スターダストクルセイダース~俺のスタンドがイカれてる件について~ 作:四五茶
激闘
……確か不本意ながらポルナレフと同じ部屋で眠っていたはずなのだが、久々というべきか、またこの場所に来てしまったようだ。ただ気がかりなのが一つなのは、クレーバースレイヤーとワムウが既に戦いを繰り広げているということだ。その一進一退の攻防は周囲を斬り刻み、目で追うのが精一杯の領域での戦いというべきか。五分と五分というべきか、いや、クレーバースレイヤーが若干ながら押している感じすら感じさせるほど。「クハハハハハ!」と笑いながらワムウの肉を斬り刻むが、ワムウの戦意は決して失っていない。
「……貴様はカーズ様ではないぞ、クレーバースレイヤー!」
「この大馬鹿者がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! このカーズの真似をしおって! ワムウ! 貴様の主人を――」
「黙れ! このワムウの忠誠を誓うべきは――」
「このカーズであろうが、愚か者がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
クレーバースレイヤーは、どうやら完全に自分をカーズだと勘違いしているようだ。泣ける展開だが、さてどうしたものか。この戦闘を一旦中断させなくてはどうしようもない。「お前ら! 喧嘩はやめろ!」とクレーバースレイヤー達の近くに向かうと、なんとクレーバースレイヤーが俺の頬に向かって鎖の鞭を思いっきり当ててきた。「のあ!?」と思わず叫びながら、俺は円形闘技場の壁に激しくぶつかり、背骨から鈍い音が聞こえた。骨にヒビが入ってるやもしれんが、自然と痛みは感じない。
「大輔! 貴様はそこで黙って見ていろ!」
「あぁん!? クレーバースレイヤー、てめぇ! 何を――」
「
「ワムウ! そこのボケを落ち着かせろ! 本気で相手しろ!」
「――良かろう。クレバースレイヤー、貴様は『成長』し過ぎたたのだ。このワムウが引導を渡してやる」
「引導ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ? このカーズに引導を渡すだと、調子に乗るんじゃないぞ! ワムウ!」
更に激しさを増す二人の激闘。序盤はクレーバースレイヤーが押していたが、徐々にワムウに形勢が優位になっていき、やがて地力の違いをクレーバースレイヤーに存分に味合わせた。そのまま勝負が決すると俺とワムウは思っていた、が――。
「――ワムウ、貴様はこのカーズの見様見真似をしているだけだ。この私が本気で戦えばどうなるか、見せてやろう」
その言葉を放った瞬間、ワムウは思わず距離を取り、ゴクリと喉に唾を飲み込むほど。即ち、ワムウは本能的に危険だと判断したのだ。クレーバースレイヤーを御していたはずのワムウが、手綱をきっちりと握れていない状況になったというべきか。一体何が起こっているか理解できないが、非常にヤバいことくらい馬鹿な俺ですら分かる。
「クレバースレイヤー! もうその辺にしておけ!」
「……大輔、貴様はこの私ではなく、そこのワムウを心配しているのか?」
「あぁ、そうだぜ! クレーバースレイヤー、てめぇ一つだけ確認しておきたいことがある」
「ほぅ、何だ? 言ってみろ、大輔」
「お前の主は誰だ、あぁん!?」
暫しの沈黙後、それまでの殺気が嘘のように消え去り、ワムウに背を向け俺にゆっくりと近づくクレーバースレイヤー。俺もまたクレーバースレイヤーの元へとゆっくり近づいていくが、何故だか近づくほど不安感が一層に募っていく。全身から汗が噴き出すほど警笛を吹いているが、俺はそれでもクレーバースレイヤーに近づくしかない。もしここで退いたならば、クレーバースレイヤーを拒絶するようなもの。この俺が御せねばならんのだ、このクレーバースレイヤーを。
「……ほぉ? このカーズを相手に逃げ出さなかったか」
「当たり前だ! 俺とお前はカーズに強い憧れを感じていたのは分かる! だが、やりすぎだ! どうしたんだ、クレーバースレイ――」
「その名は不快だ! 私はカーズ、カーズなのだ、大輔! フッフフフフ……、貴様とは長い付き合いであるからまだ命があると思うがいい。ここまで優しくしてるんだ、感謝してもらいたいくらいなのだがな?」
「……カーズ、俺とお前は一心同体じゃないのか? ならばもうワムウと争うのはやめろ! 言い方が気に食わないなら、今後はカーズと呼ぶ! だから――」
「黙れ」と俺に言い放つと、後ろを振り返りワムウへと猛ダッシュで迫っていくクレーバースレイヤー。それに対しワムウも激突し、再び熾烈な戦いを繰り広げた。何故クレーバースレイヤーがこのような凶行に及んだかは分からない、だがクレーバースレイヤーは自分の存在を勝ち取るために戦っているようにすら思える。ど、どっちを応援すればいいか、わ、分からなくなってきたぜ……。ふ、複雑な気持ちであるが、どちらも負けて欲しくない!
「ワムウ! このカーズの敵ではないなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「――甘い、今の踏み込みの深さで勝負は決したぞ、クレーバースレイヤー!」
「っ!?」
ワムウはいつの間にか、光の
「――神砂嵐!」
それをモロに直撃したクレーバースレイヤー、当然の如く俺もダメージを負い、俺とクレーバースレイヤーは壁に激しくぶつかり、全身の骨がボギバギと嫌な音を立てながら、同時に床に伏した。俺はゆっくりとクレーバースレイヤーの元へ匍匐前進をして進み、何故このような凶行に及んだのか問い詰めるが――。
「こ、このカーズ……。も、最早、だ、誰にも縛られぬ……」
「クレバー……、スレイヤー……。ワ、ワムウ相手にマジで挑むのは……、お、お前らしくないぜ……」
「フ、フフフ……。そ、それもそうだな……。だ、大輔。この私、この私こそが――」
「クレバースレイヤー、貴様は決してカーズ様になれん! だが実に素晴らしい戦いであったぞ。大輔よ、お前はもうゆっくりと眠るがよい。……このワムウのせいだ、すまない」
ワムウが意味深なことを言ったように思えたが、最早意識が混濁していく。……これってまさか次に目覚める時病室じゃないよな? 全く、泣けるぜ……。
スタンド名:クレーバースレイヤー
本体:朝倉 大輔
破壊力:A
スピード:A
射程距離:形状によって変化するが、普段はカーズのままである。よってC。
持続力:A
精密動作性:B
成長性:A
【概要】
見た目は無数の漆黒の鎖で出来た人型のスタンド。
カーズの思想などに感化され、自分自身をカーズになりたいという自我に目覚め、現在の姿はカーズそのもの。
先の戦いで、ワムウと同等以上の戦闘力をワムウに見せつけたが、戦闘の天才であるワムウによって一歩及ばず敗退した。
光の必殺流法だけで言えば、既にワムウの遥か上であり、ワムウが思わず距離を取ってしまうほど。
尚、余談であるが大輔の額の角は現在、大人の男の中指程度まで成長している。