スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
ジョセフは既に勝ちを確信していた。というのも、ジョセフはダービー相手にイカサマをし、最早一枚たりとも入らない手筈にしたのだ。それなのにダービーは難なくコインを1枚入れてしまったのだ。思わずジョセフは立ち上がり狼狽しつつ、承太郎を見るが、首を横に振りイカサマをしてないことをジョセフに伝える。
「ゴーアヘッド! ミスター・ジョースター! 早くしたまえ! 蒸発してしまうまで、待つ気かね?」
「くっ……、あぁ……」
ジョセフはまだ精神的に折れていない――いや、既に折れる一歩手前なのだが――が、もしここで負けを認めてしまえばポルナレフの魂は返ってこない。それどころか、自分の魂までコインにされてしまう圧倒的窮地!
「はぁ……、はぁ……」
ゆっくりとコインをグラスに入れようとした、その時――。
「泣けるぜ……、この状況は。ジョセフさん、俺がそのコイン入れてもいいですよね?」
後ろを振り返ると、大輔とクレバースレイヤーがそこにいた。ダービーは不意の出来事で訳も分からなかったが、このゲームに途中参加したいのならば魂を賭けろと大輔に提示すると、さも当たり前のように大輔は魂を賭けたのだ。
「えっと、ミ、ミスター……」
「ダニエル・J・ダービー、ダービーだ。因みに君の名は――」
「あ、どうも朝倉大輔です。ボンビーさん。ジョセフさん、大丈夫っす。まだ入りますぜ」
ダービーを挑発した大輔はゆっくりとジョセフの席に座るった途端、いつの間にかテーブルの上にパフェが置かれていた。それをさも当たり前のように食べる大輔に苛立ちを隠せないダービーは、早くコインを入れるよう要求すると、大輔はダービーにとんでもないことを吹っ掛けてきたのだ。
「すみません、パンティーさん。今賭けてるのって、俺とジョセフさん、それにポルナレフの魂なのは間違いないですかぁ?」
「そ、そうだが! そ、それがどうしたんだ!?」
「ならよぉ~?
「ば、馬鹿な! そ、そんなハッタリ――」
「別にいいわよ。
一同その言葉に驚愕しながらも、何故ここまで大輔に自信があるのか分からずにいた。あの承太郎ですら冷や汗をかきながらこのやり取りを見守り、ダービーに至っては大輔を哀れな敗北主義者のギャンブラーだと罵るほど。それに対し大輔は、いつの間にかテーブルの上にマンゴージュースが置かれてあり、それを美味しそうに吸う完全舐めプをするほど。
「き、き、き、貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! な、な、な、舐めて――」
「おっと、俺はクレーバースレイヤーを使いコインを入れるぜ! 別にスタンド使ってもいいよなぁ~?」
「……フン! 好きにしろ」
「ククク……、コノカーズニ不可能ハナイ!」
なんとクレーバースレイヤーはコインを2枚持ち、ゆっくりと今でも溢れだしそうなグラスに向け――。
――チャポン……
「「「「「な、な、な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」」」」」
ごく自然にコインをグラスに入れてしまったのだ。大輔はゆっくりと立ち上がると、クレーバースレイヤーと一緒にダービーに向かってマイケルダンスを披露し、「「フォー!」」と言いながら完全な勝利宣言をした。この行為に納得がいかないダービーは、グラスを調べようとするが――。
「てめぇ! 待ちな! さっきてめぇはグラスとコインを調べたはずだぜ! 次はてめぇの番だ、ダービー!」
「っぐ! ぐぐぐ……、ぐぬぬぬ……」
「大丈夫大丈夫! やれば出来る! 気持ちの問題だって! やれば必ず出来る! 絶対出来る! 諦めんなよ……、諦めんなよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! ダービーきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん! あ、パフェ食べながらコイン入れた方が冷静になれるかもしれないよ♡」
(ち、ち、ち、ち、畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ど、ど、ど、どうしてコインが、に、2枚も入るんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! お、俺の計算ではコインは絶対入らないはずだというのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! ハァ……、ハァ……、お、落ち着け、落ち着――)
ダービーは既に心が完全に折れかかっていた。理解出来ないこの現象、そして回ってきた自分の番。つまりコインを入れなければ負けは必定であり、負けた場合のことを考えると――。
(ディ、ディオ様のスタンドの秘密なんて言ってしまえば、お、俺は、俺はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ひ、ひぃ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? お、俺は最強のばくち打ちだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! う、受けてやる! い、入れて、入れてや……る……ぞ……)
「クゥ……、グググ……、い、入れて……、入れて……」
「あぁん!? てめぇこんな美女達二人の前で挿入してぇだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! ざけんじゃねぇぞ! ベンピーがよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! とっとと入れろっつってるんだぜ! この俺は! ギャンブラーとしての誇り見せてみろや、ハゲ!」
「あっ……、ああ……、い……いれ……、ハァ……、お、おふぁ……」
――バタン
ダービーはコインを入れる前に、白目をむきながらテーブルの上で失神してしまった。と、同時にポルナレフの魂が解放され、今までコインにされてきた魂達も解放されていく。「ふぅ……、泣けるぜ……」と大輔は言うと、なんとグラスの酒が一気に抜けていった。
「ククク……、イカサマはバレなきゃいいんだよぉん! あんな状態でコインなんて入るわけねぇからよ?
承太郎はグラスの底を確認すると、何故大輔がコインを二枚も入れられたのかに気がつき、呆れた感じで大輔にグラスを投げた。
「てめぇ、いつの間にグラスの底にこんな小さな穴を開けていたんだ?」
「パフェをパクってきてから少しずつ穴を開けたんだぜ? 意識をグラスから離したかったからよぉ~? もしグラスに意識を集中させていたら、そりゃ若干の水位の変化でバレてたかもしれないが、そこはまぁ気合いだな、うん。あとはコインが入る水位まで調整すれば、底を塞げば問題なく終わるって寸法さ。いやぁ~、勝てて良かったね! やったぜ!」
「……やれやれだぜ、マジでイかれてやがる。だが、てめぇがこれほど頼りになるなんて、旅の最初では思わなかっただろうよ」