくる富雄! 俺の両膝から下は綺麗に真っ二つに斬られるが、俺でなければこれで再起不能だっただろう。クレバースレイヤーはその切断面に対し鎖で固定し、それはさながら瞬間接着剤のようにすぐに両膝から下を元の状態に戻す。すかさず俺は左腕を上空に伸ばし、鎖のハーブンガンを放ち建物の屋上へと逃げた。

 

 一瞬の攻防であるが、奴の凄みがこれでハッキリと分かった。奴は……、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その領域は恐らく本体から半径1mにも満たないだろうが、その領域内に触れたものは一瞬で斬られる。正攻法の接近パワー型であり、尚且つ隙が全く感じさせない。恐らく承太郎よりも遥かに厄介な相手であり、承太郎では勝てるかどうかすら怪しいほど。

 

「おんやぁ~? 確かに斬ったはずなんやけど、そういう芸当も出来るなんて聞いてないで?」

「……そ、そりゃどうも。ふぅ……、この俺が冷静に相手を分析するということは、泣ける状況ってわけか。やれやれだぜ、無敵に近いじゃねぇか……。だがてめぇをぶっ殺せばよぉ~? 俺は無事にカルカッタから脱出できるってことだよなぁ~?」

「んぅ~♪ そりゃ無理だね、無理無理! あっしはこう見えても――」

 

 

 ――バン! バン!

 

 

 富雄に向け発砲される銃声であるが、それが如何に無意味で、無駄であるかという事実を突きつけるには十二分すぎるほどであった。その援護射撃を行ったのは他でもない、レレーナだ。「べっぴんな女やのぉ~?」と言いながらレレーナに向け猛然と走り出す富雄に対し、俺はすかさずレレーナを俺の場所まで引き上げ、レレーナの窮地を救った。

 

「なんや、大輔! 勝負の邪魔せんといてくれるか!?」

「……てめぇ、レレーナを躊躇なく殺そうとしたよな?」

「んなもん当たり前や! こちとら撃たれたんやで!」

 

 その言い分は一理あるが、レレーナのスタンドでは決して勝てないのは目に見えている。なのにレレーナは何故発砲をしたのだろうか? わざわざ場所を教えるような――。

 

「……ふぅ。私が勝てない勝負をすると思っているのかしら? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「な、何やと……。な、何故あっしのスタンドを知ってるんや!」

「サムライ・エッジ、完成されたスタンドではあるが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。本体から半径1m以内に視認できない球体型の領域を展開し、敵意ある攻撃に対し自動で迎撃する芸当をこなすわね。因みに好きな女の子のタイプはお尻が小さめな子で、自分の――」

「こ、このアマァァァァァァァァァァ! 好き勝手べらべら喋るんじゃねぇ! そこが安全地帯だと――」

「大輔、逃げるわよ。斬撃を飛ばすことも出来るわ、ふぅ……。滅茶苦茶なスタンドね、泣けるわね」

 

 俺はレレーナと一緒に一旦その場から離脱した。消耗戦に挑めば若しかしたら活路があるやもしれない、であればレレーナと協力し、奴を消耗させなくては! 




スタンド名:サムライ・エッジ
本体:武田富雄

破壊力:A
スピード:A
射程距離:D
持続力:C
精密動作性:B
成長性:E

【概要】

赤い甲冑を身に纏った武蔵坊弁慶風貌の武者のようなスタンド。
『どのような物体をも斬ることが可能』であり、純粋な接近パワー型タイプのスタンド。但し射程距離は短く、自分の本体から約1m程度である。が、それをカバーするかのように装備している大太刀が射程距離をカバーしている。

但しパワー消費が激しく、持続力が低いのがネック。
言ってしまえばアメ車のような感じのスタンド。

レレーナ曰く、『本体から半径1m以内に視認できない球体型の領域』が存在し、その領域に対し敵意ある攻撃を自動で迎撃する芸当をこなすことが判明。

尚、遠距離の相手に対しては斬撃を飛ばすことも可能である。
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