スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~   作:四五茶

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パステト神―①

 ナイル川中流の街、ルクソールにて。俺とジョセフはトイレを探しに向かっていたのだが、し、信じられないことにそれはトイレと呼べる代物ではなさそうだ。

 

「うぇぇ……」

「マ、マジかよ……」

 

 エジプトならではのというべきか、環境に適応した素晴らしいトイレがそこに存在した。俺とジョセフは一緒に「「OH MY GOD!」」と叫び、糞が風化する様を死んだ目をしながら見つめる。

 

「く、空気が乾燥しているから、ウンチがすぐ塵になって飛んでいく! 水洗式ならぬ――」

「ふ、風洗式トイレってわけですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ちょ、ちょっと待ってくれ! 固いならいいんだがよぉ~? 下痢とかならさ――」

「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! 大輔ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! お、お前は馬鹿か! こ、この便器の小ささから察しろ! 下痢が全部収まらなかったら――」

「HOLY SHIT! さ、最近、ゆ、緩いんですよ、ジョセフさん! ま、ま、ま、ましゃか! そ、そ、そ、そ、そこの砂って……」

 

 恐る恐る指を差すと、ドラム缶の中に砂が入っていた。た、確か砂漠の砂は無菌だと聞いたことがあるが、こ、これでてめぇの尻を拭けってことかよ!? う、嘘だろ!? 下痢の時とか想像したら――。

 

「「OH MY GOD!!」」

 

 ジョセフと俺は急ぎその場から去ろうとするが、ジョセフならば我慢できるやもしれない。だ、だが! お、俺は! ()()()()()()()()()()()()()()()()? う、う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!

 

「ジョセフさん! 俺もう羞恥心とか要らないから出て行って! ここは俺のプライベート空間なの! スッキリさせて!」

「……ち、因みにじゃが、固い?」

「そんなの聞くんじゃねぇぞ! アカン! もうズボン下ろす!」

「わ、分かった! ワシは承太郎達の元へ戻るからのぉ。早く、そ、その、う、ウププ……。す、スッキリしてね♡」

「このクソジジイ! ワムウからクレバースレイヤーにしてもいいんだぞ! あぁん!?」

「う、嘘だよぉ~ん! ワハハハハハ! ポルナレフと同じトイレに縁がないのぉ~!」

 

 ……絶対後でクレバースレイヤーを自由にさせてやる、畜生が! さ、さて、一人になった瞬間緊張が解け、俺のニョキニョキを解放させなくてはならん! 発射まで5秒前……4秒前……、ふぅ……。

 

「ワ、ワムウさん、い、いますか?」

「……何だ?」

「あのさ、レ、レレーナからさ、ティッシュ受け取ってくんない? やっぱり砂でお尻拭くのは日本人として無理だよぉ~ん!」

「はぁ……。このワムウをそんなくだらない用事で使うだなんて……。まぁよい、暫し待っていろ」

 

 さ、流石は俺のワムウ! そうだよね、こんなドラム缶の中の砂……、ん?

 

「……え? こんな場所にコンセントなんてあったかな? 地中に電線ケーブルでも伸ばしているのか。はぇ~、やっぱ緊急時のことを考えて設計されているのか。進んでいるな、エジプトは!」

 

 俺は興味心から、そのコンセントに触れた途端――。

 

 ――ビリリッ!

 

「んにゃにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! ろ、漏電してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! んぎもぢぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

 不覚にもちょっと感じてしまった俺ではあるが、まぁ誰も見てないしもっかい触れて――。

 

「おい、大輔。レレーナからティッシュを受け取ってきたぞ」

「っ!? ず、随分と早いな! ワムウ! い、いやぁ、た、助かるなぁ!」

「それと伝言だ。『私を置いて勝手な行動するならば、次からはティッシュを貸さない』だそうだ」

「ア、アイアイサー……」

 

 

 

 

 承太郎達一行を見つめる煙草を咥えた女が岩の上で見下ろしていた。彼女の名はマライア、バステト女神というスタンドを操るスタンド使いだ。煙草を満足そうに吸いつつ、ある二人の男に目をやる。

 

「……触れてはいけないものというのは、触れてしまいたくなるものね」

 

 フィンガースナップをした瞬間、大輔がいた便所のコンセントは消え――つまりこのコンセントが彼女のスタンドなのだ。

 

「ジョセフはともかく、まさかディオ様が危惧していた大輔まで触れてしまうとはね。どちらにしても、私の術中にハマってしまえば、勝つのは私。フフフ……、時間はたっぷりあるわ。ゆっくり楽しみなさい、ジョセフに大輔♡」

 

 

 

 

 アヴドゥルの提案により今夜と明日はルクソールに滞在してから、カイロへ向かうという話になった。これに関しては皆賛成であり、俺もまた賛成だ。昨日のアヌビス神の件もあり、更に凶悪なスタンド使いが現れた時、疲労困憊では対処しようにもしきれないだろう。が、そういえばさっきからちと調子がおかしい。何だかレレーナの腰に引っ張られるようなこの感覚は一体――。

 

「ふぅ……。そんなに私とくっつきたいわけ?」

「い、いや、ち、違うんだ! き、気にしないでくださ――」

「あら? そう言いながらその手は何? ちょっとナイフでぶっ刺してあげましょうか?」

 

 さも当たり前のようにレレーナは俺に向けナイフを投げたのはいいのだが、いつもよりも速く俺にナイフを投げてきやがった! ワムウがすぐに払いのけてくれたのはいいが、レレーナめ……。相当俺に近づかれるのが嫌だったようだな。

 

「あらあら!? お二人さん、ちょっと今日は激しいんじゃね? キヒヒヒヒヒ!」

「――黙りなさい、ポルナレフ。そういえばチャリオッツでこの至近距離からぶっ放したらどうなるか試してみる?」

 

 そう言いながらポルナレフに銃を向けようとしたレレーナであるが、なんと銃口は俺に向いていた。「にゃにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」と俺は叫びつつ、レレーナに銃を撃つなよと警告を発したが、時すでに遅し。銃弾は放たれていた。

 

 ――スパン……

 

「……女、大輔に攻撃をするのは別に構わんが、攻撃するなら事前に言ってくれ」

「――え? 私はてっきりそこのクソポルナレフを……」

「なぁ、大輔よ。レレーナを相当怒らせてるんじゃねぇの? 謝ったほうが俺はいいと思うぜ?」

 

 ポルナレフの助言に従い、何となくだがレレーナに謝罪した。「……別にいいけど」と納得がいかないレレーナと同じく、ジョセフも義手の調子が先程からおかしいらしい。ま、まさか、スタンド攻撃なわけないよな、アハ、アハ、アハハ……。

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