スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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女教皇―②

 レレーナと一緒に隣の部屋へ移動し、レレーナは煙草を吸おうとはせず、俺の隣に座るとそのままウトウトとし、ゆっくりと俺の肩に(もた)れかかってしまった。流石に疲労が溜まっていたのか、無理をしていたのだろう。今俺のスタンド――ワムウはジョセフと談笑をし、邪魔をする者は誰もいない。た、多少のお触りくらいならば許せるんじゃない? だってそういうことだろ、冷静に考えて! 今、この場に男と二人、何も起きないはずもなくってのが俺のプランだぜ、クハハハハハ!

 

「……ふぅ。角兎ちゃん、もし私の胸に少しでも触れてみなさい?」

 

 瞬時に俺の喉元にナイフが突きつけられ、うっすらと血が流れ落ちる。あ、これ猟奇的な彼女って感じの設定かな?

 

「まだ彼女じゃないわよ? 泣けるわね……」

「……ん? ちょ、ちょ、ちょっと待て! その言い回しから――」

「おっと、それ以上馬鹿なことを言うと頸動脈を突き刺すわよ? ふぅ……」

「な、なぁ……。レレーナはさ、俺のことどう思ってるわけ?」

 

 どうせ心が読まれてるんだろ、ならばぶっちゃけた話を聞いても問題ないはず。

 

「……少なくとも頼りになる男だと思ってるわよ」

「え、それだけ? いやいや、そんなわけないよなぁ~? なぁんで俺と一緒にいたがるのかなぁ~? んぅ~? おかしいよなぁ~?」

「ふぅ……。私って寂しがり屋って言ったじゃない? で、一番関係性があるのが角兎ちゃんなだけ」

 

 あ、さよですか……。そ、そりゃそうなるよね、うん……。あ、あれ? お、おかしいな……。うっすらと涙が出てきたんだけど……。え、何この感情? 中学生の時に体育館裏で、初恋の子に告白したら「友達でいましょう」って言われた時のあの感じじゃないかな? へ、へへへ……。

 

「はぁ……。童貞じゃないんだし、もっとアグレッシブになったら?」

「っ!? そ、それって……、つ、つま――」

 

『な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?』

 

 ジョセフの叫びが突如隣から聞こえてきた。『スタンドだ!』というアヴドゥルの声を聞き、俺はすぐに身構えワムウを呼び戻す。一体何があったのかワムウから聞くと、コーヒーカップにスタンドが化けていたそうだ。

 

「っ!? ……ワムウ、悪いがクレバースレイヤーと交代だ」

「し、しかし――」

「ならよぉ~? てめぇならこの窮地(きゅうち)を脱すことが出来るっていうのか? あぁん!? ジョセフさんが襲われた時、てめぇは何をしていたんだ! このボケ! 油断してんじゃねぇぞ、このタコ! こういう場合、俺とクレバースレイヤーの方が対処しやすいって言ってるんだぜ?」

「……良かろう」

 

 ワムウからクレバースレイヤーへ――これぞまさに俺のスタンドというべき姿だ。既に事態を把握しているクレバースレイヤーは、この室内に鎖の結界を張り、何か反応があればすぐに行動に移せる態勢を整えた。これならばレレーナを守ることが可能であり、まさに一分の隙もない布陣。

 

「承太郎! 聞こえているか! さっさとこっちに来やがれ!」

『っち! やれやれだぜ……。そっちに行くのは構わないが、動けないんだぜ』

「あぁん!? ならよぉ~? 絶対にドア付近にいるんじゃねぇぞ、承太郎! クレバースレイヤー! 輝彩滑刀(きさいかっとう)でそのドアを斬り刻め!」

「……フン!」

 

 ――シュパパパパパ……

 

 ほんの数秒すら感じない時間でドアを細切れにするクレバースレイヤー。承太郎達は潜水艦の上を見ているが、()()()()()()()()()()()()()。つまり先程までそこにいたということであり、この潜水艦の何処かにいるのは明白!

 

「おい! このボンクラ共が! さっさとこっちの部屋に逃げろ! クレバースレイヤーで探らせ――っ!?」

 

 全てを言い終える前、この部屋に向かって何かが移動を始めてきた。が、これは不味い、不味すぎる! 簡単に言えば、このスタンドはモグラのように自在に潜水艦を移動できるのだ! 倒すことは可能であるが、潜水艦を犠牲にせねばならない! 地の利が圧倒的に向こう側にある現状、捕縛だけに集中するしかない!

 

「承太郎! こ、このスタンドは!」

「……やれやれだぜ。そういうことだ、泣きたくなる状況というわけだが――」

 

 ――ドゴン!

 

 激しい衝突音が意味すること、それは海底に激突したということ! 海水が潜水艦内に浸水していき、一刻の猶予もない! ならばこの潜水艦は捨てねばならない、捨てねば!

 

「こ……この状況はなんかよく分からんがひょっとしてピンチ?」

「黙れ、ジジイ! やれやれだぜ……、恐らくだが大輔の焦りから察するに、()()()()()()()()()()()()?」

 

 承太郎の視線に俺は黙って頷き、既にこの室内にいることを知らせた。レレーナの背後の計器にいるのは分かっている、分かっているが、ちぃ!

 

「どうせ浸水してんならよぉ~? もぉ潜水艦の機体なんざ気にしても仕方ねぇよなぁ~!? クレバースレイヤー! 分かってるな!」

 

 計器を捕縛するようにクレバースレイヤーの鎖が、瞬時に巻き付く。が、なんと計器は一瞬にしてカミソリに変化し、クレバースレイヤーの鎖をも断ち切った。「キャハハハハハ!」と姿を現したのは、不細工な女の顔のようなスタンド。コイツ、かなりのやり手か。

 

「奴の姿が見えているうちが引き時じゃな。大輔! 時間稼ぎは出来そうか!?」

「勿論ですぜ、プロですからよぉ~? この俺の可愛い両手に擦り傷をつけるなんざ許せんよなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! おいこのクソアマ! てめぇのせいで俺の手相が変わったかもしれねぇじゃねぇか、あぁん!?」

 

 俺はそのスタンドに向け無我夢中で蹴りまくるが、寧ろダメージがあるのは俺の方。「キャハハハハハハ」と笑いながら、そのスタンドは再びカミソリの刃に変化させ攻撃を耐え凌ぐ。()()()()()、これがベストだ。

 

「おら! てめぇらとっとと逃げろや! このクソアマの相手が出来るのは俺だけだろうが! ここにコイツを拘束させておけば、俺達の勝利なんだぜ? だからてめぇらはとっとと潜水艦から脱出しろ!」

「その通りじゃ! 大輔、可能な限り引き付けておくのじゃ! ……頼りにしているぞ、大輔!」

「アイアイサー。オラ! もっと蹴ってやろうか!? あぁん!? この俺に刃物なんざ無駄なんだよ、無駄無駄無駄無駄ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 確かに痛みはあるが、すぐに傷口を防げば問題はない。そういう芸当ができるのが俺のスタンドだ。サムライ・エッジのスタンド使い、武田富雄との戦闘で会得した自己治癒能力のおかげだと言っても過言ではない。だからよぉ、潜水艦が沈むまで俺と遊ぼうぜ、クソアマ!

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