スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
エジプト、コム・オンボに到着した一行。ジョセフ達は一旦トイレ休憩にて船着き場から離れるが、取り残されたポルナレフはイギーを追いかけ別行動を取ることになってしまった。暫し走っていると、妙な殺気を感じたポルナレフは、遺跡に向かって歩くと、その殺気を放つ人物もまた一定の距離を保ちつつポルナレフを追いかける。やがて二人は遺跡の奥へ辿り着くと、ポルナレフが先にその殺気を放つ人物に対し声をかけた。
「おい、ずいぶん肝っ玉がでかいじゃねぇか。こんな人の多い所で攻撃を仕掛けてこようなんてよぉ? しかも珍しいぜ。おめぇのように本体を見せて、ストレートに戦いを挑んでくる敵はよぉ? ……男らしいぜ。いねぇと思っていたぜ、名乗りな」
「……名はチャカ。冥界の神アヌビスを暗示とするスタンド使い。ジャン・ピエール・ポルナレフ、お前の命をもらい受ける」
「ヒエヘヘヘヘ! 『命もらい受ける』、ものすげぇ分かりやすいストレートとなセリフ、ますます骨太で男っぽい敵だね」
二人は更に奥へゆっくりと向かうと、ポルナレフは立ち止まり、そこが試合開始の場所だと言わんばかり。ゆっくりとチャカへ振り返りながら、ポルナレフはチャカに対し挑発し、チャカはその挑発に乗った。
チャカはゆっくりと刀を抜き、鋭い眼光をポルナレフに見せ、ポルナレフはチャリオッツを繰り出す。
(コイツ……、剣を握っているが、スタンドではなくその剣で俺と戦うというのか?)
ゆっくりと二人は動き出すが、すぐにポルナレフはその異様さに気がついた。その異様さとはチャカは確かに剣を握ってはいるが、身のこなし、剣の握り方や構えの姿勢は素人そのもの。剣の達人でもないというのに何故正々堂々と挑むのか、そこがヤバイ!
(っ!? 一歩間合いを広めた方がいい、様子見をしなければ!)
ポルナレフが間合いを広めた途端、チャカは柱に身を隠し、なんと柱を通り抜けてポルナレフの胸部を斬ったのだ。この時、ポルナレフが油断していたのであれば、ポルナレフの右肩から左わき腹まで斬られていたことであろう。つまり距離を置いたからこそ、軽傷で済んだ、済んだのだが――。
「うぐぁ!? な、何だ!?
刹那、チャカの剣が再び柱を通り抜けポルナレフを襲う! 襲う、襲う! チャカとチャリオッツの攻防は凄まじく、いや、チャカがチャリオッツの剣捌きに追いついているのだ! この驚愕の事実にポルナレフは驚きを隠せず、チャカの剣を防ごうとするのだが、なんとチャカの剣を防げずそのまま弾き飛ばしたのだ! 結果、チャカを見失いながらも、ポルナレフはチャカのスタンドに対して冷静に分析を始めた。
(な、なんてこった! 見失ったぞ!? ど……、どの柱の後ろにいるか分からねぇ……。敵は物質を透過して、物が切断できるスタンドなんだ。お、俺のチャリオッツはせいぜい1メートル数10センチ程度の射程距離。チクショウ……、苦戦しちまってるぜ。このポルナレフと剣の勝負をして一杯食わせるなんて、生意気な野郎だ! しかし、ここまでだぜ! いい気になってられるのはよ!)
ポルナレフは近くの柱に飛び乗り、周囲を警戒しながらチャカを挑発する。「ククク……」と不気味なチャカの笑みが遺跡中に響き渡ったと思った時、なんとチャカは近くの大きな柱を斬りそのままポルナレフへと落下し始めた。そのままポルナレフに向け、剣を垂直で斬り落とそうとした時、何故かチャカの意識は途端に切れた。
※
ポルナレフのチャリオッツがチャカに向けて放った剣先が当たったわけではない。寧ろその方がチャカにとってみれば幸運だったであろう。
「っ!? こ、この鎖の銛は、ま、まさか!?」
そう、クレバースレイヤーがチャカの頭部に向けハーブンガンを放っていたのだ。その勢いは頭と胴を完全に分離するほどのものであり、スタンドが見えないものからすると、突如生首だけが宙に浮かんでいるかのような光景というべきか。ポルナレフすら思わずゾッとするその光景を見るや否や、ハーブンガンを放たれた方角を見ると、大輔とイギーが一緒に歩いて来た。
「だ、大輔! ど、どうしてお前が――」
「ワムウが殺気を感じ取ったらしくてな。で、ワムウの後を追いかけてきてみると、ちと不味い光景だったからよぉ? なぁ、イギー?」
「イ、イギー……(ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?)」
イギーを優しく抱きかかえる大輔であるが、そんなイギーは完全に大輔に対し恐怖心を植え付けられてしまっていた。コイツの顔に屁をしたらどうなるかというデモンストレーションを見せつけられたかのようなイギーに対し、大輔はイギーの頭を優しく撫でるサイコパス。
「やはりワンちゃんには刺激が強すぎるかもしれんなぁ~? お、なんか値打ちがありそうな刀みっけ! ニシシシ!」
「ウウゥ……! ワンワン! ワンワン!(こ、コイツは!? おい、大輔! この刀スタンドだぞ!)」
「……ほほぉ~? この刀を見た時のイギーの反応から察するに、この刀を今すぐ処分すべきということか? そうなんだな?」
「ワンワン! ワンワン!(そうだぜ、大輔! とっととぶっ壊せ)」
仮にもしこの場にイギーがおらず、尚且つ大輔がいなかったならば。恐らくアヌビス神はここでは再起不能にならなかったであろう。
(な、な、な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? お、お、お、お、俺は折角チャリオッツの力を手に入れたというのにっ!? ち、ち、ち、ち、畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)
クレバースレイヤーはゲラゲラ笑いながらゆっくりとアヌビス神に近づく。最早救いはないと思った、その時! アヌビス神にとってまさに圧倒的僥倖と呼べるような出来事が起こった。何とポルナレフが刀の鞘にいつの間にか触れていたのだ!
(き、き、き、キターーーーーー! の、の、の、乗っ取ってやる! ポルナレフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!)
イギーはすぐに異変に気付き急ぎ、大輔の胸を蹴って逃げ出すと、ゆっくりとアヌビス神に乗っ取られたポルナレフが大輔を指差しこう言い放った。
「このドサンピンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 俺がそんな簡単にくたばるわけねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 絶対に、絶対に、ぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! 負けるわけにはいかねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「……はぁ、泣けるぜ。中々面倒な展開なわけだが、まぁいい。オイ、クソ刀! 覚悟は出来てるんだろうなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ? あぁん!?」
大輔が操るクレバースレイヤーとアヌビスアヌビス二刀流ポルナレフの戦いの幕が切って落とされようとしていた。